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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第61話

エリンの里から旅立ち、魔の森、大森林を抜けて街道に出たトワ達はセントアーク地方の中心部の都市であるアルトリザスに向かって情報収集をした後かつてⅦ組の”特別実習”の地となったパルムに向かって、パルム到着後情報収集をした後リベールとの国境であるタイタス門の状況を調べる前に旧道方面も調べる事にし、旧道を徘徊していたが、レーヴェが突然立ち止まり、それが気になったトワ達も立ち止まった。


~アグリア旧道~

「……………………」
「レーヴェさん、どうかしたんですか?」
「えっと…………地図ではそっちには何もありませんが…………」
目を細めてある方向を見つめているレーヴェの様子が気になったアンゼリカはレーヴェに問いかけ、地図を取り出して現在地を調べたトワは不思議そうな表情でレーヴェに指摘した。
「…………なるほどね。そういえばアンタとヨシュアの”故郷”は確かこの辺りだったわね。」
一方事情を察したサラは静かな表情で呟き
「レーヴェさんの故郷というと確か皇帝陛下を銃撃した例のアッシュ君の故郷でもある……………」
「――――――”ハーメル”か。」
「そうだ。――――――とはいっても何も俺が気になったのはその事ではない。ハーメル方面に”ごく最近複数の何者かが向かったような痕跡が残されているからだ。”」
「…………何ですって?」
サラの言葉を聞いてすぐに事情尾察したアンゼリカとクロウは真剣な表情で呟き、レーヴェの話を聞いたサラは眉を顰めた後レーヴェが視線を向けている方向の周辺を目視してある事に気づいた。

「…………確かに足跡が残っているようね。――――――それも複数の足跡が。ハーメル方面は現在も政府によって立ち入る事すらも禁じられていて、許可を得た者しか立ち入る事はできないはずよ。」
「それなのにも関わらずこのタイミングで複数の人達がハーメル方面に向かった可能性があるって事は…………」
「ハッ、まさに”何かある”事を証明しているようなもんだろ。」
真剣な表情で呟いたサラの話を聞いたトワは不安そうな表情をし、クロウは不敵な笑みを浮かべてハーメル方面に視線を向けた。そしてトワ達がハーメル村へと続く廃道を封鎖しているはずの門に近づくと門は開いていた。

「あ…………見て、あれ!」
「鍵が開いているね…………」
「…………鍵穴にピッキングによる傷跡が残されているわ。まさかとは思うけどこのピッキングをした人物は…………」
門の傍に落ちていた錠前を拾って状態を調べてすぐに心当たりがある人物を思い浮かべたサラは真剣な表情でハーメル方面を見つめ
「複数の足跡も続いているな。…………!それに、どうやらこの先が俺達にとっての目的地でもあるようだな。」
「え…………あっ!ペンデュラムが反応してるよ…………!」
サラ同様門周辺の状況を調べたレーヴェはトワの服のポケットが光を放ち始めている事に気づき、レーヴェの言葉を聞いて一瞬呆けたトワだったがすぐにポケットから光を放っているペンデュラムを取り出した。
「どうやら調べる場所をこっちに先にして正解だったようだな。」
「ああ…………ここから先は気を引き締めていこうじゃないか!」
クロウとアンゼリカはハーメル方面に視線を向けて闘志を高めた。その後廃道を進んだトワ達は廃村の手前にあるヘクトルを見つけた後廃村に入ると、”黒焔のプレロマ草”がそこかしこに咲いている廃村の瓦礫にもたれているアッシュを見つけ、アッシュに近づいた。

~ハーメル廃村~

「…………ハ…………何やってんだろうな、オレは…………当てどなく逃げ出して…………結局辿り着いた先がここかよ…………クク…………ま、おあつらえ向きか…………」
「――――――アッシュ!!」
瓦礫にもたれているアッシュが寂しげな笑みを浮かべているとアッシュに声をかけたサラがトワ達と共にアッシュに近づいた。
「全く…………心配させるんじゃないわよ。」
「…………てめえ…………それに銀髪のてめえはあの時黒髪のガキと逃げた…………クハハ、こいつは何の冗談だっつの…………?」
「ど、どうしたの…………?」
「君は…………」
苦笑しているサラを見た後レーヴェに気づいたアッシュは不敵に笑って独り言を呟き、その様子にトワが戸惑っている中アンゼリカはアッシュに近づこうとした。

「――――――それ以上近寄んじゃねぇ!!」
アッシュがトワ達を睨んで制止の声を上げた。
「いったい何しにきやがった…………?連合が仕向けた暗殺者――――――皇帝を撃って戦争の引き金を引いた最悪の売国奴なんぞによ…………?」
「っ…………確かにそうだけどそれは…………」
「悪いのは貴方だけじゃないよ!全部その、”呪い”のせいだったんでしょう…………?貴方が気に病むことは――――――」
皮肉気な笑みを浮かべたアッシュの言葉にサラが唇を噛み締めている中トワは真剣な表情で指摘した。

「呪い?植え付けられた…………?――――――だからなんだって言うんだ…………?――――――誰が何と言おうとあの時、引き金を引いたのはオレなんだよ…………頭ン中で響く”声”と湧き上がる”衝動”に抗えもせず――――――12年分の恨みを、痛みを。手を下したワケでもねえ皇帝に八つ当たりのようにブチまけたんだ…………オレがもっと強けりゃあんな痛みなんざ押さえ込めたはずだ。だが結局、押し付けれた”役割”をまんまと果たしちまった訳だ…………”史書”だかなんだか知らねぇが…………クソみてぇな予言をまんまなぞってな…………」
対するアッシュは自分が犯してしまった”罪”を口にした後左目を抑えて様々な感情を抑えた様子で語っていた。
「好き勝手に、てめぇの思う通りに生きてきたつもりだった。だがハーメルの惨劇も、オフクロとの時間も、別れも…………最初っからあの場面に向かう為に仕組まれた”流れ”だったわけだ。…………クク…………笑えるザマだろ…………」
「アッシュ…………」
「……………………」
皮肉気な笑みを浮かべて語るアッシュの様子をサラが複雑そうな表情で見守っている中レーヴェは目を伏せて黙り込んでいた。

「…………失せろや。もう、話すことなんざねぇ。役者が出番を終えたら、もう舞台を下りるだけ…………あとはこの場所でくたばれりゃあそれで――――――」
「やれやれ、”灰色の騎士”や”ユウナ・クロフォード”という”重心”、そして”Ⅶ組”という”拠り所”がなければ所詮は”その程度”か。」
自暴自棄になっていたアッシュが話を続けているとレーヴェが呆れた表情を浮かべてアッシュに対して痛烈な指摘をした。
「あん…………?」
「――――――俺とヨシュアすらも今まで気づく事ができなかった”三人目の遺児”。それを知った時は驚くと同時に興味が沸いたものだ。――――――ヨシュアよりも幼かったにも関わらず”ハーメルの悲劇”によって俺のように”人に絶望する”訳でもなく、ヨシュアのように心を壊した訳でもなく、自らの意志を保って俺達のような”闇”ではなく、”光”の世界に生きてきたお前の生き様に。」
「レーヴェさん…………」
レーヴェの言葉を聞いたトワは複雑そうな表情で状況を見守っていた。

「――――――かつて俺は人を試そうとした。人という存在の可能性をな。」
静かな表情でかつての自分を思い浮かべたレーヴェはかつての自分の目的を話し始めた。
「時代の流れ、国家の論理、価値観と倫理観の変化……。とにかく人という存在は大きなものに翻弄されがちだ。そして時に、その狭間に落ちて身動きの取れぬまま消えていく……。俺たちのハーメル村のように。」
「!!」
レーヴェの話を聞いていたアッシュはかつての”ハーメルの惨劇”を思い出して目を見開いた。
「今回の戦争に関しても同じことだ。政府は”第二のハーメル”を未遂に防がれてしまった”アルスター襲撃”と”皇帝銃撃事件”の”真実”を隠蔽しようとしている。まるで”百日戦役”のように都合が悪いものを忘れ去ろうとするかのようにな……」
「………………………………」
「真実というものは容易く隠蔽され、人は信じたい現実のみを受け入れる。それが人の弱さであり、限界だ。だが”輝く環”はその圧倒的な力と存在感をもって人に真実を突きつけるだろう。国家という後ろ盾を失った時、自分たちがいかに無力であるか……自分たちの便利な生活がどれだけ脆弱なものであったか……。そう……自己欺瞞によって見えなくされていた全てをな。」
「…………まさかそれを”人”に思い知らせるのがアンタの――――――”剣帝”が結社入りした理由であり、目的だったのかしら?」
レーヴェの話を聞いてかつてのレーヴェの目的を察したサラは真剣な表情でレーヴェに問いかけた。

「そうだ。欺瞞を抱える限り、人は同じことを繰り返すだろう。第2、第3のハーメルの悲劇がこれからも起こり続けるだろう。俺は―――それを防ぐために”身喰らう蛇”に身を投じた。そのためには……修羅と化しても悔いはなかった。」
「そんで、それを止めたのがその”ヨシュア”――――――結社では”漆黒の牙”と呼ばれていたリベールの”剣聖”に拾われたこの場にはいない”ハーメルの遺児”か。」
「クロウ君はその人の事を知っているの…………?」
レーヴェの説明に続くように答えたクロウの話を聞いたトワは不思議そうな表情で訊ねた。
「ああ、ヴィータから”剣帝”もそうだが、”漆黒の牙”って”執行者”の事を少しだけ聞いた事がある。――――――機会があればレーヴェとそいつを俺に会わせたかったみたいだぜ。同じ帝国政府の思惑で故郷を失って、”闇”に生きた者同士としてな。」
「ハッ、話の内容はほとんどわかんねぇが…………結局、今こうして俺の前にいるてめぇはオレを置き去りにしてまんまと逃げられたお陰で、オレと違っててめぇの思う通りに生きていられるんだろうが。そんなてめぇにだけはオレに関してとやかく言われる筋合いはないぜ。」
トワの疑問にクロウが答えた後アッシュは鼻を鳴らしてレーヴェを睨んだ。

「フッ、ならば”自身が弱い”という”生温い理由”で”全て”から目を背け、ここで朽ち果てる事を受け入れるのが”正しい”と本気で思っているのか?――――――ハーメルを去ってから今まで生きてきたお前自身の全ても”皇帝を撃つ為の仕組まれた流れという言い訳”で切り捨てる事”も。」
「…………っ…………!」
嘲笑したレーヴェの言葉を聞いたアッシュは今は亡き養母やラクウェルでできた仲間や知り合い達の顔を思い浮かべた。
「”ハーメル”を去ってから得たお前の経験と”呪い”は”全く別のものだ。”そんな簡単な事も理解できずに朽ち果てたいのであれば好きにするがいい。――――――だが、その事に少しでもお前をそうさせた”何か”への怒りを感じているのならば、”お前が本当に取るべき責任”を考えるといい。――――――幸いにも”そういった事に関しても一緒になって考えるお人好しな連中”が目の前にいるのだから、そいつらを利用するといい。」
「アンタねぇ…………他にも言い方ってもんがあるでしょう?」
「しかもレーヴェさんは期間限定の協力者ですから、彼を私達に押し付けて自分はその責任を取らないつもり満々ですものねぇ。」
「つーか、そんなことを言うくらいだったらお前も俺達に最後まで協力してそいつを俺達に押し付けた責任を取れっつーの。」
「ア、アハハ…………えっと…………わたし達もそうだけど、ここにはいないⅦ組のみんなもそうだし、オリヴァルト殿下達もきっとアッシュ君の相談に乗るから、よかったらわたし達と一緒に行動を共にしてくれないかな?」
レーヴェはアッシュへかける言葉を終えた後静かな笑みを浮かべてトワ達に視線を向け、レーヴェの発言にそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせたサラは我に返るとジト目でレーヴェを睨み、アンゼリカとクロウは呆れた表情でレーヴェに指摘し、トワは苦笑しながらアッシュに声をかけた。

「クハハ…………どいつもコイツも…………青臭すぎて反吐が出るっつーか…………フン…………だが――――――確かに”落とし前”を付ける相手を見失ってたようだ。」
するとアッシュは苦笑した後立ち上がって不敵な笑みを浮かべて自身の両手の拳を打ち合わせた。
「アッシュ…………」
「…………フッ…………」
アッシュが立ち直った事を見たサラは安堵の表情をし、レーヴェは静かな笑みを浮かべた。

「はーはっはっはっは!青春しているようだねぇ、学生諸君!」
するとその時突如男の声が聞こえると猟兵達と猟兵達が連れている軍用魔獣が現れてトワ達を包囲した!
「ええっ…………!?」
「アンタらは…………!」
突然の出来事に仲間達と共に武装を構えたトワは驚きの声を上げ、猟兵達の正体をすぐに察したサラは厳しい表情をした。すると一人の猟兵がトワ達に近づいてきた。

「フッ、ようやく見つけたよ、アッシュ・カーバイド君。しかも”Ⅶ組”の”先輩”諸君や担当教官の”紫電”も一緒とは…………さすがは僕、持っているじゃないか!」
「…………なんだ、てめぇら?」
「どうして私達の事まで知っているのかな?」
猟兵の言葉を聞いたアッシュが眉を顰めている中アンゼリカは真剣な表情で自分達の事を知っている口ぶりで話した猟兵を睨み
「―――――結社の”強化猟兵”達か。」
レーヴェが呟いた猟兵達の正体を知ったトワ達はそれぞれ血相を変えた。
「フッフッフッ…………折角だから名乗らせてもらおうか。」
すると猟兵は不敵な笑みを浮かべて笑った後ヘルメットを取って素顔を顕わにした!

「”身喰らう蛇”第06強化猟兵部隊・隊長のギルバート・スタインさ。幾数年の血の滲むような訓練を超え――――――今、エレボニアの土を踏ませてもらおう!」
「例の結社の戦闘部隊…………!まさかここで現れるとはね。」
「フッ、それにしては今まで戦った猟兵達と比べると随分と”小物”のように見えるねぇ?」
「ア、アンちゃん。」
猟兵――――――ギルバートが高々と宣言するとサラは警戒の表情でギルバートを睨み、口元に笑みを浮かべたアンゼリカの評価を聞いたトワは冷や汗をかいた。

「こ、小物だとぉ!?…………フン、これだから学生諸君は。まあいい――――――用があるのは主にキミだからね、皇帝暗殺未遂の実行犯クン。」
「どうやら狙いはアッシュのようだが…………」
「……………………」
ギルバートの話を聞いたクロウはアッシュに視線を向け、アッシュは目を細めてギルバートを睨んだ。
「キミに表をウロウロされると都合の悪い方々がいらっしゃってね。お仲間ともども大人しく投降することをオススメするよ。」
そしてギルバートが勝ち誇った笑みを浮かべてアッシュに投降を勧めたその時
「ほう。この俺を目の前にしても、そのような大言を口にできるとは、”口先だけ”は2年前よりも成長しているようだな。」
「へ。」
レーヴェがトワ達の前に出て不敵な笑みを浮かべてギルバートを見つめ、レーヴェに気づいたギルバートは呆けた声を出した。

「あ、あの銀髪の剣士はまさか…………!?」
「結社から脱退したNo.Ⅱ――――――”剣帝”レオンハルト…………!?」
「バカな…………結社脱退後の”剣帝”はメンフィルに所属しているはずなのに、何故メンフィルの戦争相手であるエレボニアの士官学院の学生共に手を貸しているんだ…………!?」
一方ギルバート同様レーヴェに気づいた強化猟兵達は狼狽え
「レ、レレレレレレレ、レオンハルト様!?何故貴方様が、学生諸君とこんな所に!?」
我に返ったギルバートは混乱した様子でレーヴェに問いかけた。

「それを貴様のような”三下如き”に語る必要はない。そしてこの俺を目の前にして”ハーメルをこんな所呼ばわり”するとは、どうやら”影の国”を脱出してから以降の成長を”俺の本気”を相手にして試したいようだな?」
「ヒ…………ッ!?」
「ば、化物…………!」
「そ、そそそそ、そんなつもりは滅相もございません!――――――この通りです!どうか、そのお怒りをお鎮めください!」
レーヴェは目を細めた後全身に凄まじい闘気を練り始めて魔剣を構えてギルバート達を見回し、レーヴェの闘気に強化猟兵達がそれぞれ圧されている中表情を青褪めさせたギルバートは瞬時に土下座をしてレーヴェに謝罪し、それを見たトワ達は冷や汗をかいて脱力した。
「――――”ハーメル”は貴様らのような狼藉者達が決して足を踏んで良い地ではない。俺達に背を向けて俺達の目の前から失せるか、全員”剣帝”たるこの俺の剣のサビになり、自身の骸を晒す事でハーメルに土足で踏み込んだ狼藉の罪を償うか――――――好きな方を選ぶがいい。」
「わ、わわわわ、わかりました!――――――という訳で撤退!撤退!レオンハルト様の気が変わらぬ内に、直ちにハーメル――――――いや、セントアーク地方より離脱する!」
了解(ヤー)!!」
レーヴェに魔剣を突き付けられたギルバートは表情を青褪めさせて答えた後撤退の指示を出して、強化猟兵達と共に慌てて撤退し、ギルバート達が乗った結社が使っている小型の飛行艇はハーメルから去っていった。

「やれやれ、小物な所も相変わらずだな。」
ギルバート達を乗せた飛行艇が去って行く様子を見て呆れた表情で呟いたレーヴェの言葉を聞いたトワ達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「ハッハッハッ。さすがは悪名高き結社の”剣帝”だけあって、結社の戦闘部隊がすぐに戦意喪失した上逃げていったねぇ。」
「ま、戦闘部隊の隊長が典型的な”小物”だったのもある事も関係しているが、あれじゃあどっちが悪党かわかんねぇな。」
「アハハ…………今回の活動はレーヴェさんについてきてもらって本当に助かったよね。」
我に返ったアンゼリカは暢気に笑い、クロウはからかいの表情でレーヴェを見つめ、トワは苦笑していた。
「やれやれ…………ま、敵も去ってくれたようだしとりあえずもう一つの目的である”特異点”を探しましょうか。」
「あん?何なんだそれは?」
溜息を吐いた後に気を取り直して呟いたサラの言葉が気になったアッシュはサラに訊ねた。その後アッシュに事情を説明して”特異点”を探す為に村内を見て回ったが目ぼしい場所はなかったため、村の外に出て”特異点”を探す為に村の外に出ると驚愕の人物達がトワ達に声をかけた。

~ハーメル廃道・広場~

「――――――ハハ、まさかこんな所で再会するとはな?」
突如聞こえてきた声に驚いたトワ達が視線を向けると崖の上にルトガーとレオニダスがいてトワ達を見下ろしていた!
「あ、貴方達は…………!」
「――――――”西風の旅団”!!」
ルトガー達の登場にトワは驚き、サラは警戒の表情で声を上げた。

「その様子だとようやくⅦ組も動き出したというわけか。」
「やれやれ、”結社”の部隊が動いているのは聞いてたが…………まさかお前さん達とカチ合うとは思わなかったぜ。しかもメンフィル所属の”剣帝”までお前さん達と一緒にいるとかどうなってんだ?」
崖からレオニダスと共に飛び降りたルトガーはトワ達を見回して苦笑した。
「やれやれ…………一難去ってまた一難か。」
「まさかとは思うがさっきの結社の連中の援軍か?」
ルトガー達と対峙したアンゼリカは溜息を吐き、クロウは厳しい表情でルトガー達に問いかけた。

「ただの偶然だ。雇い主同士は手を組んでいるが今回に関しては完全に別件――――――改めてこの地の”調査”に来ただけでな。」
「なにぃ…………?」
「……………………”黄昏”の影響で各地で咲き始めた黒焔のプレロマ草が目的か?」
レオニダスの話を聞いたアッシュが眉を顰めている中、レーヴェは目を細めて問いかけた。
「――――――まあ、そういう事だ。どうやら当たりだったようだが。とはいえ、まだ時期じゃねぇ。”候補地”くらいに考えておくか。」
「”時期”…………?」
「”候補地”とは一体何の”候補地”なんだ…………?」
(まさかとは思うが…………)
ルトガーの話を不思議に思っているトワとアンゼリカが考え込んでいる中、察しがついたクロウは表情を引き締めた。

「よくわからないけど、別件だったら何故あたし達の前に姿を現したのかしら?アンタはそういう”無駄”をするタマじゃないでしょう――――――”猟兵王”。」
「ハハ、こうして改めて見ると随分と綺麗になったものだな。大佐もあの世で喜んでいると思うぜ、紫電の嬢ちゃん。」
サラの問いかけに対してルトガーは暢気に笑って答え
「それはどうも。――――――それよりまさかとは思うけど。結社とは別の意味でアッシュに用があって姿を現したのかしら?」
「……………………な……………………」
ルトガーの賛辞に苦笑しながら答えた後表情を引き締めたサラの問いかけを聞いたアッシュは絶句した。
「クク――――――正解だ。」
一方サラの問いかけに不敵な笑みを浮かべて肯定したルトガーは懐から葉巻を取り出して口に咥えた葉巻に火をつけて煙を吸った後話を続けた。

「アッシュ・カーバイド――――――”西風の旅団”に入らねぇか?」
「…………!!」
「ふえええええっ!?」
「それは――――――」
「考えてもみろ。その男は皇帝を撃ったのだ。いくらどのような事情があったところで極刑は免れられない。だが、我らの団に入ればそこは有耶無耶にさせられる。何せあらゆる”裏技”に通じた団長がいるからな。」
「……………………」
「…………やっぱりね。”西風の旅団”は訳ありのクセ者ばかりが集まっているから、まさかとは思っていたけど…………」
レオニダスの指摘に対してアッシュは何も答えず目を伏せて黙り込み、サラは真剣な表情で呟いた。

「サラ嬢ちゃんじゃねえが――――――お前さん、西風(ウチ)に向いてると思うぜ?その胆力、獰猛さ、頭の回転…………どれも超一流になれる素質がある。ま、サラ嬢ちゃん達が先に拾ったようだし無理にとは言わないが――――――人はそう簡単に”(トラウマ)”を乗り越えられるもんじゃねえ…………強がって、イキがった挙句に自分に呑み込まれちまうのが大半だ。――――――お前さんも薄々わかってんだろう?」
「…………ッ。」
「…………くっ…………」
「アッシュ君…………」
ルトガーの指摘に反論できないアッシュとサラがそれぞれ唇を噛み締めている中トワは心配そうな表情でアッシュを見つめた。

「クク…………さすがに最強の猟兵だ。見透かしてくれるじゃねえか。ああそうだ――――――ただの強がりだ。本当は怖くてたまらねぇ…………だがよ…………それでも男には強がらなくちゃならねぇ時があるんだ。歯を食いしばっても前を向いて這ってでも進まなきゃならねえ時が――――――ましてや昔の知り合いにここまで迎えに来させといて…………!楽な(てめぇら)を選ぶなんざカッコ悪い真似、できるわけねえだろうが――――――!!」
口を開いたアッシュは苦笑した後全身に凄まじい闘気を纏ってルトゥールに自信の得物であるヴァリアブルアクスを突き付けて宣言した。
「…………!」
「クク、若いねぇ…………――――――なら少し手伝ってやるか。」
アッシュの宣言にレオニダスが驚いている中ルトガーは不敵な笑みを浮かべた後失った腕の代わりの義手に得物を素早く装着したレオニダスと共に自身の得物であるバスターグレイプを構えた。

「言葉だけじゃまだ不安だろう?――――――だったら胸を貸してやるよ。俺達が勝ったらお前さんを気絶させてでも連れて行く…………どうだ、面白い賭けだと思わねぇか?」
「上等だ…………!」
「む、無茶苦茶だよ…………」
「だけど彼にとって――――――そして私達にも必要な一戦だね。」
「ったく、こんな化物とやり合う羽目になるなんて、俺達はとんだ大外れを引いちまったみてぇだな。」
「フウ………非常に不本意ではあるけど、今回のアンタ達の活動に剣帝が同行した事は色んな意味で正解だったようね。」
「フッ…………相手にとっては不足は無いな。」
ルトガーの提案に対してアッシュが不敵な笑みを浮かべている中トワは表情を引き攣らせ、アンゼリカは真剣な表情で呟き、クロウとサラは苦笑し、レーヴェは静かな笑みを浮かべ
「それはこちらのセリフだ、剣帝…………!」
「クク、そんじゃあ始めるか。トールズⅦ組に剣帝…………足掻いてみせな、死力を尽くして!」
そしてそれぞれ黒い闘気を纏ったレオニダスとルトガーはトワ達に襲い掛かり、トワ達はルトガー達との戦闘を開始した――――――
 
 

 
後書き
という訳で軌跡シリーズ初代三下ことギルバートが登場しましたが、原作と違ってレーヴェの存在によって戦意喪失並びに逃亡しましたww(そりゃそうだ)なお次回でセントアーク編は終わります(早っ!)
 
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