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ヘタリア大帝国

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TURN36 タイの提案その九

「今のうちに戦力を立て直したいですが」
「先の本土防衛で相当な戦力を失ったのが痛いわね」
「しかも北アフリカにその太平洋に」
 戦力を振り向けないといけない。セーラにとってはまさに頭痛の種だった。
「本来なら戦力をエイリス本土に集めてオフランス方面から攻勢を仕掛けたいのですが」
「したいけれどできる状況じゃないのよね」
「はい、全く以て」
 その通りだった。
「それはとても」
「戦力が足りないわ」
 何につけてもだった。
「これではどうにもならないわ」
「今は動けないです」 
 セーラは項垂れた顔だった。
「ネルソンに期待するしかありません」
「俺も行ってるからな」
 イギリスはセーラを励ます様にしてセーラに述べた。
「それで絶対に勝ってくるからな」
「どうか日本を止めて下さい」
「ああ、それにしてもガメリカと中帝国はな」
 どうなのかとだ。イギリスは苦い顔で述べた。
「同盟を組んでいてもな」
「敵ですね」
「援助もしてこねえしな」
 ただだ。エイリス単独で戦っているのだ。それが欧州戦線の今の状況である。
「俺達が衰退するのを待ってるんだよ」
「このまま世界帝国の座から降りることを」
「奴等は望んでるな」
「間違いなくそうですね」
「そんなことさせるかよ」
 イギリスにも意地がある。それ故の発言だった。
「絶対にな。だからな」
「はい、お願いしますね」
「日本と俺とネルソンさんで止める」
 イギリスは強い声で言い切った。
「そうしてこの戦争を乗り切るからな」
「では私もです」
 まだ傷が残る身体でだ。セーラは言った。
「何があろうともこの本土を守りますので」
「僕もだよ」
「私もいます」
「当然私もね」
 マリーにイギリス妹、エルザも言ってきた。
「だからね。皆で力を合わせてね」
「この国難を乗り越えましょう」
「例え何があろうともね」
「そうですね。どれだけ辛くとも」
 セーラは顔をあげた。そのうえで緑の目に確かな光を宿らせて言った。
「エイリスは生き残ります。では」
「今から軍の視察よね」
「それに向かいます。ロレンスはそこにいますね」
「うん、港で全体の管轄にあたってるよ」
 だからここにはいなかった。マリーがそのことを説明する。
「頑張ってるよ、ロレンスもね」
「ほぼ不眠不休です」 
 イギリス妹がこのことを話す。
「それが問題です」
「セーラちゃんもよ」
 エルザは上の娘でもあるセーラにここで言った。
「怪我もまだ残ってるのね」
「休んでいないというのですか?」
「そうよ、あの戦いの前から。開戦の時から」
 まさにだ。その時からだった。
「全然休んでないでしょ」
「そんな状況ではないですから」
 それでだというのだ。セーラは。
「女王である私がまず動かないと」
「だから。セーラちゃんは真面目過ぎるのよ」
 これはその通りだった。
 
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