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ヘタリア大帝国

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TURN29 開戦前夜その五

「独立とかか?その話なら戦争の後で協力してくれるんならな」
「それですが」
「確約はしてくれるのかと」
「別に約束を破るつもりなんてないからさ」
 フランスは少しうんざりとした顔で述べた。
「だってな。こっちだってな」
「はい、マダガスカルにセーシェルを領有していてもです」
「最早観光地でしかありませんから」
「それなら独立してもらって友好関係であった方がいいからな」
 フランスにとって植民地とはもうそういうものに過ぎなかった。今では。
「イギリスみたいに植民地にも頼ってないことはな」
「彼等に言っておきましょうか」
「我々から」
「いや、俺から言うさ」
 フランス自身でだ。そうするというのだ。
「だからあんた達は自分達の職務をちゃんとやってくれ」
「了解です」
「それでは」
「ああ。まあ暫くはここにドクツも日本帝国も来ないさ」
 その点は安心していいというのだ。
「だから今のうちにな」
「戦力を回復させましょう」
「せめてマダガスカルとセーシェルを防衛出来るだけの戦力を整えなければ」
「その為にはな」
 どうかというのだった。
「あの連中の力も欲しいからな」
「正直我等だけではどうにもなりません」
「戦力が少な過ぎます」
「そうなんだよな。ったく連合国っていってもな」
 どうかとだ。フランスはぼやきもした。
「俺だけボロクソだな」
「まあそれは言わないということで」
「それでお願いします」
「言っても仕方ないしな」
「では、ですね」
「今からシャルロット様と」
 こう話してだ。そのうえでだった。
 フランスはシャルロットに政治や軍事を教えるのだった。確かに彼女はまだまだ疎い。
 しかしそれでも努力して学び飲み込みもよかった。フランスもこのことは満足していた。
 勉強の時間が終わり夕方になる。その時にだった。
 フランスとシャルロットの前にこの星域の原住民達がいた。そのアライグマそっくりの面々がだ。
 彼等はフランスとシャルロットに頭を下げてだ。こう言ってきた。
「こんばんは、祖国さんに摂政さん」
「元気そうだね」
「ああ、まあな」
 フランスが彼等に鷹揚に返す。
「ただ俺はあんた達の祖国じゃなくてな」
「セーシェルさんだね」
「あの人がだっていうんだね」
「どっちかっていうとそうだろ」
 彼等はセーシェルにもいる。元々そこからマダガスカルに来ているのだ。
「俺じゃなくてな
「確かに。そうだけれどね」
「まあセーシェルさんも祖国ってことでさ」
「フランスさんも祖国ってことで」
「それでいいんじゃないか?」
「そうなるか。けどこの戦争の後はな」
 どうなるかをだ。フランスは彼等にも話した。
「マダガスカルは独立ってことでね」
「約束したからね」
 パルコ族の中で赤茶色の毛のでかい女が出て来た。
「それでいいね」
「ああ、俺にしてもな」
 それでいいというのだった。フランスも。
「約束は守る主義だからな」
「それじゃあそういうことでね」
「あの」
 ここでだ。シャルロットがおずおずと言ってきた。
「そちらのパルコ族の方は」
「ああ、この人がかい」
「そうさ。今の俺の上司だよ」
 摂政になるからだ。そうなるというのだ。
 
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