英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第58話
前書き
今年最後の更新です。
~隠れ里エリン・ロゼのアトリエ~
「か、”神を殺して神の肉体を手に入れた人間”、ですか……」
「しかも”存在自体が世界の禁忌”なんて、あまりにもスケールの大きい話だねぇ。」
「マジモンのチート存在じゃねぇか、そのセリカって野郎は…………」
「…………なるほどね。確かに”神をも殺した存在”――――――”神殺し”が持つ”神をも超えた力”なら”巨イナル黄昏”すらも冗談抜きで滅ぼせるかもしれないわね。」
「フウ………聖職者の一人としては色々と複雑ですね、その”神殺し”という存在は。…………というか、オリヴァルト殿下達の話によるとその”神殺し”も”影の国”の件で殿下達と協力したとの事ですから当然ケビンやリース君も彼の存在を知っていることになりますから…………やれやれ、今回の件が片付いたらケビンやリース君に彼の事を我々にも秘匿した件についての説明を要求する必要がありそうですね。」
説明を聞き終えたトワは表情を引き攣らせ、アンゼリカとクロウは疲れた表情で呟き、セリーヌは目を細め、トマスは疲れた表情で溜息を吐いた後顔に青筋を立ててケビンとリースを思い浮かべた。
「ちなみに結社の”盟主”を直接殺したのもセリカお兄さんよ♪――――――パパ達の協力があったとはいえ、”盟主”はセリカお兄さんの圧倒的な”力”に”蹂躙”された上で抹殺されたそうよ♪」
「セリカ殿が結社の”盟主”を…………」
「しかも”蹂躙”という事は相当力量の差があったのだろうな、その盟主とやらとセリカ殿の”力の差”は。」
「ハハ、セリカさんならではの説得力だねぇ。」
「フフ、なるほどね…………今の話を聞けばあの盟主が討たれた話にも納得したわ…………さすがの盟主でも”神殺し”に加えてアリアンロードや”英雄王”達という”複数のあまりにも理不尽過ぎる存在”相手に対抗のしようがなかったのでしょうね…………正直、そんなメンツが相手だと例え”蛇の使徒”が全員揃っていたとしても、確実に私達が敗北したでしょうし。」
「姉さん…………」
セリカが盟主を討ったことを知ったミュラー少佐は真剣な表情を浮かべ、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って呟き、オリヴァルト皇子は苦笑し、寂しげな笑みを浮かべたクロチルダをエマは心配そうな表情で見守っていた。
「そんな”化物という言葉すらも生温い存在”を呼び寄せるなんて、エステルは一体何を考えているのよ…………」
「クスクス、エステルの話だとクロスベルでの仕事が忙しいから、その”手伝い”として普段は暇なセリカお兄さんを呼び寄せたそうよ♪」
「そ、そんなことの為だけにそんなとんでもない存在がゼムリア大陸に来るなんて…………」
「というか、その娘もそうだけどその娘の頼みに応じてゼムリア大陸に来訪する”神殺し”も色々と無茶苦茶よ…………」
疲れた表情で呟いたサラの疑問に小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えにその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アリサはジト目で呟き、セリーヌは呆れた表情で溜息を吐いた。
「ちなみにセリカお兄さんが殺した神は”正義の大女神アストライア”よ。」
「何じゃと!?」
「よりにもよってオリンポスの一柱なんていうとんでもない大物の神を殺したとはね…………ん?そういえば、皇子達が巻き込まれた”影の国”とやらでもその”正義の女神”も巻き込まれて共闘したって話だったけど…………一体どういう事かしら?」
「それに”正義の女神”はリィン君と契約をした”慈悲の女神”の姉神に当たる”女神”ですが…………姉神が殺された件で、”慈悲の女神”が”神殺し”に対して思う所等はないのですか?」
レンが口にした新たな情報にローゼリアは驚きの声を上げ、疲れた表情で呟いたセリーヌはある矛盾に気づくと眉を顰め、トマスは真剣な表情で訊ねた。
「”影の国”の事は以前に少し説明したが”想念”によって作られた世界だからね。現世では既に死亡していた”正義の女神”――――――サティアさんも”想念”によって”影の国”に降臨できたんだ。ちなみに生前のサティアさんはセリカさんと恋仲で、”影の国”で運命的な再会を果たした二人は私達の事を気にせず躊躇わずに早速ラブシーンを見せてくれたねぇ、はっはっはっ。」
「少しは口を慎め、このお調子者が…………ッ!」
セリーヌの疑問に対する説明をした後暢気に笑ったオリヴァルト皇子の話にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ミュラー少佐は顔に青筋を立ててオリヴァルト皇子を睨んだ。
「こ、”恋仲”って…………それじゃあどうしてそのセリカさんって人はその女神様を…………」
「クスクス、それには”深すぎる事情”があるけど、本人達の承諾もなしにその”事情”を説明できないわ――――――レンだって、セリカお兄さんだけは”絶対に敵に回したくないもの♪”」
「そんな言われ方をして話を打ち切られたら、余計にそのセリカって人の事が滅茶苦茶気になるんだけど。」
「まあ、女神の恋や”神殺し”誕生の秘話なんだから、それこそ”神話”のような物語なんだろうねぇ。」
困惑しているトワの疑問に対して答えを誤魔化したレンの答えにその場にいる多くの者達が脱力している中フィーはジト目で指摘し、アンゼリカは苦笑しながら推測した。
「余談だけどその”深すぎる事情”にはアイドスお姉さんも関わっているけど、”色々あった結果”セリカお兄さんとアイドスお姉さんは既に和解しているから、二人の仲を心配する必要はないわよ♪」
「だから、その”深すぎる事情”を説明しろっつーの。」
「もしかしてリィン達はアイドスさんの”深すぎる事情”についても何か知っているのだろうか…………?」
レンの答えにその場にいる多くの者達が再び脱力している中我に返ったクロウは呆れた表情で指摘し、ガイウスは考え込んでいた。
「それと”正義の大女神”は”正義の大女神”にしか扱えない特別な神術が扱えてね…………”正義の大女神”の肉体を持つセリカお兄さんも当然、その神術が扱えるからその神術こそが”巨イナル黄昏討伐の鍵”となるものよ。」
「”巨イナル黄昏”を討伐できる”鍵”となる”正義の女神専用の神術”ですか………一体それはどのようなものなのでしょうか?」
レンの話の内容が気になったエマは真剣な表情で訊ね
「――――――”聖なる裁きの焔”。その神術は”全ての罪と呪いを焼き尽くす裁きの焔よ。”」
「す、”全ての罪と呪いを焼き尽くす裁きの焔”って事は…………!」
「エレボニアの”呪い”の大元である”巨イナル黄昏”に対してまさに打って付けの神術じゃの。」
「ええ…………幾ら二つの”至宝”が元で発生した強力な”呪い”もそのような神術ならば確実に討ち滅ぼせるでしょうね。」
「しかも今までの話だとその”神殺し”はあのレオンやアリアンロードすらも遥かに超える使い手で、あの盟主を圧倒して討った人物でもあるとの事だから…………フフ、個人的に色々と興味が沸いてくるわね、その”神殺し”という存在に。」
レンの答えを聞いたエリオットは信じられない表情をし、ローゼリアとトマスは真剣な表情で呟き、静かな表情で呟いたクロチルダは怪しげな笑みを浮かべた。
「ちなみにセリカお兄さんには”使徒”がいてね。元々このゼムリア大陸を来訪した時に同行していた”使徒”は二人だったんだけど、クロスベルの”異変”解決の協力の為に異世界にある自分の屋敷の留守を任せていた残りの”使徒”達全員と、セリカお兄さんにとっての数少ない仲間達の内の何人かもゼムリア大陸に呼び寄せたから、その気になれば正直セリカお兄さん達だけでもたった数人で”エレボニア帝国軍の全軍”を余裕で殲滅できると思うわよ?」
「た、たった数人でエレボニア帝国軍の全軍を殲滅って…………!」
「ひ、非常識にも程があるぞ!?」
「というかそれ以前に、”神殺しという存在自体が既に非常識”よ…………」
レンの説明を聞いたエリオットは信じられない表情で声を上げ、表情を引き攣らせたマキアスの言葉にセリーヌは疲れた表情で指摘した。
「ハハ…………確かにセリカさん達なら、それくらいは朝飯前だろうねぇ。」
「セリカ殿は当然として、セリカ殿の”使徒”や仲間の者達はいずれも凄まじい使い手だからな。戦いになればエレボニア帝国軍が”虐殺”もしくは”瞬殺”されるのは目に見えているな。」
「それ程までに凄まじい存在なのですか、”嵐の剣神”やその仲間の方々は…………」
レンの推測に苦笑しながら同意したオリヴァルト皇子と重々しい様子を纏って呟いたミュラー少佐の言葉を聞いたアリサ達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中アルゼイド子爵は驚きの表情で呟いた。
「うふふ、当たり前じゃない。何せ”神殺しから力を与えられて神殺しと共に生きる使徒か世界を敵に回してでも、神殺しの味方をする人達”なんだから♪」
「い、一体どんな人達なんだろう…………?」
小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いたトワは不安そうな表情でまだ見ぬセリカの仲間達の事を考え
「あら、その内の一人はⅦ組の内の何人かは会った事があるわよ――――――去年の夏至祭でのテロで、イリーナママと一緒にね♪」
「ええっ!?ぼ、僕達が!?」
「しかも去年の夏至祭でのテロで、イリーナ皇妃陛下と共に仰いましたが…………まさか、イリーナ皇妃陛下の傍にいた従者と思われる女性の事ですか?」
「そういえばあの時”聖皇妃”の傍にメイドが一人いたね。」
レンの指摘にマキアスが驚いている中かつての出来事を思い返したラウラはレンに訊ね、ラウラの話を聞いたフィーはかつての出来事を思い返していた。
「ええ。――――――エクリア・フェミリンス。かつてはメンフィル最大の敵国家であった大国――――――”カルッシャ王国”の王女にして将軍でもあった人物だけど、メンフィルとの戦争で祖国が敗戦した後は身分を全て剥奪されて国外追放の刑を受けてレスペレントから他の大陸に移って当てのない旅をする事になったんだけど、何故か偶然にもレスペレントを訪れていた”神殺し”に同行する事になって、その旅の合間に何があったかは知らないけど”神殺しの最初の使徒”にしてもらって、”神殺し”に仕える事になったのよ。で、”影の国”の件でエクリアお姉さんはパパ達――――――メンフィルと和解できたから、”神殺し”の許可を得て一時的にイリーナ・マーシルンお付きの専属侍女長としての役目を務めているのよ♪」
「何なのよ、その色々とツッコミどころがある話は…………」
「”影の国”の件という事は恐らくケビン達も知っているでしょうから、後でケビン達に聞いた方がよさそうですね。」
エクリアの事を軽く説明したレンの説明にその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中サラは疲れた表情で溜息を吐き、トマスは苦笑していた。
「ちなみにエクリアお姉さんは”エリゼお姉さんにとってあらゆる意味での師匠”なのよ?」
「ええっ!?エリゼさんの…………!?」
「”あらゆる意味での師匠”とはどういう事なんだろうか?」
レンからエリゼとエクリアの意外な関係を知らされたアリサは驚きの声を上げ、ガイウスは不思議そうな表情で訊ねた。
「言葉通りの意味よ。専属侍女長としての仕事は当然として、政務、戦術、戦闘技術と、今のエリゼお姉さんへと育てあげたのは”八葉一刀流”の件を除けば全てエクリアお姉さんよ♪ちなみにそのエクリアお姉さんの接近戦での戦闘能力はメンフィルで比較すると、ファーミシルスお姉さんやカーリアンお姉さんクラスで魔術の腕前はママ――――――世間では”闇の聖女”の二つ名で有名なペテレーネ・セラ以上よ♪」
「な――――――接近戦ではあの”空の覇者”や”戦妃”と名高いお二方と並ぶ使い手なのですか…………!?」
「しかも魔術の使い手としての力は、妾の結界を解いたあの”闇の聖女”とやらをも超えるとはの…………それを考えるとそのエクリアとやらも、恐らくは”超越者”の類じゃろうな。」
「ハハ…………あのシャロンさんを遥かに超えるパーフェクトメイドだなんて、是非一度お目にかかりたいものだね。」
「それと間違ってもその”神殺し”って野郎を含めて絶対に敵に回したらヤバ過ぎる連中って事だけは今の話だけでよく理解できたぜ…………」
レンの説明にその場にいる全員が冷や汗をかいている中ラウラは驚きのあまり絶句した後信じられない表情で声を上げ、ローゼリアは真剣な表情で呟き、アンゼリカは苦笑し、クロウは疲れた表情で溜息を吐いた。
「…………レン君、さっきセリカさんはディル=リフィーナにいる残りの”使徒”達や仲間達の内に何人かも呼び寄せたと言っていたが、もしかしてその面子の中には私達が”影の国”で出会った人達以外の人もいるのかい?」
「ええ、いるわよ。――――――ロカ・ルースコート。軍神教の”神格者”の一人にして、セリカお兄さんにとっては”サティアお姉さんの次に特別な女性――――――要するに恋人よ”♪」
「ほう…………?あのサティアさん以外にもセリカさんにとっての特別な女性がいるとは、初耳だね。」
「それもシルフィア殿と同じ軍神教の”神格者”という事は恐らくその女性も相当な使い手なのだろうな…………」
自分の質問に答えたレンが口にした意外な答えにオリヴァルト皇子が興味ありげな表情をしている中、ミュラー少佐は静かな表情で呟いた。
「軍神教とはもしかして混沌の女神教や癒しの女神教のように異世界の神々を崇めている宗教の一つなのだろうか?」
「ええ。軍神は数あるディル=リフィーナの宗教の中でも最大の勢力を誇っている宗教で、”マーズテリア”とは軍神の一柱よ。」
「”軍神”――――――”戦いの神”ですか………」
「しかも神々に選ばれる存在である”神格者”って事は間違いなく相当な使い手なのでしょうね。――――――何せ”軍神に選ばれた人”なんだから。」
ガイウスの疑問に答えたレンの説明を聞いたエマは不安そうな表情をし、セリーヌは目を細めてロカの強さを推測した。
「そんでそんなチート連中が揃ってメンフィル・クロスベル連合に協力してギリアスの野郎やアルベリヒ達ともやり合う事になるんだから、大方その連中をかつての貴族連合の裏の協力者(俺達)のように裏からギリアスの野郎に協力している連中――――――アルベリヒ達や結社の残党にぶつけてアルベリヒ達を”始末”する算段か?」
一方メンフィル・クロスベル連合の狙いを悟ったクロウは疲れた表情で溜息を吐いた後目を細めてレンに指摘し
「大正解♪セリカお兄さん達もそうだけどジェダルお兄さん達にはいずれエレボニアに”裏側”から協力している”黒の工房”の関係者達、”結社”の残党、そして二大猟兵団の関係者を”殲滅”してもらう予定よ♪」
「そ、そんな…………!?そんなとんでもない人達が相手だと、幾ら”裏の協力者”達でも…………!」
「…………間違いなく”蹂躙”といってもおかしくない”圧倒的な力の差”を思い知らされて抹殺されるのでしょうね…………」
「うむ…………さすがのあの”黒”と言えどあのリアンヌをも遥かに超える使い手にして”神殺し”という”超越者”が相手だと対抗のしようがないじゃろうな。」
「…………ッ!」
「カレル離宮での戦いでも団長はあのジェダルって傭兵相手に苦戦――――――ううん、負けかけていたから次に団長達とあのジェダルって人達と戦う事になったらゼノまで失った団長達だとほとんど勝ち目はないんだろうね…………」
「アリサ…………フィー…………」
レンの答えを聞いたエリオットは悲痛そうな表情で声を上げ、クロチルダとローゼリアは複雑そうな表情で推測し、その推測を聞いたアリサは辛そうな表情で唇を噛み締め、フィーは辛そうな表情で顔を俯かせて推測し、ラウラは心配そうな表情でアリサとフィーを見つめた。
「さ・ら・に♪鉄血宰相や鉄血宰相に協力する勢力の”抹殺”に関しては七耀教会も全面的にメンフィル・クロスベル連合と協力体制を取る事になっているわ♪」
「な――――――し、七耀教会が!?」
「一体どういう事なんですか、トマス教官!?」
レンが口にした驚愕の事実にその場にいる全員が血相を変えている中マキアスは信じられない表情で声を上げ、サラは厳しい表情でトマスに問いかけた。
「………サラ教官達も知っているようにエステル・ブライトさん達は”アルスター襲撃”を未然に防いだ後アルスターの民達をクロスベルに預けて一端リベールに帰国したようなんですが…………アルスターの民達をクロスベルで襲撃した”黒の工房”かメンフィル・クロスベル連合で聞いたかのどちらかはわかりませんが、どうやら”巨イナル黄昏”の事を知ってしまったようでしてね…………その件について空の女神様に問い詰める為に帰国して、空の女神様に”巨イナル黄昏”の事についての説明を要求したようなんです…………」
「エステル君達が…………」
「という事は教会が空の女神に秘匿していた”巨イナル黄昏”の事についての情報も空の女神達に漏れてしまったのですか?」
辛そうな表情で語ったトマスの話を聞いたミュラー少佐が複雑そうな表情をしている中、アルゼイド子爵は真剣な表情でトマスに訊ねた。
「はい…………そしてそれを知ったエイドス様達は”巨イナル黄昏”もそうですが、それを利用するエレボニア帝国政府に対しても大変お怒りになられたようで…………”巨イナル黄昏”の事についての詳しい事情を知っているはずの七耀教会に直ちに説明を要求し、全ての事情を知ったエイドス様は情報を秘匿した教会を責めず、自身はご家族の方々と共に”巨イナル黄昏”の抹殺、そして”黄昏”を利用しようとしているオズボーン宰相達を抹殺しようとしているメンフィル・クロスベル連合と協力体制を取る事を決められ、それを知った教皇猊下を含めた教会の上層部達もエレボニア帝国政府を”女神すらも敵と認定した事から外法を超える存在”――――――つまり、”神敵認定”し、エイドス様に全面的に協力する方針に決めた上非公式ではありますが、メンフィル・クロスベル連合と協力体制を取る密約を交わしたそうなんです…………」
「そ、そんな…………戦争の和解の為には七耀教会の存在が重要になるのに、その七耀教会までこの戦争に参加すれば、どの勢力もこの戦争を止められないよ…………」
「七耀教会は空の女神を崇めているんだから、その女神に情報を秘匿したという罪悪感、そして何よりも現世に降臨した空の女神に空の女神の信者としての信仰心を捧げる為にも空の女神の方針に全面的に賛成の意を示したんだろうね…………」
「”非公式で密約を交わした事”だけが不幸中の幸いね。もし公式に約束して、それを世間に公表すれば、ゼムリア大陸の各国の七耀教会の信者達もエレボニア帝国を敵視するでしょうし、エレボニアの国民の信者達もショックを受けたり、酷い時は政府に対して暴動を起こす事で信者達による内戦まで起こったかもしれなかったでしょうし。」
「ハハ…………いずれエイドス様達の耳にも”黄昏”の事は耳に入ってそんな展開になる事も想定はしていたけど、まさかもう既にエイドス様達や七耀教会までメンフィル・クロスベル連合に協力する事になっているとはね…………恐らくエステル君達も”巨イナル黄昏の滅亡”に関してはエイドス様達やメンフィル・クロスベル連合の利害と一致しているだろうから、エステル君達も何らかの形でメンフィル・クロスベル連合に協力するんだろうね…………」
重々しい様子を纏って答えたトマスの答えを聞いたトワは悲痛そうな表情をし、アンゼリカは複雑そうな表情で推測し、セリーヌは目を細めて推測し、オリヴァルト皇子は疲れた表情で肩を落とした。
「その…………トマス教官は今こうして、エレボニア帝国の関係者である紅き翼に協力してくれていますが、大丈夫なのでしょうか…………?下手をすればトヴァルさんの時のような”処分”を受ける事になる恐れも…………」
「ハハ、正直教会の上層部達は守護騎士(私)が皆さんに協力している事はいい顔をしていないそうですが、幸いにも星杯騎士団(私達)の”長”である”総長”と”第八位”が私の行動を容認して庇ってくれていますから、明確にメンフィル・クロスベル連合と敵対するような行動をしなければ大丈夫です。」
「フフ、さすがにあのアリアンロードとも対抗できると推測されている星杯騎士団最強の騎士――――――”紅耀石 ( カーネリア )”と守護騎士達の中でも一番の古株の”吼天獅子”の意見はさすがの教会の上層部達も無視できなかったのでしょうね。」
「な――――――トマス教官の上司にあたるその星杯騎士団の”総長”はあの”槍の聖女”と対抗できる程の使い手なのですか…………!?」
「一体どんな人なのかしら…………?サラ教官やトマス教官の話によると確かその人って、世間で出回っているあの”カーネリア”のヒロインのモデルとなった人ですよね?」
不安そうな表情をしているエマの質問に苦笑しながら答えたトマスとトマスの説明を補足したクロチルダの推測を聞いたラウラは驚き、アリサは疑問を口にした。
「アハハ~…………申し訳ありませんが、それについては黙秘させて頂きます。…………正直、エイドス様のように今まで抱いてきた”カーネリア”のイメージが木端微塵に壊される可能性が非常に高いと思いますので。ハア…………」
「そんなことを言われたら、むしろ余計に気になるっつーの。」
「トマス教官の口ぶりや”あの”空の女神を崇めている宗教の騎士団の”長”なんだから、多分…………ううん、間違いなく”色々な意味でとんでもない人物”なんだろうね。」
苦笑しながら説明をした後疲れた表情で溜息を吐いたトマスの様子に仲間達と共に冷や汗をかいて表情を引き攣らせたクロウは我に返ると呆れた表情で指摘し、フィーはジト目で呟いた。
「…………それでエイドス様は今、どこで何をしているのだろうか?」
「エイドス様達はリベールの霊脈に結界を施した後、エレボニア以外の各国を回って各国の霊脈に結界を施しているとの事です。」
「霊脈に結界をじゃと…………?――――――!よもや、”巨イナル黄昏”の影響が広げない為か?」
ガイウスの質問に対して答えたトマスの説明を聞いて眉を顰めたローゼリアだったがすぐに察しがつくと真剣な表情で訊ねた。
「はい。皆さんもご存知のように”巨イナル黄昏”は霊脈を伝って影響を及ぼしていますから、”黄昏”が霊脈を伝って各国にも影響を及ぼす前に予め霊脈に結界を施す事で”黄昏”の影響を防げているようなんです。…………ただ、その件もあって、七耀教会の上層部達のエレボニア帝国政府や皇家に対する印象は更に悪化し続けているとの事ですが…………」
「ええっ!?ど、どうしてですか!?」
トマスは説明をした後疲れた表情で肩を落とし、説明を聞いたアリサは驚きの声を上げ
「あら、わからないのかしら?ただでさえ”巨イナル黄昏”の原因は遥か昔の”人”の愚かさによって空の女神が”人”に授けた”至宝”がぶつかり合った結果できてしまった”呪い”なのに、その”尻拭い”を空の女神自身にさせているのだから空の女神を崇めている教会の上層部達のエレボニアに対する印象は悪化し続けるのは自然な流れよ。」
「それは…………」
「ハハ…………今回の件が終わったら、冗談抜きで”巨イナル黄昏”の件に対する責任を取るために政府の解体や父上の帝位剥奪並びに追放もしくは幽閉もそうだが、最悪はアルノール家の”皇族としての身分の剥奪”も世界各国から要求されるかもしれないね…………」
「オリビエ……………………」
レンの指摘に反論できないラウラが複雑そうな表情で答えを濁している中、疲れた表情で肩を落としたオリヴァルト皇子の様子をミュラー少佐は辛そうな表情で見守っていた。
「その件に関しては本来の歴史と比べても大差ないかもしれないわね。実際、本来の歴史でリィンお兄さん達が犠牲になってもならなくても”巨イナル黄昏”の件が終わった後のエレボニア帝国は政府、皇族は貴族、平民問わずに国民達からの信頼は地の底へと落ちた上カルバート共和国に対して天文学的な賠償金を支払う羽目になった事で莫大な負債を背負う事になったそうだもの。――――――ちなみにその賠償金は政府と皇家、四大名門、そしてRF(ラインフォルトグループ)が協力して支払う事になったそうだけどね。」
「本来の歴史の”黄昏”を超えたエレボニアはそのような事になるのですか…………」
「ハハ…………それを考えると、改変されたこの世界では身分を捨ててリィン君に仕える事でアルノール皇家の責任から逃れる事ができたアルフィンもそうだがメンフィル・クロスベル連合と協力関係を結ぶ事ができたミルディーヌ君も得をする事になるのだろうね。」
「………そうだな。今回の件でエレボニアが滅びようと、存続しようと、ミルディーヌ公女は”黄昏”を超えた後のエレボニアにとって必要不可欠な重要な人物になるからな。…………下手をすれば、”カイエン公爵家が新たなるエレボニアの皇家もしくは統治者”になるかもしれん。」
「フフ、皮肉な話ね。前カイエン公の野望であった”エレボニアを統べる者”としての地位を前カイエン公によって追放されたミルディーヌ公女が手にする事になるかもしれないのだから。」
「まさかとは思うがミルディーヌ公女は、前カイエン公の意志を継ぐ為にもヴァイスラント決起軍の”総主宰”の地位に就いたのか…………?」
「いや…………ユーシス君も知っての通り、ミュゼ君は前カイエン公によって追放された事から前カイエン公との仲は当然悪かった…………というか前カイエン公が一方的にミュゼ君を嫌っていたし、彼女は前カイエン公とは全く真逆の貴族に育ったユーディット・キュア姉妹のように”平民”を蔑んだり”身分”に五月蠅い人物ではないよ。実際、自分よりも身分が下のエリス君の事も”エリス先輩”と呼んでエリス君の事を慕っている様子も見せていただろう?」
「それどころか、自分の目的の為とはいえ、”尊き血”を引く正当なカイエン公爵家の令嬢でありながら身分や”尊き血”に五月蠅いエレボニアの貴族達からは嫌われているリィンと結婚しようとしていますものね。」
レンの説明を聞いたアルゼイド子爵が複雑そうな表情をしている中、疲れた表情で呟いたオリヴァルト皇子の推測に頷いたミュラー少佐は重々しい様子を纏って答え、クロチルダは意味ありげな笑みを浮かべ、三人の話を聞いてある推測をしたユーシスにアンゼリカは静かな表情で指摘し、アリサはジト目でミュゼを思い浮かべて呟いた。
「そういや本来の歴史の皇太子は”子供達”の一員になったらしいが、本来の歴史の皇太子はどうなったんだ?皇族としての責任もそうだが、”子供達”の一員としてギリアスに加担していた事の責任も追及されると思うんだが。」
「本来の歴史のセドリック皇太子は”黄昏”の件が終わった後はエレボニアから姿を消して、結社の”執行者”になったそうよ。」
「な――――――」
「ハアッ!?」
「こ、皇太子殿下が結社の”執行者”になったって…………!」
「一体本来の歴史ではどんな超展開があったのよ…………」
「ハハ…………どうやらセドリックに関する件も私やアルフィンのように今の世界の方がよかったようだね。」
クロウの疑問に答えたレンの驚愕の答えに仲間達がそれぞれ血相を変えている中ミュラー少佐は絶句し、サラは困惑の表情で声を上げ、トワは信じられない表情で呟き、セリーヌは疲れた表情で呟き、オリヴァルト皇子は苦笑していた。
「クスクス、色々と話が逸れたからリィンお兄さんの件に戻すけど…………オリビエお兄さんが言ったように、キーアの因果律の改変によってメンフィル所属となったリィンお兄さんの運命の方が本来の歴史の運命よりもよっぽどいいでしょう?だって、”本来の歴史だとリィンお兄さんは黄昏の件で高確率で犠牲になっていたもの。”それでもなお、”改変された歴史よりも本来の歴史の方がよかった”とⅦ組のみんなは言えるかしら?」
「そ、それは…………」
「…………レン皇女殿下。今までの話ですと、”低確率でリィン達が犠牲にならない本来の歴史もあったのでは?”」
話を戻したレンの指摘に反論できないエマが辛そうな表情で答えを濁している中目を伏せて黙り込んでいたアルゼイド子爵は目を見開いて静かな表情でレンに問いかけた。
「あら、目ざといわね。――――――確かに”リィン・シュバルツァー達が犠牲にならない本来の歴史”も存在するけど、”光の剣匠”さんも言ったようにそれは”限りなく低い可能性の歴史”だし、その歴史のリィン・シュバルツァーは、”黄昏”の後は平凡な教官として過ごした後男爵家の跡を継いで平凡な人生を過ごしたと、今のリィンお兄さんに待っている”将来”と比べたら良い待遇じゃないから、どの道リィンお兄さん――――――いえ、”シュバルツァー家はメンフィル帝国の貴族になった事の方が良い結果”だったのよ♪そもそも、その歴史は”非常に低い可能性の歴史”なんだから、”確実にリィンお兄さん達が犠牲にならない歴史”と、”高確率でリィンお兄さん達が犠牲になり、非常に低い確率でリィンお兄さん達が犠牲にならない歴史”と普通に考えたらどっちを取るかは明白でしょう?」
「それは…………」
「そりゃ普通に考えて”確実に勝てる勝負”と、”ハイリスクローリターンの勝負”だったら、”確実に勝てる勝負”を選ぶのが当然の流れだな。」
アルゼイド子爵の問いかけに小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えに反論できないラウラは複雑そうな表情を浮かべ、クロウは呆れた表情で答えた。
「それとこれは余談だけど、その”非常に低い確率でリィンお兄さん達が犠牲にならない歴史”でリィンお兄さんの伴侶となる人物は複数の可能性があってね。それを考えると今の改変された世界の方が”本来の歴史”と比べてもアリサお姉さんがリィンお兄さんと結ばれるチャンスはまだまだ残っているから、アリサお姉さんにとっても良い結果だったと思うわよ♪」
「な、何でそこで私の名前が出る――――――というか、本来の歴史でリィン達が犠牲にならない歴史だとリィンと結ばれる可能性がある女性はそんなにたくさんいたんですか!?」
からかいの表情のレンの言葉にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて脱力している中アリサはジト目で反論した後顔に青筋を立てて真剣な表情を浮かべてレンに訊ねた。
「ええ。アリサお姉さんもそうだけど”白兎を除いて紫電のお姉さんや新Ⅶ組を含めたⅦ組の女性陣全員の内の誰かが非常に低い確率でリィンお兄さん達が犠牲にならない歴史でリィンお兄さんの伴侶になる更に低い確率の歴史がそれぞれあった”そうだし、その中にはトワお姉さんやエリゼお姉さん、そしてアルフィン皇女がリィンお兄さんの伴侶になる歴史もあったそうよ♪」
「ふええええっ!?本来の歴史だとアリサちゃん達だけでなくわたしまでリィン君のお、お嫁さんになる歴史もあったんですか…………!?」
「確かにリィン君ならありえそうな話だねぇ。」
「ったく、本来の歴史でもリア充野郎なのは変わっていなかったのかよ…………」
「という事はアルフィンはこの改変された世界で、本来の歴史では叶わない可能性が高かった恋が叶った事にもなるから、”今の世界の方がアルフィンにとっても間違いなく良い結果”になったという事だね、はっはっはっ。」
「……………………」
更なる驚愕の事実を口にしたレンの説目にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中トワは顔を赤らめて混乱した様子で声を上げ、アンゼリカは苦笑し、クロウは呆れた表情で溜息を吐き、暢気に笑っているオリヴァルト皇子の言葉を聞いたミュラー少佐は顔に青筋を立てて黙り込んでいた。
「フム…………リィンの事は”友”として大切に想ってはいるが、恋愛感情までは抱いていないのだがな…………」
「ま、リィンのあの”タラシ”の性格を考えると確かにそんな可能性があったかもしれないね。」
「ア、アハハ…………」
「というか、”新Ⅶ組”――――――”自分の生徒とまで結ばれる歴史”もあったなんて、幾ら何でも見境がなさすぎじゃないかしら、リ・ィ・ン~~~!?」
一方ラウラは困った表情で考え込み、ジト目で呟いたフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいて苦笑し、アリサは膨大な威圧を纏って微笑みながらリィンを思い浮かべた。
「見境がないと言えば、サラ教官もそうだな。」
「全くだな。幾ら婚期に焦っているとはいえ、担当していた生徒と結婚するなんてさすがにどうかと思うのですが?」
「うっさいわね!?それは”別のあたしの話”だし、それ以前に”今のあたし”は婚期に焦ってなんかいないんだからね!?」
ジト目でサラに視線を向けるユーシスの言葉に同意したマキアスもユーシス同様呆れた表情でサラに視線を向け、視線を向けられたサラは顔に青筋を立てて必死の表情で反論し、それを見たアリサ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「そういえば…………今の話の中にエリスとセレーネは含まれていなかったが…………セレーネは異世界から来た人物だから、”零の御子”の”因果律の改変”が理由である事はわかるのだが、本来の歴史でリィンがエリゼと結ばれる可能性はあってもエリスだけないのは不思議だな…………?」
「――――――本来の歴史でリィンお兄さんとエリスお姉さんが結ばれる可能性なんてある訳ないじゃない。”そもそもエリス・シュバルツァーは本来の歴史には存在していないんだから。”」
「ええっ!?そ、それってどういう事なんですか!?」
ガイウスの疑問に答えたレンが口にした驚愕の事実にその場に全員が血相を変えている中エリオットは信じられない表情でレンに訊ねた。
「元々”本来の歴史ではエリゼ・シュバルツァーがエリス・シュバルツァーの立ち位置”だったのよ。アルフィン皇女と親友になったのも、夏至祭でアルフィン皇女と共に帝国解放戦線に拉致されかけたのも、内戦で”蒼の深淵”の指示によって”黒兎”にアルフィン皇女と共に拉致されて内戦終盤までカレル離宮に幽閉されたのも、”本来の歴史では全てエリゼ・シュバルツァー”だし、当然”本来の歴史のエリゼ・シュバルツァーは剣聖に至るほどの使い手ではなかった”そうよ。」
「恐らく因果律の改変の際に歴史の修正に”エリゼの歴史の改変”とそれに伴う”エリゼの立ち位置となる代役の人物”が必要だったから、”並行世界の零の御子”はシュバルツァー男爵夫妻からエリゼだけでなく、双子の姉妹が生まれる因果へと改変したのでしょうね。」
「ええ…………実際改変されたこの世界の今のエリゼ君は”本来の歴史のエリゼ君とは全く別の立ち位置”にいると言っても過言ではありませんね。」
「やれやれ…………本来の歴史と比べると、一体どれほどの”因果”を改変したのじゃろうな、並行世界の”零の御子”とやらは…………」
レンの説明を聞いたクロチルダは静かな表情で推測し、クロチルダの推測にトマスは複雑そうな表情で同意し、ローゼリアは疲れた表情で溜息を吐いた。
「ま、そういう訳でディル=リフィーナの常識の一つである”貴族のような富裕層、上流階級に限らず、平民でも複数の伴侶が持てる事実”もゼムリア大陸に浸透した事でゼムリア大陸でも数は少ないけど重婚の夫婦が存在している事もそうだけど大貴族になる事が内定したリィンお兄さんには”分家”を作る事でシュバルツァー家の”力”を強める必要があるからその為にも一人でも多くの子供達が必要――――――つまり伴侶は多いに越したことはないから、本来の歴史では悲恋か失恋の可能性が高かったアリサお姉さんにもまだまだチャンスは残っているから”よかったわね”と言ったのよ♪」
「実際本来の歴史では失恋か悲恋する可能性が高かったエリゼもそうだけど、アルフィン皇女もリィンのハーレムの一員になっているものね。」
「いや、そんなことを言われてもむしろ女として滅茶苦茶複雑なんですけど…………というか今気づいたけど、何でみんな私のリィンへの想いを知っているのよ!?」
からかいの表情を浮かべたレンと呆れた表情をしたフィーの指摘にジト目で答えたアリサは顔を真っ赤にして声を上げ、それを聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて脱力した。
「何を”今更”な話をしている。気づかなかったのは”その手の話”に関して余りにも鈍感すぎたリィンくらいだ。」
「まあ、普段の二人の様子を見ていたらアリサと家族同然の関係だったシャロンさんじゃなくても普通は気づくよなぁ?」
「むしろ気づかないリィンの方が僕達からすれば不思議なくらいだものね…………」
「ア、アハハ…………一番長く傍にいてご自身も心から大切にしていた女性であるエリゼさんとエリスさんの気持ちにも気づかなかったリィンさんなんですから、仕方ないかと思いますよ。」
「当然、グエン老もそうだがシャロンさんも気づいていたな――――――いや、ひょっとしたらシャロンさんが第三学生寮の管理人として派遣されてきた時点でシャロンさんはアリサのリィンに対する気持ちに気づいていたかもしれないな。」
「~~~~~~~ッ!」
呆れた表情をしたユーシスと困った表情をしたマキアスとエリオットの言葉にエマとガイウスが苦笑しながら答えた後、アリサは恥ずかしさのあまり真っ赤にした顔を俯かせていた。
「――――――さてと。”零の御子”に関する話はこのくらいにして、話を皇太子奪還の件に戻しましょうか。結局Ⅶ組(あなた達)はこれからどうするのかしら?」
「ど、どうするもなにも、もう既に皇太子殿下やミリアムを助ける為にもこれから”特異点”に”楔”を打ち込む活動する流れになっているよね…………?」
「ああ…………それが現状オレ達ができる事でもあるしな。」
「えっと………みんな、念の為に確認するけど紅き翼――――――ううん、”Ⅶ組”の今後の活動方針は拉致されてどこかに幽閉されていると思われる皇太子殿下と”剣”になってしまったミリアムちゃんの奪還の為に黒の工房の本拠地の捜索活動という事でいいんだよね?」
「――――――はいっ!!」
レンの質問に対してエリオットとガイウスは互いに顔を見合わせて困った表情で答え、トワが表情を引き締めてアリサ達を見回して確認するとアリサ達は互いの視線を交わして力強く頷いて答えた。
「――――――結構。それじゃあまずはこれを支給してあげるわ。」
アリサ達の様子を見て満足そうな笑みを浮かべたレンが指を鳴らすと異空間からその場にいる全員分の戦術オーブメントが現れて机に着地した――――――
後書き
意識した訳ではありませんが、平成最後にして令和元年年末の更新の今回の話はいつもより文字が多めになりました。そしてファイアーエムブレム風化雪月は現在ようやく最後に選んだ金鹿ルートの第一部で未だ全ルート終わっていない為、イース9は来年に持ち越しに…………(遠い目)せめて、創の軌跡が発売するまでにはイース9をクリアできているといいのですが(汗)後皆さんもお気づきと思いますが光と闇の軌跡シリーズ関連の設定では創の軌跡関連の物語は絶対に書けません。なので、私は光と闇の軌跡シリーズ関連の設定で創の軌跡以降の軌跡シリーズは書かないと思います………書くとしても焔の軌跡シリーズ関連の設定でしか書けませんし。
それでは皆さん、よいお年を…………
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