ヘタリア大帝国
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TURN36 タイの提案その十一
シャルロットは双方にだ。天真爛漫そのものの笑顔で言うのだった。
「さあさあ皆さん、ご馳走にワインも楽しまれて」
そうしてだというのだ。
「踊って下さいね」
「まあお互いに手を取り合ってな」
フランスもシャルロットの横で言う。
「楽しくやろうぜ」
「皆さん、今宵は無礼講ということで」
「賑やかにやろうね」
フランス妹とセーシェルもシャルロットの横にいた。そこから双方に声をかける。
「楽しく過ごしましょう」
「飲んで食べてね」
「祖国殿がそう仰るのなら」
「それでいいけれどな」
お互いの祖国に言われてはだ。彼等もだった。
頷くことにしてそのうえでだ。お互いに手を取ってだ。
舞踏をはじめた。シャルロットはそれを見て目を細めさせていた。
そのシャルロットも見てだ。フランスは微妙な顔になって首を捻りながらだ。妹にこう囁いた。
「これどうだろうな」
「成功かどうかですか」
「ああ、微妙な空気だよな」
「はい、確かに」
フランス妹もそのことは感じ取っていた。それで言うのだった。
「この状況は」
「正直な。俺も最初に王女さんの提案を聞いた時にはな」
「私もです」
「驚いたよな」
「何かと思いました」
二人はそれぞれ言う。
「実際オフランスはこの星域とセーシェルのことは植民地にしか思っていません」
「ああ、そうなんだよな」
「そして現地の方々もです」
そのアライグマそっくりの彼等もだというのだ。
「オフランスには反抗心を持っていますので」
「だよな。だからな」
「こうしたことをしてもです」
「何の意味もないと思うんだけれどな」
「しかしシャルロットさんはあえて行われました」
現地の者達も招いた舞踏会を開いたというのだ。
「驚かないでいられません」
「だよな。どうなんだろうな」
「溝が確かにあります」
見てわかるまでにだ。それが確かにあった。
「しかしそれに気付いておられるのかいないのか」
「無意識でも気付いてるだろ」
シャルロットでもだ。そうだというんだ。
「けれどそれでもな」
「こうしてあえてですか」
「舞踏会を開くっていうのはな。確かに凄いな」
「いい意味でのお言葉ですね」
「ああ、そうだよ」
その通りだとだ。フランスは妹の問いに答えた。
「大人物であるのは確かだな」
「誰であろうと公平に接されますし」
「ただ筋がいいだけじゃないな」
統治者として、軍の指揮官としてだというのだ。
「まあ。最初はこんなもんか」
「双方の間もまた」
「ああ、また開いて今もな」
「今のこの舞踏会もですね」
「ここでも一緒に踊るか」
フランスがこう言うとだ。既にだった。
シャルロットはビルメを取っていた。ビルメはその彼女を見ながら問うた。
「何のつもりだい?」
「はい、今からご一緒に」
「あたしと一緒に踊るってのかい?」
「お嫌ですか?」
「いいのかい?あたしはここの人間だよ」
オフランスの者ではなくだ。植民地の人間だというのだ。
「種族も違うんだよ」
「それがどうかしたのですか?」
シャルロットは無邪気な笑みでだ。ビルメに返した。
「何かあるのですか?」
「いや、そう言われるとね」
ビルメもこの返事には止まった。それでだ。
少し呼吸を置いてからだ。こう言ったのである。
「別にね」
「では今から」
「こうした踊りは知らないけれどいいんだね」
「はい、私の動きに合わせて頂ければ」
「そこまで言ってくれるのならいいけれどね」
ビルメも受けることにした。シャルロットの誘いを。
それでだ。シャルロットと共にだ。
二人で踊りはじめる。オフランスではかつてなかった舞踏会が開かれていた。シャルロットは無自覚のうちに大きなことをはじめていた。
TURN36 完
2012・7・7
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