妖精のサイヤ人
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第六話:本気と本気!ラクサスVSネロ!
前書き
KAKAROTをプレイしている内にやっぱりFTとDBのインフレバランスとか再認識して、色々と設定を考え直したりしました。…新しい設定でなんとかしますが…面白いかどうかは読者様方次第ですね。…書くのは楽しいけど…書いているときに違和感があるからなぁ…。
てかKAKAROTが凄すぎるんですよね。アクションとかキャラクターの関わりとか。もう、マジでドラゴンワールドですから感動が尽きないです。それはそれとしてDLCに劇場版の話とか劇場版の歴代ボスたちとバトルなんてしたら、自分はすぐに死ねる(確信)
そんなこんなで第六話、よろしくおねがいします。
※●は回想シーンに。★はキングクリムゾンとして認識してくれると助かります。
魔力は誰もが持つ生命エネルギーのことです。魔力以外に”超能力”や”気”などの呼び方もありますが、魔法文化が繁栄されている今では”魔力”として呼ばれています。
なくてはならないもの、持っているのが当然の生命エネルギーである魔力を本当に最後まで枯渇してしまえば”死”と変わりありません。ですので魔力が自然回復するのを待つか、他者や自然に宿る魔力などで蓄えるという手段を使って魔力を回復する方法も存在します。
ついでに教えますと、死にかけの生き物に魔力を分け与えると少しだけ回復する方法もございます。まぁ、そのようなことをするより”治療魔法”を使った方が効率がいいのですけどね。しかし、治療魔法を覚えるのは困難ですから治療魔法を会得している者は少ないでしょう。
後は…そうですね。一度自身の魔力を多く消費すれば魔力欠乏症になりますのでご注意を。
…覚えてますよね?前に教えた筈ですよ。…そうです、体の力がなくなる症状ですよ。よかった、ちゃんと覚えてたんですね。…え?遅発性乱気症?なんですかそれは。
次に教えるのは先程話しましたが、”魔法”についてお話しましょう。
魔法とは、簡単に言えば森羅万象に業を成す技―――といっても、そんな大層なことを成し遂げた魔道士は多くいませんし、森羅万象と言えどもただの千、万の魔法が存在しますが何れも真理に辿り着く魔法は知り渡っていません。
さて、話を戻しますね。魔法を酷使するには何れも魔力が必要です。大したことのない魔法にはそれほど魔力を必要ないですが、裏を返せば強力な魔法には大量の魔力の消費が必要不可欠です。
例えばただ服の色を変えるだけの魔法、色替や人の心を惹きつける魔法の魅了。
これらは大した魔力を消費することはないです。それに日用品に魔力を宿らせ、先程話した色替や魅了の魔法陣を加えるだけでも作動することができます。
ええ、とても便利ですね。このように、魔法は文化にも触れ、今では魔法文化となって栄えているのです。
しかし、便利であるのと同時に驚異でもあります。なにせ魔法は巨大な力にすらなれますので。
当然でしょう、どんな便利なことにも危険なことに付き物ですから。
例えば…そうですね、火の魔法を扱う人は自然の火を扱えるだけではなく、自らの魔力を火に変えて戦闘する魔法もあります。
その火を扱う魔道士がもし、巨大な魔力を宿しているのなら?もしその魔力が山よりも大きかったら…さて、どうなると思います?…そう、災害と何ら変わりません。
ええ、歴史の勉強もしますと…過去に魔道士も加えての戦争があったそうです。その戦争では過去の死亡した者の数を数十倍に超えたとか…ですので、大量の魔道士により戦争は魔法界にでも禁止されているそうです。例に入れるとギルド間抗争禁止条約などがいい例ですね。…知らない?ああ…また今度教えしますね。呆れている?そんなことはございませんよ。
コホン、それでですけど…つまり私が言いたいのは力には代償は付き物、ということです。
どんなに体を鍛えたところで…限界が来てしまいます。だが魔力…貴方様の言う気を鍛えることで強さの先へ進むことができることも間違いはありません。
今、貴方様はそれを目指している…さて、どうします?魔力の扱い方が下手な貴方様は修行を続けますか?
―――――よろしい。ならば鍛え続けなさい。勿論、先程も申したように、体だけじゃなく気も鍛えるのですよ。
★★★★★★★
準決勝から1時間経過して。
クロッカス武道会の準決勝により、武舞台がなくなったことで次の決勝戦を行えるか不安が過る観客たちの中に声を拡大にする魔法の道具、マイクでアナウンサーの声が響き渡る。
『武舞台はなくなりましたが…代わりに武舞台の規模に合わせて魔法のインクで塗らせていただきました。よって、このインク外の地面を触れた場合、場外負けと判定させていただきますので選手の二人はご注意ください』
大会の続行に安堵する観客たち。そして彼らの歓声を上げる。数十人しかいなくとも、充分な声援が会場のBGMになっていく。
『では…早速選手の登場とさせていただきましょう。先々の試合から一度も傷を負うことなく対戦相手を打ちのめしています!それだけではなく、まだ幼いながらも魔道士ギルド、かの妖精の尻尾に所属している期待星!ラクサス・ドレア―――――選手!!』
控室からラクサス少年が堂々とその姿を出てくる。だが先の試合と違い、退屈そうな顔つきから真逆、好戦的な笑みを浮かべて武舞台(だった場所)へと向かっていく。
そんな孫の様子を解説から観客に戻っていたマカロフは呆れ半分、そして期待半分で歩いていくラクサスを見つめている。
何せよ、この試合でついに孫の願いが叶うかもしれない。それは祖父であるマカロフにとっては孫の成長が少し寂しくあれど歓喜が大きい。これでラクサスは同年代の友を得られないという孤独を感じることがなくなるからだ。
微笑みを浮かべて試合を見つめるマカロフとは対象的に、その隣で実験体を見つめるような眼差しを浮かべているドレアーの名を持つもう一人の男―――イワン・ドレアーがいた。
イワンにとって、あのネロという少年の力が好奇心を燻ぶらせるに十分に近い。
魔道士としての腕が1流と自負しているイワンにとってはレベルの低い大会であり、ネロ少年やギクリの力など気にするほどでもなかったが、それでも彼が気になったのはあのネロ少年が出していた”大猿のパワー”。
一瞬、観客席から大猿を目にするような錯覚を覚えた。それが一体どういうものなのかが彼の好奇心を刺激したのだ。
「…イワン、ラクサスも出ておるのじゃぞ。あの少年が気になるのは解るが…ラクサスのことも応援してやらんかい」
「フンッ、解っているさオヤジ。勿論、愛しい息子の晴れ舞台も応援するさ」
そんなイワンの心境を感づいたマカロフは咎めるように話すがそれに対してイワンは戯けるように笑い、口を歪めて試合へ目を向けた。
そんなイワンにため息をつきながらも、マカロフは孫と、そして友人になれる可能性を持つ少年の試合を見つめることにした。
『そして、そんなラクサスと試合する少年――――先の試合からいろんな手を魅せるその戦いはまさに戦闘民族と感心してしまう、強敵との戦いを楽しむその姿はまさにサイヤ人!ネロ・ハバード選手!!』
先の試合、全身全霊といってもいい程の力を出した茜色のサイヤ人がこのまま試合ができるのか。
決勝戦というのは大会の最後を飾る試合といってもいい。その試合に、まだ力を温存しているだろうラクサス少年に、満身創痍のネロ少年が試合できるのか。
そう観客たちの中ではこう考えてた者もいただろう。
しかし彼らに心配から驚愕へと変わる。
ボロボロと破れのあるズボンとタンクトップという見窄らしい格好で控室から出てくる茜色の少年、そして先の試合でできたはずの傷がどこにもなく、無傷の状態に出てくる様を見て。
おかしい、先の試合では確かに傷があったはずだと、それに1時間が経っているとはいえまだ魔力も回復しているはずがないと、イワンは思っていた。
そのはずなのに、無傷なだけじゃなく―――しかも前回よりも魔力量が上がっている。
目の前にあるその事実にイワンは口にせずに居られなかった。
「どういうことだ…?あのガキ…手を抜いてたわけでもなかった筈だ。この短期間で汚え手を使いやがったのか?」
「…サイヤ人にはある特徴を持っている。瀕死から復活のパワーアップというのがな」
「…ハァ…!?」
「にしてもあの少年…瀕死になったように見えなかっ…いや、しかし…」
魔力という生命力、それがなくなってしまえば当然ながらも生き物は死に絶える。そんな近い状態で回復、或いは急激に回復するというのなら可能性がある。或いは突然一気の魔力を放出すれば魔力欠乏症にすらなりえる。しかしあの少年にはそのような形跡がない。
「…あの時、”かめはめ波”を出したときに多くの魔力を、生命を削ったということか…?」
それなら、多少あの時遅れたギクリに勝てたのは納得ができる。しかし、ならばそのような重体になって何故、今何事もなかったように立っているのか?
「…何かの魔法…しかし、あんな急激的に回復する魔法をワシでも知らん…一体何が…?」
「いや、その前のそのサイヤ人の秘密を教えろ」
「…また今度教えるわい」
イワンからの問いかけを適当に返してマカロフはどのようにネロが体力も魔力が回復しているの魔法と考えるが――――その答えを知っている人物がネロのいた控室にいる。
先程、ネロと試合をしていたギクリ・ムース。
試合でやられ、傷だらけであろう…筈がネロと同じく無傷の状態で控室で決勝戦の行方を見守りながら、場内へ向けて歩くネロの背中を見つめながら先程の事を振り返る。
●●●●●●●
【…なんだんだ、その…ボタンがついているカプセル剤に似たものは】
スタッフを部屋から出した後にネロは荷物の中からある物を2つ同じ形のものを出してギクリに近づいていく。
【そうだなぁ…オレも実際のことは詳しくないけど…まぁ、アレだ。警戒しないでくれよ?】
そう言いながら2つのカプセル剤と同じ形の者のボタンを押し、その2つに自分とギクリの上へ投げる。
瞬間、小さな、気にする程じゃないような爆発音が起きて、光の粒がネロとギクリに降りていく。
【なんだ…これは…!?】
その光の粒が自分に接触した途端、ギクリは体の痛みと魔力の枯渇が急激に和らいでいくのを感じた。
そして傷が回復していくのは自分だけじゃなく、ネロも同じように光の粒に触れて傷がなくなっていくのを目にした。
【これは…あまり誰にも言わないでくれよ?オレも詳しくはないけど、これにも数が限られているからあまり使えないんだよな】
【…なら、何故某にも使った?数が限られているのなら、其方だけ使えばいいだろう】
そうだ、何故自分にも付けたのか。数が限られていて、なおかつこんな強力だろう回復薬を何故自分にも付けたのか。
その返答にネロは重要なことじゃないように笑って答えた。
【お礼みたいなモンだよ。アンタと戦えたおかげで、オレは楽しめたし、何よりも…】
フンッ!と力むようにネロは己の中の魔力を開放する。
その魔力をギクリは一瞬、だが近くでそれを感知しただけで理解した。
―――力が上がっている…!?
そうだ、まるで先の試合を温存していたかのように、目の前の少年からそんな力を感じた。
どういうことか、もしや全力と言いながら騙していたのか?…いや、あの中で何度も彼にとっても危険な状況があったはずだ。なら一体なんなのか?
【…やっと、馴染んできたかな。それに、今までよりもパワーが上がっている。よし!これなら…】
【…どういうことだ。其方、某に手を抜いていたわけじゃなかろう】
【ん?ああ、ほら…オレたち、力がすっげえなくなってただろ?オレなんて1分の力もなくなっていたし。後は…、…まぁオレたちサイヤ人の特性だな】
サイヤ人の特性、通常の人間よりも大食いで強度な体と自然回復に高い戦闘センスを持ち合わせている、戦いに向いた種族。
そんな種族に、他になんの特性が?
【これも口にすべきじゃねえだろうけどさ、サイヤ人は瀕死の状態から回復すると力を増す特性を持ってんだ。だから、オレがこうなったのもそれが理由だな】
【何…?そんな力が…?】
【本当に誰にも言わねえでくれよ?他のサイヤ人たちはまだ知らないらしいけど…知ったら知ったらで評議員とやらがうるさくなっちまうらしいからな】
【う…むゥ……】
だが、それなら何故ネロが力を増すのか。さっきの試合で死にかけていたとでも?…いや、待て。さっきこの少年が口にした言葉を思い出すんだ。
――オレなんて1分の力もなくなってたし――
つまり、魔力が枯渇していたということ。
先の試合、ネロはどれだけの力を引き出していた?己も、限界を超えんばかりの力を出し、互いにぶつかりあっていた。
ならば…そうか、魔力という生命力がなくなりかけることにより瀕死に近い状態になった、ということか?
後に思い浮かべるのは…最後に言いかけた言葉…いや…しかし。
ギクリはまだ気になることが多い。何よりも、あの回復薬となるだろう道具のことも。
何故それを万人のために、などの自己犠牲を勧めるようなことは口にしない。ネロ自身ですら、それを他人に教える気もないのだろう。
それなのに自身に使ってくれた、ならば恩を仇で返すようなことをするわけにはいかない。
だが、それでも。
【――ネロよ、感謝する。某の体を治療してくれたことを。…しかしあまり命に関わる無茶は控えてくれ】
次に挑めなくなっては困るからな。
そう付け加えるように言えば少年が罰悪そうに笑った。
【…気をつける】
(まさかあそこまでやるなんてなぁ…本当に気をつけよ)
まさか本人が命を無意識に削ってまで力を解放した等、次の再会にてギクリは知ることになるのであった。
●●●●●●●
場内の中に入ったネロはラクサスと向き合うように真正面から睨み合うような形でその場に立ち止まった。
そんなネロに対しラクサスは目を見開きながら、ネロに疑問に思ったことを問いかける。
「おめえ…怪我はどうした?」
「…魔法?だと思ってくれゃいいよ」
言えない、とネロは遠目をしかける。なにせ、彼の使った回復薬は彼の――というより、前世で彼が遊んでいたドラゴンボールのTVゲームシリーズの内、”ゼノバース”のアイテムみたいなものを使ったなんて口で言えない。みたいなというか、もう回復する時点でそれなんじゃないかと思ってしまうが。
そもそも、何故…何故姉がそのようなものを持っているのか。聞いてもはぐらかしてくること姉にネロは何度か頭を抱えそうになったことを思い出す。
(…というか何のカプセルかそもそも理解していないんだよなぁ、2つ違う種類があるだけだし…それに5個しか渡されてなかったしなぁ…いや、いっぱいあるのも困るけど)
もし、このカプセルの存在を知られたらどうなるのか…旅に出る前にも姉から注意されて、それに加えてトラウマを持つネロは背筋が凍る感覚を覚えながら目の前の相手に集中する。
「…お前、強えな。本当に、お前みたいなヤツと戦れるなんて夢みたいだ」
「!フン…たりめえだ。オレは強えのは。おめえもなかなか強え…さっきの試合、疼いたぜ?」
ネロとギクリの試合は、ラクサスにとっては見応えがある試合だった。どれも譲れず、なによりも倒れても立ち上がって相手を叩きのめそうとする気迫はラクサスを震わせていた。
何よりも、同い年でありながらあそこまで強くなったネロに、ラクサスは喜びすらも感じていた。
対してネロは、ギクリやラクサスみたいな強敵を連続に戦えるという幸運に感謝していた。
修行相手に姉と手合わせしていたが、姉は手加減しながらも自分を瀕死にして手合わせしていたことでなかなか戦闘の楽しみを味わうことができなかった。
モンスターとも修行時でやり合うことがあったが…それでも先のギクリと試合の方が何倍も戦闘の楽しみを感じていた。真の意味で強敵と戦い、拳を交わる高ぶりを味わうことで自分が真の意味でサイヤ人となったことを実感することができた。生まれ変わったような気分をこの世界に来てからも何度か味わったが、先の試合のほうがそんな気をさせてくれた。
だから、ネロは自分を、自分と一緒に戦闘を楽しんでくれる相手を。
だから、ラクサスは自分を、自分とやり合えるだろう目の前の相手を。
全力という名の全てをかけて倒す。
互いに、ただ目の前の相手を戦えるという幸運に感謝した。
そして、必ず最後に立つのは自分だと決意して。
『さぁ…ついに決勝戦を始めます。―――――両者、よろしいですね?』
アナウンサーの問いかけに互いに構える。
ネロは腰を深く構え、ラクサスはポケットから手を出して脚を少し低くして奔雷する。
『ではクロッカス武道会最終決戦―――――!!』
ネロは己の中にある全ての気を解放するように白いオーラを纏い、ラクサスは奔雷する雷電を溜めて。
『――開始ィーッ!!』
その合図に、爆発音に似た音が会場に響く。
次に雷鳴が轟く音ともに衝撃が鳴り、いつのまにか構えていた二人が中央に拳を交わっていた。
「ヘッ…!!」
「ッ…ッッ!!」
雷、そして白いオーラが纏っている拳は互いの胴体へ深く入っていた。
傍らにラクサスはそれに笑みを浮かべ、ネロ自身は顔を苦痛に歪んだ。
これで力量の差がはっきり浮かんだ。
「ふぅむ…スピードとパワーはやはりラクサスが上かの…」
マカロフは試合の状況を冷静に分析する中、イワンはつまらなそうに鼻を鳴らして試合を見るだけだ。
控室のギクリは冷や汗を顔に流れるのを気にせず、いや気がつけば深く息を吐いていた。
驚愕からの感心、そして興奮。
「最近の子たちというのは…すごいな…いや、あの二人が凄いなだけか?にしても…」
――――あのラクサスという少年、どこまで本気なのだ?
「…ッ!!」
瞬時にネロは空へと舞空術で白いオーラとともに飛び上がる。場内では限られた距離しか行動できないが、空中で距離について何も問われていない。ならば、上空で距離を開けて迎え撃てるこちらは有利だ。
そう決断してネロに対し、ラクサスはニヤリと口元の笑みを浮かべたまま手を上に翳す。
「!?」
もしや、雷を撃ってくるか!?と考え、避けるように横へ移動しようとした瞬間だった。
地上へ体を向いていたネロの背中から、落雷が落ちた。
「がァッ…!?」
まさかの予想外の攻撃、無防備となっていた背中から直撃を受けたネロは一瞬にして意識が飛びかけ――――また腹に衝撃をくらう。
「ゴハッッ…!?!?」
上空へと飛んでいた自分に、雷を纏う少年がボディブローを自分に放ったことに気づくのが遅れた。
いや、慣れない雷の攻撃、痺れに反応が遅れたというべきか。
そんなネロに反撃する隙を与えないようにしたのか、ボディブローでくの字と曲がったネロにラクサスは自身の両手を合わせ、それをハンマーの如くネロへ振りかざした。
反応もできずネロは場内の地面へ落下していく。
それに追いかけるようにラクサスは再び手に雷を宿し、ネロを追いかけるように雷で空中を疾走る。
「オォォラァァッ!!」
「―――ガァッ!!!」
そして次の攻撃の一手がネロに当たる瞬間、ネロは手に気弾を生成して地面に近い距離でぶつけ、その反動にラクサスの猪突猛進の攻撃を避けるように横へ飛んだ。
「―――!チィッ…!!」
ラクサスの拳がネロに当たらず、地面を打ち砕くように当たることで雷は不発になったかのように消散となった。
対しネロは場内外にならないようにギリギリ持ち堪え、そしてまるで映像かのようにその姿は消えた。
「!?あの”魔法”か…?確か残像…」
「惜しいな!」
魔法じゃなく、己を相手にそこに居たと思わせる技術の一つだ。しかし、そう教えてやるほどの余裕があるワケてもない。
ネロを探そうと周りへ目を向けるラクサスの後ろに対戦相手の声が聞こえた。気づく、自分に迫りくる蹴りを。
「…!!おおおぉおお!!」
そうなる前に迎え撃つ。だが、体がすぐに動ける程の反射速度を出すより―――自身に向けて落雷したほうが早い。
「さっせっかァァァッ!」
「ぶっ…!?」
そして雷が二人に落ちる前に、ネロの脚はラクサスの顔を捉え、蹴ることに成功した。
しかし、だからといって雷が止むわけではなく。
「ギャッ…アァアアッ!!ッッォ…波ァッ!!」
またまともに雷をその身に浴びることになる。日差しよりも強烈で、暑さや痺れを与えてくる痛みに堪えながらもラクサスへの追撃を止めるわけには行かない。
両手に自身よりも大きい気弾を出してそれをラクサスに向けて投げた。
「フゥッ…オオッ!!」
大きな気弾にラクサスに直撃、しかしラクサスはくらったのが嘘のように瞬時に雷と一体化し、先程よりもその速度は上がっていく。
その速度はネロの反射速度すらも超え、次にネロは殴り飛ばされることを認識した。
次に全身により痺れと熱ががさっきと比較にならないほどの痛みを感じる。
気がつけば顔を、そしてその後にラクサスによる雷を食らったことと解った。
「が…はッ…お…おお…」
「おい、まだやれンだろ」
さっきと変わりようのない声音。自分よりもダメージが低いのか。
試合をする前から気づいていた。例え、今の自分が力を上がっていたとしても…例え、ギクリとの試合から数十倍に力が上がっていたとしても、まだ勝てない。
「ぐ…ふッ…ハァ…ハハッ…」
「やっぱりな、そうこなくちゃ面白くねェ」
突然の攻防、それにアナウンサーや野次馬が何か言っているが、ネロはそれに気にする余裕がない。
むしろ、今目の前の相手しか見ていない。
まだだ。まだコイツには勝てない。
今、自分の戦闘力はどれぐらいか?いやそもそもこの星に戦闘力が重視となるかわからないが…それでもこの試合で解ることがある。今の自分じゃ――目の前のラクサスに敵わない。
「は…ハハッ…!」
どれぐらいだろうか、この差は。少なくとも自分よりこの男は何倍も強いということがよく分かる。どれくらい攻撃したところでコイツに対して決定打になりゃしない。なら、どうするべきか?
最大の技で体力を削るか?いや、それではすぐに体力がなくなって体を動かす力がなくなっちまう。
ならどうするべきか。
―――十分、高まったはずだぜ。この戦闘衝動をよ。
今の攻防で軽く満腹だ。
ネロは確かに、自分の中にあるアドレナリンにより興奮が高まり、そして別の細胞が今爆発しようとしていることを感じる。
そして次に来るのは―――理性を打ち消さんばかりの凶暴性が現れてくる。
「フゥ…!フゥッ…!!」
自身の理性を整えようとし、力を解放させる――溢れ出る白いオーラを爆発させて。
その爆発の衝撃にラクサスを顔を覆うように腕で守り、そして衝撃がなくなったと解ればネロの方に目を向けて、顔の笑みが深まる。
ラクサスの目の前には、先程よりも荒々しい白いオーラと一緒に赤く目を輝かせ、野獣と思わせる眼光で自身を睨みつけるネロが佇んでいる。
先程よりも巨大で恐ろしいと思わせる雰囲気。しかし、それがいい。
「…じゃあ本気でやりあおうぜ」
「……」
互いに浮かべるのは笑み、抑えれない笑みで構える。どちらも年相応の笑みを浮かべているのに対して、彼らが繰り広げるのは子供の遊びとは程遠い―――戦いの幕開けだ。
ネロに対抗するように雷を纏って構えるラクサス。ネロも自身の構えを取り、次の一手を決めようとする。
そんな少年たちの試合を眺めていたマカロフは確信する。この試合は、きっと。
きっと、この場にいる者たちが忘れられない試合となることを。
後書き
※戦闘力について。
前回は載せると言ったな?…いつかつぶやきに載せます…すんません。
※瀕死のパワーアップについて。
ぶっちゃけ原理が不明。理由がいくつか思い浮かぶのは、瀕死された人がどれだけ死を近くに感じるのか。S細胞による効果か。サイヤ人の身体が強敵の危険に応じて急激に成長するかもしれない。
尚、超の漫画でゴクウブラックは悟空の体に馴染むときほど強くなる。曰く「神の心とサイヤ人の身体が結びつく」など。その後完全に悟空の身体を物にしてロゼに覚醒。
※ネロは瀕死になることが多かったのに何故あまり強くなれなかったのか?
単純に姉から手加減されて瀕死になることが多く、強敵といえど細胞が急激的にパワーアップさせる必要ないと思われていた、多分。ギクリととの戦いで生まれてはじめての大幅パワーアップである。
ギクリ戦で軽く30万に辿り着いた。
※ラクサスの強さレベルは?
今作で今の状態じゃあ13か15レベル。…DBキャラで比較対象にするならまたつぶやきに…お待ち下さい()
※あのポイカプセルはなんなのか
姉が持っています。理由はある人物というから頂いたから。因みにもうもらえません。話が進み次第。
※魔法のインク
白色のインク(雑)
※ネロの気の扱い方
最初はFate/stay nightの序盤から始まる衛宮士郎の魔術の扱い方並に危なかった。
何故なら前世で考えていた扱い方とは実際に違っていたから。
姉の指摘でマシになったが、DBみたいにどうやるのかわからなくなってきた模様。最初から今でも瞑想で気(魔力)の修行を続けているおかげで大体の原作再現ができるようになった。界王拳?ハハッ!
★☆次回予告☆★
ハバネロ「姉さんの正体は一体なんなんだ…」
???「それを知るのはまだ物語的に早いですわ」
ハバネロ「いや…それにしたってあのポイカプセルはなんだよ。なに、姉さんDBキャラ出身なの?この物語ってFT世界中心なんだよな?」
???「そうですけど、私が特殊なだけです。ええ、だから次までお待ちなさい」
ハバネロ「ちぇっ…なんだろう、この舌打ちした途端に気持ち悪くなった」
???「…可愛らしいですよ?」
ハバネロ「はい、じゃあ次回予告行きましょうねー、ラクサスによる雷撃は鋭く、とてつもなく重い一撃だ。」
???「…もう。ラクサスの力は正しく自然界で強力な雷。しかし、実力は互いに近い」
ハバネロ「サイヤ人の血は騒ぐ。まだだ。まだやれると、まだ超えれると。」
???「だがそれはラクサスも同じ。そして戦闘を楽しむ少年たちは、限界を超える」
「「次回、妖精のサイヤ人」」
「第七話:ギリギリ決勝戦!咆哮を上げる少年!」
雷の申し子「まだ…!」
ハバネロ「まだ…!!」
「「終わっちゃあいねえ…!!」」
???「それでは、また次回で」
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