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魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~

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Ep17オーレリアの秘密工場~Weapons factory~

ヴィヴィオとルーテシアとレヴィがルシリオンを撃破、そしてハーデが表舞台に出たあの日から10日が経過した。
ここ本局内にある第6トレーニングルームに、咆哮と激しくぶつかる金属音が響き渡る。

「レヴァンティン!」

「アイゼン!」

騎士服を身に纏ったシグナムとヴィータが激しい戦闘を繰り広げている。それはリハビリでもあった。鈍った身体を無理やり叩き起こす実戦さながらの模擬戦。
十数日という期間をベッドの上で過ごした2人は、完治したと同時にこういう模擬戦を重ねていた。互いのデバイスが相手に突きつけられ、今日の模擬戦も終わりを迎えた。

「・・・はぁ。なぁシグナム」

ヴィータが“グラーフアイゼン”を肩に担ぎながら、“レヴァンティン”を鞘に納めているシグナムに声をかける。シグナムは「何だ?」と返し、ヴィータへと振り向く。

「あたしらが眠っちまってた間に状況は結構変わっちまった。カルド隊のこともそうだが、リインフォースも敵に居るってのが・・・」

「ああ、そうだな。主はやてから聞いた話には少し堪えた」

シグナムとヴィータは眠りについている間も念話での受け答えは出来ていた。が、はやては2人が目を覚ますのを待ってから“テスタメント”幹部のことを話した。殉職した管理局員が何らかの術を以って蘇ったのではないかと。
リインフォースが敵にいること、カルド隊の正体候補である殉職した管理局員のことも話した。シグナムは正体候補の管理局員の顔写真を見て、自らが殺めたことのある者だと思いだした。ガウェイン・クルーガー元三等空尉。かつてシグナムの斬撃・紫電一閃によってその命を断たれた管理局員だった。

「あたしもだ。ジョシュア・エルグランドって奴の顔はうっすら覚えてる」

ヴィータは大きく溜息を吐き、過去に自分が殺めた者のことを思い出した。本当にカルド隊が自分たちの殺めた者ならば、復讐されてもおかしくはないと、2人の気が重くなる。

「シグナム、ヴィータちゃん。そろそろいいですか?」

「リイン? あ、やべ。もう会議の時間か」

トレーニングルームの入り口から2人を呼んだのはリインフォースⅡ。ヴィータの前に現時刻が表示されたモニターが展開され、“特務六課”の会議時間だと気付く。リインは「はいですよ」と少し呆れた風に微笑を浮かべる。そして3人は、“特務六課”に用意された会議室へと向かった。

・―・―・―・―・―・

シグナムとヴィータとリインが会議室へと着いた時には、すでにメンバー全員が揃っていた。なのは、フェイト、はやて、シャマル、ザフィーラ、アギト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、レヴィの11人。シグナムとヴィータとリインの3人は空いている席へと向かい、座る。

「みんな揃たな。・・・さて、この10日間、テスタメントはいろんな管理世界に出没しとる。そして管理局が人手不足という理由で後回しにしとった多くの、大小問わず事件を次々に解決」

はやてが全員を見渡しながら話を切りだした。そして“テスタメント”が、どのような事件を10日という短期間で解決してきたのか、モニターに映し出される。本当に小さな事件、事故・災害救助、広域指名手配犯の確保という大きな事件まで手広く手をつけていた。

「そのことから管理世界のいくつかがテスタメントと協力してはどうか、という案を上層部に出してきた」

「それで上層部は何て言ってるの?」

「現状維持、ということや。テスタメントは確かに未解決事件を解決しとるけど、管理局への犯罪行為がそれで消えるわけやない。私ら六課や局員たちへの公務執行妨害だけでお釣りがくるような感じやしな。そのことから上層部は、このままテスタメントの捜査を続行するよう指示してきた」

なのはの問いに、はやては現状維持のまま捜査の続行することを告げた。沈黙がここ会議室に流れる。その沈黙を破るようにフェイトが口を開く。

「それで、捜査の現状維持と返答した世界はどう言ってきたの、そのことに対して」

「思っとったよりあっさり引いたようや。現状維持の管理局を様子見、といったところやな」

「そう、なんだ。良かった・・・のかな?」

「そやな。良かったと言えば良かった」

はやては微笑を浮かべてのその言葉に、彼女を除くメンバーから安堵の息が出、緊張感が支配していた会議室の空気が緩まる。はやてはそんなメンバーに頷いて、すぐさま真剣な面持ちへと変える。

「そんでここからが本題や。ようやくヴォルフラムの駆動炉がまともに動くようになった」

“特務六課”の旗艦“ヴォルフラム”の駆動炉は、次元跳躍魔力結合分断砲撃(仮)によるダメージによって、ここ数日稼働しない状態だった。駆動炉が長期間に亘って稼働しなかった原因は未だに不明。
“ヴォルフラム”とは違い砲撃の直撃を受けた4隻の艦は、本局のドッグに着いたと同時に駆動炉が再起不能となり、廃艦処分が決定していた。

「で、テスタメントが出没した各管理世界の地上本部観測室からの調査報告がこれや」

モニターに映し出されたのは“スキーズブラズニル”の複雑過ぎる転移記録。多重転移を繰り返して転移先を巧妙に隠している。だが管理局の探査網からは完全に抜けることは出来なかったようだ。“スキーズブラズニル”がとある管理世界へ数多く寄ることがデータから見て取れた。

「ここがテスタメントの拠点やったら捜査する必要がある。そやけど・・・」

モニターに映し出されるのは、ここ10日間で活動した“テスタメント”幹部と“レジスタンス”。そこには圧倒的な火力で違法魔導師を狩るカルド隊の3人。ルシリオンとリインフォースがユニゾンを果たして成る形態、ゼーゲン・リッターとなり、“レジスタンス”を率いて内紛を治める姿。

「レジスタンスの装備がエルジアの時と桁違い・・・!」

「物理攻撃をほとんど無効化してますよ・・・!」

「それだけじゃなくて魔法攻撃もです」

「動きも全然違う。この短期間でこんなに動きが良くなって・・・!」

“レジスタンス”の着込んでいるコート風のバトルスーツの効果、そして洗練された集団・戦闘行動を見て驚愕する面々。それだけでなく手にしている武器にも目が行き、その威力に唖然となる一同。

「持ってる銃、魔導師の防護(フィールド)を完全に抜いてダメージを与えてますね」

「そや、幹部たちだけやなくてレジスタンスもまた脅威になりつつある。魔導師にも対抗できる程の武装を手に入れたレジスタンス。そして圧倒的な戦力を持つ幹部たち」

10日間で魔導師にも対抗できるほどの力を手にした“レジスタンス”。短期間で魔導師への脅威レベルが急上昇していた。

「ねぇ、はやてちゃん。スキーズブラズニルが必ず立ち寄るこのオーレリアって・・・」

「第35管理世界オーレリア。37年前まで第50管理世界レサスとの戦争において様々な兵器を開発していた世界や。今はもう兵器産業はしてへん。そやけど、もしかするとレジスタンスの武装と何らかの関係がある、かもしれへん」

なのはの神妙な表情での言葉に、腕を組んで椅子にもたれたはやてがそう返す。

「まさか・・・秘密裏に開発している武装をテスタメントに流してるってのか?」

それを聞いたヴィータが信じられないといった風にそう言う。シグナムは「うむ」と頷いて、はやてへと視線を移す。

「主はやて、テスタメントとの協力を提案した世界にオーレリアは?」

「無い。無いんやけど・・・」

シグナムの問いにはやては即答。しかしオーレリアと“テスタメント”の関係を疑っているのか表情は晴れない。

「そやからハッキリさせるために、これからオーレリアへと向かう」

はやてが立ち上がって全員を見渡した後、スバルとティアナへと視線を移して、「スバル、ティアナ。行けるか?」そう尋ねた。万が一、クイントとティーダと出会ったら、2人と戦えるのか、という意味を含んだ問いだ。
スバルとティアナは即答することは出来ず、少し間を置いてから「はい」と返答した。リインが「それではヴォルフラムへ」と言って会議場の出入り口へと向かおうとしたとき、はやてが「待った」と止める。全員は椅子から立ち上がった状態のまま止まってはやてに視線を移した。

「・・・ヴォルフラムやなくて、オーレリア行きの次元船で向かう」

「どういうこと?」

「・・・さらに、私たちがオーレリアへ向かうのを誰にも言わんように」

はやての突然の言葉にすぐさま聞き返したフェイト。はやては少し考えた後に秘密裏にオーレリアへと向かうことを言外に告げた。

「私は・・・管理局内にテスタメントと通じとる局員が居る可能性を疑っとる」

全員の表情が驚愕に染まる。はやては俯き、話を続けていく。

「フェイトちゃんとティアナは判るな。テスタメントが解決してきた事件、中には公表されていない事件もある。それはつまり・・・」

「管理局の捜査資料が外部に、テスタメントに漏れている・・・?」

なのはがはやてにそう聞き返すと、エリオとキャロが信じられないと目を丸くした。俯いていたはやては顔を上げて、なのはの疑問に自分なりの考えを告げる。

「情報屋からってこともあるけど、どちらにしても管理局内には外部に情報を売る局員が居る可能性は否定できん、ということや。そやからこれからは可能な限り秘密裏に動くつもりや。六課の行動は、信頼できる人以外には口外無用、ええな? みんな」

はやての念を押した言葉に、全員が少し逡巡してから「了解」と頷いた。しかしそれは味方になる者たちをも突き放す、ということだった。

・―・―・―・―・―・

“オムニシエンス”の南半球にある“レスプランデセルの円卓”の中央に1基の塔がそびえ立っていた。それは天を衝く円柱の塔、“エヘモニアの天柱”。“テスタメント”の始まりの地。
その最上階に円形に並べられた14脚の肘掛椅子に腰かけるのは、12人の白コートを纏う幹部たち。ハーデと、未だに眠りについているトパーシオを除く12人だ。

「なぁ、ボスから何か連絡はないのか?」

謹慎の解けたカルドが踏ん反りながら、誰にとも言わずそう尋ねる。

「いいや。2日前から連絡はない。フッ、それにしてもカルド、暇なら広域指名手配犯の1人でも捕縛してきたらどうだ? 退屈なのだろ」

答えたのはディアマンテ。カルドは「お前はいつもここに閉じ籠って馬鹿じゃね?」と嫌味で返した。ディアマンテはそれに対して気にも留めずに黙りこむ。話すだけ時間の無駄とでも言うかのようだ。そんな彼らの中央に1つのモニターが展開される。映っているのはハーデだった。

『遅れてごめんなさい。オーレリアのアムストル社から私のところに連絡が来たのだけど、その内容というのが、特務六課がオーレリアに現れたそうなのです』

少し焦りの含んだ声でハーデは幹部たちへとそう報告した。アムストル社は、第3管理世界ヴァイゼンのカルドヴルフ・テクニクスと並ぶ魔導端末メーカー。そしてオーレリアとレサスとの戦争時、オーレリアの兵器を開発する産業を営んでいた。今では魔導端末などの研究・開発を盛んに行っている。
“ミュンスター・コンツェルン”の公にはされていない子会社ということで、ハーデの命令によって“レジスタンス”の武装、及び空軍(アギラス)と呼ばれる航空兵器を秘密裏に開発、“テスタメント”へと引き渡していた。

「オーレリア基地は、ここオムニシエンスへの無断進入を阻むための障壁発生を担う拠点の1つ。失うわけにはいきませんね」

『ええ、六課はアムストル社へ捜査協力を申し込んで、公の工場の査察をいくつか終えたそうなのです。一応、基地の方に関してはまだ知られていないようですが、知られるのも時間の問題かもしれません』

ディアマンテの言う通り、“オムニシエンス”には“ミュンスター・コンツェルン”に無断で進入出来ないようにする障壁がある。その障壁発生を担う拠点の1つがオーレリア基地だった。

『1つくらい陥落しても問題はないのだけど、それでも護れるのなら護っておきたいのです』

「判りました。直ちに――」

突然“EMERGENCY”と赤く点滅するモニターが警報と共に展開される。ディアマンテはすぐさま回線を開き、“Sound only”と表示されたモニターから漏れる戦闘音に眉を顰めた。

『こちら第9拠点オーレリア基地! 管理局からの襲撃を受けています! 至急応援をお願いします!』

「あ~ボス、どうやらそっちへの連絡もこっちへの連絡もとてつもなく遅かったようだぜ」

オーレリアに配置されている“レジスタンス”からの緊急通信。グラナードは呆れたようにハーデに言うと、ハーデは『そのようですね。ごめんなさい』と頭を下げた。

「待て。オーレリアにはアギラスの蠍座部隊(エスコルピオン)が配備されていたはずだ。エスコルピオンはどうしたんだ?」

マルフィールが冷静にモニター越しに居る“レジスタンス”へと尋ねる。未だに爆発音の止まないモニター越しからの返答はすぐさま来た。

『相手は例の特務六課なんです! エスコルピオンは苦戦を強いられています!』

「・・・やはり六課のエースの前には我ら以外は後れを取るということか」

「そのようだ」

“特務六課”の戦力を知る幹部たちは納得したように頷いていた。ディアマンテは「至急応援を送る。それまで持ちこたえろ」と命令を下し、“レジスタンス”は「了解! 可能であれば御早く!」と答え、通信を切った。

「ではマスター・ハーデ。早速応援に向かいます」

『お願いします』

ハーデはもう一度頭を下げ、そして通信を切った。ディアマンテが幹部たちを見回し、「さて、誰が行くかだが・・・?」と告げた。ディアマンテはその言葉と共に、全幹部を順繰りに見回した。

・―・―・―・―・―・

“特務六課”と“空軍アギラス”の戦闘が開始される少し前まで時間は遡る。
はやてたち“特務六課”は、アムストル社の社員から「2年前、ネベラ山に何かの工場を建てたって聞いたけど」という情報を基に、ネベラ山へと赴いていた。ネベラ山に入り捜索を開始するが、しかし行けども行けども工場らしき建物は見えてこない。
指揮官のはやてとリインとレヴィを除く“特務六課”は車を降り、防護服へと変身して空と地上からの捜索に入る。

『・・・こちらライトニング1。それらしき建物を発見』

捜索開始から数十分、フェイトは目標発見の報告を各員に入れる。フェイトの目下には大きな縦穴がいくつもあり、そのいくつかの縦穴の底に工場らしき建物が何棟もあった。各員に場所の位置を報告しようとしたその時、“バルディッシュ”が警告を発する。地上の縦穴から正体不明の何かが出て来る、と。フェイトが警戒に入った瞬間に、それは来た。

「なにっ・・・!?」

――ソニックムーブ――

1つの縦穴から高速で飛び出してきた黒の影が5つ。フェイトは直感的にソニックムーブでその場から離れたことで、巻き込まれることはなかった。フェイトは上空へと昇っていった影を視認しようと空を見上げる。

「フェイトちゃん!」

「「テスタロッサ!」」

「なのは! シグナム! ヴィータ!」

フェイトの元へと駆け付けたのは、なのはとシグナムとヴィータ。なのはは「今の見た?」とフェイトに尋たが、「速くてよく見えなかった」という答えが返ってきた。
シグナムとヴィータは愛機を構えた状態で黒い影を必死に目で追う。4人の視界に、空へと飛び上がって来た黒の影の正体が映る。その正体を見たなのはとフェイトは驚愕し、「うそ・・・」と呟いた。ヴィータは「おお!」と、シグナムは「ほぉ」と少し感嘆したような声を上げた。

≪こちらテスタメント空軍アギラス所属・第2航空隊エスコルピオン。貴殿たちは我らが領内に無断で侵入した。すぐさま立ち去るなら良し。立ち去らない場合は実力行使となる≫

影の1つが悠々と空を飛びながらなのはやフェイト、シグナムにヴィータへと警告する。4人は“テスタメント”という単語に反応し、すぐさま臨戦体勢に入った。なのはははやてへと通信を入れる。敵はAIを搭載した“無人戦闘機”だと。

≪今より10秒以内に立ち去れ。立ち去らぬ場合、即戦闘行動に入る≫

そう。5つの黒い影は間違いなく管理世界ではもう見ることの無い戦闘機だった。完全なる質量兵器。主翼は前進翼、機体左右と下部に取り付けられた3面カナード。上下に張り出した大型エンジンユニットに接近配置された、内向き斜め垂直尾翼で構成される翼形状。機体の大きさに比べて翼面積は小さめ。
左右の大型エンジンユニットは上下に大きく張り出していて、左右の間隔もかなり広い。左右エンジンユニットの中間には上下展開式のエアブレーキが装備されている。エンジンノズルは垂直方向に可動する2次元偏向ノズルが採用されている。
コックピットは人間の頭部大のグラスキャノピーで、中にはAIのクリスタルコアが納められている。そして左右の尾翼には、六茫星を背後にしたサソリのエンブレムが描かれている。

『スターズ1交戦します!』

『ライトニング1交戦します!』

『スターズ2交戦!』

『ライトング2交戦!』

フェイトとヴィータとシグナムは上空を旋回飛行するエスコルピオン5機へと接敵する。なのははその場で射撃魔法・アクセルシューターを10発射出した。

≪エスコルピオン・リーダーより各機。警告を無視した魔導師2名、騎士2名、撃墜するぞ≫

≪≪≪≪了解≫≫≫≫

魔導師(ニンゲン)戦闘機部隊(キカイ)の空戦が幕を開けた。

・―・―・―・―・―・

スバルたち地上捜索部隊へと届く空戦開始の合図たる爆発音、その連続。キャロが心配そうに空を見上げていた時、エリオが「伏せて」と静かに囁いた。スバルとティアナもすでに無造作に伸びた草木に隠れていた。
4人の前を慌ただしく走るのは、ここに来る前に映像で見た新武装の “レジスタンス”だ。ライフルやハンドガンを手に「何故ここがバレたんだ!?」と口々に言いながら周囲の護りを固めるために動いていた。

『どうします?』

『応援が現れる前に捕縛する。こちらスターズ4、これより敵施設付近のレジスタンスを掃討します』

『こちらロングアーチ2。了解です。気を付けてくださいティアナ。幹部たちがいつ出てくるかも判りませんから』

指揮車両に居るリインが応え、幹部たちの注意するように忠告する。ティアナは『了解』と返し通信を切った。

『スバル、エリオ、キャロ、行くわよ!』

ティアナは“クロスミラージュ”の1つをガンモード、1つをダガーモードにする。スバルもいつでも交戦できるように意識を切り替え、エリオも“ストラーダ”を構える。ティアナはキャロに『バインドお願い』と念話を送り、キャロも『はい、合図ください』と応じる。
“レジスタンス”の数人が何かの報告をするためか1ヵ所に集まった。それを好機だと判断したティアナはすぐさま合図を送る。

――リングバインド――

キャロは数人の“レジスタンス”を3つのリングバインドで拘束した。“レジスタンス”は突然の出来事に対処できなかった。が、拘束された1人が仲間を呼ぼうとしているのか、通信を入れようとしていた。

「させない!」

ティアナは“クロスミラージュ”を構え、手加減なしのスタンバレットを人数分放つ。スタンバレットは、多くの局員が用いるスタン設定の魔力弾を、ティアナが独自に改良したものだ。打撃効果と高電圧の神経刺激によって相手を無効化し、まともに受けると丸1日は動くことが出来なくなる。

揃って「あがががががが?」と痙攣した“レジスタンス”。しかしそれでもなお倒れないために、スバルとエリオが高速で接近。彼らの腹や首に打撃を与え意識を刈り取った。“レジスタンス”はバタリと倒れ伏した。スバル達は頷き合い、隠れては姿を現した“レジスタンス”を昏倒させていくという地味な作戦に入った。
 
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