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ドリトル先生の競馬

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第四幕その一

               第四幕  ホフマン君の悩み
 先生は日曜日も論文を書いています、それはお家にいても同じで今は脳医学の論文について書いていますが。
 お昼にです、トミーにこう言いました。
「いや、脳はまだまだね」
「わかっていないことが多いんですね」
「よく言われることだけれど」
 こう前置きしてトミ―にお話します。
「人間は脳の全体の三十パーセント位しか使っていないんだよ」
「学説によってはさらに小さいですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「百パーセント使えないのは何故か」
「そのこともですね」
「色々言われてるね」
「そうですよね」
「それで僕は思うけれど」
 トミーにちゃぶ台を囲んだうえでお話をします、今日のお昼はお素麺でよく冷えたそれを梅肉を入れたおつゆで食べています。
「若しもね」
「脳を百パーセント使えたら」
「人間はどうなるかとね」
「使い過ぎてよくないという人もいれば」
「大きな可能性があるという人もいるね」
「そうですよね」
「いいという人がいればね」
 先生はお素麺、ガラスの大きな容器の氷水の中にあるそれをお箸で自分のおつゆが入っているお椀の中に入れつつ食べながらトミーに言いました。
「よくないという人もいるね」
「そこはそれぞれですね」
「そう、けれどね」
「一体どうなるか」
「そこは知りたいね」
「若し悪い結果になるなら」
 トミ―もお素麺を食べつつ言います。
「その時は」
「置いておいてね」
「いい結果になるならですね」
「百パーセント使える様にする」
「そうするといいですね」
「うん、ただここで問題なのは」 
 先生はトミーにお話しました。
「絶対に悪用しないことと」
「そのことと」
「そう、そしておかしな引き出し方はしない」
「脳を百パーセント使うことに対して」
「それも大事だよ」
 こうトミーに言うのでした。
「絶対にね」
「覚醒剤みたいにですか」
 トミーは先生に言いました。
「ああしたことは」
「そう、覚醒剤は打つとね」
 先生も覚醒剤のお話をしました。
「一週間寝ないでね」
「それ位動けますね」
「もう身体が活性化してね」
「力が引き出される感じがしますね」
「実際に力を引き出しているよ」
 覚醒剤はというのです。
「だから覚醒って付いているんだよ」
「名前にですね」
「そう、けれどね」
「覚醒剤は無理に引き出していますね」
「使った人の身体からね」
「言うなら自分の身体を燃やしている」
「そう、そんな風だから」
 そうした力の引き出し方だというのです。
「物凄く問題なんだ」
「そうですよね」
「あれは使ったらね」
 覚醒剤はというのです。
「それだけ寿命を縮めているんだ」
「身体の力を無理に引き出させているので」
「本当に身体を燃やす感じでね」
「しかも禁断症状とか常習性が酷くて」
「あんなもの、麻薬全体がそうだけれど」
 先生は今度はこちらのお話をするのでした。 
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