剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
058話 文化祭編・開催2日目(05) まほら武道会・本選開始 その5
前書き
更新します。
クーネルがエヴァにいった言葉。
『彼はおそらく今も生きています。この世界のどこかに…。それは私が保証しましょう』
奴は俺たちにも聞こえるようにそう告げた。
それは別段話しても構わないと言うことだろうか。
だがネギ君にはヒミツにしておいてと言われたので今は隠しておこう。
「それよりお前の目的はまずそれがひとつか?」
「さて、どうでしょうね? それより私は消えていますね。それより次の試合はがんばってください、お二方」
そういってクーネルは姿を消してしまった。
本当に謎が多い奴だ。
それはともかくとして試合が始まるからいくか。
『さぁ一回戦最期の試合がやってまいりました。まずは麻帆良囲碁部エヴァンジェリン・A・K・マクダゥエル選手!!
続いてはさきほど苛烈な試合を見せてくれたネギ・スプリングフィールド選手の補佐をしている副担任であり『死の鷹』といわれ不良生徒に恐れられている教師、衛宮士郎選手!!』
朝倉の実況で観客が沸きあがる。
半分は「可愛い」やら「大丈夫?」と言う声が上がり、もう片方では「男の姿を見せてくれ」や「その背中についていきてぇ」という声が上がる。
半分はわかるがもう半分からは嫌な空気を感じておもわず身震いしてしまった。
だいたい男の姿ってなんだ?
『皆さんもいい具合にヒートアップしていますね! では一回戦最期の試合を始めさせてもらいたいと思います』
朝倉のアナウンスを聞き流しながらエヴァに語りかける。
「そういえばこうして面と向かうのは初めてかもしれないな」
「そうだな。前のときは途中でいなくなったようなものだからな」
「ちがいない。だが今回もあまり力は使えんからどうしたものか…」
「では夢の世界にでも行くか?」
「ふむ、それも一興か」
「ではお前が負けたら…そうだな。私のものにならないか?」
「それは遠慮願いたいな」
「だろうな」
『おおっと、なにやら教師と生徒同士でなにやら会話がなされています。試合前の言い合いか?』
俺は朝倉にいや、なんでもないとだけ声をかけて試合を促した。
それが伝わったのかマイクにも力が入ったらしく。
『それでは第八試合!! ファイト!!』
そして試合が始まった。
瞬時に魔術回路で身体を強化する。
眼前の敵はおそらく無手でもかなりの実力だ。無闇に突っ込むのは得策ではないだろう。
それに…
「開始早々にして糸がそこら中に展開されているとは…それに早い。魔術も応用しているな?」
「まぁな。研鑽してきて最近はものにもしてきたさ。このように、な」
エヴァが腕をくねらせると途端に糸が襲い掛かってくる。
即座に瞬動術を繰り返し狙いからずれて逃げの一手をとる。
刃物を使えばすべて切り裂いているがないものねだりしてもしょうがない。
やるか。
『おっとなにやら衛宮選手、地面が抉れるなにかの攻撃から避けているようですが一体会場でなにが起こっているのでしょうか? これはもしかして念力!?』
とかく避ける行動に専念していると突如エヴァが接近してきて俺の腹に右ストレートを決めてきた。
強化で腹をガードしたからなんともないが接近を許すとは情けない。
即座にそこから離れたが拳に糸が巻き付いていたのか俺の胴体に糸が巻かれていた。
それは強化した手刀ですべて切り裂いたが…やりにくい。
「ふふふっ…なかなか鋭いではないか。そうでなくては!」
瞬間、エヴァの手から黒いなにかが飛び出してきた。
おそらくエヴァの属性である虚数魔術によるものだと思うがここまで影を使いこなしているとは、こいつも天才だな。
だが!
「ふっ!」
手刀でそれを弾き瞬動で背後に接近し拳を腹に当てる、があたる直前で糸に絡まれてしまっていた。
背後にも展開していたか。やばい!
そう思った瞬間には掌が俺の顔にぶつけられていた。
「がっ! 合気道か! くそ、ならば!」
跳ね飛ばされたと同時にそのまま後方まで体を流し距離を置き、
「(属性、付加、“雷撃” ……魔力、装填――全魔力装填完了!)」
次の瞬間俺の体に淡く雷がまとう。
錬鉄魔法【雷】。これにより瞬発力とスピードをあげる。
「そうだ。そうでなくてはな!」
エヴァもなにやら黒い衝動を背後にまとい瞬動をしてきた。
それからは高速戦闘になった。
◆◇―――――――――◇◆
Side 桜咲刹那
士郎さんとエヴァンジェリンさんは何度も瞬動を行使して高速で拳をぶつけあっている。
それにしてもすごい…。エヴァンジェリンさんは魔術の力を手に入れたというがもうすでにものにし始めている。
士郎さんの拳を受け止めていることから強化は十分。そしておそらく錬鉄魔法を行使しているのにそれにもついていっている。
もしここがこういった舞台でなければお二人はどのような戦闘を演じていたのだろうか。
私が色々考え込んでいる中、背後からある人の声が聞こえてきた。
「しっかりと見ているわね、刹那」
「せっちゃーん!」
「え!?」
そこにはなぜかイリヤさんとランサーさん、それにお嬢様がいた。
なぜここにいるのか。
「なぜかって顔ね。エヴァにあることをやるからこっちに来てこいと言われていたのよ。今はシロウ達の試合にみんな夢中になっているんですぐに入ることができたわ」
「イリヤさんにランサーさん!? それにこのかも!」
アスナさん達も驚いているようだ。
それも当然か。
しかしなにをするのか。
「なんでもこれからすることをしっかりと目に焼き付けとけ、らしいわよ。ネギがこの場にいないのが残念ね」
と、そこに朝倉さんの実況が響いてくる。
『おっとこれはどうしたことだ!? 衛宮選手とエヴァンジェリン選手。両名見つめあったまま動きを止めてしまった! 先ほどまでの戦闘が嘘のように静まり返っています!!』
こ、これは…。
なにか知っていそうなイリヤさんは士郎さんの契約カードを取り出すと、
「いくわよ。今二人は幻想空間にいるわ」
「わ、私もいくわ」
「大丈夫、全員つれていくわ。ニー・ベル・ロー・レル・フリードリヒ…夢の妖精女王メイヴよ扉を開けて夢へといざなえ」
こうして、アスナさん、私、お嬢様、イリヤさん、ランサーさん、チャチャゼロさん、カモさんの計七人もの人数が夢の中へと入っていった。
そして目にするのは崩壊しかけている別荘の光景だった。
というより別荘が剣山と化している。
「なんだこりゃ! まるでどこかの戦争風景か!」
「す、すご…なんていうかここまであの別荘を破壊できるなんてやっぱりすごいわね」
「はい…ところで士郎さんはどこに」
「せっちゃん、いたへ」
見た先には空に飛ぶエヴァンジェリンさんとアーティファクトで高速浮遊している士郎さんの姿があった。
◆◇―――――――――◇◆
Side 衛宮士郎
ふむ、エヴァの案に乗って幻術空間に来たはいいが場所は別荘か。
エヴァは空を浮遊している。
なるほど、さすがに夢の中まで呪いはこないし全開でやれるということか。
ならば覚悟を決めねばな。
「来たれ!」
すぐさま俺は『剣製の赤き丘の千剣』を召喚し飛び乗って同じく空を舞う。
「さて…ここまで来たからにはお前の全力を見せてもらうぞ」
「どこまでできるか勝負といこうか」
お互いにニヤッと笑みを浮かべたと同時に俺とエヴァは空を駆ける。
「まずは手始めだ! 魔法の射手! 連弾・闇の230矢!!」
「停止解凍、全投影連続層写!!」
エヴァが二百はある闇の射手を放ってきたに対し俺の剣はせいぜい五十くらいがやっとだろう。圧倒的に数が足りない。
だがやりようはある。
「壊れた幻想!!」
魔法と剣が重なる瞬間を計り、剣をすべて爆発させる。
これによってお互いに相殺しあう。
だがエヴァはすぐに接近してきてその手には魔法の剣が構築されていてので俺は新しくなった干将・莫耶を投影し、
「属性、付加、“風王”……魔力、装填――全魔力装填完了! はぁっ!!」
風を刃に集めて一閃。
そして放たれるはカマイタチのごとき刃。
エヴァはそれを受け止めている。その間に俺は千剣を急降下させ別荘の屋上に降りる。
「はははっ! なかなか面白い芸をするではないか!ならば…来たれ氷精、闇の精!闇を従え吹雪け常夜の氷雪!」
「ほう…ならばこちらも。I am the bone of my sword―――……!」
「闇の吹雪!!」
「偽・螺旋剣!!」
即座に投影し真名開放をして放つ。それによって闇の吹雪とカラド・ボルグが衝突した。だがさすがの宝具。すぐにとはいかないが闇の吹雪を食いちぎってエヴァを狙ったわけでもないのでそのままどこかへと飛んでいってしまった。
「ふっ…さすがに宝具には競り負けるか。だがな!」
そこからはもうガチバトル。
別荘を中心に俺とエヴァは魔法の矢と剣を放ちまくり気づけばいつの間にやら別荘は噴煙を上げながら剣山と化していた。
◆◇―――――――――◇◆
その頃、外ではネギ達がいきなり動きを止めてしまった士郎達に首をかしげていた。
「…おいネギ。よく見てみぃ。なにか知らんけどいつの間にか選手控えにイリヤの姉ちゃんたちがおるで?」
「あ、本当だ。それにあれって…」
小声で小太郎にそう言われネギは気づく。
そして全員なにかに集中しているのか動かないでいる。
イリヤと刹那に木乃香は額にカードを押し当てている。
これから分かることは…、
「…小太郎君。たぶんだけど皆さんは夢の世界に行っていると思うんだ」
「夢だぁ?」
「うん。そうと決まれば…千雨さん、ちょっと席を外しますね」
「は、はぁ…わかりました」
「俺も行くで」
一緒に観戦していた長谷川千雨に一言そういって少し後ろに下がり、ネギはアスナのカードを出して、
「僕達も見に行こう。きっとアスナさんも見に行っているはずだからカードを通せば見に行けるはず…!」
そう言ってネギはイリヤが唱えた呪文を唱えた。
そして二人も夢の中へダイブした。
そこで目にした光景は、
「師匠の別荘!?」
「つうかなんだ!? 至る所に剣が突き刺さって爆炎が上がっているで!?」
「来たわね、ネギにコタロウ」
「あっ…! イリヤさんに皆さん! ということは今士郎さんと師匠は!」
「そうですネギ先生。今現在戦っております」
「そうだぜ兄貴。最初から観戦していりゃもっといいもんを見れたのによ。ま、まだ前哨戦みたいなもんだからな。ほんとこの二人で戦争を起こせるって聞いたら今なら信じられるぜ」
「ま、あんたも見ていなさいよ。さっきからすごいこと連発しているから」
アスナにそう言われてネギと小太郎は戦いをじっと見ていることにした。
視線の先では空中で未だに飛び回っている二人の姿があった。
しかし千日手になってきたのでなにか行動を起こすなら今だろう。
そして先に士郎が動いた。
「くっ! ならば剣製の赤き丘の千剣よ!―――I am the bone of my sword…その真価を発動せよ」
士郎がそういった瞬間、空中に竜巻が発生しそれがすべて晴れた瞬間、周りに古今東西の武器がところ狭しと浮かんでいた。
その光景にネギ達は呆気に取られてしまう。
だが驚くのはまだ早い。
「集まれ、すべての武器よ…一つとなりその身を巨大にせよ!」
「なっ…! そのような能力もあったのか!」
エヴァが驚く中、士郎の頭上に剣達が集まっていき別荘と同じくらいのとてつもない巨大な剣が姿を現す。さらに炎を宿らせ轟々と燃えているからその巨体にして熱量は膨大だ。
「さぁ受けてみろ! 秘儀・巨人殺し!!」
その重量に見合わず巨剣はすさまじいスピードでエヴァに迫っていきさすがのエヴァも受け止めるには苦と感じたようで、
「契約に従い、我に従え、氷の女王。来れ、とこしえのやみ、えいえんのひょうが!!」
それによって巨剣は一瞬で凍りついてしまった。
これほどの巨体を高速詠唱ですべて凍りつかせる辺りエヴァの魔法の腕がわかるほどだ。
「全ての命ある者に等しき死を。其は安らぎ也………“おわるせかい”!! 砕けろ!!」
巨剣が砕けると同時に氷の雨が当たり一面に降り注ぐ。
だがそこで手を緩めるほど両者は甘くない。
士郎は干将・莫耶を、エヴァはエクスキューショナーソードをその手に出してまた接近戦を繰り広げていた。
それを見ていた一同は、
「…とんでもねぇー。なんだありゃ?」
カモの一言に全員(ランサーとチャチャゼロは普通に観戦)は息を盛大に吐き出す。
息をするのを忘れるくらい二人の戦いは苛烈なものだった。
そしてその間にも二人はまた剣山の上に立ち、
「そろそろ外の世界もタイムアップが近づいている頃だ。この久々に血が滾るような楽しい戦い名残惜しいが次で最期にしようか」
「それはいい。俺ももう疲れたからな」
そして互いに見詰め合う中、エヴァはエクスキューショナーソードの密度を高め、士郎は干将・莫耶をオーバーエッジ化させ風王結界をまとわせる。
カッ!と目を見開き、
―――エクスキューショナーソード!!
―――風王鉄槌・二連!!
それにより起きた爆風により世界は崩壊し全員は現実世界に戻され、舞台では爆発が起こり白い煙が辺りを覆いそれが晴れたときには士郎がエヴァをお姫様抱っこしていた。
『おおっとこれはどうしたことか!? 突然の爆発の後には気絶したのかマクダゥエル選手を抱きかかえている衛宮選手! これはどうやら気絶と判定! 衛宮選手の勝利だ!!』
瞬間沸き起こる喝采の声。
所々から「さすが漢!!」やら「その背中に本当に(ry…」やらで女性層も黄色い叫びを上げていることから士郎の人気は上がったことは確かだった。
こうして一回戦はすべて終了したのであった。
舞台は二回戦に移り、
Aブロック
九回戦目 村上小太郎 vs クーネル・サンダース
十回戦目 長瀬楓 vs 古菲(棄権)
Bブロック
十一回戦目 高音・D・グッドマン vs ネギ・スプリングフィールド
十二回戦目 桜咲刹那 vs 衛宮士郎
ということに決まった。
後書き
オリジナル戦闘です。うまくかけているかな……。
ページ上へ戻る