| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生の林檎園

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三幕その三

「おつゆが関係しているんだ」
「おつゆの味でだね」
「噛まないんだ、東京だと」
「あちらだと」
「そうなんだ、東京の昔の江戸のそばつゆはおろし大根のお汁とお醤油でね」
 そうしたおつゆだったというのです。
「辛くてね」
「ああ、その組み合わせだと辛いね」
「大根のお汁とお醤油だと」
「そんなおつゆだったんだ」
「関西のと違うね」
「だから噛まずに」
 それでというのです。
「飲んで喉ごしを味わっていたんだ」
「そうして食べていたんだ」
「東京の方だと」
「あちらもお蕎麦が有名だけれど」
「それで噛まなかったんだ」
「そうだよ、けれど僕はね」
 先生はざるそばを粋ではなく上品に食べつつ言います。
「関西にいるから関西の食べ方になっているからね」
「噛んでるよね、お蕎麦」
「そのまま飲み込まないね」
「そうして食べてるね」
「うん、喉ごしは楽しむけれど」
 それでもというのです。
「お蕎麦も噛んでるよ」
「おつゆも違うしね」
「関西のおつゆはね」
「昆布使ってるから」
「そうしただしだから」
「お醤油も違うしね」
 肝心のこちらもというのです。
「だから噛んでいいしね」
「そうだね」
「そして長野のお蕎麦もだね」
「今食べてるけれど」
「噛んでるね」
「こっちのお蕎麦のおつゆは東京のものと違うから」
 それでというのです。
「もっとも僕は東京でもそうするけれど」
「噛むよね」
「イギリス人でも関西の人だしね」
「だったらだよね」
「お蕎麦は噛む」
「そうして食べるね」
「そうだよ、じゃあざるそばをもう一杯食べて」
 そしてと言う先生でした。
「その後はね」
「うん、別のお蕎麦だね」
「ざる以外のそれ食べるね」
「その後も」
「そうするよ」
 こう言ってざるそばを二杯食べてからでした。
 先生はせいろを食べてかけそばも食べました、温かいそのお蕎麦もとても美味しくて先生はまた言いました。
「いや、こちらもね」
「いいね」
「かけそばもね」
「こっちもいいね」
「美味しいね」
「そうだね、本当にいいお蕎麦はね」
 どうかというのです。
「ざるにしてもいいし」
「お汁に入れてもいい」
「そうだよね」
「お蕎麦そのものがいいから」
「そうなるよね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧