曇天に哭く修羅
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第一部
裏事情
前書き
オリジナル設定。
_〆(。。)
《立華紫闇》が【打心終天】の会得を決意し《江神春斗》を打倒する方針を固めた夜。
「やっぱり今の彼は弱すぎるよね~」
「自覚もしてないみたいなんで」
【龍帝学園】の生徒会室。
そこに一組の男女が居た。
彼等が眺めている立体モニターには紫闇と春斗が戦っていた時の様子が流れている。
「龍帝の生徒としては、強さランキング10番に入れるかどうかですけど、そこから上は春斗や俺達が居座ってるんで、敵うようになるのは厳しいですよね」
「出来れば去年死んだ史上最強の『オール・タイム・キング』こと《神代蘇芳》を超えてほしいんだけど、まあ駄目なら駄目で良いや。人類にとってはその方が有り難いだろうしねー」
男子生徒は龍帝の一年。
紫闇の幼馴染《的場聖持》
女子生徒は五年。
一年の時から生徒会長。
学園の顔《島崎向子》
「紫闇を手に掛けるのは絶対に嫌です。けど、もし彼奴が彼奴で無くなったら、その時は容赦しません。俺をいじめから救ってくれた恩人で親友だからこそ全力で殺しに行きます」
聖持は紫闇に見せたことの無い真剣な顔で映像の紫闇を見据えている。
「そこまで気負うことは無いさ。君の幼馴染を信じようじゃないか。自分の内に居る【上位存在】に負けず高みに登ってくることを」
二人は《黒鋼焔》や《永遠レイア》が気付いているように、立華紫闇本人が知らない彼自身に関わることを知っていた。
そう、【古代旧神】や【旧支配者】といった上位存在をその身に宿し、融合してしまった人間、【神が参る者/イレギュラーワン】なのだということを。
上位存在を飼い慣らして上手く力を使いこなせるようになれば良いが、一歩間違えると宿主の精神が消滅し、体を乗っ取られてしまう。
「私の知り合い二人が上位存在に内側から存在を喰われちゃってたからね。一人はあたしの手で始末したよ。もう一人は別で処理されちゃったみたいだけど」
向子は龍帝一年の頃に最大のライバルとされた親友を殺してしまっている。
しかしそれは親友の仇を討っただけ。
曰く、生徒会長としての才能を見るなら本来は自分でなく彼女が成るはずだったという。
向子は暗躍する方が適任なのだ。
「あたしの親友だった《小鳥遊鈴里》に【刻名館学園】の前会長で、『気狂い道化』の《外山道無/とやまみちなし》と言い、どうして面倒臭いことになるのかなぁ~」
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「脱線してるんで話を戻しましょう」
「おお、そうだったそうだった。立華紫闇についてのことだね。総意としては、あたし以外も含めて彼が上位存在に呑まれなければ放置しても構わないっていう立場なんだ」
紫闇を刺激せず触れない。
最初からその考えが貫かれていれば彼が魔術学園に来ることは無かっただろう。
しかし別の意見を持った派閥も有る。
紫闇の上位存在が覚醒する前に消す。
そう言った強硬派だ。
彼等はレイアや聖持が必死に説得し、影から紫闇を守ることで落ち着いた。
しかし捨て置くには色々と危険。
「じゃあどうするかっていうことで発案されたのが紫闇を魔術師として鍛え上げ、内なる上位存在を支配させ、その力で以て役に立ってもらおうっていう計画なんだけど」
なかなか大変だ。
先は長い。
紫闇の憧れ大英雄《朱衝義人》が率いた彼を含む当時最強の魔術師7人によるチーム【マジェスティックセブン】に入れるくらいにまで育てなければならないのだから。
「【神が参る者】の実力って宿った上位存在で変わるから一種の博打みたいなものなんですよね。修業から一月半で世界の上位1000位以内に入る実力になったのは流石だけど」
聖持も向子も他の協力者とプランを組んで紫闇を成長させる為に頭を捻っている。
「レイア君に頼んで立華君のことを改造してもらえれば早いんだけどなー」
「それは最終手段って言ってましたよ。自力で強くなった方が良いって。改造したところで上位存在やその影響を何とか出来るかは微妙ですし」
やはり常に紫闇のことを監視して地道に力を付けてもらうしかないようだ。
時間と手間は掛かるが安定状態のまま経過観察できるのでリスクが少ない。
とは言っても何が切っ掛けで急成長するのか解らないので確実に対処できる準備しておくことは欠かせないだろう。
「今年の【夏期龍帝祭】、何事も無ければ紫闇の独壇場で、決勝まで来たクリスを倒すだけなんだけど、向子さんがちょっかい出さないわけないよなぁ……」
「勿論さ! 向子さんはみんなの期待に応える良い女会長なんだからね!」
後書き
_〆(。。)
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