戦国異伝供書
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第八十七話 元服と初陣その六
「だからな」
「それで、ですか」
「早速ですか」
「郡山城に行かれて」
「そしてですか」
「そのうえで」
「毛利家の今後のことをお話したい」
こう言うのだった。
「それでな」
「それではですか」
「殿のご葬儀の後で、ですか」
「若殿とお話をされますか」
「その様にされますか」
「うむ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「色々考えたい、だがな」
「だが?」
「だがといいますと」
「一体」
「毛利家は確かに安芸で力のある国人になったが」
それでもと言うのだった、ここで。
「まだ安芸を一つにするまでではないな」
「だからですか」
「それで、ですか」
「郡山城に行かれ」
「そのうえで、ですか」
「お話する、それで父上は何故亡くなられた」
ここで松壽丸は家臣達にこのことを問うた。
「原因は何か」
「はい、それはです」
「やはり酒の様です」
「日々酒をよく飲まれていたので」」
「そのせいで、です」
「どうやら」
「やはりそうか、酒のせいか」
家臣達からその話を聞いて述べた。
「そうではないかと思っていたが」
「やはりとですか」
「そう思われていましたか」
「その様に」
「酒は過ぎると毒になるか」
松壽丸は瞑目する様にして呟いた、そしてまた言うのだった。
「そういえば兄上もな」
「はい、若殿もです」
「お好きですから」
「それで、ですな」
「松壽丸様としては」
「心配になる」
どうしてもというのだ。
「やはりな」
「左様ですな」
「では、ですな」
「若殿についても」
「酒のことが気掛かりですか」
「どうもな、そしてわしは」
松壽丸はまた言った。
「酒は慎むべきだとな」
「そう思われますか」
「その様に」
「そう思われますか」
「うむ、そしてな」
酒、それを慎んでというのだ。
「やっていこうと思う」
「これからは」
「元服されても」
「それでもですか」
「酒は慎んでな」
そしてというのだ。
「生きたい、父上のこともあり」
「若殿も」
「あの方についても」
「これからですか」
「お話したい」
酒、そのことをというのだ。
「慎まれる様にな」
「左様ですか」
「では」
「それでは」
「郡山城に行こう、義母上と共にな」
こう話してだった、そしてだった。
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