いつもと違って
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第四章
「いいね」
「ああ、じゃあな」
真理子は母の言葉に頷いてだった、その日は朝早く起きてまずはシャワーを浴びてだった。
メイク、ナチュラルメイクをして髪の毛をとかしてアクセサリーも付け。
ミニスカートに可愛らしいシャツ、ハイソックスという恰好になった。カラーリングも赤やピンク、白と女の子らしいものだ。
その恰好になって家を出る、もう朝食は食べていたが。
父にだ、その時に笑って言われた。
「納豆食ってねえな」
「それは夜だよ」
毎朝食べているそれはとだ、真理子はまだ十代の所謂ヤンキー時代の面影を残している父に対して答えた。
「今日は朝は食ってねえよ」
「ああ、納豆は匂うからな」
「口臭にもなるからな」
「だから食ってないんだな」
「他のもので食ったからな」
父に玄関から答えた。
「そうしたからな」
「そうか、じゃあな」
「ああ、行って来るからな」
「今度は彼氏家に連れて来いよ」
「父ちゃん喧嘩売るなよ」
「俺はガキの頃から売られた喧嘩以外買わないんだよ」
これも父の信条で娘にもそうしろと言っている。
「だから安心しろ」
「ああ、そのこともわかったよ」
真理子は父とそうしたやり取りをしてから家を出た、この時母とも挨拶をした。そうしてデートの待ち合わせ場所に行くと。
もう文哉がいた、それで彼に会うとすぐに言われた。
「可愛いね」
「何でそこでそう言うんだよ」
可愛いと言われてだ、真理子はすぐに真っ赤になって彼に言い返した。
「可愛いとかな」
「そうかな」
「ったくよ、調子狂うな」
「けれど実際にね」
「い、言うなよ」
真理子は顔を真っ赤にさせたままさらに言った。
「あたしはそんなことはな」
「言われたくないんだ」
「だからな」
それでというのだ。
「言うなよ」
「そう言うなら」
「ああ、とにかくな」
「これからだね」
「行こうな、試合はじまるのまだだしな」
「中華街の方行く?」
「そこで飯も食ってな」
それでとだ、真理子は文哉に応えて述べた。
「それからな」
「試合観に行こうね」
「それじゃあな、ただな」
「ただ?」
「巨人マジで今日負けると二十連敗だよな」
「そうなるね」
「今シーズンの連敗記録更新だな」
これまで巨人は三十六連敗を達成している、それと比べると微々たるものであるというのが世間の評価だ。
「そうなるな」
「じゃあその二十連敗を観る前に」
「中華街な」
「行こうね」
こうした話をしてだった、真理子は。
文哉に連れられてデートをはじめた、だが。
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