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レーヴァティン

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第百五十話 北進その五

「降った諸勢力の兵も入れて」
「見事な大軍だな、けれどな」
「大軍を以てしても」
「あの街はそう簡単には攻め落とせないな」 
 その護りを見て確信した、それでは無理だと。
「ここはやっぱりな」
「知恵でござるな」
「それを使うか、あの街も弱点がある筈だ」
「その弱点を見出して」
「そこから攻めるか」
「そうするでござるな」
「じゃあ街を囲んでな」 
 まずはそれからだった。
「そのうえで軍議を開くな」
「そこで考えるでござるな」
「ああ、そうして攻めるかをな」
 それをというのだ、こう話してだった。
 久志は実際にビザンチウムを囲むそのうえで軍議を開いた、だがここで彼は難しい顔でこう言った。
「この軍議まで色々考えたけれどな」
「それでもなのね」
「これといった考えがな」
 いい攻め方がというのだ。
「考えつかなかったぜ」
「そうだったのね」
「ああ」
 清音に対して答えた。
「これといってな」
「そうなのね」
「それでそっちはどうだ?」
「私もよ、地下道を掘って攻めようにも」
「あの堀だからな」 
 三重の城壁と城壁の間にそれぞれあるそれの話をした。
「すげえ深さだな」
「そして広いわね」
「あんな堀だとな」
 それこそというのだ。
「地下道を掘ってもな」
「相当深く掘ってもね」
「あの堀にあたるな」
「それでばれるわ」
 穴を掘っても堀に出てしまってだ。
「すぐにね」
「そうだろうな、あの堀は」
「もうね」
 清音はさらに言った。
「あの街はね」
「そうおいそれとはか」
「攻め落とせないことは事実よ」
「そのこと痛感するな」
 街をあらためて見て色々話してだ、久志も思った。
「本当にな」
「そうよね、けれど絶対はないから」
「ああ、だからな」
「攻め落とすわね」
「そうするな、しかもな」
 久志はここで言い加えた、その言い加えた言葉はというと。
「出来るだけな」
「損害を出さない」
「そうするな、戦はこれで終わりじゃないしな」
「損害が出るとね」
「色々とまずいからな」
 それでというのだ。
「ここはな」
「出来るだけ損害を出さない」
「幾ら死んだ人間を復活させられても損害は損害だからな」
 このことは変わりがないからだとだ、久志は清音に話した。そこにはこれ以上はないまでの決意があった。
「だからな」
「それでよね」
「損害は出さずにな」
 そうしてというのだ。
「戦うな」
「ええ、じゃあね」
「知略を使っていくか」
「それがいいわね」
「それじゃあな」
「そうしましょう」
 二人で話してだ、そのうえでだった。 
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