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戦国異伝供書

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第六十五話 伊賀者その九

「そこまでして頂ける様な」
「そうした者にはでおじゃるか」
「思えませぬが」
「ほっほっほ、お主がそう思っていても」
「それでもですか」
「麿達は違うでおじゃる」
 だからだというのだ。
「そなたは出来た者だとでおじゃる」
「思われるので」
「それで、でおじゃる」
 まさにというのだ。
「そうしていくでおじゃる」
「それでは」
「元服してからは」
 それからはというのだ。
「本格的にでおじゃる」
「今川家の為に」
「働いてもらうでおじゃる」
「それでは」
「頼むでおじゃるよ」
「それで殿」
 ここで雪斎が義元に言ってきた。
「外のことですが」
「武田家、北条家とでおじゃるな」
「盟約をより固くして」
「武田家と北条家の間も」
「盟約を結んでもらい」 
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「後顧の憂いをでおじゃるな」
「完全に断っていきましょう」
「北条家は関東にでおじゃるな」
「関東の覇権を念頭に置いておられます」
「駿河に来ることはない」
「そちらへの野心はありません」
 そちらはというのだ。
「特に」
「はい、そして」
 それでというのだ。
「武田家も」
「信濃を手に入れようとしているでおじゃるな」
「それからもです」
「さらにでおじゃるか」
「武田殿は信濃を手に入れられます」
 晴信、彼はというのだ。
「ですが」
「問題はその後でおじゃるな」
「はい」
 まさにというのだ。
「越後です」
「長尾殿でおじゃるな」
「長尾虎千代殿はどうやら」
 その彼のことも話すのだった。
「戦については」
「どうなのでおじゃるか」
「天才とのこと」
「源九郎判官殿の様な」
「より上かと」
 源義経、彼よりもというのだ。
「どうも」
「そこまでの御仁でおじゃるか」
「ですから」
 それでというのだ。
「武田殿も」
「あの御仁と対すれば」
「その時は」
「長尾殿との戦にでおじゃるな」
「長い時をかけることになりますので」
 それ故にというのだ。
「ですから」
「それではでおじゃるな」
「両家も我等の話をです」
「聞くでおじゃるな」
「そしてです」
「三つの家での盟約をでおじゃるな」
「結べます」
 それが出来るというのだ。 
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