曇天に哭く修羅
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第一部
崩壊
前書き
書くペースを上げたいが昔のようにモチベーションが湧かないんですよね。
_〆(。。)
第2ラウンド開始直後。
《立華紫闇》が左手中指の関節を鳴らすと彼の纏う白銀の魔晄防壁が闇色に染まった。
「これがそうか」
《橘花 翔》が警戒していたもの。
《江神春斗》との戦いで見せた鬼。
「もう終わりかと思ったけど」
そう呟いたのは《黒鋼焔》達の所に来て観戦していた《クリス・ネバーエンド》
「どっちの肩を持つわけでも無いんだけどシアンを応援させてもらうわ」
(リベンジしてやりたいしね)
外野のことなど知らない紫闇は吹っ切れたかのように翔へ直進する。
豪快な右フックをフルスイング。
テレフォン全開の大振りパンチ。
当然のように当たらない。
カウンターの左ボディが入る。
翔への強引な攻めに意味は無い。
第1ラウンドで思い知らされたはず。
なのに紫闇は止めなかった。
ひたすら前へ出て攻撃を行う。
その全てを回避されている。
勿論カウンター付きで。
しかし一部の者は気付いていた。
紫闇はやけになったのではない。
相手を自が術中に落とす。
そういう目をしている。
血に染まっていく彼が倒れ込む。
この試合で初めてのダウン。
しかしテンカウントが終わる直前に脚を震わせながら立ち上がって見せた。
「立華紫闇は心身共に頑強だな。よほど気合いを入れて鍛えてきたと見える」
《江神全司》は納得。
これだけタフなら耐えられると。
「才能が有る奴でも壊れるような鍛練を乗り越えてきてますからね。短期間であそこまで成長した彼は自慢の弟子ですよ」
《永遠レイア》は劣勢に立たされている紫闇のことを誇らしく思っていた。
「小僧は黒鋼の技を使うが黒鋼ではない。じゃが儂等の意思は心の底まで刻み込んであるからのう。黒鋼は諦めが悪いぞ?」
《黒鋼弥以覇》は目を細める。
「勝負はこれからさ」
焔は不気味に微笑んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
第2ラウンド後のインターバル。
紫闇は満身創痍の体。
そんなふりをしていた。
「あ~痛ぇ。マジでキツいわ~。でも橘花は江神と同じで響かねぇんだよなぁ。クッソつまらなくてどうしよう」
黒鋼と同じく好戦的で力と強さを欲する鬼のスイッチを入れた彼は『勝ちたい』のと同じくらい『楽しみたい』という思いを持つ。
今は医者に体を確認されている。
動けるのは奇跡と言われる程に痛め付けられた彼のことを誰もが第3ラウンドでKOされると思っているだろう。
それこそ紫闇の思惑。
第3ラウンドが始まるや否や第2ラウンドと同じように愚直な攻めで突撃。
紫闇は【魔晄外装】を付けた右腕を主としてひたすら拳を出し続ける。
「もう策は無いか?」
翔の問いに答えず腕を振った。
一歩下がった翔は再び聞く。
「術は無いんだな?」
「これが答えだッ!」
紫闇の左拳は空を切るが翔の方は左ジャブで紫闇の腕を弾いてしまう。
「なら少し強めに行くぞ」
翔の左手が白銀に光った。
閃光が紫闇の顔に直撃して頭部を包み込んでから爆発すると流れるような二発目の左が腹へと着弾して更に銀の魔晄粒子が散る。
まるで黒鋼流の【禍孔雀】
(こいつも【練氣術】を使えたのは予想外だが江神と同レベルの想定をしてたからな。お陰でまだ踏ん張れるよ)
バックステップで距離を取った翔がオーソドックスなボクシングフォームを構えた。
決めるつもりだろう。
紫闇は翔の初動に対し、僅かに遅れたタイミングで踏み込んでいく。
【打心終天】を使う時が来たのだ。
禍孔雀を発動して右手が金色に。
翔と自身の推進力に禍孔雀が掛け合わさって生まれる絶大の威力のカウンターは普段の禍孔雀と比較して数十倍。
格が一つくらい上の相手なら、決まりさえすれば確実に倒せると言って良い。
(この三ヶ月が報われて終わりだ)
本当に色んなことが有った。
「ん?」
(ちょい待ち。何だその面。急に来た負けに対して普通はそんな顔しないだろ。まさかここまでの展開を読んで───)
タイミングを合わせていた打心終天は今まで以上に速い翔の急加速によって外れる。
「これでも立てるか?」
紫闇が絶望する前に彼の視界は銀の光で埋まり体は浮遊感に包まれた。
後書き
5年くらい前は四六時中ずうっと書きたくて仕方ないのが困るくらいだったのに。
_〆(。。)
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