ラブドライブ!〜女神の守り人〜
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転生した彼らは何の為に生きるのか?
count,6 Weak
前書き
・高田ユウキ
本作主人公の1人。現在17歳。魔進チェイサーに変身する力を得た。目的に為なら手段を選ばない面があり、自身の感情を圧し殺しながらでも使命を遂行していく事が出来る。頭脳面も異常に優れ、上記の事もあり、クリムからは警戒をされている。またユウキもクリムや神には疑念を抱いている。とはいえ基本的には自由奔放な性格で、子ども好きという優しい所もある。戦闘能力は他の2人よりも遥かに高く、生身の素手でも下級ロイミュード程度なら充分渡り合え圧倒出来る。平成ライダーの主人公達で言うと天道総司や門矢士の様なキャラをイメージ。
放課後俺は理事長室である人物に詰め寄られている。俺を鋭く見つめる碧眼……。彼女の名は絢瀬絵里だ。
「何でやりたくないの?」
「何度も言ってるだろ。やりたくないから、やりたくないんだ」
「……だったら、名前を置くだけでも…」
「俺の名前は簡単に貸せる程、安くない」
何の事だと思うだろう。実は理事長に生徒会に入れと頼まれたのだ。男の目線から音ノ木坂を見る為に、男子の生徒会役員が欲しいとの事だ。俺は断ったが、何故か絢瀬がしつこくやれと詰め寄ってくるのだ。
俺はそれをする訳にはいかない。理由は3つある。
1つ目は時間。俺はロイミュードを潰していかねばならない。それなのに更に生徒会の業務をやる何て事になれば多忙過ぎて死んじまう。
2つ目………俺はこの女、絢瀬絵里が苦手だ。コイツは何処と無く、昔の俺と似ている所がある。くだらない責任感やプライドで動いている。そして自分を圧し殺してる。……同族嫌悪というやつだろうか?コイツの事はとにかく苦手だ。
そして3つ目……これが最も重要な理由だ…。それは………
「やりたくない」
そうだ。とにかくやりたくない。何が哀しくて生徒会なんざ入らねばならんのだ?冗談じゃない……絢瀬と東條で充分だろ?
「貴方は学校の為に試験生として来たんでしょ?だったら、学校に取って有意義な行動をする義務があるわ」
「俺が生徒会に入るのが有意義と?」
「そうよ。貴方は男性。この音ノ木坂学院が男性の視点からどう映るかを見る。それはとても有意義だと思うけど?」
「だったら他の野郎共にでも頼めばいい。俺じゃなくても問題はない筈だからな」
「ウチがユウキ君を推薦したんや」
そう言って絢瀬の後ろでニコニコしている東條。
「………ご自慢のカードが、そう告げたのか?」
「うーん…まぁ、半分はな」
「希、口出ししないで」
絢瀬に制され、カードを口元に当てて黙る東條。そして絢瀬は再び俺をその碧眼で見つめた。
「正直、私も貴方の生徒会加入には反対よ。他の男子も加入して欲しくはない。…でもこれは学校の為なの。早急に入ってもらうわ」
それだけ言うと絢瀬は理事長に一礼をして部屋を出ていった……。
「あーあー、怒らせちゃったね?」
「黙れ。元を辿れば、東條が俺を推薦しなければ、こうはならなかった」
俺の応えに「それもそうやねっ」と言って自分の頭を小突いてウィンクをする東條。腹立たしい。
「ごめんなさいね。私が男の子の意見を効率的に取り入れる為に男子を生徒会に加入させたらどうかしらって私が絢瀬さんに提案したせいで……」
「いえ、理事長の言われてる事は理に適ってます。ですが、私にはその役目は不適応かと思われます。力になれず申し訳ありません」
申し訳ないという顔で理事長が謝罪をしてきたので、俺は丁重に言葉を返し、頭を下げる。そして理事長室を退室しようとした……が。
「あ、ちょっと待って」
「ッ……何か?」
「個人的に頼みたい事があるんだけど、良いかしら?」
「……内容によります」
「私の娘に、我が家の鍵を届けて欲しいの。今日は用事があって家に帰れないんだけど…あの子、鍵を忘れてしまっててね…」
「それでしたら私よりも東條の方が適任かと思いますが」
「あー…ウチは無理やね、これからちょっと用事があるんよ」
東條が「ごめんな」と言ってウィンクをして舌を出す。殺すぞ。
「だから高田君に頼みたいんだけど……お願いして良いかしら?」
……まぁ、断る理由は無いな…。という事で俺は理事長の頼みを受ける事にした。
しかし、理事長の娘って事は……。
_______________________
「ふわぁ〜…」
私、南ことりは今、アルパカさんを眺めてます。今日は友達が用事で先に帰っちゃったから、ことりは1人でアルパカさんの小屋に来て、こうして癒されてるの。
「やっぱり可愛いなぁ〜、アルパカさん…」
ことりはアルパカさんが大好きなんです!だってモフモフしてて可愛いから!
本当に癒されるねぇ〜……。
「おい」
アルパカさぁ〜ん……。
「おい」
モフモフぅ〜……。
「おいっつってんだろ」
「ひゃっ⁉︎」
声をかけられてる事に気付いた私はビックリして振り向いた。するとそこには背の高い黒髪の男の子が立っていたの……。
男の子はムスッとした顔で私の事を見てる…。
何だろう…?ことり、何か悪い事したかなぁ…?男の子はこっちに歩いてくる。ことりは少し泣きそう……怖いよぉ…!?
男の子は私に何かを差し出した…。これは…鍵?
「理事長……いや…この場合は君の母親からと言うのが妥当だろう……君の家の鍵を渡すように頼まれてな」
「へっ?…」
私は男の子から家の鍵を受け取った。今気付いたんだけど、この人先輩だ。
「なら、俺はコレで」
「あっ…えっと……」
その先輩は私に背を向けて歩き出した。私はお礼を言う為に声を掛けようとした。でも、さっきまで怖がっていたせいか、上手く声が出せない…。
「嗚呼、そうだ」
先輩は私の方に身体を向けた。
「最近は色々と物騒だからな。暗くなる前に帰った方が身の為だ。それと出来るだけ人通りの多い道を複数人と一緒に帰れ。そうすれば安全だ」
「へっ!?あ、はい…わかりました……」
「宜しい…じゃあな」
先輩はまた背を向け、そのまま校舎の方へ行ってしまった……。
「………あ、名前…聞いてないや…」
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私、絢瀬絵里は少しイライラしながら帰路についていた…。
原因は高田ユウキ……
彼は何故、学校に非協力的なのか?学校の為に入学したのではないのか?私には彼が理解できない…。試験生なら学校の為になる行動をするべきだ。
「そうでないと…音ノ木坂は……」
「エリーチカ……」
突然私は誰かから昔のアダ名を呼ばれた。振り向くとそこには私と年のあまり変わらないくらいの男が立っていた。
「何かしら…?というか、どうして私の名前を…?」
私は警戒の目を向けながらその男に尋ねた。すると男は口角を上げ不気味な笑いを見せた。そして少しずつコッチに近づいてきた。
「ああ…!?本物だァ…!!可愛い…可愛い過ぎる!……これを好き放題出来ると思うと、興奮が止まらないよ……!!」
「……フザケてるの…?警察呼ぶわよ…!?」
な、何なのこの男は…!?気味の悪いけど、ここで同様した姿を見せれば何をされるかわからない。私は気丈な態度で男の前に立っていた。
「警察?……呼んでもいいよ………無駄なだけだから…」
私の顔は恐怖で引き攣った。男がいきなり怪物に姿を変えたのだ
「な、何…!?」
「さぁ…エリーチカ……俺の…俺の物にィィ…!!」
私は後退りをする。本当は走って逃げたいが、恐怖で足が竦んでいて、後退りするのが精一杯だった。
怪物はジワジワと私との距離を詰めてくる……。
もう駄目だ…!?
すると突然、曲がり角から手が伸びてきて私の腕を掴み引き寄せた。
「きゃッ!?……今度は何……うッ!?」
私は首の辺りに衝撃を受けた。そして私の意識は沈んでいった……。
________________________
「ふぅ……間に合った」
俺は気絶させた絢瀬を地面に寝せた。起きてコイツがロイミュードの事でワーワー騒いだら、「夢でも見たんだろ」って言うか…。
「ど、どうしたんだエリーチ……ギャアッ!?」
曲がり角を曲がってきたロイミュードに対して俺は振り向きもせずに、顔面に裏拳を叩き込んだ。倒れたロイミュードの胸元のナンバーを確認––––––093……雑魚か。
「グッ…何なんだお前は!?」
「何だろうな……?俺にも解らん」
《Break up…!》
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「っ……」
私は目を覚ました。だが先程まで気を失っていた為、まだ少し頭がボーっとする。
ん…?
私は違和感を感じた……。もしかして今…誰かから膝枕されてる…?
そう思い見上げたその先には、高田君が私の事を見下ろしていた。
「えっ!?ちょ…きゃっ!?」
驚いた私は立つ上がろうとしたが、バランスを崩して彼の膝から落ちてしまった。
「イッタ…!?」
「馬鹿……急に立ち上がる奴がいるか」
「……普通大丈夫とか言わない?」
「勝手に転んだ奴に対して心配などしない」
「それが女性に掛ける言葉かしら?紳士の風上にも置けないわね」
立ち上がって服に付いた埃を払う。そして一つの疑問が浮かんだ……。
「でも、どうして高田君が居るの?…………というかあの怪物は!?」
そうだ、怪物!アイツは一体何処に……?
「怪物だァ?何言ってんだテメェは?」
「だってさっき、私の事を怪物が…!!」
「幻覚でも見たんだろ……俺はお前が道端で倒れてるのを見つけて、わざわざここまで連れてきたんだ。本当に怪物がいたらお前死んでるだろ?」
…………確かにその通りかも知れない…。
「でも…やっぱりアレが幻覚とは思えないわ…」
「ほぉ……余程頭をやられてるらしいな…」
そう言うと高田君は立ち上がり、私の額に自分の額を当てた……!?
「えっ…なッ!?」
「……少し熱がある様だ。早く帰って寝ろ」
高田君は当ててた額を退かし去って行こうとする。
「ま、待って!?」
私は思わず彼の足を止めさせた。
「……何だ?」
「何で…生徒会に入りたくないの?」
「またそれの質問か……何度も言うが、やりたくないから。ただそれだけだ」
「もっと納得出来る理由が欲しいわ」
高田君は私から一旦目をそらして頭を掻く、そして再び私を鋭い目で見てきた。
「なら教えてやろう。俺は絢瀬が苦手だ」
「それってどういう事…?」
「言葉通りの意味だ。絢瀬の様にくだらん義務感で動く奴は根本的に苦手だ……。俺はお前が相手だとやり辛い。だからだ」
「……」
流石に私もショックだった。だって嫌いって言われた様なものだから。例えその相手が、ただのクラスメイトだとしても……人の嫌われるという事を今迄全く経験しなかった訳ではない。でも、やはり人に嫌われるというのは辛い事だ……。
「そうよね……嫌いな人がいる場所になんて、居たくないわよね……ごめんなさい、無理に誘おうとして……」
「は?」
次に彼から返ってきた言葉は予想外のものだった……。
「勘違いするな。俺は絢瀬の事は嫌いではない」
「えっ…?」
「ただ苦手なだけだ」
「でも…それって嫌いって事なんじゃ…?」
「”苦手=嫌い”とは限らない。だってそうだろ?苦手だから嫌いなどと決めつければ、人の視野は狭くなるからな」
「人の…視野?」
「世界を見る視野って事だ……」
それ言い終えると同時に高田君は去って行く。私はその背中を只々、見つめていた……。
______________________
「さて…飯だ」
次の日の昼休み。俺は教室で弁当を食べようとしていた。因みにコレは俺が自分で作った物だ。料理も完璧に出来るのが俺だ。
さぁ、頂くとしよう。風呂敷を開き、フタを開け、箸を手にしたその時だった……。
《2年A組、高田ユウキさん。理事長室に来て下さい》
「……」
放送で呼ばれてしまった……。無視するか…。とはいえ試験生である以上、そんな事はできんか……。
「アンタ何かしたの?」
矢澤が俺の前に来て尋ねる。
「知るか。俺が聞きたいくらいだ」
「ふーん…………玉子焼き、もーらいっ!」
矢澤の手が、俺の弁当に伸びてきた……が俺は矢澤の手が届く前に、素早くフタを閉め、風呂敷で包んだ。
「うわっ!?けち!」
「何とでも言え」
俺は弁当を鞄に入れ、教室を出ていった…。
_______________________________________
俺は今、理事長室に来ている。
そこには俺以外に南理事長、絢瀬絵里、東條希がいた。
「高田君。貴方に頼みがあります」
絢瀬が俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。
「何だ?」
「生徒会に入って、私達に力を貸して下さい。お願いします!」
「ウチからも、お願いします!」
絢瀬、そして東條が俺に頭を下げる。
「……何故?」
「ただ貴方が必要なの…この学校には……そして、私達には…」
この馬鹿は……。
ダメだな……この手のタイプに本気で頭を下げられると、どうしても断れない……。
「分かった…」
「えっ…!?」
「ホンマなん…!?」
「二度言わせるな。俺は現時点で生徒会の役員に所属しよう」
俺がそう言うと、絢瀬と東條は目を合わせて笑い合った。そして絢瀬が俺に手を差し出す。
「コレからよろしくね、高田副会長」
「ああ………ッ?」
絢瀬の手を握ろうとした俺の手が止まる……。
副会長……?
「おい、どういう事だ副会長って……」
「そういう事よ。私は生徒会長として働く。だから高田君には生徒会副会長になってもらうわ」
「ちょっと待て副会長は……ッ!?………」
………んっ?
副会長は……何だ……?
「どうかした?」
「いや……何でもない」
「ウチも一緒に副会長やるから安心してなっ」
東條が俺にそう伝えてきた。副会長2人とか珍しいな……。
「……そうか、なら俺が仕事をキッチリ熟さねばならないか」
「それどーいう意味ー?」
頬を膨らませる東條。それを絢瀬が宥めている。
「貴方が入ってくれて本当に嬉しいわ。お互い頑張りましょ!」
絢瀬が屈託無い笑顔を俺に見せてくる。
…………やっぱり、コイツは色々な意味で苦手だな……。
後書き
6話目、ユウキ編でした
ユウキ編は彼が音ノ木に居る為、ラブライブキャラがよく出ます。
次回は久々ドライブ=タカユキ編です!
戦いを決意したタカユキ。アレから何があったのか……?
と言った感じで終わらさせて頂きます
感想、評価、ご意見、その他、随時お待ちしてます!
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