ドリトル先生の林檎園
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第十二幕その十
「やっていくよ」
「そうするね」
「うん、本も読んでるし」
皇室に関する本をというのです。
「だからね」
「それではね」
「皇室のことも学んで」
「それでだね」
「立派な王様になるよ」
王子は先生に約束しました、王子にとっても長野県の旅は非常に利のあるものでした。そして先生のお家にです。
サラが来て先生のお話を聞くとこう言いました。
「それでお弁当美味しかったの?」
「長野県のことは聞かないんだ」
「それは後でよ」
緑茶を飲みつつ言うのでした。
「そのことは」
「そうなんだ」
「それよりもお弁当よ」
「日笠さんが作ってくれた」
「そう、どんな味だったの?」
「凄く美味しかったよ」
先生はサラに笑顔で答えました。
「火加減も味加減もよくてね」
「よかったのね」
「お握りもね」
こちらもというのです。
「おかずと同じだけね」
「美味しかったのね」
「真心を感じたよ」
「その人の」
「ええ、凄くね」
本当にというのです。
「満足出来たよ」
「それは何よりよ」
「日笠さんはお料理もいい人だね、それで美味しいと言ったら」
「どうだったの?」
「また作りますね、僕が言ったらって言ってくれたよ」
「もう間違いないわね」
ここまで聞いてです、サラは言いました。
「これは」
「間違いない?」
「ええ、間違いないわ」
こう先生に言うのでした。
「このことは」
「何が間違いないのかな」
「兄さんがわからないことよ」
サラはここではむっとなって先生に返しました。
「そのことがよ」
「僕がわからない」
「学問や世の中のこととしてわかっていても」
「それでもなんだ」
「兄さん個人としてはね」
先生にまた言うのでした。
「わかっていないことよ」
「そうしたものなんだ」
「そしてね」
さらに言うサラでした。
「これは間違いないから」
「またそう言うんだね」
「そう、幸せはね」
それはというのです。
「もうすぐ目の前になるわね」
「僕の幸せがだね」
「これで私も安心よ」
今度はにこりとなるサラでした。
「兄さんならって思っていたけれどね」
「僕ならだね」
「そうよ、それじゃあね」
サラは先生に上機嫌で言うのでした。
「これから長野県のお話をね」
「それをだね」
「聞かせてくれるかしら」
こう言うのでした。
「これから」
「うん、それじゃあね」
「林檎の有名な県よね」
「あとお蕎麦がね」
「山に囲まれていて」
「それが長野県なんだ」
先生は長野県のことは明るくお話しました。
「いい場所だったよ」
「そうなのね」
「サラも機会があったら」
その時はというのです。
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