心配だった仲も
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第二章
「そうするわね」
「お母さんがなの」
「ええ、先にね」
「それじゃあね」
黒子も頷いた、そしてだった。
母はダンボール箱に近寄って中を見てから娘を連れて二人でその中を見て言った。
「猫ちゃん達がいるでしょ」
「うん、凄く小さいね」
見れば五匹いる、皆トラ猫だ。
「子猫ちゃん達ね」
「皆首輪してないから野良猫か捨て猫ね」
「うん、そうね」
「折角見付けたから」
だからだとだ、母は娘に話した。
「助けてあげないとね」
「助けてあげるの」
「野良猫にしても捨て猫にしてもこのままだと大変だから」
それでというのだ。
「この子達はちゃんとね」
「お母さんが助けてあげるの」
「ええ、まずはお家に連れて行って」
そしてというのだ。
「この子達の飼い主さん達探してあげましょう」
「うちで飼えないの?」
「ポチがいるから」
散歩をしていて上機嫌の彼を見て言う。
「だからね」
「それでなの」
「犬と猫は仲が悪いから」
「そうなの?」
「だからね」
娘に難しい顔で話した。
「うちで飼ってあげることは」
「出来ないの」
「ちょっとね」
「そうなのね」
黒子は犬だけでなく猫も好きだ、もっと言えば生きもの全般が好きになっている。それで母に猫を飼えないと言われて暗い顔になった。
だがそれでもだ、子猫達は家に連れて帰られて。
まずは病院に連れて行かれて病気等がないか診てもらってからそのうえで病院そして病院のつててボランティア団体にも連絡をしてもらい。
子猫達の里親を探してもらった、猫達は病気もなく無事に生きていて里親も次々に見付かった。だが。
一匹の雄猫だけ一ヶ月経っても残った、他の子達は十日もしないうちに里親が見付かったというのに。それで両親は話した。
「残った子はな」
「どうしようかしら」
「あのままにしておけないしな」
「そうよね」
「じゃあね」
黒子がここで言った。
「あの子もね」
「うちで引き取ってか」
「家族にしてあげるの」
「そうしよう」
こう両親に言うのだった。
「あの子がずっと飼い主さん見付からないのは」
「しかしな」
「うちにはポチがいるからね」
両親は娘の話を聞いて暗い顔になって言った。
「犬と猫は本当に仲が悪いから」
「だからな」
「ポチはとてもいい子だけれど」
「犬だからな」
「猫ちゃんを引き取っても」
「喧嘩しないかしら」
「けれどこのままだと」
黒子は両親にさらに言った。
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