なんかポケモンの世界に転生したっぽいんだけど質問ある?
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さいきょうの チートツールを てにいれたぞ!
「さて、お前達にはこれもプレゼントしよう」
そう言ってオーキド博士は赤い手帳の様な物を渡してくる。
「これはポケモン図鑑。出会ったポケモンのデータを記録していくハイテク図鑑じゃ」
おぉ、ポケモン図鑑!俺も図鑑完成の旅に……
「分布図は殆ど完成しておる。別に埋める必要は無いが……」
無いんか~い!まぁそりゃそうか。生息地域の調査なんて、基本中の基本だからそれこそ毎日の様に続けられているハズだし。
「たまには図鑑を儂に見せに来てくれ。完成度の高さでご褒美をやろう」
ほほぅ。そう言えばゲーム内でも完成度に応じてアイテム貰えるイベントあったっけな。さてと、この後はどうなるのやら。いつものパターンだとポケモン貰ったんだしバトルしようぜ!ってのがお決まりのパターンだけど。
「おいお前ら!」
グリーンの声が挙がる。おっ、来たか?
「早速トキワシティに行ってトレーナー資格とっちまおうぜ!」
「トレーナー……資格?」
聞き慣れない言葉だ。
「何だよキョウヘイ、知らねぇのか?正式な『ポケモントレーナー』になるには資格試験が必要なんだぜ?」
「何……だと……!?」
グリーンの話によると、ポケモントレーナーというのはポケモンバトルによって金を稼ぎ、収入を得る『職業』らしい。それだけで食っていけるなら良いんだが、大概のトレーナーは副業を持っているとの事。ただポケモンを所持しているだけならトレーナー資格は要らないのだが、各地のポケモンリーグ公認ジムを廻りバッヂを集め、ポケモンリーグに出場するにはトレーナー資格が必須らしい。
「ふぅん……猛獣許可証みたいな物か」
前世でも虎だの鷹だの危険な生き物を飼うのは許可が必要だった。ましてや火を吐いたりとんでもない力を持っていたりするポケモンだ。その管理には相当な危険が伴う。危険が伴う事を自覚させ、責任を持たせる意味を込めての資格試験なんだろうな、多分。
「そうね……私はいいわよ?」
「…………ん」コクコク
「俺も問題ねぇな」
折角だし、ポケモンリーグとか出てみたいじゃん。このスーパーマサラ人共相手にどれだけ戦えるか解らんけど。
「じゃあ、一旦家に戻って旅の支度したら1番道路の入り口前に集合な!」
そう言ってグリーンが駆け出していく。やれやれ、忙しない奴め。そんな事を考えながら、俺は家路に着いた。
母さんにトレーナー資格を取りに行くという話をすると、
「キョウヘイに取れるのかしら?父さんも母さんも、あんまりポケモンバトル得意じゃないから……」
と心配された。親父を見かけないから仕事はしてるんだろうとは思っていたが、うちの親父は旅をするトレーナーではなく、ポケモンリーグの開催地……セキエイ高原にリーグ運営スタッフとして、年間通して単身赴任状態らしい。それって割と高給取りなのでは?やるなぁ顔も知らぬ父よ。
「まぁ、何とかなるでしょ。多分そのままバッヂ集めの旅に出る事になると思うから、暫くは帰らないよ」
「あらそう?寂しくなるわねぇ」
こっちとしてもこんな美人のママンと離れるのは惜しい。非常に惜しいんだが……リアルなポケモンの世界を旅する事が出来るという魅力には敵わない。
「んじゃ、俺荷物纏めに行くから」
そう告げて、2階の部屋へと戻る。
「さてと、必要な物は~……着替えに、雨具、懐中電灯に、非常用の缶詰と」
キャンプ用のテントやら、自転車やら必要だと思うんだが、母さんが、
『パソコンに預けておくから、後でポケモンセンターで引き出しなさい』
って言われたんだが。どういう事だろうか?まぁ、その辺も後でポケモンセンターで聞いてみよう。
「ふぅ、こんなモンか」
さて出発しよう、と部屋を出ようとした瞬間。
ブーッ、ブーッ、ブーッとくぐもった『バイブ音』が鳴った。おかしい。明らかにおかしい。さっきオーキド博士にもママンにも聞いたが、ポケモン世界で初とも言える携帯型通信機の『ポケギア』はまだ発売すらされていないらしい。2人にポケギア持ってる?と聞いたら思いっきり変な顔をされてしまった。ならばこのバイブレーション音は何が奏でているというのか。俺は恐る恐る、音のする布団をガバッと捲った。
『ふぃ~っ、ようやく帰って来やがったナ!キョウヘイ!』
瞬間、スマホが布団から飛び出して来て、俺に文句を垂れて来た。
「ス、スマホ……ロトム?」
スマホロトム、というのはポケモン『剣・盾』に出てきたロトムの取り憑いたスマホの事だ。ロトムを知らない人の為に簡単に解説すると、家電に取り憑いて悪戯をするゴースト……のポケモンである。
『あぁそうサ!オレサマはお前のスマホに取り憑いたロトム様ダ!』
「……まてまて、『俺のスマホ』だと?」
この世界にスマホは存在しない。だが、目の前のコイツは確かに俺のスマホ、と断言しやがった。つまり、
「お前は、俺が転生者だって……知ってるのか?」
『当たり前だロ?何しろ、お前のサポートをする為にオレサマが送り込まれたんだゾ?』
「誰に?」
『誰にって……アルセウス様ダ』
「……はぁ!?」
ーーアルセウス。この宇宙を作った、神の如きポケモン。そういう『設定』を持ったポケモンがいる事は俺も知っている。だが、それはあくまでゲーム内での設定であり、現実には有り得ない……ハズだった。しかし、現に俺は今こうしてポケモンの世界に立っている。
「マジで……居るのか?伝説のポケモンが」
『あぁ、いるゼ?お前が知っているのは全てナ。ジンボ=キョウヘイ』
「マジでか……ホウエン地方とかえげつない事になるじゃん」
まさか、そのトラブルを止めるために俺が呼ばれたとか!?
『ア~……お前が何を想像してるか何となく解るガ、お前がこの世界に来たのは偶然というか、事故ダ』
なんですと?
『アルセウス様がお前達の世界に干渉しようとしたらうっかり地震が起きたらしくてナ。そこでお前が唯一、固定してなかったフィギュアの棚の下敷きになって死んだらしい』
「えぇ……何その死に様。間抜け過ぎない?」
うっかりのレベルが壮大すぎる。そしてフィギュアにまみれて圧死とか……シュール過ぎるぞ、俺。
『アルセウス様もお前の寿命が来る前に殺してしまった事を気に病んでナ。そこでお前がポケモン好きだと知ってこの世界に招いたのサ』
「成る程ねぇ」
『そして、この世界の事を全く知らないであろうお前にサポートツールとして付けられる事になったのがオレサマって訳だ。感謝しろよ?シシシ!』
「感謝しろ、って言われてもなぁ……お前何が出来んの?」
『色々出来るゾ?まず手始めにお前の腰に付いてるモンスターボール、見せてみナ』
言われるがままにワニノコのボールを差し出す。するとスマホロトムの目から赤外線的なビームが照射され、ボールを上から下までスキャンするように照らす。
『キキ……解析中…解析中………完了!』
『見ろ、コイツがお前のワニノコの能力値ダ』
スマホロトムの言葉と共に、スマホの画面にステータスが表示される。
ワニノコ(ニックネーム:なし)
特性:ちからずく
レベル:5
HP:さいこう
こうげき:さいこう
ぼうぎょ:さいこう
とくこう:さいこう
とくぼう:さいこう
すばやさ:さいこう
「ブッ!」
思わず噴き出した。ワニノコのステータスがあんまりにもあんまりだったからだ。夢特性の上に6Vだとぉ!?最初に手渡されるポケモンなのにコレ!?ゲームでプレイしてるプレイヤーの皆さんに申し訳無くなるレベルじゃねぇか!
『お前が居ない間にパソコンに憑依して調べたが、この世界はまだ特性どころか持ち物を持たせるという概念すら生まれて無いゾ』
「……マジで?」
おいおい、それガチで第1世代の環境下って事じゃねぇか。
『そこでお前に生まれるアドバンテージが……これダ』
スマホの画面にとあるアプリケーションが表示される。
「ポケモン……ホーム?まさか!」
『ケケケ……そうサ。お前が向こうの世界で手塩にかけて育てたポケモン、こっちの世界で使える様にしてある。それと、お前の○witchはアイテム管理用の端末になってる。前世で使っていたキャラクターのアイテムを、そのまま引き出して使えるゼ?』
「マジで!?スゲェなアルセウス!」
流石は神と呼ばれるポケモン、地球の神様よりよっぽど有能じゃね?フフフ、やべぇ。笑いが止まらんわ。
「よし、決めた……」
『何をダ?』
「俺、真面目にチャンピオン目指すわ。そして、俺の溜め込んだポケモンの知識で、ポケモンバトルをもっと面白くしてやる」
ポケモンバトルは新作が出る度、世代が変わる度にルールやその対戦環境を複雑かつ幅広くしてきた。第1世代のバトルをただの殴り合いとするなら、最新の対戦環境は対戦者同士の心理戦すら絡めた総合格闘技の試合の様な物だ。俺は育てるのが好きであまりバトルの方は上手くなかったが、そんな環境だからこそ育てがいがあるし、何より楽しかった。
「ポケモンバトルの進化の針を、俺の手で進めてやる……!」
『ケケケ、面白そうじゃねぇカ』
「お前の手も貸してもらうぜ?スマホロトム」
『ケケケ、付き合ってやるゼ』
こうして俺は、この世界ではオーパーツと言ってもいいレベルのチートツールを手に入れたのだった。
後書き
そりゃ第1世代の環境下に第8世代の環境ぶちこんだら一人勝ち出来ますがな……
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