ドリトル先生の競馬
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第三幕その十一
「強かったね」
「いい馬も沢山いて」
「いい騎兵も多くて」
「しかもいい将軍もいた」
「だから強かったんだね」
「そうだったんだ、最後は負けたにしても」
それでもというのです。
「当時のフランス軍はね」
「騎兵隊も強かった」
「そうだったね」
「それもかなり」
「そして今もね」
ナポレオンの頃は遠い歴史になってもというのです。
「乗馬がいいんだよね」
「やっぱり平地が多いと乗馬はいいね」
「ドイツもそうだし」
「東欧だってそうだし」
「ポーランドやハンガリーも」
「ああした国々もだね」
「あとコサックだね」
先生はロシアの騎兵隊の名前を出しました。
「あの人達も」
「ロシアも平地だしね」
「もうとんでもない広さの平原があるから」
「コサックの人達もいたね」
「馬に乗った人達がいたね」
「ただコサックは馬だけじゃないんだ」
使っていたのはというのです。
「河も移動に使っていたんだ」
「ロシアは川も多いしね」
「ボルガ川とか」
「川の移動となると」
「船だね」
「そう、船も使ってね」
そうしてというのです。
「彼等は移動していたんだ」
「馬だけじゃなくて」
「そちらもだね」
「ちゃんと使っていたんだ」
「そうなんだね」
「そうだよ、その両方を使っていたから」
それでというのです。
「かなりの移動力があったんだ」
「ううん、成程ね」
「馬に船」
「昔はその二つを使えれば完璧だったから」
「余計に機動力があったんだ」
「コサックの人達は」
「そして機動力があったから」
それ故にというのです。
「尚更強かったんだよ」
「戦いに強いだけじゃなくて」
「動きも素早かったから」
「それでなんだ」
「そうだよ、もうね」
それこそというのです。
「敵に回ったら本当に厄介だったんだ」
「そういえばドイツも警戒していたね」
「ビルマルクの頃のドイツも」
「あれだけ強かったのに」
「ロシアのコサックを警戒していたね」
「あと日本も」
皆は今自分達がいる国にも言及しました。
「そうだね」
「日露戦争の時にかなり警戒していて」
「コサック騎兵がどう動くか」
「そのことに情報を集めていたわね」
「そう、あの戦争で日本は勝ったけれど」
それでもというのです。
「コサックにはね」
「凄く気を使ったんだね」
「どう動くか、何処にいるか」
「その情報収集に熱心で」
「対策も講じていたんだね」
「それもね」
日本軍がコサック騎兵を警戒していたこともというのです。
「あの時は川は関係なかったけれどね」
「馬だね」
「馬に乗って動きが速かったから」
「だから警戒していたんだね」
「何しろナポレオンも苦しめられたんだ」
先程お話に出たこの人もというのです。
「ロシアと戦う時にね」
「そうだったね」
「神出鬼没のコサック騎兵に襲われて」
「寒さにやられて撤退する時も」
「物凄く苦労したね」
「あれはナポレオンが色々間違えたけれど」
それで失敗した戦争だったというのです、ナポレオンにとって。
「それでもね」
「あの戦争はだね」
「コサック騎兵の存在が大きかった」
「そうだったっていうんだね」
「そうだよ、昔は自転車も自動車もオートバイもなかったから」
そうした文明の利器がというのです。
「馬に乗った時の速さはね」
「本当に有り難いね」
「そうだったね」
「馬は本当に大事だったね」
「長い間ね」
実際にとです、先生は皆にお話してでした。そうしてそのうえで皆でお家に帰ってそこでも楽しい時間を過ごすのでした。
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