提督はBarにいる。
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冬の鍋パ!・その3
「まずお前らの認識から聞きたい。俺と嫁艦達の関係についてどう見える?」
「……ハーレムクソ提督」
「あはは、朝風ちゃんは辛辣ですねぇ。でも青葉もそんなに大きくは変わりませんかね、クソ提督とまでは思いませんけど」
朝風も青葉も俺の認識は『大量の女を侍らすハーレム野郎』ってのが共通認識……というか、新任の艦娘とかあんまり親しくない軍関係者が向けてくる侮蔑の視線からすると、大概の人間がそういう認識を持ってるんだろう。まぁ、馴れたが。
「だが、お前ら艦娘はまず女である前に軍艦……というか戦闘艦って意識が強いだろ?」
「まぁ……」
「言われてみれば、確かにそうですね」
朝風と青葉が互いに頷き合う。第一世代の艦娘ならベースとなった人間の意識が強く出るらしいが、ウチの連中は総じて第二世代以降の艦娘ばかりだ。素体の部分が言わばクローンだから、人間的な我の強さが無い。勿論個人差は有るんだがな?
「だから、俺との関係も男と女以前に上司と部下の意識が根底にあるんだよ」
「成る程!」
「えぇ~、今ので解ったの?青葉さん」
「まぁ、何となくですけどね。ハーレムというよりも、提督を首魁とした武装組織的な感じなんですね!?」
「あ~、言い方は物騒だがそれが近いかな。金剛がNo.2のポストにいて、その他のメンバーがその構成員みたいな」
「……なんかヤクザとかマフィアみたいね」
「朝風さん朝風さん」
チョイチョイと手招きされて、青葉のスマホの画面を見せられる朝風。瞬間、思いっきり噴き出してゲラゲラと笑い始める。
「ちょ、ちょっと何よそれ!?似合いすぎてて逆に面白いわ!」
「あん?何だよ、見せろ!」
「あっ」
青葉のスマホの画面に映し出されていた画像。それは、ウチの艦娘と俺の集合写真だった。ただし、写真の中央には革張りの高そうな椅子に偉そうに座りながら煙草をふかす俺と、その周りを囲む嫁艦達。そして全員が揃って黒スーツ。どう見てもマフィアの集合写真です。本当に(ry
「おい……何だコレは」
「いや~、その~、あのですね?」
「おい……何だ?コレは」
「えぇと、ですからぁ、そのぉ」
「……青葉、4度目はねぇぞ?何だコレは」
「すいませんでしたっっっ!」
青葉、綺麗な土下座。聞けば秋雲と深夜の悪ふざけで作ったらしいのだが、あまりの出来の良さと似合いっぷりに消すのは勿体無いと青葉のスマホにデータだけ保存してあったらしい。
「にしたってコレはねぇだろ……俺はデ・ニーロか」
どう見てもゴッドファーザーのテーマが流れて来そうな画だぞ、これは……。
「さっきから何を騒いでいるのだ?提督よ」
後頭部にむにゅん、と巨大な質量が襲いかかってきた。まぁ、声からも解る通り武蔵の奴が俺の後頭部におっぱいを押し付けつつ抱き付いて来ているのだが。相変わらずデケェし柔らけぇしで、頭がすっぽりと谷間に埋まってしまいそうな勢いだ。普段はこんなイチャつき方はしないんだが、今はオフな上に武蔵はほろ酔い加減。理性というか、その辺の判断力が弛くなってしまっている。大変にけしからん。もっとやれ。
「あぁ、コレだよコレ。青葉と秋雲が悪ふざけで作ったらしいんだがな……」
「どれ……ほぅ?中々良く出来ているではないか」
「出来の良さは認めるがな?」
それでも悪ふざけが過ぎるだろ、と言いたい。
「……成る程、うむ。提督は作り物なのが気に食わんのだな?」
「うん……うん?」
おい、話が妙な方向に向き始めたぞオイ。
「待っていろ。今他の嫁艦連中に集合写真を撮ろうと提案する」
「いやそういう事じゃねぇよ!?」
俺がツッコミを入れたのも意に介さず、武蔵はスマホを操作している。
「よし、嫁艦のグループLI○Eに写真を撮ろうと提案しておいたぞ。返事が来るまで暫し待て」
「いや、だから……」
「それよりも提督よ、皆ツマミが足りんようだぞ?」
周りを見渡せば、此方を凝視する複数人の視線に気付く。その眼が訴えているのは空腹。
「……やれやれ、欠食児童共の為にもう一働きしますか」
未だに引っ付いたままだった武蔵を引き剥がし、三度厨房に立つ。さて、お次はどんな鍋にするかな……
《捨てる所も有効活用!野菜出汁の海鮮トマト鍋》※分量4人前
・タラ:4切れ
・ホタテ(ボイル):6~8個
・エビ:4~6匹
・カニ(鍋用カニ足):200g位
・ズッキーニ:1本
・パプリカ:2個
・キャベツ:1/2玉
・エリンギ:1パック
・レタス:1玉
・長ねぎ:2本
(スープベース)
・水:1.2リットル
・野菜くず:適量
(スープ)
・ニンニク:1片
・玉ねぎ:1/2個
・セロリ:1本
・赤唐辛子(刻み):2本
・ホールトマト:800g
・白ワイン:150cc
・塩コショウ:適量
・トマトピューレ(ケチャップでも可):大さじ4
・オリーブオイル:大さじ3
(薬味)※無くてもイケるぞ!
・クリームチーズ:適量
・粗挽き岩塩:適量
・粗挽き黒胡椒:適量
・刻みバジル:適量
・イタリアンパセリ:適量
ラストはイタリアン風の海鮮鍋でシメるか。まずは下拵えから。ズッキーニは両端を切り落として皮を縞になるように剥いて食べやすい大きさに。パプリカはヘタとワタを取って切っておく。長ねぎは斜め切りに、キャベツとレタスは芯を取ってざく切り。芽を取り除いて薄切りに、セロリは葉の部分を切り落として筋を取り、みじん切り。玉ねぎもみじん切りにしておき、ホールトマトは粗めに潰しておく。
海鮮の下拵えの前にスープのベースになる出汁を取るぞ。鍋に水を入れ、そこに野菜の下拵えで出たキャベツの芯やセロリの葉等の野菜くずを入れて強火で煮る。これは無駄を減らせる上に美味しい出汁が取れるから、普段の料理の時からオススメのテクニックだぞ?鍋が沸騰してきたら中火にして10分程煮たら、キッチンペーパー等で濾す。
野菜出汁を取っている間に海鮮の下拵えも済ませる。タラは食べやすい大きさに切り、臭いが気になるなら軽く塩と酒を振っておく。エビは殻を剥いて背ワタを取り、大きいようなら一口大に切る。カニとホタテは特に下拵えは要らんが、ホタテの肝が気になる人は取っておこう。
野菜の出汁が取れたらスープを作っていくぞ。食卓に置く鍋とは別の鍋(金属製推奨)にオリーブオイルを引き、ニンニクを炒める。香りが立ってきたら玉ねぎ、セロリ、赤唐辛子を加えて更に炒める。野菜が透き通ってきたらホールトマト、トマトピューレ、白ワインを加えて軽く煮込む。煮立って来たら野菜出汁を加えて延ばしておく。
食卓に置く鍋にレタス以外の具材を並べ入れたら、スープを注いで火にかける。煮立って来たら食べ頃だ。レタスは食べる時にサッとスープにくぐらせてやるといい。お好みで薬味を添えて召し上がれ。
「さぁ出来たぞ、『海鮮トマト鍋』だ」
肉がないので食べ応えがないかと思いきや、トマトと魚介の旨味をたっぷりと吸った野菜だけでもかなりの満足感がある。そしてこの鍋の最大の楽しみは、なんと言っても〆だ。ご飯とチーズを入れてトマトリゾット、スパゲッティをはじめとしたパスタが合わない筈もないし、インスタントラーメンの麺と水を足して煮込んでトマトラーメンも美味い。……だが、俺がオススメしたい〆は別にある。
「あら?提督の鍋の〆はなんですか?」
「これか?ふかしたイモだ」
そう、ふかしたジャガイモ。こいつを粗方具を食べ尽くした鍋に入れて煮立てつつ、軽く潰す。潰したイモがスープを吸って赤くなってきた所にチーズと粗挽きの黒胡椒。そして全体をかき混ぜたら焦げない内に火を止める。
「見た目は宜しくないが、これがまた美味くてなぁ」
スープの旨味を吸ったイモに、チーズの塩気と黒胡椒のピリッとした刺激。こいつがまた酒に合うんだよ。
「うむ、確かにこいつは美味い」
「あっ、てめこら武蔵!人の鍋の〆をパクるんじゃねぇよ!」
「よいではないか。今夜は無礼講だぞ?」
「聞いてねぇよそんな話」
「何を言う。この会は私が作ったんだぞ?つまりは私がルールだ!」
ふはははは、と高笑いを上げる武蔵。全くこいつらは……。まぁ、騒がしい飲み会は嫌いじゃねぇからいいんだが。後日、嫁艦全員とヤクザのような集合写真を撮らされるという罰ゲームの様な催しがあったのは、また別の話。
後書き
いよいよ3月となりました!バレンタインアンケートの締め切りは3/14の午前0時までの予定です!まだ投票してないという方はお早めに!
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