恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十二話 周泰、都に忍び込むのことその六
「肝心なのは外見なんやな」
「はい、そうです」
「それが似ていればいいです」
「この娘やな」
鳳統がさらさらと描いたその絵を見る。そこには董卓の似顔絵があった。
その絵を見てだ。李典はまずこう言った。
「あんた絵上手いな」
「そうですか?」
「ああ、めっちゃ上手いで」
こう言って彼女を褒めるのだった。
「あれやな。揚州の呂蒙ちゃんとかも絵上手いけどな」
「私もですか」
「ああ、上手いわ」
その見事なまでに描かれた董卓の似顔絵を見ながらだ。李典は話す。
「画伯になれるで」
「画伯ですか」
「張勲ちゃんなんか凄い絵やからな」
ここでだ。李典は彼女の名前を出した。
「もうな。何て言うたらええか」
「そこまで凄いのですか」
「凄いで。口では表現できん位な」
「そうなんですか」
「あと。噂ではや」
李典は絵についてさらに話す。
「何か伝説の画伯がおってや」
「伝説ですか」
「それはもう凄い絵を描くそうや。生き物か何かわからんような」
「その人のお名前は何というのですか?」
「確か小とか林とかいうたか?」
李典は視線をやや上にやってその名前を出した。
「真名は優やったか」
「その人が伝説の画伯ですか」
「あまりにも凄い絵で大丈夫かって思われるような人らしいな」
「そこまで凄いんですか」
「そや。まあうちもその絵は一回見たけれど」
李典の顔が青くなる。そのうえでの言葉だった。
「壮絶やったな」
「壮絶ですか」
「人間ってあんな絵が描けるんやな」
こうまで言うのだった。
「つくづく思ったわ」
「そうですか」
「そや。まあとにかくや」
「はい、この絵で御願いします」
「わかったで。すぐに作るわ」
こうしてだった。二人は李典にも頼むのだった。そうしてであった。
二人はあらためてだ。李典にこんなことを話した。
「それでなんですけれど」
「お腹空きませんか?」
「ああ。もうすぐお昼やな」
早速作りはじめている李典が応える。
「ほな何か食べよか」
「ラーメンはどうでしょうか」
孔明がそれはどうかと話すのだった。
「チンさんが御馳走してくれるそうですし」
「あの太鼓腹のおっさんかいな」
「はい、お金が大好きな」
何気にかなりのことを言う孔明だった。
「あの人です」
「あのおっちゃん確かにお金には汚いけれどな」
李典もそのことはよく知っている。知ってしまったのだ。
「それでもな。悪い人やないからな」
「それにあの人はラーメンについては確かな人ですし」
「ほな。うちもな」
「はい、ラーメンですね」
「一緒にいただくわ」
笑顔で孔明に応えた。
「そうさせてもらうで」
「わかりました。それじゃあ」
こうしてであった。李典はだ。孔明達と共に昼食を食べることになった。そうして作りながら天幕を出てそこに行くとだ。そこにチンともう一人いた。
「あっ、李典ちゃんも来たっちゃね」
「よく来てくれたでしゅ」
「何や、このおっちゃんもおるんかいな」
李典は彼と一緒にいるだ。ホンフゥを見て言うのだった。
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