英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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外伝~北の再会~後篇
同日、PM12:15――――――
~ノーザン間道~
一方その頃ラマールで”特異点”を捜索していたトワ達が出会った金髪の女性――――――ルーシー・セイランドともう一人の女性――――――カノーネ・アマルティアはある人物と共にリムジンに乗ってレミフェリア方面へと向かっていた。
「……どうやらハリアスクからの離脱は無事成功したようですね。」
「ああ……とはいってもここはまだノーザンブリアの領土だ。レミフェリアの領土に入るまでは警戒を怠らないように注意してくれ。」
リムジンを運転しながら呟いたカノーネにカノーネの上司にしてカノーネが務めている民間調査会社――――――”R&リサーチ”の所長であるアラン・リシャールはカノーネに忠告した。
「ふふっ、そのくらいの事はわかっていますわ、所長。」
「………お二人とも申し訳ございませんでした……ラマールでレン皇女から近日中に起こることは警告されていたにも関わらずノーザンブリアの状況をもう少し確かめたいという私の希望を聞いて頂いたばかりに、メンフィル帝国軍によるノーザンブリア侵攻に巻き込んでしまって……」
「いえ、ノーザンブリアと領土を接しているレミフェリア(そちら)としては当然のことですし、メンフィル帝国軍の侵攻予想を読み違えてノーザンブリアに残る事を決めた我々にも否がありますから、どうかお気になさらないでください。」
ルーシーの謝罪に対してリシャールは謙遜した様子で答えた。
「……それにしても、エレボニア帝国との戦争の最中で、それも”焦土作戦”による被害を受けたクロイツェン州の復興をしている状況であるにも関わらずこうも速くノーザンブリアに侵攻した事を考えると、メンフィルは”ユミル襲撃”の件で私達の予想以上にノーザンブリアに対する”怒り”を抱いていたようですね。」
「それもあるだろうが、ノーザンブリアを抑える事ができればノーザンブリアをジュライ、ラマールへと侵攻する為の拠点にすることもできるからね。メンフィル帝国軍と共にヴァイスラント新生軍もノーザンブリア侵攻に協力しているのはそのあたりが関係しているかもしれ―――正面だ、カノーネ君!」
「!!」
カノーネの推測に更なる補足をしかけたリシャールだったが正面に北の猟兵達が銃を構えて自分たちが乗っているリムジンを狙っている事に気づくと表情を引き締めて警告し、リシャールの警告を聞いたカノーネは表情を引き締めてハンドルを強く握った。そして猟兵達はリムジンのタイヤを狙って銃撃したがリムジンはは左右に移動して銃弾を上手く回避して猟兵達を突破したが
「へえ?中々やるじゃねぇか。だが――――――”そこまでだ。”――――――ゼクトール!!」
「応!!」
その様子を見晴らしのいい場所で見ていたルトガーは猟兵達を突破したリムジンに感心した後ゼクトールを呼び寄せてゼクトールの中に入るとゼクトールは跳躍してリムジンの行く先を防ぐ位置に着地し
「そらあっ!!」
ゼクトールは自身の得物を地面に叩きつけて衝撃波を発生させ、衝撃波を受けたリムジンは吹き飛ばされつつも急ブレーキで必死に耐えた事でひっくり返る事がなくストップした。
「くっ……あの”騎士”はまさか…………」
「ああ……”騎神”とやらだろうな。」
「あれが……でも、どうしてあれ程の存在がこんな所に……」
リムジンから出てきたカノーネとリシャールは厳しい表情でゼクトールを睨み、ルーシーは不安そうな表情を浮かべた。
「フッ、団長に狙われたのが運の尽きだったな。」
するとその時ゼクトールの背後からレオニダスが北の猟兵達を率いて現れてリシャール達と対峙し
「!あの男は確か……!」
「”西風の旅団”の連隊長――――――”破壊獣”レオニダスか。そしてそちらの紫の”騎士”の中にいる人物は3年前”リベールの異変”でロレントを襲撃した際メンフィル帝国軍による迎撃で戦死したはずの”猟兵王”ルトガー・クラウゼルでよかったかな?」
「クク、さすが”それぞれの祖国”の為にエレボニアで情報収集をしていただけはあるねぇ。」
レオニダスを見て真剣な表情を浮かべたカノーネの言葉に続くようにレオニダスの正体を口にしたリシャールはゼクトールに視線を向けて問いかけ、リシャールの問いかけに対して不敵な笑みを浮かべたルトガーはリシャール達を見下ろしていた。
「やはり私達の事を知った上での襲撃だったようですね。」
「ああ……――――――それで、ゼムリア大陸にその名を轟かせる二大猟兵団の片翼が何の為に我々を襲撃――――――いや、何故君達が”北の猟兵”達と協力して我々を襲撃した?猟兵としての稼ぎを故郷の仕送りをしている北の猟兵達やノーザンブリア自治州政府に君達程の最高ランクの猟兵団を雇えるような報酬は支払えないと思うのだが?」
ルトガーの指摘に対してそれぞれ血相を変えたカノーネの推測に頷いたリシャールは厳しい表情でゼクトールの中にいるルトガーに問いかけた。
「クク、今回の件は”仕事”じゃなく”西風”を立ち上げた際に色々と世話になった”大佐”への義理を果たす為さ。」
「”大佐”……?」
「………猟兵王が言っている人物は恐らくは猟兵団”北の猟兵”を立ち上げた元ノーザンブリア公国軍所属のバレスタイン大佐の事かと。」
ルトガーの話を聞いて眉を顰めたルーシーの疑問にリシャールが答えた。
「そうだ。そしてお前達も知っての通り、ノーザンブリアは今メンフィル帝国軍の侵攻によって滅びようとしている。侵攻の前のメンフィルによる自治州政府に対しての”命令”や市民達には一切手を出さずに猟兵達を虐殺し続けている事を考えると、恐らく奴等の真の狙いは”ノーザンブリアの占領ではなく北の猟兵という存在を皆殺しにする事だ。”」
「そんで”大佐”に世話になった西風の旅団はそんな”結末”には納得いかなくてな。せめて若い連中だけでも生き延びさせようと思って、”報酬”も無しで北の猟兵に手を貸しているのさ。」
リシャールの説明に頷いて説明を続けたレオニダスの後に答えたルトガーはゼクトールを操作してゼクトールの得物をリシャール達につきつけ、更にリシャール達の背後からはリムジンを襲撃した北の猟兵達が現れてリシャール達を包囲した!
「そちらの金髪のお嬢さんはレミフェリアの大公閣下の親戚である事はわかっているぜ。ハリアスクから脱出する北の猟兵の為に少しの間だけ、人質になってもらうぜ。」
「な…………何故”北の猟兵”達がハリアスクから脱出する為に私を……」
「………恐らくはルーシーさんを人質にして大公閣下に”北の猟兵”達の保護――――――いえ、レミフェリアの領土に”密入国”してくる北の猟兵達を見逃すような交渉をするつもりかと。」
「敗残兵を追撃する為とはいえ今は中立を保っているレミフェリアの領土にレミフェリアの許可もなく足を踏み入れれば、レミフェリアとの外交問題に発展するからな……幾らメンフィルと言えど、”例の件”もあるからそこまでの無茶はできないだろうな。」
ルトガーの話を聞いて一瞬絶句した後困惑しているルーシーにカノーネとリシャールはそれぞれの武装を構えて周囲を警戒しながらそれぞれの推測をルーシーに伝えた。
「!!そういう事ですか…………――――――申し訳ございませんが、例え私を人質にした所で大公閣下は北の猟兵達――――――いえ、猟兵達のレミフェリアへの入国並びに活動は許しません。レミフェリアは過去猟兵達によってバイオテロを起こされ、それによって多くの被害を受けた事でリベール同様猟兵の雇用、入国を堅く禁じ続けています。」
「ああ、ニーズヘッグの連中による”あの件”か…………――――――なにも北の猟兵の面倒を見てくれとは言わないさ。ただ、一時的な”避難場所”にしてくれってだけの話だ。レミフェリアに逃げ込んだ後は猟兵を止めて自由に生きるなり、メンフィルへの復讐の機会を待つなり好きにしろとは言ってあるが、レミフェリアで猟兵としての活動をすることやレミフェリアの連中から略奪する事は絶対にしない事は約束してもらっているぜ。それでも俺達を信用できないのかい?」
二人の推測を聞いて血相を変えたルーシーは厳しい表情でゼクトールを睨んで答え、ルーシーの話に心当たりがあるルトガーはニーズヘッグの猟兵達を思い浮かべて呟いた後口元に笑みを浮かべて話を続けた。
「北の猟兵もそうだけど、貴方も”猟兵”なのですからその時点で信用できません。」
「やれやれ…………取り付く島もねぇな。仕方ねぇ、ここからは”力づく”でいかせてもらうぜ――――――」
ルーシーの頑なな意思に苦笑したルトガーが表情を引き締めてリシャール達に襲い掛かろうとしたその時
「うふふ、純情可憐な女の子を”力づく”で自分の思い通りにするなんて、純情可憐な女の子の味方の私が許すと思って?すごい――――――ねこパンチ!!」
「何!?――――――ガッ!?」
「団長!?――――――!あの女はカレル離宮で”灰色の騎士”が呼んだ……!」
何とベルフェゴールが転位魔術でゼクトールのヘッドの真正面に現れた後一瞬で拳に闘気を凝縮させた後それをゼクトールのヘッドに叩き込んだ。”魔神”であるベルフェゴールが放つ事によって可愛らしい名前とは裏腹に装甲をも容易に破壊できるその一撃は騎神であるゼクトールにすらも強烈な衝撃を与えてゼクトールを地面に倒れさせ、それを見て驚いたレオニダスが上空にいるベルフェゴールに気づくと表情を厳しくした。
「星の裁きを受けなさい!慈悲神アイドスよ、邪悪なる者達に星の裁きを!煌めけ――――――セラフィムハ―ツ!!」
「ぐ……っ!?」
「ががっ!?」
そこに凄まじい速さによる飛行でリシャール達の上空に現れたユリーシャが自身の翼から無数の星の光を降り注がせてリシャール達の背後にいる猟兵達を怯ませ
「闇よ、全てを切り裂け――――――斬闇!!」
更に猟兵達の背後に走りながら現れたメサイアが暗黒の力を込めた薙ぎ払いで追撃し
「――――――ハッ!星光――――――円舞剣!!」
「ぐ……っ!?」
そしてメサイアの背後から凄まじい速さで助走をつけて跳躍したアイドスがリシャール達の傍に着地すると同時に星の力を宿した回転斬りを高速で放ち、アイドスが放った高速回転斬りを受けたレオニダスは周囲の猟兵達と共に吹き飛ばされた!
「あ、貴女達は一体……」
「なっ!?何故エステル君に宿ったはずの貴女が生きてこの世界に……!?」
「所長……?」
ベルフェゴール達の登場にルーシーが困惑している中自分達の傍に着地したアイドスの容姿を近くで見た事で自身がかつて”影の国”で出会った当時のサティアの容姿とアイドスの容姿が瓜二つであることに気づいて驚いているリシャールの様子に気づいたカノーネは戸惑っていた。するとその時イングリット隊に包囲されているリシャール達の近くまで送ってもらったリィン達が現れてリシャール達を庇うような位置でそれぞれの武装を構えて周囲を警戒していた。
「ふふっ、何とか間に合ったようですわね。」
「ミルディーヌ公女……!?それにどうしてメンフィル帝国軍が……!」
「フム…………とりあえず君達は今の私達にとっての”味方”と判断していいのかね、エリゼ君?」
ミュゼに視線を向けられたルーシーが驚いている中、真剣な表情で考え込みながら即座にリィン達が駆け付けた理由等を推測したリシャールはエリゼに確認した。
「はい、そう判断してもらってよいかと。」
「姉様はそちらの男性とお知り合いのようですが、そちらの男性とはどのような経緯で知り合われたのでしょうか……?」
リシャールの疑問に答えたエリゼの様子を不思議に思ったエリスは自身の疑問をエリゼに訊ね
「そちらの男性はリベール王国で民間調査会社の所長にしてカシウス中将閣下自らが認められたカシウス中将閣下の後継者であられうアラン・リシャール所長よ。」
「なっ!?”カシウス”という事はそちらの男性が兄上の話にも出てきたかの”剣聖の後継者”なのですか……!?」
「まあ…………という事は貴方がオリヴァルトお兄様やミュラーさんが”影の国”でお世話になったリシャール大佐だったのですか……」
「……情報局のデータでも見た覚えがあります。――――――元王国軍旧情報部所属アラン・リシャール大佐。3年前の”リベールの異変”の半年前に起こったリベールのクーデターの首謀者で、クーデター阻止後は特務兵達と共に逮捕されて服役していましたが王都への護送中に国内全体が”導力停止現象”に陥っている状況で王都が結社に襲撃されるという出来事に偶然巻き込まれ、窮地に陥っていた王都の市民、王国軍を護送されていた特務兵達と共に救援、更には結社を王国軍と共に王都から撃退した事による功績でアリシア女王直々から恩赦が降り、その後は軍から退いて民間調査会社”R&リサーチ”を立ち上げたとの事です。ちなみに情報局によるリシャール大佐の潜在的危険度評価は最高ランクの”S”であるカシウス・ブライトに次ぐ”A+”だったと記憶しています。」
「え、えっと………最後のその情報局の評価を本人の目の前で言うのはさすがにどうかと思いますわよ……?」
エリゼの説明を聞いたクルトが驚き、アルフィンが目を丸くしてリシャールを見つめている中静かな表情でリシャールの情報を口にしたアルティナの様子にリィン達に加えてリシャール達も冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、我に返ったセレーネは苦笑しながらアルティナに指摘した。
「なるほど……という事は貴方がカシウス師兄と共に今のエリゼへと鍛えて頂いたエリゼにとっての”恩師”に当たる人物の一人でしたか。――――――名乗るのが遅れて失礼しました。自分はメンフィル帝国軍リフィア皇女親衛隊の部隊長の一人であるリィン・シュバルツァー大佐です。今は任務遂行中の為、武装展開中での挨拶になるという無礼をお許しください。」
「!貴方があの……」
「”灰色の騎士”…………まさかこのような形で邂逅する事になるとは想定外でしたわね。」
「フフ、これも空の女神による運命の悪戯かもしれないね。――――――私達への気遣いは無用だ。それよりも早速”本題”に入らせてもらうが……今の状況の私達に君達が駆け付けた事を考えると、”上”からの指示――――――今回のメンフィル帝国軍によるハリアスク侵攻に巻き込まれたメンフィル・クロスベル連合にとっての戦争相手ではない国に所属している我々の保護、もしくはノーザンブリアからの脱出の協力かな?」
リィンの自己紹介を聞いたルーシーは驚き、真剣な表情でリィンを見つめるカノーネの言葉に苦笑しながら答えたリシャールはすぐに表情を引き締めて即座に考え付いた自身の推測をリィンに確認した。
「!事情も説明していないのに、既にそこまで気づかれているとはさすがですね……―――仰る通り”上”からは貴方達の保護か、ノーザンブリアからの脱出の協力を命じられています。本来でしたら自分達とは別の部隊が担当しているのですが、念の為に自分達の部隊が先行して貴方達を救援する事になったのですが――――――」
「――――――貴方達の件に関しては自分達が担当する事になっています。」
リシャールの推測を聞いて驚いたリィンが説明を続けていると別の男性の声が聞こえ、声を聞いたリィン達がそれぞれ声が聞こえた方向に視線を向けるとディミトリとフェルディナントが率いる騎馬隊、更にドゥドゥ―が率いる重装備の騎兵―――重騎兵の部隊が到着した。
「ディミトリ……!それにドゥドゥーとフェルディナント先輩もお久しぶりです……!」
「訓練兵の卒業式以来になるな、リィン。」
「フッ、お互い積もる話はあるが、今はそれぞれの任務に集中しようじゃないか!」
懐かしそうな表情で声をかけるリィンにドゥドゥーは静かな笑みを浮かべ、フェルディナントは髪をかき上げてそれぞれ答え
「はい!――――――既にクロード達から彼らに関する伝令は聞いている。彼らに関してはディミトリ達に任せていいんだよな?」
「ああ、彼らの件はここからは俺達に任せてくれ。――――――申し遅れました。自分はメンフィル帝国軍”灰獅子隊”所属の部隊長、ディミトリ・アレクサンドル・ブレーダッド中佐と申します。リィン達からは事情はどの程度伺っているでしょうか?」
フェルディナントの言葉に力強く答えたリィンはディミトリに確認し、確認されたディミトリはリシャール達に訊ねた。
「君達メンフィル帝国軍がノーザンブリア侵攻に巻き込まれた我々を保護かノーザンブリアからの脱出に協力してくれる事までは聞いているよ。我々の希望としては君達にとっては手間がかかるかもしれないが、ノーザンブリアからの脱出――――――レミフェリアの領土に入る直前の国境まで護送してもらいたいのだが?」
「了解しました。そういう事でしたら、このまま馬で国境までお送りしますのでそれぞれお一人ずつ、騎馬隊の騎士達の背後に乗って騎士達の腰をしっかりと掴んでください。」
「わかりました。ルーシーさん。」
「ええ。……失礼します。」
リシャールの要求に対して答えたディミトリの指示に頷いたカノーネはルーシーを促し、促されたルーシーは騎馬隊の騎士の一人の背後に乗り、リシャールとカノーネも続くように騎士達の背後に乗った。
「おいおい…………俺達を無視して勝手に話を進めるとか、幾ら何でもさすがに俺達をバカにし過ぎていねぇか?」
するとその時ゼクトールが起き上がってリィン達と対峙し
「心配しなくてもあんたの相手は俺達が担当する事になっている。――――――エリゼ、エリス。」
「「はい、兄様!!」」
「何……っ!?」
「まさか――――――」
ゼクトールの中にいるルトガーの言葉に対して静かな表情で答えたリィンはエリゼとエリスに視線を向け、視線を向けられた二人は頷いた後リィンと共にその場で集中し、その様子を見てリィン達が”騎神”を呼ぼうとしている事を察してリィンだけでなくエリゼとエリスも”騎神”を呼ぼうとしている事を察したルトガーは驚き、レオニダスが信じられない表情をしたその時
「来い―――”灰の騎神”ヴァリマール!!」
「来て―――”白の神機”ヴァイスリッター!!」
「応えて―――”金の騎神”エル・プラドー!!」
「「「応!!」」」
リィン達はそれぞれの頼もしき相棒の名を呼び、リィン達に呼ばれた相棒達はそれぞれ精霊の道で現れた後リィン達をそれぞれの操縦席に乗せた。
「あ、あの”灰の騎士”はまさかエレボニアの内戦を終結へと導く鍵になったという……!」
「猟兵王の”紫の騎神”と同じ灰色の”巨イナル騎士”――――――”灰の騎神”か。フム、しかも今ここで判明した新たな騎神――――――”金の騎神”の乗り手がエリゼ君の双子の妹――――――つまりはメンフィル帝国軍側である事に加えてエリゼ君が呼び寄せて乗り込んだあの機体は確か……」
「ええ……レインズの報告にあったクロスベルがディーター・クロイス政権であった頃に結社の協力によってクロスベルを守護し、あのガレリア要塞を消滅させたという白い”神機”ですわね。……恐らくディーター・クロイス政権が崩壊した際にメンフィル・クロスベル連合はあの”神機”を鹵獲していたようですわね。」
ヴァリマール達の登場にルーシーが驚いている中リシャールとカノーネは真剣な表情でヴァリマール達を見つめた。
「ここは俺達に任せて、ディミトリ達は行ってくれ!」
「わかった!それでは出発しますので、騎士達の腰をしっかり掴んでいてください!――――――総員、これより反転して迂回ルートでレミフェリア方面の国境を目指す!念の為に重騎馬隊を先頭にする!重騎馬隊は襲撃に備えて盾を構えて前に進み、他の者達は周囲を警戒してくれ!」
「イエス・サー!!」
「フッ、君達の武運を祈っているよ!」
「3対1の数的有利があるとはいえ、相手は二大猟兵団の片割れの団長だ。油断はするなよ、リィン。それにエリゼとエリス嬢も。」
ヴァリマールの中にいるリィンの要請にディミトリは頷いた後号令をかけ、フェルディナントとドゥドゥーはそれぞれリィン達に応援の言葉をかけた後リシャール達をレミフェリアの領土へと逃がす為にリシャール達や部下達と共にその場から離れた。
「バカな……”金の騎神”まで既に目覚めていた上、その起動者が内戦時カイエン公の手配によって幽閉の身であった灰色の騎士の妹だと……!?しかもその白い機体は結社の神機……!」
「やれやれ……まさかこんなとんでもない事実を”雇い主”達すらも把握していなかったとはな。これじゃあその”金の騎神”の為にクロスベルに潜入した戦鬼の嬢ちゃん達は無駄足に――――――!まさか…………今回のメンフィル(おまえら)のノーザンブリア侵略は”俺を嵌める為”か?」
一方レオニダスはエル・プラドーやヴァイスリッターの登場に驚き、疲れた表情で溜息を吐いたルトガーはある事に気づくと目を細めてリィン達に問いかけた。
「団長を……!?――――――!!まさか貴様ら……ノーザンブリアが危機に陥れば、俺達が北の猟兵達の為にノーザンブリアに現れる事や俺達は”金”や神機がメンフィル帝国軍側である情報を把握していないと想定した上、更には団長ごと”紫の騎神”を”灰”、”金”、”神機”の3体がかりで葬る為に今回のあまりにも早すぎるノーザンブリア侵略を実行したのか……!?」
「ああ……あんた達がエル・プラドーやヴァイスリッターの件を把握していないことに関しては半信半疑だったが、北の猟兵を結成したサラ教官の養父―――バレスタイン大佐があんた達”西風の旅団”の立ち上げに関わっていたという情報やメンフィル・クロスベル連合による”猟兵王ルトガー・クラウゼル”の性格分析を考えると今の状況でノーザンブリアに侵略すれば、あんた達が高確率で現れる事はわかっていた。……最も、”北の猟兵”達への報復の為にノーザンブリア侵略を実行した事も本当の目的の一つでもあるけどな。―――みんな、手筈通りの配置についてくれ!」
「おおっ!!」
ルトガーの推測を聞いてすぐに全ての事情を悟ったレオニダスは厳しい表情でヴァリマール達を睨み、レオニダスの言葉に対してリィンは静かな表情で答えた後仲間達に号令をかけ、リィン達の号令にそれぞれ頷いた仲間達―――セレーネ、アルティナ、アルフィンはそれぞれ準起動者としてヴァリマール達の援護を、アイドスは準起動者として援護するセレーネ達を守る為にセレーネ達の周囲に結界を展開し、ベルフェゴールはヴァリマール達の支援攻撃を行う為にヴァリマール達と共にゼクトールと対峙し、クルト、ミュゼ、メサイア、ユリーシャはレオニダスと対峙した。
「クッ……3対1に加えて準起動者達の援護に真の姿を現したあの”劫焔”にも致命的なダメージを与えた女まで灰の騎神達に加勢し、お前達は団長の不利を悟って団長に加勢しようとする俺を阻む俺への対策か……!」
「――――――その通りですわ。」
「我が主達の邪魔はさせません!」
「ヴァンダールの剣士として、ヴァリマール達を援護する皇女殿下にその刃は届かせる事はさせない……!」
「ふふっ、4対1とはいえ私やクルトさんにとっては”格上”の相手になるのですから、手加減は一切致しませのでお覚悟を♪」
メサイア達と対峙したレオニダスはリィン達の狙いをすぐに悟ると表情を歪めてメサイア達を睨み、レオニダスの推測を肯定したメサイアはユリーシャと共にそれぞれ武装を構えて戦術リンクを結び、クルトは決意の表情で、ミュゼは意味ありげな笑みを浮かべてそれぞれ武装を構えて戦術リンクを結んだ。
「くっ……舐めるな!」
「我ら”北の猟兵”を忘れてもらっては困る……!」
「騎神同士の戦いには手を出せないが、生身での戦いならば数の差で押せば貴様ら如きすぐに制圧できる……!」
その時ようやくダメージから立ち直った北の猟兵達がレオニダスに加勢しようとしたが
「止めとけ。お前達が加勢した途端そっちの色気ムンムンの姉ちゃんと嬢ちゃん達を守っている化物じみた美人の姉ちゃんが一瞬でお前達を葬る事は目に見えている。その二人は”お前達が束になっても絶対に勝てねぇ相手”だし、正直言って本気になった俺でも勝率が低い相手だ。」
「あら、よくわかっているじゃない♪」
「カレル離宮での戦いを正しく分析している証拠ね……」
ルトガーが北の猟兵達を制止し、それを聞いたベルフェゴールは意味ありげな笑みを浮かべ、アイドスは静かな表情で呟いた。
「それにさっき去ったメンフィル軍が保護しちまったあの3人をレミフェリアに逃がした後は国境を封鎖して、お前達の逃げ場を無くして残党狩りをするつもりだ。そうなっちまったら、”大佐”に合わす顔もねぇ。――――――だから、お前達は逃げなぁっ!!」
「猟兵王……」
「くっ……すまない……!」
「この恩は必ず返す……!」
そしてルトガーに脱出を促された北の猟兵達は複雑そうな表情や悔しそうな表情をした後その場から去って行った。
「さてと……ここから先は俺を倒さねぇ限り、通行止めだ。数による有利があるとは言え、この猟兵王の首はそう易々と取れると思ったら大間違いだぜぇっ!!」
「――――――遊撃隊、これより”西風の旅団”との戦闘を開始する。総員、全身全霊をもって挑め!!」
「おおっ!!」
ゼクトールがヴァリマール達に武装をつきつけるとヴァリマールの中にいるリィンが号令をかけ、リィンの号令に力強く頷いた仲間達はそれぞれの戦闘を開始した。
~国境~
一方その頃北の猟兵達は国境に急行していたが、その様子を森の中に潜んでいるジェダル達が見ていた。
「――――――来たか。始めろ、フィア。」
「了解~。――――――ごめんね!二連制圧射撃!!」
「ぐあ……っ!?」
「き、奇襲だ―――ッ!」
ジェダルの指示に頷いたフィアが矢の雨を振り注がせると北の猟兵達の足は止まり、猟兵達は周囲を警戒し始めた。
「リリカとユリーシャは準備を始めろ。ハアッ!!」
「う、うわあああああっ!?」
そこにメンフィル軍によるノーザンブリア侵略が始まるまでに用意していた罠――――――木々の間に張り巡らされていたロープを切り落とす事で”予め切り倒して更に加熱性の油を染み込ませていた周囲の木々”が一斉に襲い掛かる罠を発動させるためのロープをジェダルが大剣で切って罠を発動させるとフィアの矢の雨によって足が止まった多くの猟兵達は突如倒れてきた周囲の木々に巻き込まれ
「エニグマ駆動――――――クリムゾンレイ!!」
「エニグマ駆動――――――クリムゾンレイ!!」
「ぐぎゃあああああああああっ!?」
更にジェダルの指示によって戦術オーブメントの駆動を始めていたリリカと守護天使ユリーシャがそれぞれ駆動を終えて凝縮した炎のエネルギーを解き放つアーツをジェダルが発動した罠によって倒れた木々に放つと、木々に染み込ませていた加熱性の油によって火は一気に燃え広がって木々に巻き込まれた猟兵達を焼死させた。
「畳みかけろ、フルーレティ!!」
「ふふ、了解。――――――凍え死になさい――――――氷垢螺の絶対凍結。」
「な、なんだ、こ、この寒さ……は……」
「ノーザンブリアでも……これ程の寒さは……ありえ……な……」
そしてジェダルの指示を受けたフルーレティが転位魔術で猟兵達の上空に現れると絶対零度の猛吹雪を発生させる魔術を発動させて猟兵達を全身氷漬けにして凍死させるとともにリリカと守護天使ユリーシャのアーツによって引火した木々の炎を一瞬で消火した。
「くっ……次から次へと一体何が起こっているというのだ……!?」
連続で起こった突然の出来事によって多くの仲間達の命が失われた事に猟兵の一人が唇を噛み締めたその時ジェダル達が猟兵達と対峙した。
「予想していたよりも生き残ったが、十分に対処可能な数だな。」
「その口ぶり……これらの出来事は貴様らの仕業か!?」
「くっ……見た所軍人には見えない所を考えると、まさかメンフィル軍やヴァイスラント新生軍にノーザンブリアから脱出しようとする我らの始末の為に雇われた猟兵達か……!」
生き残った猟兵達を見まわして呟いたジェダルの言葉を聞いてジェダル達の正体を察した北の猟兵達はジェダル達を睨み
「………俺達は”猟兵”とやらではないが、メンフィルに雇われた事は否定しない。――――――行くぞ。依頼通り、国外へと脱走しようとする北の猟兵達を一人残らず殲滅する。」
「おおっ!!」
北の猟兵達の言葉に対してジェダルは静かな口調で答えた後リリカ達に号令をかけて北の猟兵との戦闘を開始した――――――
後書き
という訳で今回の話でリシャールが久しぶりに登場しましたw……え?元々軌跡シリーズでもレーヴェやカシウスに次ぐ実力者で、光と闇の軌跡で強さ&装備もブーストされているリシャールなら生身でもゼクトールとやり合えるんじゃないかって?それは言ってはいけないお約束ですww次回の戦闘BGMはVERITAの”衝突する魂”、グラセスタの”閃光交わり轟く戦場”、閃2の”Severe Blow”のどれかだと思ってください♪それと創の軌跡、ついに新たな陣営の物語やキャラクターが判明しましたけど、今まで(空、零、閃)と違って全てが謎過ぎるww主人公格は二代目(?)Cか、元暗殺者だという男女ペアのどっちなのやらwwというかプレイアブルキャラの”C”がプレイヤーに対しても正体不明ってどういう事だよと突っ込みたいw果たして”C”の正体は創の軌跡で判明するのやら………(遠い目)
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