ロックマンゼロ~救世主達~
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if コピーエックス戦
ルインはゼロにエックスを任せて自分がコピーエックスの元に向かっていた。
途中のトラップや敵を何とか蹴散らしながらシャッターを抉じ開けて玉座の間に入ると、そこには玉座に座りながら待っていたコピーエックスがルインの侵入に気付くと不敵な笑みを浮かべた。
自分の知るエックスならば絶対に浮かべないであろう、傲慢な表情である。
「来たネ…ルイン。ゼロがこコにいないのは残念だケど、君は自分が何をシていルか分かってイるのかい?テロリストの味方だよ…?かつて正義のイレギュラーハンターであり、特A級ハンターである君が悪の軍団の手助けをしていルんだヨ?」
「ふーん、私達が悪者軍団で君達が正義の味方軍団ってわけ?」
エックスと同じ顔をしながら正反対な性格。
冷ややかに玉座に座るコピーエックスを見上げながら言うとコピーエックスは笑みを深めながら立ち上がった。
「その通りダよルイン、僕達ネオ・アルカディアは人間達からの圧倒的な支持を受けている……。テロリストを倒すことは、彼ら人間…みんなの夢なんだよ」
「無実のレプリロイドをイレギュラー化やエネルギー不足を理由に大量に処理して得た支持ね…偽りの平和に飼い慣らされた脱け殻のような人間の望む正義に…一体何の価値があるというの?人間は本当にそんなことをしてまで守らなきゃいけないくらいにか弱い存在だと思ってるの?」
イレギュラー化を恐れる人間の気持ちは分かる。
エネルギー不足によって不安定になる生活への不安も。
しかし本当に人間が何も出来ないのかと言われれば疑問が次々と湧いてくる。
何せ、この世界でレプリロイドなどのエネルギー源であるエネルゲン水晶が発見されるまでは自然のエネルギー…太陽光、地熱、風力、水力などを利用してささやかな生活を営んでいたのは紛れもなく人間の知恵だからだ。
特にエックス達は太陽光もエネルギー源にしていたのだから自然のエネルギーを利用することも不可能ではないのだ。
「フフフ…君は本当に愉快ナ人だね…人間がか弱い存在なのは当たり前サ…そして人間達の言葉の価値なんてどうでもイいんダよ…ネオ・アルカディアのやっテいることは正しい…。その正義の証明になればそれでいイのさ。さて、僕もそろそろ仕事をするかな」
コピーエックスが両腕を交差させ、一気に広げると凄まじいエネルギーが解放された。
白を基調とした天使を思わせるコピーエックスの強化アーマー、アルテミットアーマーを装着して腕をXバスターへと変形させる。
「白いアーマーは何となくエックスの強化アーマーって感じだけど羽とか本当に天使気取りなんだね」
「僕は全知全能の存在、このアルテミットアーマーもこの僕に相応しいように造られた物。この僕自らの手で処分してもらえるなんて光栄なことだと思わないかい?」
「いや、少なくても君に処分されたくはないかな」
コピーエックスの言葉を一蹴すると、ルインはZXバスターを構えてチャージする。
「フフフ…その傲慢ナ態度、後悔すルといい!!」
コピーエックスがバスターのチャージを終えるのと同時にルインもバスターのチャージが終わり、同時にチャージショットを放った。
チャージショットの威力はほぼ互角で、コピーエックスは足にエネルギーを纏わせてのスライディングで距離を詰めながら攻撃してくる。
ルインはHXアーマーに換装してエアダッシュでコピーエックスの真上を通り過ぎる。
「僕の真上を通るなんて…不敬ダね」
「どうでもいいね」
空へ逃げるルインにコピーエックスも飛翔する。
互いに空戦を繰り広げるが、ルインがダブルセイバーで突撃する。
「ノヴァストライク!!」
バスターを前方に構え、エネルギーの膜を張りながらルインに突撃するコピーエックス。
互いに激突すると弾かれる。
「フフフ、四天王は僕ノ力を持っタ者でもあるんだ。君の力なんて通用しないヨ」
「四天王達はオリジナルのエックスの力を受け継いでるんでしょ。君じゃない」
今度はFXアーマーに換装してナックルバスターを構えるルインに対してコピーエックスも属性を変えて迎え撃つ。
「今度ハ…ファーブニルと似たような姿カ…あんな能無し達の力なんて役に立たないだろうニね」
それを聞いたルインの表情が無くなった。
「どういう意味?」
「言った通りダよ。度重なるレジスタンスの反乱ヲ許し…遂にはダークエルフまデも逃がしタ…それを能無しと言わズに何と言うんだい?」
「…君がいなくなった後に誰がネオ・アルカディアを支えたと思っているの?」
「さアね」
「四天王のみんなが君を支えたからこそ君の極端な政策を維持出来たのに?」
「彼らは僕の部下、そレは当然ダよ」
ナックルバスターから放たれるショットをコピーエックスは電気属性を弾を連射して相殺していく。
LXアーマーに換装してハルバードで斬り裂こうとするが、コピーエックスは炎属性となり、火炎放射をバスターから放つとルインから距離を取った。
「ハルピュイアは今、レジスタンスベースで治療を受けてる。居住区を滅茶苦茶にしたオメガに挑んで…」
「それで?」
「…それだけ?今まで君を支えてきたハルピュイアが大怪我したのに…それしかないの?」
「ハルピュイア達四天王は幹部の座ヲ下ろした。僕にはもう関係ナい」
「それ…本気で言ってる?冗談でも言って良いことと悪いことがあるよ」
表情が怒りに染まっていくルインを馬鹿にするようにコピーエックスは笑った。
「フン…あれだけの失態をしたのニ、処分しなかっただけ良いだロう?本来なら役立たずとしテ処分されてもおかしくなかったんだ。でもまだ気象操作用の端末やイレギュラー掃討兵器としての利用価値が…」
「………君、人の気持ちをなんだと思ってるの…!?君みたいな人のために尽くしてきたハルピュイア達をそんな風に…私はもう許さない…!他人を傷つけてばかりで他人を思いやろうとする気持ちがない君がエックスになれるはずがない!!」
PXアーマーに換装してコピーエックスにダッシュで突撃するルイン。
「無礼者、僕を誰だと思ってルんだ!!」
コピーエックスは炎属性から無属性に変えてチャージショットを放つが、それはルインを擦り付けた。
「誰?他人の心を知ろうとしない馬鹿な子供だよ!!」
即座にZXアーマーに換装したルインは背後からの回転斬りからの三連擊を浴びせた。
「うわっ!?」
背中に痛々しい傷が複数刻まれ、コピーエックスの表情は屈辱で歪んだ。
「ここからは一切の手加減抜き、さっさと終わらせようか。君にエックスを名乗らせたままなんてオリジナルのエックスが可哀想だしね」
「馬鹿にスるな!!アイスショット!!」
属性を氷属性に変えて怒りのままバスターを構えてショットを発射するコピーエックス。
ルインはそれをかわすが、壁にぶつかった瞬間に破片が飛び散る。
「(ショットガンアイスに似たような攻撃…でもかわせないわけじゃない!!)」
FXアーマーの炎で氷を溶かし、そして距離を詰めてのメガトンクラッシュ。
「がはっ!?」
パンチと炎を同時に喰らったコピーエックスが吹き飛ぶと、ルインはHXアーマーに換装し、コピーエックスを羽交い締めにして大きく上昇。
「コピーエックス、君は絶叫系マシンに乗ったことないよね?」
「な、何をスるツもりだっ!?」
「こうするんだよっ!!」
かつてのエルピスにしたように羽交い締めにしたコピーエックスを地面に叩き付ける。
「が…っ!?」
「本気出しただけでこのザマなの?ゼロが言っていたように似てるのは見てくれだけで実力はオリジナルのエックスには遠く及ばないね」
「僕を侮辱するナ!もう許さんっ!!」
レイジングエクスチャージで一気に回復すると、属性を電気に変えてバスターを構えた。
「プライドだけは高いね本当」
「エレキショット!!」
再びPXアーマーに換装してシャドウダッシュでかわしながら背後を取り、喉元に右腕に発現させた十字手裏剣の光刃を翳した。
「はい、これで一回死んだよ…あ、さっきの回復がなかったら二回目かな?」
「っ!黙レ!!」
振り返り様にショットを放つがLXアーマーに換装してハルバードの穂先を支えにして体を真上に上げる。
そのまま回転斬りの要領でコピーエックスの肩を深く斬り裂いた。
「武器はこういう応用も含めて使いこなさないとね」
「グウウ…」
「最後はこれだよ」
HXアーマーに換装してダブルセイバーを構えてゆっくりとコピーエックスに近付くルイン。
「く…僕が負ケるはズが…僕は…英雄なンだ…!!」
「まあ、君なりに努力していたのは認めてあげる。比べる相手もエックスじゃね…ただ一番許せないのはハルピュイア達を侮辱したことだよ。あの子達は私とエックスの子供、子供を侮辱されて怒らない親がどこにいるの?私がハルピュイア達の代わりに躾してあげるよ」
「黙れ!リフレクトレーザー!!」
「ダブルプラズマサイクロン!!」
コピーエックスのバスターから反射レーザーが発射されたが、瞳に怒りを宿した状態でダブルセイバーを振るうと、レーザーは掻き消され、コピーエックスは二つの電磁竜巻をまともに受けてコピーエックスは地面に倒れ伏した。
「そ、ソんな…馬鹿な…」
四天王の頂点に立つ自分が四天王の能力の劣化に負けたことにコピーエックスは信じられない表情を浮かべた。
「どうかな?自分の実力が分かったかな?」
「くソっ…何故だ…!僕は…僕は正義の英雄なんダぞ…!!」
コピーエックスは信じられないと言いたげな目でルインを見た。
あの時、一年前にエリアXでゼロと戦った時とは比べ物にならないほどの力を手に入れた。
今度こそ自分がゼロに勝ち、本物の英雄に、オリジナルエックス以上になれるはずだったのにゼロではなく四天王の劣化版の力を使うルインに完膚無きまでに叩きのめされた。
「違うね、君は英雄なんかじゃない。ましてや全知全能の存在でもない」
コピーエックスが顔を上げると、冷たい目で自分を見下ろすルインの姿があった。
「何も出来ない、何も知らない。エックスの姿と地位と力を使ってるだけのただのお子様だよ。」
「黙れ…っ!」
「本当に無知で可哀想な子……人の優しさを与えることも受け入れることも全く知らないなんて…私は君に同情する」
「黙レッ!!!バイル!Dr.バイル!オメガを…オメガを出セ!!コイツを捻り潰セーッ!!」
ルインに肉体的にも精神的にも追い詰められたコピーエックスはヒステリックに叫んだが、バイルはコピーエックスの声に応えなかった。
「彼はもう…ここにはいないよ」
「オメガを連れて…ここから出て行ったからな」
玉座の間に現れたのはエックスとゼロであった。
コピーエックスはエックスを見ると目を見開いた。
「な…何だ、お前ハ!?」
「エックス…!!」
ルインがそう言うのを聞いて、コピーエックスは目を見開く。
「…エックスだと…!?お前が…僕の基にナったオリジナルのエックス…!?」
「バイルは…この本部を捨て、別の所に移ったよ。オメガを連れてね……。君はバイルに利用されていただけなんだよ…」
「皮肉だな、ハルピュイア達を切り捨てたお前が逆に切り捨てられるとはな」
エックスの憐れみの言葉とゼロの皮肉にコピーエックスの表情が激しい怒りと憎悪に歪んだ。
「ギ…ギギッ…どいツも…こイつも…僕を馬鹿にしやがッテ…!!」
コピーエックスの怒りの凄まじさを表すかのように、その声に酷いノイズが混じる。
「許サナイ…許サないぞ…!僕の…本当の力を…見せテやル…!!」
コピーエックスはふわっと宙に浮かび上がり、両腕を自分の前に翳して力を集中させ始めた。
一年前のゼロとの最終決戦に見せたシャイニングトランスフォームを発動しようとしているのだ。
「ハああああああアあっ!!」
コピーエックスの全身が白く光り始め、更なる戦闘形態であるエンジェルエックスへと姿を変えようとした途端、エックスが叫んだ。
「いけない!バイルは君の体に罠を!!」
コピーエックスが自分の体の異変に気づいたのはその時だった。
「ギ…ガガ…!?カ…体が…痺れ…グガガッ…アアアアアアーーーッ!!!」
コピーエックスの全身から様々な色の膨大なエネルギーが溢れ出し、今までと桁違いの力がコピーエックスを中心として辺りに充満する。
だが、それは今の傷ついたコピーエックスの体には耐え切れないほどの膨大な力であり、断末魔の叫び声を上げながらコピーエックスは爆散した。
ゼロはエックスとルインを庇うようにして床に伏せた。
エックスの代わりとして生み出され、無実のレプリロイドを弾圧、一度は倒され、そして最後にはバイルの都合のいい傀儡となり、自爆同然の死を迎えたコピーエックスの哀れな最期だった。
後書き
コピーエックスMkーⅡ戦のif
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