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戦国異伝供書

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第八十三話 和睦の間にその十三

「四国を統一してな」
「上洛ですな」
「摂津を通っても」
「その様にされますな」
「必ずな、しかしな」
 ここで元親はどうかという顔になり述べた。
「わしはそう思っていても織田殿はどうか」
「あの御仁ですか」
「あの御仁ならどうされるか」
「本願寺に対して」
「そこがな」
 どうにもというのだ。
「気になる、ただ織田殿もな」
「あの方もですか」
「本願寺に自ら向かわれぬ」
「そうされますか」
「進んで火種に油を注がれる方ではないと思う」
 信長もというのだ。
「愚かな方ではないからな、むしろな」
「聡明な方ですな」
「それも非常に」
「左様ですな」
「だからな」 
 それだけにというのだ。
「本願寺はあのままの力を持ったままであろうし」
「どの家もですな」
「本願寺とはぶつからず」
「戦にもなりませぬか」
「そう思う」
 元親は弟達に考える顔で述べた。
「あの寺についてはな、まあ当家もな」
「あの家とは揉めず」
「そうしてですな」
「ことを進めていきますな」
「その様にしていくとしよう」
 こう話してだった。
 元親は自家の力を蓄えると共にそうして安芸家のことも調べ一条家本家と連絡も取りつつであった。
 安芸家との和睦の時が終わるのを待っていた、それが戦を行う時であるとわかっているからこそその時に備えるのだった。


第八十三話   完


                 2020・1・23 
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