魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~
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Ep52輝ける未来がため~Road to the future~
前書き
5thエピソード・ラストバトルイメージBGM
魔法少女リリカルなのはA’s-THE GEARS OF DESTINY『BRAVE PHOENIX』
http://youtu.be/QNt4lT81inQ
†††Sideシャルロッテ†††
VS・―・―・―・―・―・―・―・―・
其は遥かに古き時代の皇帝アグスティン
・―・―・―・―・―・―・―・―・VS
――炎牙崩爆刃――
――氷奏閃・翔閃――
炎熱の斬撃を飛ばし、アグスティンも氷雪の斬撃を飛ばす。もう何回もそれを繰り返し、また衝突して相殺される。皇帝アグスティン。当時の二つ名は冷血王アグスティン。
自分が良ければそれでいい、という自己中心の権化。全ては部下任せ。だというのに気に入らなければ即死刑。だから前線にはなかなか出なかった。で、ヴィーグリーズ決戦でのこのこ出てきてルシルに殺された道化。
(だっていうのに・・・コイツ、強い・・・!)
ヨツンヘイム皇族に名を連ねる魔術師。その頂点たる皇帝の名は飾りじゃなかったということか。さっきからコイツはキッチリ私の攻撃のタイミングを計って反撃してくる。面倒だ。さっさと決めてやる。その目に焼き付けよ。これが剣神シャルロッテの・・・剣閃。
「目醒めよ、キルシュブリューテ・・・!」
限定解放。解放時間は10秒。十分だ。私は閃駆で間合いを詰めながら“キルシュブリューテ”を鞘へと納める。アグスティンの顔色が変わった。さすがに知っているか、私の真技を。
9秒。私は射撃魔法ロイヒテン・プファイルを斉射。
8秒。アグスティンは冷気の甲冑を纏ってプファイルを凍結防御。
7秒。右足に炎熱魔力を纏わして前転、床に思いっきり踵落とし。
6秒。2人の間に立ち込める爆炎。
5秒。私は爆発の反動でアグスティンを跳び越えるように爆炎を突っ切って跳躍。
4秒。アグスティンの背後を取った。
「真技・・・牢じ――なっ・・・!?」
真技の発動直前で、私は“キルシュブリューテ”を抜くことが出来なかった。やられた。牢刃・弧舞八閃の弱点を知られてた。
アグスティンは抜こうとした“キルシュブリューテ”の柄尻に回し蹴りをして、抜けないようにしていた。
牢刃・弧舞八閃の発動条件は居合抜き。それを封じられれば不発で終わる。この真技を封じられたのは、生前では風迅王イヴィリシリア、ただ1人だけ。死後、“界律の守護神テスタメント”となってからは防がれることはあっても、不発にされたことは1度も無いのに・・・。
(コイツ・・・!)
よりにもよって、こんなクズ王に不発にさせられるなんて・・・。今まで以上の怒りが私の心に満ちていく。生前からの憎き相手だから当然。硬直している私とアグスティンだったけど、奴から「剣神の真技も、まるでお遊戯よの」と安い挑発。乗るな、私。乗ればコイツの思うつぼ・・・なんだけど・・・!
「いつまで私の剣神の魂を足蹴にしてんのよ!!」
私は反時計回りに回転。左足を乗せていた“キルシュブリューテ”が突然無くなったことでガクンと体勢を崩しすアグスティン。その一瞬の隙に回転した遠心力を利用して、奴の背中へと魔力を纏わせた鞘を叩きつける。うめき声を漏らした奴が吹っ飛んで、最上階から・・・落ちた?
「あーもう! なに落ちてんの!」
落とした自分を棚に上げて、私はアグスティンが落ちた場所へと駆け寄り下を覗き込む。あー、居たよ。壁に氷剣を突き立てて足場にしてる奴が。追撃の炎の斬撃を奴目掛けて放つ。あろうことか奴は足場の氷剣から跳んで私の斬撃を避けた。確か奴は飛翔術式が使えないはず。
「追撃のチャーーンス」
――真紅の両翼――
私は床から宙に飛び出して紅翼を生成。
「そおおらぁぁーーーッ!!」
――光牙十紋刃――
落下するアグスティン目掛けて突撃して、十字斬を飛ばす。
――極雪轟嵐――
アグスティンは氷剣に吹雪を纏わせると、それを竜巻を放ち、十紋刃を相殺してきた。だけど、今の私は大戦時と違って空を飛べる。さらに距離を詰め、刀身に炎を纏わす炎牙月閃刃の連撃を繰り出す。奴は宙で体勢が整えられないというのに、器用に二刀の氷剣で捌ききる。焦るな。冷静に。空である以上、私の方が有利なんだ。地上に着く前に・・・。
「貴様を斃す!」
「我は世界を統治する王ぞ!」
――悪魔の角――
私の周囲に氷の杭が50発以上は展開された。
「だから、それを止めるって言ってんの!!」
迫る氷杭を“キルシュブリューテ”や全身に炎を纏うことで迎撃防御。そのまま突撃して全力で薙ぎ払いを放つ。アグスティンは避けることが出来ないから、氷剣を脇に構えて防御。
「一騎士如きがヨツンヘイムの覇道を止められるものか!!」
アグスティンは氷剣を掲げるようにして“キルシュブリューテ”を逸らし捌く。だけど私はすぐに1回転しての遠心力を利用した一閃を振るって、また防御した奴を“天柱”の外壁へと叩きつける。
「魔術師の時代はとっくの昔に終わってる。いい加減気付け」
「我が存在している以上は終わってはおらん。それに終わっているというのであれば、また起こすまでだ。それが今の我の目的だ。我独りで魔導師共と戦争し、打ち勝ち、勝利の美酒で世界統治を祝う。ふむ。これほど面白い祭りはそうはない。剣神、貴様もそう思うだろう?」
めり込んだ壁から立ち上がるアグスティン。コイツにはもう何を言っても無駄だって、私は理解していたはず。そうだ。もう話すことなんてない。
「愚かよな」
「なに・・・?」
アグスティンが私じゃなくて、もっと遠い場所を見据えてそう呟いた。罠か? そう警戒しながら振り向くと、こっちに向かってくる“ヴォルフラム”が視界に入った。何で来たの? 当然なのは達を迎えに来たに決まってる。でもタイミングがあまりにも良ろしくない。
「幻想一属の創造主の御名において召喚する」
ハッとしてアグスティンへと視線を戻すと同時に“キルシュブリューテ”を振るう。だけど、すでにそこに奴は居なかった。視線を周囲に彷徨わせて、そして発見。地上へと落下しながらも魔族召喚の儀式を行っていた。
――光牙閃衝刃――
私は儀式を中断させるために、すぐさまアグスティンへと突撃しながら最速の一撃、真紅の魔力槍を幾つも放つ。奴に当たる直前、闇色の炎が盾となって私の一撃を防いだ。業火の眷属ゼルファーダだ。
それだけじゃない。地上に落ちる前に奴が降り立ったのは真紅の魔力鳥、赫羽の荒鳥ファノ。その周囲に純雷の皇馬アルトワルドが1頭。そして、黒鎧の毒精フォヴニス1体が地上に居た。尾が“ヴォルフラム”に向けられているのが視認できる。
「まずは貴様が拠り所としていた者共からだ」
「やめろぉぉぉーーーーーッ!」
†††Sideシャルロッテ⇒ルシリオン†††
私は冷たくなったセレスを背負い、こちらに向かっているという“ヴォルフラム”を待っていた。セレスの死を聴いたはやては気丈に振舞いつつも、やはり目の端に涙を浮かべていた。友をこのような形で喪ったのだ。泣いていいはずなのに、はやては耐えていた。
通信も切れ、私たちはただ待つ。私の左隣にはなのは、右隣にはフェイトが佇んでいる。先程から会話はない。それも仕方がないことだろう。
「ん? なんだ、この魔力反応は・・・?」
「どうしたの、ルシル君?」
そんな時、前方から妙な魔力反応を探知した。この身にすでに神秘はないとしても、探知できるだけの力はまだ残っている。私はフェイトとなのはを庇うように前へ出、魔力反応のある地点を見詰める。と、ヨツンヘイム魔法陣が展開、そこからフォヴニスが召喚された。召喚されたばかりのフォヴニスの尾は、艦体を見せた“ヴォルフラム”に向けられていた。
「くそ、アグスティンの仕業か!!『はやて! フォヴニスが撃ってくるぞ、防御だ!』」
はやてに通信を入れると、すぐさま“ヴォルフラム”にシールドが張られた。フェイトとなのはが砲撃を撃たせないためにフォヴニスへと突撃していく。私は無力だ。神秘を扱えなくなったその瞬間、私は魔族と戦う術を失った。フェイトとなのはの2人はフォヴニスへと砲撃や斬撃を与えていく。
――フォヴニスの光――
しかし、尾から翠色の砲撃が“ヴォルフラム”へと向かって放たれた。シールドに着弾。防ぎきれるかと思った矢先、シールドを突破し艦体を掠っていった。発射ギリギリでフォヴニスを討ったおかげだろう。それで尾が揺らぎ砲撃の射線がずれたんだ。
安堵しつつゆっくりと消滅していくフォヴニスを眺める。空を見上げ、視力を強化する。シャルとアグスティン、それに魔族が何体か居た。
「アグスティン!・・・ん? セレスの亡き今、もしかすると・・・」
追加召喚された魔族を見た私は、魔導師となった私でも戦える手段に気付き、シャルへと念話を繋げる。
『聞こえるか、シャル! 界律が正常に戻った今、君の“アレ”が発動できるはずだ!』
†††Sideルシリオン⇒リエイス†††
フォヴニスの砲撃は“ヴォルフラム”に直撃することなく掠っていった。おそらく最後、高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの攻撃によって、射線をずらされたのだろう。
「魔族。ゼルファーダにフォヴニス、ファノにアルトワルド。そして・・・ヨツンヘイムの王・・・アグスティン言うたか? いくらシャルちゃんでも、たった1人やとあの数はキツイはずや・・・!」
ブリッジの艦長席から立ち上がった主はやては、決意したかのようにそう告げた。私は「出ますか?」と尋ねると、主はやては「来てくれるか、リエイス?」の問いに、私は「もちろんです」と返す。
「シグナム、ヴィータ、リイン、アギト、エリオ、レヴィ、戦闘準備。シャルちゃんの負担を少しでも減らすために、私らも出るよ。シャマルとキャロとルールーは、なのはちゃんとフェイトちゃんの治療、ザフィーラは護衛。ええな?」
主はやての指示に、みなが『了解!』と答えた。ナカジマ姉妹とティアナ・ランスターは待機だ。彼女たちの肉親であるアグアマリナとアマティスタが還ったことは、シグナムからの通信で聴いている。主はやてはそんな彼女たちに待機を無言で指示。
『『あたし達もいきます!』
しかし、ティアナ・ランスターとスバル・ナカジマから、出撃したいと告げられた。艦長席にのみ展開されたモニターに、ナカジマ姉妹とティアナ・ランスターの決意に満ちた顔が映し出される。主はやては少し彼女たちの顔を見詰め、「みんなで行くよ」と微笑んだ。彼女たちもまた『了解!』と答え、通信を切る主はやて。
「行くよ、リエイス」
「はい」
そして私たちは、シャルロッテとアグスティンの戦いを妨害する魔族の討伐に出た。
†††Sideリエイス⇒シャルロッテ†††
――風雅なる赫沫の散々華――
ファノの散弾のような羽根を避け、
――我が往くは天の覇道――
白銀の雷弾となって突っ込んできたアルトワルドも避け、
――慈悲すら許さぬ業火――
ゼルファーダの突進を“キルシュブリューテ”で弾き飛ばす。
――制圧せし氷狼――
――光牙聖覇刃――
そこに迫るアグスティンの氷狼の群れ。その数軽く50頭越え。私は1頭1頭相手にするのも面倒だから、広範囲を制圧する光の波を周囲に放って、何頭かに噛みつかれながらも何とか一掃する。通り過ぎていったアルトワルドとゼルファーダが反転。また私へと突っ込んでくる。それにファノのくちばしからの砲撃も追加。
「そらそらそら! 踊り止めると丸焦げにされるぞ、剣神!!」
手を叩いて高笑いするアグスティンに、私は完全にブチ切れる。捨て身でいいから奴をバラバラにしてやろうかと思いながら回避を取った時、ルシルから念話が来た。内容は・・・なるほど。うん、確かに。今来たよ、ルシル。ルシルの念話で一気に冷静になれた。感謝だよ。
――界律より剣戟の極致に至りし者へ。魔術師としての制限を解放。現代に存在するを許されぬモノを討て――
「3rdテスタメント・シャルロッテ、了解」
“界律”からの魔術師としての能力全解放許可を受諾。身体に満ち溢れる魔力。私は今取り戻す。剣神シャルロッテを。アグスティンが「何だと!?」っていう驚愕の声を上げているのが聞こえた。
『シャル、私にも戦わせてほしい』
ルシルからのお願い。きっと私がルシルから聴く最後の願いだ。私は『一緒に戦おう』と返し、ルシルからも『よろしく頼む』と返ってくる。アグスティンはさらに魔族を追加していく。アルトワルドが3頭になり、ファノが4羽になり、ゼルファーダが5体となり、フォヴニスも2体追加、無限の永遠ラギオンも4体召喚された。目を閉じれば感じ取れる。なのはとフェイトがはやて達と合流したのを。
「さぁ、始めようか。剣戟の極致に至りし者シャルロッテの、最後の契約を!!」
――剣神の星天城――
私は夜空へと変わりつつあったこの世界に“創世結界”を展開させた。セレスを除く全員を取り込むように、最後の決戦の場を。
†††Sideシャルロッテ⇒なのは†††
世界が変わった。私たちはついさっきまで“オムニシエンス”に居たのに。周囲には中世の巨大な城や幾つもの塔が見える、桜の花弁が舞う広大な闘技場に佇んでいた。
「すごい・・・!」
私はフェイトちゃんと一緒に、シャマル先生とキャロによる治療の最中だった。それが突然視界は光で閉ざされて、気が付けばこの光景。みんなも唖然としている。でも、すぐに冷静になる。シャルちゃんとルシル君の記憶で見たし、現に私はJS事件で体験したことがある。そうだ、ここは“創世結界”と呼ばれる世界。魔術師たちの目指す頂点の1つ。
「我が城に集う親友たち! 私と一緒に戦ってくれますか!」
シャルちゃんが蒼空となった天上で叫んだ。魔族もこの光景に驚いているのか動きを止めている。でもそのおかげで、私たちはそれぞれ顔を見合わせることが出来て、「もちろん!」と答えることが出来た。
『うん。・・・それとこの世界での魔法は全て魔術に変換される。だからカートリッジなしでも戦えるから。・・・その、ありがとう、みんな』
シャルちゃんからの念話だ。最後の感謝を聴いて俄然やる気が出た。よし! そうと決まれば・・・。
「行くよ、みんな!!」
治療が一気に終わって、私たちは戦闘を再開した。
†††Sideなのは⇒フェイト†††
シャルの“創世結界”で始まる最後の戦い。私はエリオとキャロの3人で、強敵だったフォヴニスと戦う。
「フェイトさん、エリオ君! ブースト行きます!」
でもキャロのサポートで強化された私とエリオの敵じゃない。
「ストラーダ、ツェアシュラーゲン・シュピースッ!」
エリオの“ストラーダ”から放たれた雷槍が、光を溜めていたフォヴニスの左ハサミに直撃、粉砕した。私はライオットザンバー・カラミティの“バルディシュ”を振るって、フォヴニスの右ハサミを斬り落とす。
――ソニックムーブ――
一気に尾へと接近して、ハサミと同じように斬り落とす。
「一閃必中!!」
――メッサーアングリフ――
エリオは“ストラーダ”によるトドメの一撃を、フォヴニスの頭部に撃ち込んだ。そのまま頭部から背部へと裂いていく。裂かれた部分から翠色の魔力が漏れ、フォヴニスが崩れ落ちた。動かなり消えていくのを確認して、私は空へ。エリオとキャロはラギオン数体へと向かう。
†††Sideフェイト⇒レヴィ†††
「うおおおおおおッッ!!」
――鋼の軛――
狼形態のザフィーラさんのいくつもの拘束条がフォヴニスを腹部から貫く。
「紫光掃破!!」
それでも動き続けるフォヴニスへ向かって特大砲撃を撃ち込む。それとほぼ同じタイミングで両ハサミから放たれる砲撃。わたしの砲撃の脇を通って、真っ直ぐわたしに向かってくる。
「クラールヴィント、お願い!」
――風の護盾――
シャマル先生の防御魔法が翠色の2発の砲撃を完璧に防いだ。シャマル先生の「レヴィちゃん!」という呼びかけに「うん!」と力強く応えて、瞬走壱式で最接近。
――翠閃に穿たれる罪人――
わたしの砲撃によってヒビが入りまくったフォヴニスから、雨のように降り注ぐ光線を放たれた。その中を直進する。ザフィーラさんの鋼の軛が幾つも折り重なって、トンネルを作ってくれたから。さらにシャマル先生の障壁も、トンネルの上に展開されている。だから、わたしは何も恐れずに直進できる。そして、“モード・バスター”へと形態換装。
「食らえぇぇぇぇーーーーーッッ!!」
――紫光掃破・昇華――
スタンバイしていた砲撃を、フォヴニスの頭部目がけて撃ち放った。直撃して爆発。すみれ色の閃光が晴れて、ようやく視界がクリアになる。わたしの目の前には、頭から尻尾の方まで一直線に穴が開いたフォヴニスが居た。そしてゆっくりと崩れ落ちていって、消滅した。
『やったね、レヴィ♪』
ルーテシアからの念話に、わたしは笑顔で「みんなの勝利だね♪」と返した。
「レヴィちゃん、次はラギオン掃討よ!」
「了解です!」
シャマル先生の指示に応え、ラギオンとかいう魔族の元へ急ぐ。
†††Sideレヴィ⇒シグナム†††
「レヴァンティン・・・!」
――シュランゲバイセン――
“レヴァンティン”の連結刃による結界を展開させ、ファノ3羽の翼を斬り落としたところを閉じ込める。
『「遠き地にて、闇に沈め」』
――デアボリック・エミッション――
そこに主はやてとリエイスの、広域空間殲滅魔法が発動される。翼が無いファノ3羽は為す術なく呑み込まれる。
「アギト、火龍一閃だ」
私は“レヴァンティン”をシュベルトフォルムへと戻し、アギトにそう告げる。今ので消えてくれればいいが、もし残っているのなら追撃の必要がある。
『よっしゃ! アホ鳥どもに食らわして、焼き鳥にしてやれ!』
デアボリック・エミッションの効果が切れ、その姿を現したファノが3羽。所々が崩れ、今にでも消滅しそうだが反撃される可能性もある。
「『剣閃烈火!!』」
――火龍一閃――
左手に生成した炎剣をファノに向かって薙ぎ払う。火龍一閃はファノ3羽の胴体を寸断し、1羽の頭部を刎ねた。3羽のファノはゆっくりと落下を始め、消滅していった。
『シグナム。次に行くよ!』
「はい!」
ゼルファーダと戦うヴィータと高町の元へと向かう。
†††Sideシグナム⇒スバル†††
「ぅぅおおおおおおおッッ!!」
――振動拳――
ウイングロード上に来た1体のラギオンを殴り付ける。大きく弾き飛ばされたラギオンの先、同じようにウイングロードとエアライナー上に居るギン姉とノーヴェが構えを取って待っていた。
――リボルバースパイク――
まずノーヴェの回し蹴り。ゴーンって鐘を鳴らしたかのような鈍い音が響く。
――ストームトゥース――
ギン姉のコンビネーションが決まる。打ち下ろしによる防御破壊と打ち上げる直接攻撃による2連撃。あたしは砕けていくラギオンへ最接近。もう1度、振動拳を打ちつける。ガシャァァン!と音を立てて、ラギオンは粉々になっていく。
「やったわね、スバル」
「やったな!」
「うん。ギン姉、ノーヴェ。次に行こう!」
「ええ!」「おう!」
視線の先、ティアとチンクとウェンディの3人組と、エリオとキャロとディエチの3人組が残りのラギオンと戦っている。1体居ないことから、きっとティア達が片付けたんだ。あたし達も遅れていられない。お母さんの娘として恥ずかしくないように。
†††Sideスバル⇒なのは†††
「エクセリオン・・・バスタァァァーーーッ!!」
空に蠢く黒い蛇のようなゼルファーダに目掛けて砲撃を放つ。と、ゼルファーダは輪になった。その輪の内を通過する私の砲撃。砲撃をやり過ごしたゼルファーダは、それが嬉しいのかウネウネ踊り出して、両端が人の手の平に変化、拍手しだした。
「遊ばれてんじゃねぇかよ! しっかりしろ、なのは!」
「ヴィータちゃんこそ、さっきから遊ばれてるよね!」
「うっせぇな! あたしが遊んでやってんだよ!」
『いいえ、ヴィータちゃんの方が完全に遊ばれてますよ』
ヴィータちゃんの“アイゼン”の一撃はさっきから空振り続き。そしてフリーゲンを放てば、自分の身体である炎をバットの様な棒状に変形させて、打ち返してくるゼルファーダ。さっきからカキィン!と音がしているのはその所為だ。これを遊ばれていると言わなければなんて言うだろう、と少し真剣に考える。
「いい加減にしやがれってんだ!!」
――シュワルベフリーゲン――
また何発かのフリーゲンを放つ意固地なヴィータちゃん。ゼルファーダはまた幾つも枝分かれした棒状に変形して、フリーゲンを1度に全て打ち返した。ホームランだった。ランナー回れ回れ。じゃなくて、私は“レイジングハート”をバット状のゼルファーダへ向けた。
――エクセリオンバスター――
砲撃を撃つ。ゼルファーダが何かしようとしたけど、間に合わずに呑み込まれて消滅した。ヴィータちゃんは余計なことを、みたいな視線を向けてくるけど、今のはチャンスだったし。すると私がさっきまで相手していたゼルファーダが突進してきた。さらに大人しかった他のゼルファーダまで。どうやら怒りに触れてしまったみたい。
――シュランゲバイセン――
――ハーケンセイバー――
――ナイトメアハウル――
連結刃がゼルファーダの行く手を遮って、一瞬動きを止めたところにフェイトちゃんとはやてちゃんの魔法が直撃する。私はそれを見逃さずにエクセリオンバスターを撃って、ゼルファーダを掃討した。
「なんやヴィータ。遊ばれてたなぁ」
「守護騎士としていかがなものかと思うぞ」
『姉御。あんだけ打たれちまうと交代ものだぜ?』
『ヴィータは学習しない猪突猛進娘、っと・・・メモメモ』
「あ、てめっ、なにメモとか言ってんだよ、リエイス!」
はやてちゃん達に色々言われてるヴィータちゃん。それを眺めていると、フェイトちゃんが「大丈夫?」と声を掛けてきてくれた。私は「うん、大丈夫」と答えて、轟音がし続ける城の方へ視線を移す。
「アグスティンは、ルシルとシャルの因縁だから邪魔できない」
「うん。私たちは待とう。シャルちゃんとルシル君を出迎えるために」
†††Sideなのは⇒シャルロッテ†††
「アルトワルド、神器王と剣神を撃ち滅ぼせ!!」
――疾駆せし破軍の騎馬隊――
なのは達を巻き込まないように移動した場所、本城のエントランスホール。強力な防衛力を持つ大ホールで私とルシルは、アグスティンと、奴が率いるアルトワルド3頭と戦っていた。アルトワルドが数えきれない群となって、放電しながら突撃してる。
「シャル!」
「お願い!!」
ルシルのやろうとしていることを察して、私は大ホール端へ退避。
――輝き燃えろ汝の威容――
その直後に、円陣が大ホールに展開される。効果範囲は直径60m。ギリギリ私に届かない位置にまで円陣のラインが引かれ、アルトワルドとアグスティンを呑み込むように蒼炎が噴き出した。
『・・・ダメか。シャル、戦闘準備』
『了解。ルシル、私を巻き込まないでよ?』
『そんなヘマはしない。君とどれだけの付き合いをしてきたと思ってる』
蒼炎の中でアルトワルドは、放電することで発生した半球状バリアを展開してた。2階のバルコニーに陣取っているルシルからの念話にそう返し、“キルシュブリューテ”を振り切って魔力刃を飛ばす。
(それにしても本当に反則よね、ルシルってばさ・・・)
ルシルはもう魔術は使えない。でも魔法となっても魔術の術式は使える。そう、神秘が無くなったこと以外、ルシルは魔術師と変わらない。その分、“創世結界”は扱えないから複製された異世界の術式や武器、神器は2度と使えないし、ルシルの固有武装“グングニル”も使えない。だからルシルはいつかデバイスを持つだろう。きっと槍型だろうなぁ、と思う。
「当たれッ!」
私の魔力刃は蒼炎を裂き、アルトワルドの雷の障壁を寸断。アグスティンに当たろうというところで、1頭のアルトワルドが盾になった。蒼炎も消える。それと同時に私は閃駆でアグスティンへ疾走。
「最後まで我の盾として役割を果たせ、魔族!」
消滅しかけているアルトワルドを足蹴にして、私の行く手を遮る壁として利用。私は怒りをぶちまけずに瞳に宿してアグスティンを睨みつける。小さく「ごめん」と消滅していくアルトワルドに謝った。
――炎牙月閃刃――
真っ二つにして突っ切って、アグスティンに最接近する。奴は舌打ち。それだけで胸がスッとする。ザマァ(笑)
私は“キルシュブリューテ”を一閃。回避を取った奴の前髪を浅く切り裂いた。あーもう惜しい。追撃しようとしたところで、左右からアルトワルドが突っ込んできた。私はルシルを信じて、さらに奴へと踏み込む。
――殲滅せよ汝の軍勢――
ルシルの槍群が2頭のアルトワルドに降り注いで貫く。そして槍は爆発して、アルトワルドを消し飛ばした。
「これで貴様も終わりね、アグスティン!」
――双牙炎雷刃――
「また我が覇道を拒むというのかッ、神器王ォォォーーーーッ!」
アグスティンが叫びながら私の攻撃を必死に避けきり、氷剣で反撃しようとした。
――弓神の狩猟――
ルシルが蒼い魔力弓から放つ。長矢型砲撃がアグスティンの氷剣をピンポイントで粉砕した。動きを止めた奴へと“キルシュブリューテ”を横薙ぎ。それでも奴は新たに作り出した氷剣で、必死に防御するんだけど、生前と同じ身体能力となった今の私の一撃は防げない。私の一閃は音も無く氷剣を真っ二つにして、奴の右腕を浅く裂いた。漏れるのは血じゃなく魔力の粒子。
「おのれおのれおのれッ! この朽ちぬ身体ならば永遠に在り続け、今度こそ世界を統治できるというのにッ!!」
「有限は体を縛り、無限は魂を縛る。無限と永遠の命なんてものは単なる悪夢だということを、覚えておきなさい」
「・・・アグスティン。貴様はシャルに言ったそうだな。“世界を統治するためにまた世界に大戦を起こすのもいい”と・・・!」
――第二波装填――
ホールの天井近くに展開される、100は超える様々な属性を持つ槍群。私は巻き込まれないように避難する。
「もうそのような世迷言を口にするな・・・2度とだッ!」
――蹂躙粛清――
雨にように槍が降り注いでくる。一斉にじゃなくてアグスティンの逃げ場を作って誘導しておいて、別の槍でその逃げ場もろとも潰す。ルシルもやっぱりお怒りのようだ。カマエルも降り終え、私は支柱の陰から頭だけを出す。
「バカ・・な・・・せっか、く・・・こうして・・・世界に・・・干渉・・・」
ホールの中央、身体中に槍が突き刺さって倒れているアグスティンが居た。哀れなものだ。魔族を召喚しなければ、きっと私の方が負けていた。アグスティン。結局自分の“力”を信じ切れず、勝利を魔族に委ねたことで自分に敗北を招いた王。私はゆっくりホール中央へと歩き出す。2階部分から支援攻撃をしてくれたルシルも飛び降りて、着地して私に並ぶ。
「トドメは君が刺すか、シャル・・・?」
「・・・うん。私にやらせて」
“キルシュブリューテ”を強く握る。祖国を大戦に巻き込み、家族と仲間、私自身を死に追いやった憎きヨツンヘイム、その王へ歩み寄る。それにしても、まさか最後の契約ラスト・テスタメントで復讐を果たせるなんて思いもしなかった。倒れているアグスティンと目が合う。
「ゆえに認めるものかッ!」
彼はフッと微笑んだ後、最後の悪あがきをした。視界が強烈な閃光で潰される。次に襲ってきたのは爆風。踏ん張るけど吹き飛ばされた。壁に叩きつけられると思ったけど、そうなることなく、そのまま吹き飛ばされ続ける。
訳も解からず閃光の中で体勢を整えようとしたとき、誰かに抱きしめられる感触を得た。次に私を抱えた誰かが着地する衝撃が少し伝わってくる。この感じは・・・そう、やっぱりあなただよね。
「ルシル・・・」
「大丈夫か、シャル・・・」
目を開けると、私をお姫様抱っこしてるルシルの顔が見え、次に周囲を見る。そしてようやく状況がハッキリとした。私の創世結界・“剣神の星天城ヘルシャー・シュロス”の本城の前半分が瓦礫の山と化していた。
「シャルちゃーーーーん!」「ルシルーーーー!」
私とルシルの名を呼ぶ声が聞こえる。振り向くと、なのは達がこっちに向かって来ていた。私はルシルに降ろしてもらって、私たちの側に辿り着いたなのは達を見る。見たところ大きな怪我はしていない。ほぼ無傷で魔族を掃討するその強さ、やっぱすごい。
「あはは・・・また逢ったね、なのは」
「え・・・あ、うん。また逢ったね、シャルちゃん」
ついさっきお別れを済ませたのに、なのはやフェイト達とまた再会することが出来た。やっぱりゆっくりとお別れをしたいと思う私にとっては嬉しいことだ。
「シャルちゃん、アグスティンとかゆうんはどうしたんや?」
はやてに言われて、ここで初めてアグスティンの姿が見えないことに気付く。私たちはそれぞれ周囲を見渡すけど、奴の姿はない。まさか自爆?と思うけど、すぐにそれはないと切り捨てる。
「おのれ!! なぜ高貴なる我がこのような存在になってまで・・・!」
どこからともなく響いてくるアグスティンの憎悪に満ちた声。するとルシルとシグナムとリエイスが同時に「上だ!!」と叫んだ。一斉にその場から離れる。見上げるより先に離れたのはほとんど無意識だ。
その直後、頭上から何かが落ちてきた。轟音と地震と衝撃波、そして瓦礫が私たちを襲う。瓦礫は運よく当たらず、衝撃波も何とか耐えて、すぐさま何かが落ちてきた方へ振り返る。
「・・・って、お前はどこぞのRPGのラスボスかぁぁぁーーーッ!?」
そうツッコミを入れてしまった。アグスティンは居た。居るんだけど、召喚されていた魔族たちと融合して怪物になっていた。
下半身はサソリであるフォヴニス。フォヴニスの背中からはアルトワルドとゼルファーダとラギオンが折り重なるように合体した胴体があって、白銀の雷で構成された右腕、闇色の炎で構成された左腕。胴体の背中からはファノの赫い翼が無数に生え、頭部らしき部分にはアグスティンの上半身が生えている。
『かつての、夜天の書の暴走プログラムを見ているようだ』
はやての内に居るリエイスからの念話が届く。確かにそんな感じだ。さて、怪物と化したアグスティンを包囲するように私たちは配置についているわけだけど。これはちょうどいい。絶対包囲のまま集中砲火してくれる。
「最早誰ひとりとして生きては帰さん・・・!」
頭上からアグスティンの声が聞こえてくる。私は念話で全員に『空を飛べる子はアグスティンを狙って。飛べない子はフォヴニス部分を集中砲火。お願い出来る?』と聞く。返って来たのは「了解!」の一言。それが嬉しかった。
私は「それじゃあ戦闘開始!」と号令を掛ける。本当は、魔術師としての能力を全て解放された今、私ひとりでも十分勝てる。だけど、これが最後だって言うなら、私はなのは達と一緒に戦っておきたかった。
(我が儘よね、こんなのって・・・)
空戦が出来る私たち空戦チームは空へ上がって、出来ないスバルたち陸戦チームと、そのサポートをするレヴィは、足であるフォヴニス部分へ攻撃を加え始めた。
「これで最後だ、アグスティン!!」
――風牙真空烈風刃――
突風の中に真空の刃を詰め込んだ一撃を放つ。アグスティンはアルトワルドの雷腕で烈風刃を消滅させる。
「なのはとはやてとヴィータは、射砲撃で炎腕と雷腕に集中砲火。フェイトとシグナムは、私と胴体へ。シャル、アグスティン本体は君に任せる」
「「「「「了解!」」」」」
「任せて、絶対に決めるから!」
ルシルの指示の下、私たちもアグスティンや胴体部分へと攻撃を加え始める。
「今度こそ、我がヨツンヘイムが勝利する! 敗戦の屈辱などもうたくさんなのだ!!」
雷腕と炎腕が広げられて、私たちの居る高度へ向けて無数の雷弾・炎弾が放たれる。一斉に回避行動。避けきった子から攻撃態勢に入る。
「レイジングハート!!」
――ディバインバスター・エクステンション――
「行くぜ、リイン! アイゼン!」
『はいです!』≪Jawohl !!≫
――コメートフリーゲン――
「行くよ、リエイス!」
『ええ、行きましょう!』
――クラウ・ソラス――
なのは達の砲撃・射撃魔法が怪物の両腕を削り取っていく。そこにルシルとフェイトとシグナムが胴体部分へと最接近。私もアグスティンへと向かって飛ぶ。その最中にルシル達の会話が耳に届く。
「魔導師になったからと言って遅れるなよ、セインテスト・・・!」
『遅れんなよー』
――紫電一閃――
「誰に向かって言っている、シグナム、アギト。今の私は絶好調だ・・・! それより、私の攻撃に巻き込まれてくれるなよ、シグナム」
――殲滅せよ汝の軍勢――
「魔導師になってもこんなに強いなんて・・・これじゃあ私がルシルを守れないよ」
――ジェットザンバー――
私に向けられる火炎砲と雷撃砲を躱しつつ、私はアグスティンの元へと辿り着いて“キルシュブリューテ”を振るい、魔力刃を飛ばす。直後、ガクンと体勢を崩した怪物。その所為で魔力刃が明後日の方へ飛んでった。下を見ると、スバル達がフォヴニスの両ハサミの砲撃に対処しつつも足を破壊していた。
「知れ、アグスティン。お前は神器王が相手じゃなくても負ける」
視線を戻し、アグスティンへと静かに告げる。
「なのは、炎の鞭がそっち行ったぞ!」
「大丈夫っ、躱せる!」
「ヴィータ! 雷弾や、気を付けてな!」
雷と炎の両腕も再生しきる前に、なのは達の集中砲火で崩れていく。
「どうした、シグナム。もう疲れたか?」
「何をバカな。お前こそ疲れているのではないか? 動きが散漫になってきたぞ・・・?」
「2人とも、何を張り合ってるの・・・?」
胴体部分も再生するより早く損傷が増えていく。派手な魔法じゃなくても十分強力な3人(ルシルは例外だけど)だからこそだ。
「魔術師より格の低い魔導師が我に傷を負わせたのは、貴様が手を貸したからにすぎん。そう、剣神、貴様がこの創世結界を張らなければ、あのような現代の人間共に後れを取る我ではないのだ!!」
――涙する皇剣――
上半身だけとなっても私と戦うつもりらしい。片手に氷の大剣を作り出す。なら少し付き合ってあげよう。そしてハッキリと敗北を実感した上で退場してもらう。
もう私たちの勝利は揺るがない。“特務六課”。私の親友たちと協力すれば、古代の王ですら斃せる。下から爆発が起きる。それを合図として私はアグスティンへと突撃。鞘に納めた“キルシュブリューテ”を完全解放する。
「地獄へ還れ、アグスティン・プレリュード・マラス・ウルダンガリン・デ・ヨツンヘイム!!」
「うおおおおおッ!」
完全解放されて、“キルシュブリューテ”っていう神秘より下の存在を全て断ち切る、“絶対切断”能力が刀身に宿る。その必殺の一撃で、その以下の存在、振るわれた氷の大剣を音も無く切断する。
「せめてもの手向け・・『全員アグスティンより離脱。真技で決める』・・・受け取りなさい!」
私は大きく距離を取って、視界内に存在する怪物を見据える。みんなが一斉にアグスティンの怪物から離れていくのを確認して、“キルシュブリューテ”を鞘に納める。我が最強の真技、牢刃・弧舞八閃に並ぶ、もうひとつの斬撃を・・・ここに。
「真技・・・!」
“キルシュブリューテ”の柄を取る。
「飛刃・翔舞十閃!!」
「剣神・・・シャルロッテェェェェーーーーーッ!」
抜き放つ。と同時に絶対切断の概念を持つ、3m近い桜色の刃が十閃放たれる。飛刃は一直線にアグスティンへ到達。そのまま怪物ごとバラバラに斬り刻んでいく。あれならきっと“ディオサの魔道書”も一緒にバラバラになったはずだ。
「まったく。シャルロッテ、なんて馴れ馴れしく呼ばないでほしいわ」
顔にかかる長い後ろ髪を払いつつ、消滅していく怪物の破片を見詰めながらそう呟いた。
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