レーヴァティン
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第百四十五話 港町からその三
「その分だ」
「その二国よりもな」
「国家元首の権威では勝っていると言っていい」
「そうなんだよな」
「如何にはねっ返りの国家元首でも天皇陛下の前では謙虚になる」
「ああ、フィリピンとかな」
「そうした方だ、お前が駄目ではない」
「日本の天皇陛下が凄過ぎるんだな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そうなる」
「そういうことなんだな」
「あれだけの権威は一代では無理だ」
「ざっと百代か」
「そうだ、勿論その代の陛下のご資質もあるが」
「歴史を積み重ねた伝統がな」
「大きい」
何といってもというのだ。
「だからだ」
「それで、だよな」
「お前と比べたらな」
それこそというのだ。
「全く以て格が違って当然だ」
「そうだよな」
「とはいってもお前は北の将軍様とは全く違うがな」
「あの世襲制か」
「共産主義では有り得ない筈だがな」
世襲なぞだ、到底有り得ないと考えることが妥当である。
「日本では支持している奴もいる」
「日本の皇室は反対でな」
「こうした連中についてははっきり言える」
「馬鹿だよな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「文字通りな」
「そうだよな」
「これ以上はないまでの馬鹿だ」
「そう言うしかないよな」
「北朝鮮は言うなら僭主だ」
「俺は僭主じゃないか」
「確かな皇帝だ」
そうだというのだ。
「だからこのことは安心していい」
「そうなんだな」
「存分にな、しかしだ」
「しかし?」
「僭主は反面教師にしろ」
こうも言うのだった。
「いいな」
「なるべきじゃないな」
「そうだ、何があってもな」
「僭主ってのはな」
「民を騙している」
「そこに真実はないからな」
「だからだ」
それ故にというだ。
「お前はだ」
「僭主にはなるべきじゃないな」
「北朝鮮の様なものはな」
「だよな、というかな」
「どうした」
「いや、北朝鮮みたいな政はな」
久志は正に応えて述べた。
「ちょっとな」
「出来ないか」
「あれは狙ってもな」
例えそうしてもというのだ。
「出来ないだろ」
「個人崇拝にだな」
「自分だけ贅沢してな」
「軍隊ばかり大きくて民は餓えている」
「内政は滅茶苦茶でな」
「そうだな、あれは実際にだ」
正も認めることだった。
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