恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十話 陳宮、決意するのことその四
「そうしてるわね」
「別に何もないわよ」
「じゃあそういうことにしておいてあげるわ」
董白はここでは矛を収めた。しかしだった。
そのうえでだ。こんなことを言うのだった。
「とりあえずはね」
「これで帰るのね」
「今話すことはこれで終わったから」
だからだというのだ。
「それじゃあね。またね」
「ええ、またね」
こうしてだった。董白は賈駆の前を後にする。だがその中にある疑念はだ。消えないどころかさらに強まる一方だった。
そしてだ。出陣し関に入っているアースクエイクはだ。肉の塊を食いながらそのうえで共にいる幻庵に対してこう尋ねるのだった。
「なあ」
「何だケ?」
「呂布ちゃんだけれどよ」
尋ねるのは彼女についてだった。
「おかしいよな、最近」
「わしもそう思うケ」
幻庵も肉を喰らいながら彼の言葉に応える。巨大な豚肉をだ。
「暗いケ」
「だよな、どうしたんだろうな」
「この戦が気に入らないケ?」
「それか?」
「だからではないケ?」
また話す彼だった。
「まあわしは戦えればそれでいいケ」
「だよな。俺は盗みができないのは残念だけれどな」
生粋の盗賊である彼らしい言葉だった。
「それでもな。仲間が暗いのはな」
「やっぱり気になるケ」
「確かにこの戦おかしいけれどな」
アースクエイクは骨つき肉にかぶりつきながら話す。塩と胡椒をかけて焼いただけの簡単な料理だがそれでも実に美味いものだった。
「董卓さんは出て来ないしな」
「それもおかしいケ」
「おかしなことだらけだぜ。大体何で俺達洛陽に入ったんだ?」
「それで宮殿とか造ってケ」
「董白さんって贅沢とか嫌いなのにな」
「妙なことだケ」
「おかしなことだらけだよ」
アースクエイクから見てもそうなのだった。
「今回の戦はな」
「わしは覇王丸と手合わせできるのなら嬉しいケが」
「ああ、あいつ向こうにいるんだったな」
「あの生き方は泣かせるケ」
覇王丸への憧れはだ。そのまま残っている彼だった。
「だから是非だケ」
「剣を交えたいんだな」
「そういうことだケ。まあキムの旦那がいるのが残念だケが」
「あの旦那は仕方ないな」
そのことはもう諦めている二人だった。
「ジョンの旦那もな」
「あの二人はどうにもならないケ」
「一緒になったのが運の尽きだったな」
「こっちの世界で最悪の存在に遭ったケ」
「全くだよな」
キムとジョンについてはこう言う二人だった。しかしだ。
それでもだ。二人は呂布達にはこう言うのは変えなかった。
「しかし。呂布ちゃんも元気出して欲しいよな」
「女の子の暗い顔は好きだケがこの嫌な雰囲気は好きになれないケ」
こうした言葉を出すという意味で幻庵も人間だった。その人間としての感性でだ。彼もまた今のこの不穏な雰囲気に不快なものを感じていたのだ。
チャンとチョイもだ。偵察に出ながら話していた。二人の周りは荒野だ。
「この戦、凄く不愉快だよな」
「全くでやんす」
二人共不機嫌そのものの顔で話している。
「贅沢三昧の生活とかな」
「何かと問題があったでやんすよ」
「それで討伐戦仕掛けられてな」
「おかし過ぎるでやんすよ」
「これだけだと自業自得なんだよ」
「暴君が征伐を仕掛けられているということでやんす」
成り行きだけを考えればだ。そうだというのだ。
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