いつもと違って
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第五章
その間、中華街を巡り買いものをしたり食事をしたりする時にだった、文哉にじっと寄り添ってだった。
もじもじとした感じで学校での堂々とした感じはなかった、それで文哉はそんな彼女にくすりと笑って声をかけた。
「デートの時はいつもね」
「な、何だよ」
「真理子ちゃん大人しいよね」
「こうした格好にるとな」
いつもと違う女の子らしい恰好をすると、というのだ。
「それにデートしてるって思うだけでな」
「恥ずかしいんだ」
「い、言うなよ馬鹿」
ここでも顔を真っ赤にして言った。
「そんなことは」
「駄目なんだ」
「恥ずかしいからな」
だからだというのだ。
「そんなことはな」
「そこでそう言うのが余計にね」
「だから言うなって言ってんだろ」
湯気さえ出さんばかりになっての言葉だった。
「本当に怒るぞ」
「けれど本当にね」
「可愛いっていうんだな」
「うん、だから僕こうしてデートするのが」
真理子、彼女とというのだ。
「大好きなんだよ」
「そうだっていうのかよ」
「そうだよ、じゃあ時間までね」
「ああ、野球の試合までな」
「まだ少し時間あるから」
それでというのだ。
「カラオケ行く?」
「ああ、カラオケな」
真っ赤になっている顔の色を元に戻してだった、真理子は応えた。表情も素のものに戻ってしまっている。
「それじゃあな」
「行こうね」
「中華街カラオケもあるしな」
「食べものとお土産とかね」
「そういうのだけじゃないからな」
「うん、だからね」
野球の試合がはじまるまではというのだ。
「そこに行こうね」
「それじゃあな」
「うん、それでね」
文哉はまた言うのだった。
「真理子ちゃん歌上手いし」
「そうか?」
「歌う時は可愛い声になって」
普段はまさにヤンキーそのものの声だがだ。
「それがね」
「それツレにも言われるんだよな」
バツの悪い顔になってだ、真理子は文哉に答えた。
「カラオケに行ったらな」
「そうだよね」
「歌上手で声もな」
そちらもというのだ。
「実際にな」
「可愛いってだね」
「アニメ声になってな」
それでというのだ。
「歌う歌もな」
「アイドルのとかアニメソングとかね」
「そういう曲好きだしな」
女性アイドルに女性声優やグループが歌うアニメソングが好きだ、しかもレパートリーもかなりのものだ。
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