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夢幻水滸伝

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第百三十一話 琉球を出てその二

「何とかすることだがや」
「そのことですか」
「こっちでも野球はじまってるにしても」
「甲子園球場も出来てます」
「起きた世界では連中はいるか」
 室生は喜久子にこのことを問うた。
「魔物とケンタッキーのおっさんは」
「いません」
 喜久子は室生に一言で答えた。
「有り難いことに」
「それは何よりだな」
「といいますか」
 喜久子はこうも言った。
「何故私達が起きた世界ではいるのか」
「逆にか」
「そのことが不思議です」
 これが喜久子の考えだった。
「私にとっては」
「阪神はそうしたチームではないのか」
「そうしたとは」
「何かが憑いている」
「そうしたチームですか」
「私も阪神ファンだから言うが」
 ファンだからこその言葉だというのだ、尚この世界でもプロ野球チームそしてプロのスポーツチームが出来てきているがあのおぞましい邪悪の権化である巨人というチームは存在すらしていない。よいことに。
「阪神には悪いものが憑いている」
「魔物とですね」
「ケンタッキーのおっさんがな」
「それは起きた世界のことで」
 それでというのだ。
「こちらの世界の阪神には無関係です」
「そうなのだな」
「あくまで起きた世界のことで」
 何か憑いていることはというのだ。
「こちらの世界では無関係です」
「というかな」
 中里も話に戻ってきた、尚彼も阪神ファンである。
「あっちの世界の阪神って不思議の負けがな」
「あるな」
「そやな」
「俗に不思議の勝ちはあるが」
「不思議の負けはないって言うな」
「そう言われるが」
 野村克也が言ったという。
「阪神にはあるな」
「阪神限定でな」
「そやな」
「不思議過ぎます」
 喜久子も言うことだった、目は海と空そしてその中にいる海豚や鳥達に向けられているが心かそちらにあった。
「常に」
「ここぞって時に凄い負け方するだがや」
 中日ファンの坂口が見てもだった。
「ノーヒットノーランとか」
「忌まわしいことです」
 喜久子は坂口のその話に険しい顔になって応えた。
「実に」
「阪神ファンにとってはだがや」
「中日に二回でしたね」
「ノーヒットノーランで勝たせてもらっただがや」
「負けています」
 それぞれの立場で話した。
「まことに」
「それとな」
 純奈は船の上でバーベキューを焼いている、そうしつつ話に加わってきた。
「日本シリーズでのネタ振りが凄かとーよ」
「ロッテとのですか」
「あれは特別たいが」
「それだけでなく」
「我がホークスともたい」
 純奈もファンのチームを出して話した。
「凄いネタを残しているたいな」
「三度してですね」
「最初はスタンカさんに二日連続完封喰らってたい」 
 まだホークスの親会社が南海で本拠地も大阪にあった時だ。
「二度目は甲子園で負けてたい」
「三度目はですね」
「抗議の横で胴上げたい」
「どれも凄いですね」
「普通ここまでネタを提供することはなかと」
 それこそと言う純奈だった。 
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