宇宙海賊は世界最強
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1話
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俺は全宇宙五本の指に入る剣士――『剣帝』である。
生来の髪の色と相俟って、『銀帝』と呼ばれている。
そして、俺は『ジ・エンパイア』の総帥でもある。
俺たちは『剣霊界』という自分らの縄張りを守る為、日々、修練に励んでいるが、俺だけはスリルのない日々に飽き飽きしていた。
「暇だな」
思わず、呟いたら、仲間の一人が告げ口をする。
「そりゃ、総帥であるキミは既に『聖帝』の一人。他の三人も自分らの縄張りのことで手一杯だ」
「それもそうだな」
俺は祖国の星を中心に縄張り範囲を広げてる感じだ。
そろそろ、新規開拓でもしようかな。
「そろそろ、新しいところを縄張りにしようか」
俺の発言に仲間たちは驚くも何処にするのかを気にしていた。
「何処を縄張りにするの?」
「片田舎の星――地球・・・そこにしよう」
俺が新しく定めた星の名前は地球。
太陽系で公転してる惑星の一つ。
太陽系の惑星は未だ、誰にも触れられていない。
だからこそ、新規開拓にはちょうど良いと俺は判断した。
「それで総帥。いったい誰を差し金に・・・」
仲間たちは誰を差し金に送らせるのかを進言すると俺は
「俺自らがいこうと思う」
「な、何を言ってるんだ!? 君が行くのは不味いだろう!?」
総帥「そう言うな。片田舎の辺境の星だ。なにか、珍しいものがあるかもしれない。次いでに下調べをしておこう」
俺がそう言い抑えると仲間たちも重々承知してもらい、俺は単独で片田舎の辺境の星――地球へと向かうのだった。
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宇宙船にして、艦空挺での移動。
窓から見える景色だけでも、のどかな星なのはわかる。
こういった星を中心に勢力範囲を広げるのを悪くない。
それにしても、システムによると、あの星の西暦は20XX年というわけか。
年齢も操作した方が良いな。
俺の年齢って意外と若い方だし。
ーえぇ~っと、一番身近な年齢だと――ー
おっ、此奴が良いな。
俺が身近な年齢にしたのは、今はまだ、小学生の八重樫雫を含めた天之河たち。
後に、異世界召喚で神の使徒と呼ばれる存在になる者たちだ。
「えぇ~ッと、見た目は彼らと同じようにして、成長もありで、髪の色と瞳に関しては帰国子女っていうのか・・・この星では・・・それにして、左眼だけはそのままでもいいだろう。あと、名前だけど・・・・・・そうだな。そうだ、魁銀華って名前にしよう」
俺は想像を膨らませて、艦空挺システムを使って、転生システムを使用しての地球に赴くことにした。
まあ、年齢に関しては変更しないけどな。どうせ、向こうの奴らにとってみれば、俺の本当の年齢なんて分からないからな。
それじゃあ、地球に行くとするか。
未知なる冒険というのはいつになってもわくわくがとまらない。
俺は転送システムを使用して、地球に転送した。
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静かな星だな。
いや、穏やかで、暖かな星だな。
俺がこの星に転送されてから、もう十年は経過するな。
地球の極東部に位置する国――日本。
俺は今、その国にひっそりと暮らしてる。
もちろん、私物の武器は隠してあるけどな。
今はファミレスなどでバイトしながら、生計を立ててる。
そんなこんなで週初めの月曜日がやってきた。
俺は自分の席で疲れを取ろうと、ぐったりと顔を埋め、眠りに入ろうとしたが・・・よく知ってる声が俺の耳に入ってくる。しかも、二人だ。
「おはよう! 魁くん!」
「おはよう、銀華」
話しかけてきたのは、白崎香織と八重樫雫である。スタイルやルックス、面倒見の良さから二大女神といわれてる美少女たち。
容姿に関しては、七武海の『海賊女帝』に勝るとも劣らない容姿。
どうして、この星の美少女水準が高いんだ!?
ところが、彼女たちに話しかけられてる俺に対しての男共の殺気が凄いけど、文句が言えない。それは俺の容姿である。
生まれつきの銀髪に銀と碧のオッドアイ。
女の子みたいな容姿なため、性別と相俟って『男の娘』という結果になった。
ついでに言えば、八重樫雫は剣道でメディアに報道された地球においての美少女剣士。しかも、彼女は俺と何故か仲が良い。さらに言えば、彼女は俺が落としてしまったものをお腹が空いてたという理由で口にしてしまったのだ。
超激レアの悪魔の実を・・・。
まあ、それに関しては放っておこう。
とにかく、今は――、
「・・・おはよう、白崎・・・雫・・・眠い・・・」
俺は眠たそうに二人に挨拶する。
そしたら、より一層、殺気が強くなるも、死線を潜りに潜り向けた俺にはそよ風に等しい。こんな奴らの殺気よりも三大勢力の化物共の殺気の方が怖かったよ。
「銀華。昨日も夜までバイトをしていたの? 頑張るのは良いけど、身体を大事しなさいよ」
「キミはいつから・・・俺の奥さんになった」
「誰が、貴方の奥さんよ!?」
ポカポカと雫は脚で俺に蹴ってくる。
地味に痛いんだけど・・・痛くないけどね。
「雫の言う通りだ、魁は少し生活習慣を改めるべきじゃないのか? いつまでも二人の優しさに甘えていたらダメだろ?」
「全くだぜ、昔馴染みでも変える気がない奴に何を言っても無駄だぜ」
また、五月蠅い奴が来たな。
一人は天之河光輝。端的にいえば、完璧超人の男だな。だが、唯一の弱点。自分の考えが間違ってることを疑わないこと自己チューな男だ。
もう一人は坂上龍太郎。此奴は一言でいう脳筋だ。努力や根性論を叩き込んでくるバカだ。
白崎と雫を含めた此奴らは学区が違ったが雫を通じて知り合った関係だ。
「仕方ねぇだろう。自分で金を稼いで生計を立ててるんだから。文句を言うんだったら、自分で金を稼いでから言うんだな」
俺はそう言い返して、雫に三人を任せて、俺は眠りにつく。
とにかく、眠いもんは眠い。
俺の生活習慣なんて、とっくの昔に壊れてるよ。
海賊なんてほぼ一日起きてるときだってあるんだからな。
ファ~、眠い。
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雫サイド
私には香織や光輝たちとは違い、今も恋してる幼馴染みがいる。
学校は違っても剣道場で通じ合って、未だに私の王子様に思える。
魁銀華。昔は危なかしくってよく喧嘩とかして、不良をしていた時期もあったけど、今は生活費のためにバイトをしてる男の子。
私も時折、ご飯を持っては美味しそうに食べて貰ってる。
でも、前に彼が道場に忘れ物をして、それを誤って私が食べたときの彼の驚きようは面白かったわ。だけど、私は彼が忘れていったものを食べたせいで、カナヅチになったじゃない。
それにしても、いつの間にか、香織は南雲くんとの方に向かったわね。
彼女は彼のことが好きなだけ・・・。
いつものように話してるだけなのに、光輝と龍太郎が割り込んでしまう。
本当に彼らって私たちが一緒にいられると思ってるなら大間違いね。
いつまでも世話ができると思ってるのだったら大間違いね。
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銀華サイド
あれからずっと眠っちまったようだ。
俺が寝る時間が不規則だな。
お昼は時間都合上、外で飯を買ってくることもしていない。
それは何故か――。
それは心配性の雫がいるからだ。
「銀華。寝ていないで、お昼を食べましょう。どうせ、朝から何も食べていないんでしょう」
よく分かったな。
そうだよ。最近、自炊してる時間がないから飯なんて食ってねぇよ。
それよりも、白崎の奴、相変わらず、南雲にべったりだな。
まあ、俺としては面白いけどな。
だけど、この不穏な空気をなんとかしてほしいものだよ。
それは俺も同じか。
すると、そこに天之河光輝が
「香織、雫、コッチで食べよう。南雲も魁もまだ寝たりないらしい、せっかくの美味しい手料理を寝惚けたまま食べるなんて、俺が許さない」
アホか、誰がお前の赦しがいるんだよ。
「え? なんで、光輝くんの赦しがいるの?」
天然な白崎の発言に俺はプッと口から噴き出してしまう。
それは、雫も同じで笑いを堪えてた。だけど、クラスの空気が本気で凍ったな。
あのバカの説得も天然には勝てやしねえよ。
そんなやり取りを見ながら、俺は雫が用意してくれたお昼を口にする。
うん、相変わらずうめぇな。
昼飯を食いながら、俺はふと、あのバカの足元を凝視する。
さらに、見聞色の覇気による少し先の未来を視て、ヤバいことを知る。
あのバカの足元には、宇宙でしかお目にかからない陣だ。『魔霊界』にあるはずの魔法陣だぞ。
俺は思わず口走った。
「何故、『魔霊界』の・・・術式・・・」
「え?」
俺が口にした言葉を雫が耳にしてしまう。
雫が聞き返そうとするも今はそんなところではない。
大海賊団の船長である俺は『魔霊界』出身の化物共とはやり合ったことがあるが、今でも非日常に慣れ親しんでる俺だからこそわかる。
「テメエら! さっさと廊下に出ろ!」
俺の叫びも無駄に終わる。
魔法陣が教室全体に広がっていき、周りが悲鳴を上げてる。
まだ残ってた愛子先生も逃げるように叫ぶも既に遅すぎるわ。
「チッ、雫!」
こうなったら、自棄だ。転移先で何が起きても対応できるよう、雫の手を掴む。
そのまま、眩しい光が教室を包み込み、残ってた俺たちは転移に巻き込まれた。
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後書き
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