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GATE ショッカー 彼の地にて、斯く戦えり

作者:日本男児
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第2話 接触

 
前書き
今回からようやく主人公が出てきます!! 

 
事の始まりは帝国領内の聖地「アルヌス」と「オ・ンドゥルゴ」に帝国の世界と別の世界を繋ぐ『門』が二つも出現したことであった。

何をしても八方塞がりで行き詰まっていた内政に関する不満を外に向ける為にも帝国がこれを利用しない手は無かった。
ましてや帝国はこの世界では「最強の国家」と言われており、誰もが帝国の勝利を確信していた。

しかし、結果は惨敗――。
生き残った帝国軍は『門』から撤退した。

その後、帝国はアルヌスの異世界軍と
オ・ンドゥルゴの異世界軍(ショッカー)に逆侵攻され、『門』は奪われた。

勿論、帝国は双方の『門』の奪還を目指してアルヌスとオ・ンドゥルゴに進軍したが返り討ちにあっていた。


数週間後。

帝都にある帝国の政治を司る場所、帝国元老院では元老院議員のカーゼル侯爵が皇帝モルトに物申していた。

「…大失態でありましたな、皇帝陛下。
帝国の保有するなんと6割の喪失!!
いかなる対策をおこうじになりますか?皇帝陛下は我が国をどのようにお導きになるおつもりか!」

モルトは玉座に座ったままで答える。


「…カーゼル侯爵、卿の心中は察するものである。
此度の戦闘で帝国が有していた軍事的な優位が失せたことは確かだ。
外国や帝国に伏している諸国が一斉に反旗を翻し、帝都まで進軍して来るのではないかと不安なのであろう


……痛ましいことである。」


最後のモルトの放った言葉を聞いて、議員達はざわめく。


「我が帝国は危機に直面する度に皇帝、元老院、そして国民が心を一つにして立ち向かい、さらなる発展を成し遂げてきた。戦争に百戦百勝は無い!!故に此度の戦いの責任は追及せぬ。」


モルトは玉座からカーゼルを見下ろして、ニヤリと笑い、冷徹に言い放つ。


「まさか他国の軍勢が帝都を包囲するまで『裁判ごっこ』に明け暮れようとする者はおらぬな?」

その言葉を聞いてクスクスと笑う議員も出てきた。


(自分の責任を不問にするつもりか…。)
カーゼルは心の中で毒づく。


「しかし、いかがなされる?」

参戦して逃げ帰った1人であるコダセン議員が議席から立ち上がった。

「『門』の向こう側に送り込んだ帝国軍は壊滅してしまいました。アルヌス方面の世界は敵の反撃から3日、オ・ンドゥルゴの世界では侵攻初日で!!しかも双方の『門』は奪われ、敵はこちらに陣を気づこうとしているのですぞ!!」

「無論、我らも2つの『門』を奪還せんと敵に迫りました!
だがアルヌスではパパパ!遠くでこんな音がすると我が兵がなぎ倒されるのだ!
オ・ンドゥルゴの方はそれに加えてヒト種の敵兵が怪異に変身して攻撃してくるのだ!!
あんな魔法、私は見たことがありませぬ!!」


「戦えばいい!兵が足りぬなら属国から集めればいい!!」

元老院議員でもあり帝国軍将軍でもあるポダワンがわめき散らかす。
また、それに反論するかのようにざわめく議員を見た皇帝は右手を上げ、彼らを鎮める。

「事態を座視することを余は望まん

ならば戦うしかあるまい……。」

!!!!!

議員達は驚き、皇帝であるモルトの方を向き静まり返る。

「属国と周辺諸国に使節を派遣せよ!
大陸侵略を狙う異世界の賊徒を撃退する為、援軍を求めるとな!
我らは連合諸王国軍(コドゥ・リノ・グワバン)を結成して、アルヌスとオ・ンドゥルゴへと攻め込む!!」


「皇帝陛下万歳!!」
「偉大なる帝国よ永遠なれ!!」

議員達は立ち上がり、口々に皇帝と帝国に対する恭順の姿勢を見せる。

「皇帝陛下……アルヌスとオ・ンドゥルゴは人馬の躯で埋まりましょうぞ。」

カーゼルの言葉を聞いたモルトは薄ら笑いを浮かべた。 

夜も更け、オ・ンドゥルゴは闇に包まれ静まり返る。
それに乗じてモルトの呼びかけに応じた連合諸王国軍が音を立てないように注意してオ・ンドゥルゴの平野を進む。
この平野を進むと、ショッカーの陣地があるのだ。


しかし、既に門を越えて防衛線を構築していたショッカーは彼らの姿を捉えていた。

「敵を視認!戦闘配置につけ!繰り返す!戦闘配置だ!!」

「今度は夜襲か!?何度目の襲撃だ?」
「敵は学習能力がないのか!?」
「お前らボヤくな!早く位置につけ!」

「全部隊に告ぐ!命令があるまで撃つな!!敵を引きつけろ!」

敵がキルゾーンに入ったことを合図する照明弾が放たれ、指揮官が叫ぶ。


「よし!攻撃開始ィィ!!」


戦車の主砲や機関銃が火を吹き、前列の重装歩兵をなぎ倒す。

生き残った敵兵を掃討する為、戦闘員と怪人軍団が畳み掛けるように防衛線から突撃する。抵抗する意志の無い者は捕虜となり、まだ戦おうと剣を持った者は容赦なく殺された。

結果、この戦いで連合諸王国軍、数十万人は破れ、一部は敗残兵となった。




「失礼します。」

ナチス時代のドイツの将校の様な黒い軍服と軍帽を着用した男が『門』が開かれたオ・ンドゥルゴの丘の一角に仮設された指揮テントの中に入る。

テントの奥には軍服を着た眼鏡を掛けた上官がテントに入ってきた男の経歴が書かれた書類を読みながら煙草を吹かしていた。


千堂印一(せんどういんいち) 大尉。

防衛軍所属、士官学校を主席で卒業した軍きってのエリート候補。卒業後は不穏分子検挙の指揮を取り、曹長から少尉に昇進。『銀座動乱』ではあの混乱の中、逃げ惑う市民の避難誘導を行い、ショッカー警察の警官隊に明確な指示をして共に戦ったことから大幹部であらせられるゾル大佐から賞詞を賜り、大尉に昇進する………か。

さて、そんな君を見込んで新たな任務を任せたい。」


改めて千堂はバシッと姿勢を整える。


「隣にアルヌスと呼ばれる丘があるな?その周辺の調査及び偵察を頼みたい。この世界に来たばかりだからな。
それと敵との戦闘は自衛目的を除き極力避けろ。」


「人数は?私、1人ですか?」


「そう言いたいことだが、流石にそれはないな。」


ニヤニヤと上官は笑いながら答える。


「とりあえず深部情報偵察隊を六個編成する。君の任務はその内、1個の指揮だ。
現地住民と接触する可能性もある為、いらぬ警戒心を持たれては困る。よって偵察隊は通常の『戦闘服』ではなく、貴様が着ているような『軍服』で行くように。」


「分かりました。」


「では、千堂印一少佐!第一偵察隊の指揮を命ずる!!」

千堂は右手を上に掲げて「イーッ!」とショッカー式敬礼を行って退室する。


数日後


千堂は基地内の講堂で第一偵察隊の全部隊員を集めた。

「今から我々は防衛軍初の異世界の偵察を行う。
諸君らと共に偉大なるショッカーと大首領様の為に他のどの部隊よりも先に異世界を駆けることができることを誇りに思う。
偉大なる大首領様 万歳!!!」

そう言うと先程と同じく右手を空の方へ掲げてショッカー式敬礼をした。

それに続いてドイツ国防軍風の鉄ヘルメットと軍服を着た部下達も同じく敬礼をする。


「偉大なる大首領様 万歳!!!」
「「「万歳!!万歳!!万歳!!」」」

そうして隊員達は二台の偵察用装甲車に乗り込み、基地を出る。


「しかし、こういう広い草原と蒼い空を見ると異世界に来たんだと思うな。」

異世界ならではの澄んだ蒼い空と広い草原に千堂は装甲車の天井のハッチから乗り出して呟く。
千堂の呟きを聞いて装甲車の運転をしている部下の加頭秀明(かずひであき)は言う。

「そうですか?私の生まれ故郷ではこの程度の景色は高い建物を除けばよく見れますよ?」


「俺は東京育ちなもんでね。お前の生まれはどこだ?ゲドン州?グロンギ自治区?」

「いや、私の生まれは風都です。隊長と同じく、日本エリアの出身です。」


日本エリアで風都と聞いて知らない者はいない。
東京、大阪、風都と言われるほどの知名度を誇り、あの「財団X」の本部がある企業城下町でもある。


「おっ、加頭、この先の小川を右折すればアルヌスを一望できる丘に着くらしいぞ。」


帝国兵の捕虜から奪った…もとい、押収した地図を見た千堂が加頭に指示する。


「了解、隊長。」


車列が丘に着くと、隊員達は降車する。
隊員達がここから一望できるアルヌスの丘の方を見る。

その時、信じられない光景が千堂達の目に飛び込んできた。

なんとアルヌスの丘に『門』が立っていたのだ。


「どういうことだ!?なぜ、『門』がアルヌスに!?おい、加頭!双眼鏡で確認しろ!!」


慌てて、加頭が双眼鏡で門と周辺を見る。

すると双眼鏡を覗いた加頭の呼吸が次第に激しくなる。


「た、たた、隊長!あれを!あれを見てください!!」


「どうした!?!?」


千堂は双眼鏡を取り上げ、アルヌスの門を見る。 

千堂の目に映ったのは『門』と謎の軍勢だった。戦車や攻撃ヘリなども見えたので帝国軍でないのは分かった。そして彼らは北海道の五稜郭のような星型の基地を建設していた。さらに基地の上部からは「白地に赤い丸」の旗がはためいていた。


千堂は理解が追いつかず、冷や汗をかく。


(どういうことだ!?あれは何だ!?
『門』はもう1つあったのか!?)


とにかく、上層部に報告しなければと思った矢先に横の林から突如、深緑色の装甲車がやって来て停車する。 
中には緑色の迷彩服を着た兵士が乗っており、銃で武装していた。


「何だ!?お前達は!?」


部下の1人が叫んでライフルを構えて威嚇しようとしたので、彼らも装甲車上部に搭載された機関銃を構えて一触即発といった状態になる。


「待て!武器を下ろせ!!」


(戦闘だけはマズい!!!)


千堂はこの場を収めようと謎の迷彩服の兵士と話し合おうとする。

「我々はショッカー 防衛陸軍第1偵察隊だ!戦闘の意志は無い!!
貴官らの所属と目的を聞こう!」


すると指揮官とおぼしき人物が装甲車から降りてきて言う。


「我々は日本国 陸上自衛隊の者です。その…『しょっかー』とは何ですか?」



「…………は?」


これがショッカーと日本国のファーストコンタクトであった。
 
 

 
後書き
いかがでしたでしょうか?
まさかの日本国との接触。これから、物語はドンドン進んでいきます。
ショッカー世界の様子も今回、少しだけ分かったのではないでしょうか?




次回予告

ファーストコンタクトで混乱するショッカーと日本国。

ひとまず、お互いに帝国と共闘することが決定したが色々と問題が起きて……………。

次回、乞うご期待!!!! 
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