ヘタリア大帝国
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TURN30 左遷その一
TURN30 左遷
ヒムラーはガメリカに潜り込ませている諜報部員から報告を受けていた。彼が独自に雇いそのうえで調査させている親衛隊の陰のメンバーだ。
その彼からだ。ヒムラーはこの報告を受けていた。
「成程。ガメリカではサイボーグやアンドロイドを戦争に導入しようとしているのか」
「はい、生身の将兵の損害を出すよりはその方が利があると判断してのことだそうです」
「成程ね。ガメリカの若者を消耗するよりも」
「その様です。どうやら」
「面白いな。確かに人材を消耗するよりはね」
「サイボーグやアンドロイドを使った方がいいですね」
「俺もそう思うよ。それではね」
ヒムラーはここで一つの判断を下した。それは。
「ガメリカのその計画の詳細を調べてくれるかな」
「そのうえで、ですね」
「そう。盗むんだよ」
ヒムラーは軽い笑みで諜報員に告げた。
「そうしてくれ。詳細は俺に伝えてくれ」
「わかりました。それでは」
「後何かガメリカで他にあったかな」
「リンカーンやトルーマンといった」
「?聞いたことがあるな」
そうした名前を聞いてだ。ふとだった。
ヒムラーの目がぴくりと動いた。そのうえで諜報員にこう言った。
「確かどっちもガメリカの凶悪犯だったな」
「殺人や様々な凶悪犯罪を繰り返した者達ですね」
「その彼等がどうしたんだい?」
「一斉に死刑が執行されるそうです」
諜報員は一見して軍とは全く関係ないことを述べた。
「その様です」
「成程ね」
「その話も聞きましたが」
「ううん。そうだな」
ヒムラーは自分の席、親衛隊長の席に座ったままだった。
考える顔に述べてだ。こう言ったのだった。
「その凶悪犯の連中の脳味噌でも貰おうかな」
「脳をですか」
「凶悪犯罪を起こす人間の心理構造とかを知りたいと思ってたんだ」
「それはどうしてでしょうか」
「凶悪犯への対処も政治家の務めだからね」
親衛隊長ではなく内相としてだ。ヒムラーは政治にも携わりだしていたのだ。彼はレーティアに直々に内相に任じられていたのである。
「だからこそね」
「では死刑が執行された直後に」
「彼等の脳味噌を手に入れてくれるね」
「死体は死刑執行の後無縁の死体として墓場に投げ捨てられます」
「じゃあその時に頼むよ」
「凶悪犯の脳を」
「死体ごとでもいいからね」
とにかく脳を持って来て欲しいとだ。ヒムラーは言った。
「そうしてくれるかな」
「はい、それではそのことも」
「ドクツも総統閣下が立たれるまで凶悪犯罪者が多かったからね」
「そうですね。それもかなり」
「ハールマンとかね」
具体的な名前もだ。ヒムラーは出した。
「あのいかれた殺人鬼は理解不能だよ」
「少年を陵辱しその肉を食べていた」
「内相でもあるからね、俺は」
内政の最高責任者だ。それ故にだというのだ。
「ああした連中を何とかしないといけないからね」
「さもないとドクツの治安が成り立たないですね」
「それにここだけの話そうした犯罪者を取り締まり抑えることが俺の得点になるんだよ」
レーティアの評価もあがるというのだ。
「このままじゃ俺は頭打ちなんだよ」
「総統閣下のお傍には宣伝相がおられますが」
「あの女がいる限り俺は今以上になれない」
ヒムラーの眉がぴくりと動いた。確かに整ってはいる。
しかしそこにあるものは決して重くはない。軽薄でかつ小才めいたものを見せながらだ。彼は己の腹心であるその諜報員に言ったのだった。
「そしてそれが。わかるな」
「我が教団の為にもなりますね」
「そう。ドーラ教をドクツの国教にするんだよ」
ヒムラーは諜報員に彼等の目的も話した。
「その為にも今は得点をあげないとな」
「ではその様に」
「それと凶悪犯なら生贄にしても何も問題はないからな」
ヒムラーは彼等に人権を見ていなかった。元々彼にはそうした発想は僅かだが。
「では今からね」
「お任せ下さい」
「まあ。生贄を手に入れるのもサイボーグやアンドロイドの兵を手に入れるのも」
「親衛隊、いえドーラ教にとっての利になりますね」
「その為にも頼むよ」
こうした話をだ。ヒムラーは腹心と話をしていた。その話の後でだ。
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