英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~
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第53話
~隠れ里エリン・ロゼのアトリエ~
「な――――――」
「ええっ!?じゃ、じゃあ貴方達がリィンのメンフィル軍の訓練兵時代のクラスメイト…………!?」
「”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”…………それがリィンがトールズに来る前に所属していたメンフィル帝国軍の訓練兵時代の学級の名前か…………」
「その方達が何故、エリンの里に…………」
不敵な笑みを浮かべて答えたレンの答えにⅦ組側がそれぞれ血相を変えている中サラは絶句し、アリサは驚きの声を上げ、ガイウスは呆けた表情で呟き、エマは不安そうな表情で黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の面々を見回した。
「ま、取り敢えず自己紹介だけ軽くしておくぜ。――――――俺の名はクロード。クロード・フォン・リーガン。メンフィル帝国領レスペレント地方の侯爵家の出身で、メンフィル帝国軍ではレスペレント地方の領主を務めているキース公爵家の親衛隊員の一人で軍位は”中佐”だ。ちなみに黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代は副級長を務めていたぜ。」
「俺はディミトリ・アレクサンドル・ブレーダッド。メンフィル建国前に存在していた旧メンフィル王国から続いている騎士の家系――――――”ブレーダッド侯爵家”の出身で、メンフィル帝国軍ではシルヴァン皇帝陛下の親衛隊の将軍の一人であられる”騎士軍将”パーシバル将軍閣下率いる”騎士軍”の一人で軍位は”中佐”だ。…………それとクロードと同じく黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代は副級長を務めていた。」
「――――――私の名前はエーデルガルト・フォン・フレスベルグ。実家との縁を切ったステラと違って、実家ごとメンフィル帝国に亡命した元エレボニア帝国貴族――――――”フレスベルグ伯爵家”の出身で、メンフィル帝国軍では”皇帝三軍将”の一人であられる”大軍将”ダグラス将軍閣下率いる”近衛軍”の一人で軍位は”中佐”よ。…………黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代はクロードやディミトリと同じ副級長を務めていたわ。」
焦げ茶の髪の少年――――――クロードは飄々とした態度で、金髪の少年――――ディミトリは真面目な態度で、茶髪の少女――――――エーデルガルトは淡々とした態度でそれぞれ自己紹介をした。
「”副級長”…………呼び方からして、私達トールズで言う”副委員長”のような役割の事かい?」
「ええ。――――――”級長”一人と”副級長”三人がメンフィル帝国軍の訓練兵達の学級の決まりよ。」
「それにしても何で副級長が三人もいるんだ?普通は一人なんじゃねぇのか?」
「副級長が三人…………もしかしてそれって、生徒会で言う書記、会計、庶務のような役割も兼ねているのでしょうか?」
アンゼリカの質問に答えたレンの答えにクロウが困惑している中、察しがついたトワがレンに確認した。
「うふふ、さすがトールズ始まって以来の”才媛”と称されているだけあって察しがいいわね。ま、厳密に言えば生徒会で言う”副会長”も”副級長”は務めているわ。――――――ちなみにリィンお兄さんは”級長”よ。」
「ええっ!?リ、リィンさんが…………!?」
「なるほどね…………道理で入学した時から無意識にリーダーシップを発揮していた訳よ…………」
「ハハ………まさかリィン君がメンフィル帝国軍の訓練兵時代ではそんな重要な役割まで務めていたとはね…………だからセシリア将軍閣下があんなに怒っていたのか…………レン君の話通りなら、リィン君が所属していたクラスはエリート揃いだったのだから、そんなエリート達を束ねていたリィン君の将来が明るい事は確実視されていただろうね…………」
「実際セシリア将軍はリィンは”聖魔皇女”か現メンフィル皇帝の親衛隊入りが内定していたって言っていたね。」
「オリビエ…………」
「……………………………」
レンが口にした驚愕の事実にエマは驚き、セリーヌは複雑そうな表情で呟き、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、フィーは複雑そうな表情で呟き、ミュラー少佐が辛そうな表情でオリヴァルト皇子を見守っている中アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って黙り込んでいた。
「…………………それよりもエーデルガルト中佐だったか。お前の実家――――――”フレスベルク家”は”元エレボニア帝国貴族”と言ったがまさか父によって失脚させられたあの…………」
「プライベートの時は”中佐”呼ばわりしなくて結構よ。お察しの通り、私達”フレスベルグ伯爵家”は当時のアルバレア公爵家当主――――――ヘルムート・アルバレアの怒りに触れた事で、アルバレア公爵家の謀で帝国政府によって爵位まで剥奪された事で、今後の生活とお家再興の為、そして何よりも故郷であるエレボニアに失望してメンフィル帝国に実家ごと亡命したのよ。…………メンフィルが”実力主義”だったお陰で父や兄はすぐにそれぞれの能力に相応の仕事にありつけたし、私が若干17歳でありながらもシルヴァン皇帝陛下の親衛隊の中佐を務めていることによる名声でメンフィル帝国で”フレスベルク伯爵家”の名はそこそこ有名になれたわ。」
複雑そうな表情を浮かべたユーシスの質問にエーデルガルトは静かな表情で答えた後腰まで伸ばしている長髪をかきあげて口元に笑みを浮かべ
「ユーシスは彼女の事を知っているのか?」
「アルバレア公爵閣下の謀で帝国政府によって爵位まで剥奪されたと彼女は言っていたが…………」
二人の会話が気になったマキアスとラウラはそれぞれ訊ねた。
「…………………”フレスベルク伯爵家”は元々はアルバレア公爵家の相談役を務めていたのだが…………フレスベルク伯爵は民達の為にクロイツェン州全土の税率を上げ続ける公爵閣下に何度も税率を下げるように意見をして、それに対して公爵閣下が無視し続けた結果フレスベルク伯爵はクロイツェンの領地持ちの貴族達と連携を取って公爵閣下が税率を下げざるをえない状況に追い込もうとしたのだが…………それをアルバレア公爵家と親密な貴族達が公爵閣下に密告した事でフレスベルク伯爵家は公爵閣下の怒りに触れ、その結果先程の話の通り”フレスベルク伯爵家”は帝国政府によって爵位を剥奪されたとの事だ。」
「そのような事が…………」
「…………………」
「”フレスベルク伯爵家”の件は私も耳にした事がある。民達の為にアルバレア公爵に意見をしていた伯爵がアルバレア公爵どころか帝国政府にまで裏切られた事で帝国貴族に対してもそうだが”エレボニアという国”に対する失望のあまり、家族ごとエレボニアから去った噂は聞いてはいたがまさかメンフィルに亡命していたとはね…………」
「これもエレボニアの”歪み”が生み出した人材の流出なのだろうな…………」
重々しい口調で答えたアルゼイド子爵の説明にラウラが驚き、ユーシスが複雑そうな表情で黙り込んでいる中、オリヴァルト皇子とミュラー少佐は複雑そうな表情でエーデルガルトに視線を向けた。
「ちなみにこれは余談だけど、ミルディーヌ公女の祖父母に当たるミルディーヌ公女の母方の実家――――――”イーグレット伯爵家”の当主は”カイエン公爵家”の相談役を務めていたそうよ?」
「ふええっ!?ミルディーヌ公女の祖父母の実家がカイエン公爵家の…………!?」
「ああ。ちなみにミュゼ君の両親の死後、ミュゼ君の後見人はミュゼ君にとっては祖父母にあたるイーグレット伯爵夫妻が務めているのさ。」
レンの話を聞いて驚いているトワにアンゼリカが苦笑しながら説明した。
「それでエーデルガルト、その憎きアルバレア公爵家の現在の当主が目の前にいる訳だが、よくそんなに落ち着いていられるよな?」
「俺達はてっきり憎しみのあまり斬りかかって、それを俺達が止める羽目になると警戒していたのだが?」
「貴方達ね…………私を何だと思っているのよ?――――――”フレスベルク伯爵家”を落ちぶれさせたのは彼の父親なのだから、その件に全く関わっていない彼にまで”フレスベルク伯爵家の怒り”をぶつけるような理不尽な事はしないわよ。――――――第一そのアルバレア公爵家は”名ばかりの公爵家に落ちぶれた”上、前アルバレア公爵は今回の戦争が終わったら処刑される事になる上猟兵達に襲撃させたユミルの領主であるリィンの実家がアルバレア公爵家の地位や名誉を奪う事になるのだから、とっくにアルバレア公爵家に対しての溜飲を下げているわよ。」
「ア、アルバレア公爵家が”名ばかりの公爵家に落ちぶれた”って、幾ら何でも言い過ぎじゃありませんか!?」
「だが事実だ…………父の愚行で今回の戦争勃発の元凶の上当主である父は捕まり、兄上は敵前逃亡をしようとした挙句無様な戦死をし、そして臨時当主である俺は”焦土作戦”によって受けたクロイツェン州の被害に対して何もできず、メンフィル帝国に頼るしかなかったし、クロイツェン州の領地持ちの貴族達も”アルゼイド子爵家”を除いて全てメンフィル帝国に鞍替えした以上”アルバレア公爵家の威光”等既にないようなものだ…………」
「ユーシス…………」
それぞれからかってきたクロードとディミトリの指摘にジト目で答えた後表情を戻したエーデルガルトの話にエリオットはエーデルガルトを非難したが、ユーシスは辛そうな表情でエーデルガルトの話を肯定し、その様子をマキアスは辛そうな表情で見守っていた。
「そんじゃ、自己紹介を続けようじゃねぇか。次はお前達の番だぜ、イングリット。」
「わかったわ。――――――私はイングリット・ブランドル・カラテア。メンフィル王公領セルノ・バルジア統合領の貴族の一つである”カラテア伯爵家”の一員で、メンフィル帝国軍では正規軍の天馬部隊の一部隊の部隊長を任せられています。なお、軍位は”少佐”です。ちなみに黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代はクロードの相方を務めていました。」
「私の名前はリシテア・フォン・コーデリア。私の実家――――――”コーデリア伯爵家”は元々はエーデルガルトと同じエレボニアの貴族でしたが、実家があるセントアークが”百日戦役”によってメンフィル帝国領に帰属した為、”コーデリア伯爵家”もリィンの実家のようにメンフィル帝国の貴族として帰属する事になりました。メンフィル帝国軍ではセシリア教官――――――シルヴァン皇帝陛下の親衛隊の”魔道軍”の一部隊を率いる部隊長を任せられていて、軍位は”大尉”です。黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代はエーデルガルトの相方を務めていました。」
「…………ドゥドゥー・モリナロ。俺も元はセントアークと隣接していた事でセントアークのメンフィル帝国への帰属によってメンフィル帝国領と化した元エレボニア帝国領だった小さな農村――――――”ダスカー”の出身だが、”貴族”のリィン達と違って俺は”平民”の出だ。それとクラスメイトに”ノルドの民”がいるお前達ならば、俺の容姿を見ればわかると思うが俺の家系は”ノルドの民”の血を引いているとの事だ。メンフィル帝国軍ではディミトリの補佐を務めている。軍位は”大尉”で、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代もディミトリの相方を務めていた。」
クロードに促された金髪の少女――――――イングリットは自己紹介をし、イングリットに続くように白髪の少女――――――リシテア、褐色の肌の少年――――――ドゥドゥーはそれぞれ自己紹介をした。
「まさか元々はエレボニア帝国出身の方達がリィン君も含めて5人もリィン君が所属していたメンフィル帝国軍の訓練兵時代の学級に所属していたとは…………」
「それもウォレス准将のようにエレボニアに根を下ろすことにした”ノルドの民”を先祖に持つ人もいるとは…………」
「…………………メンツの濃さからして、Ⅶ組(アンタ達)ともいい勝負をしているんじゃないかしら?」
「セリーヌ、それは…………」
「…………確かにⅦ組(わたし達)とも互角…………ううん、それ以上のメンツの濃さだね。」
「フフ、メンフィルとエレボニアが戦争状態になった今の状況で、リィン君にとってⅦ組よりも前に”絆”を結んでいたクラスメイトと今のリィン君のクラスメイトであるエマ達と顔合わせをさせるなんて、随分と皮肉な事をするわね。」
三人の自己紹介が終わるとトマスとガイウスは複雑そうな表情でイングリット達を見つめ、複雑そうな表情をしたセリーヌの言葉を聞いたエマが複雑そうな表情を浮かべている中、フィーは静かな表情で呟き、クロチルダは怪しげな笑みを浮かべてレンを見つめた。
「クスクス、レンは何のことかわからないわね♪――――――それじゃ、後残っているのは”先輩”の三人だけよ♪」
「ハッ!――――――我が名はフェルディナント・フォン・リグレ!!未来のメンフィル帝国の宰相にして、今はメンフィル帝国軍のリフィア皇女殿下の親衛隊副長であられるシグルーン中将閣下の補佐を務めている!軍位は”准将”で、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代はディミトリとドゥドゥーの直接指導を務めさせてもらっていたよ。」
「僕の名前はローレンツ・ヘルマン・グロスタール。クロードと同じメンフィル帝国領レスペレント地方の侯爵家の出身で、メンフィル帝国軍ではレスペレント地方の領主を務めているキース公爵家の親衛隊の隊長の補佐を務めていて軍位は”准将”だ。ちなみに黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代はクロードとイングリットの直接指導を務めていたよ。」
「私はドロテア・アールノルトよ。メンフィル帝国領レスペレント地方にある”シーマ孤児院”の出身で、以前はメンフィル帝国軍の正規軍の魔道部隊の一員だったけど、リィン君達の卒業を機に軍から退いて”歌姫”としてメンフィル帝国全土で活動しているわ。セシリア教官の誘いもあって、義勇軍の一部隊を率いる部隊長として今回の戦争に退役時の軍位だった”中佐”の軍位を与えられて参加する事になったわ。黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代はエーデルちゃんとリシテアちゃんを直接指導していたわ。よろしくね、リィン君の元クラスメイトさん達♪」
レンに自己紹介を促された赤みがかかった茶髪の軍人――――――フェルディナントは堂々と名乗り、深い青髪の軍人――――――ローレンツは髪をかきあげて自己紹介をし、妖艶な雰囲気を纏うドレス姿の女性――――――ドロテアは自己紹介をした後アリサ達にウインクをした。
「”先輩”の方もトワ達とも比べても遜色ない濃いメンバーね…………」
「サ、サラ教官…………」
「やれやれ、心外だねぇ。クロウやジョルジュはともかく、私やトワはそんな風に言われる筋合いはないのだがね。」
「俺達の中でも一番濃すぎるお前にだけはそんなことを言われる筋合いはないぞ!?」
「しかも”歌姫”までおるとはの。おまけに身体つきも”ナイスばでー”のヴィータと比べても互角のようじゃな。どうやらお主とも”キャラかぶり”する人物が灰の小僧の過去の仲間達にいたようじゃな、ヴィータよ?」
「フウ………前々から気になっていたけどそんな言葉、婆様は一体どこから仕入れているのよ…………」
フェルディナント達の自己紹介が終わるとサラは疲れた表情で溜息を吐き、サラの言葉にトワが冷や汗をかいている中心外そうにしているアンゼリカにクロウは顔に青筋を立てて反論し、スタイルが抜群であるクロチルダとも互角のスタイルをしているドロテアの身体つきを見てからかいの表情で指摘したローゼリアの言葉にクロチルダは呆れた表情で溜息を吐いた。
「そ、それよりもさっきフェルディナント准将の自己紹介で、メンフィル帝国の大使館で出会ったパント臨時大使閣下のファミリーネームである”リグレ”があったって事はもしかしてフェルディナント准将はパント臨時大使閣下の…………」
「いかにもパントお祖父様は私にとって偉大なる祖父にして、超えるべき存在!いつかは私も父から宰相の座を引き継ぎ、リフィア皇女殿下や今後生まれるであろう皇女殿下の跡継ぎの方達を支えようと思っているのさ!」
「フフ、相変わらずねえ、フェル君は。」
「そもそも、リフィア皇女殿下の即位すらまだまだ先の話の上現宰相であられるクレイン宰相閣下もまだまだ現役なのだから、一体何年先の話をしているのかと何度指摘したいと思った事か。」
マキアスの質問に堂々と答えたフェルディナントの答えにアリサ達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ドロテアは苦笑し、ローレンツは呆れた表情で呟いた。
「うふふ、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)出身の人達は他にもまだいるけど、その人達は今は他の軍務の関係で今回の合流には加われなかったから、その人達とは今後の戦争の展開によっては会うかもしれないわよ♪」
「そういう口ぶりをするという事は、ここにはいないリィン君の過去のクラスメイトの諸君も今回の戦争に参加しているという事か…………」
レンの説明を聞いたアンゼリカは複雑そうな表情で呟いた。
「あの…………ちなみに黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の”ルーヴェン”はメンフィル帝国では何を意味する言葉なのでしょうか…………?”クラッセ”は”学級”の事を意味するものだとわかりますが…………」
「うふふ、それはね…………――――――”黒獅子”。だから、ルーヴェン・クラッセの意味は”黒獅子の学級”よ♪ちなみに、学級ごとに紋章があって、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の紋章は当然”黒獅子の紋章”よ♪」
「く、”黒獅子の学級”って…………!」
「”有角の獅子”を紋章とする私達トールズ士官学院の紋章とも似ているなんて、凄い偶然ですね…………」
トワの質問に答えたレンの答えを聞いたアリサ達がそれぞれ血相を変えている中エリオットは信じられない表情で声を上げ、エマは複雑そうな表情を浮かべてトールズに来る前のリィンのクラスメイトであった面々を見回した。
「おいおい、俺達とお前達が”同じ”だなんて、幾ら”元リィンのクラスメイト同士”だからといっても、そんな悪い冗談は止めてくれよ。」
「全くだな。さっきドゥドゥーも言ったように、百獣の王たる”獅子”の紋章を掲げていながら”腰抜け”であるお前達と俺達を一緒にする等、不愉快だ。」
「フウ………二人とも、気持ちはわかるけど早速トラブルを作るような事をしないでよ…………」
一方エマの言葉に対して心外そうな表情で答えたクロードと不愉快そうな表情をしているディミトリの言葉にイングリットは呆れた表情で指摘した。
「なっ!?ぼ、僕達が”腰抜け”ってどういう事だ!?君達は知っているかどうかわからないが、僕達はこれでもエレボニア帝国国内で起こったテロ事件の解決に貢献したし、内戦も乗り越える事ができたんだぞ!?」
「セシリア教官からアンタ達の事についての情報も回してもらえましたから、私達もアンタ達の活動について当然知っていますよ?――――――それらを知った上で、私達はアンタ達を”腰抜け”の人達だと見ているんですよ。」
「それはどういう意味だ…………?幾らかつてのリィンの同期生だったとはいえ、我らへの侮辱は許せるものではないぞ…………!」
クロードとディミトリの発言にアリサ達がそれぞれ血相を変えている中厳しい表情をしたマキアスの反論に対してリシテアが呆れた表情で指摘し、リシテアの言葉に対して厳しい表情を浮かべたラウラはエーデルガルト達を睨んだ。
「それじゃあ聞くけど、貴方達は今までの戦いで人を殺した事があるのかしら?」
「ひ、”人を殺した事がある”って…………」
「何故今までの話の流れで、人の命を奪う事が関係してくるのだろうか?」
エーデルガルトの質問に仲間達と共に驚いたアリサは信じられない表情をし、ガイウスは真剣な表情でエーデルガルト達に訊ねた。
「君達は”士官学院生”――――――つまりは”軍人の卵”だ。トールズとやらは卒業後の進路は自由で軍人以外の職にも就けるとの事だが…………それでも、”トールズ士官学院の生徒でいる間の君達は軍人の卵”なのだから、祖国の有事の際に”軍人が持たなければならない覚悟”の一つである”祖国の為に祖国の敵を殺す――――――つまり人の命を奪う覚悟”を君達が持っていない証拠に、君達は今までの戦いで人を殺したことないとの事じゃないか。」
「人の命を奪う覚悟――――――即ち”戦場に出る覚悟”もない者等”軍人としての覚悟”があまりにも欠けている証拠だ。だから私達は”人を殺す覚悟ない者”が士官学生を名乗っている君達の事をよく思っていないのさ。」
「い、幾ら何でもそれは”暴論”じゃないか!?」
「そうよ!それに私達Ⅶ組――――――いえ、”紅き翼”は”革新派”と”貴族派”の争いを何とかする為の”第三の風”だったのだから、どちらかの勢力の人達を殺したりしたら、それこそ本末転倒よ!」
「………………………………」
ローレンツとフェルディナントの指摘に対してマキアスとアリサがそれぞれ反論している中、ローレンツとフェルディナントの指摘を理解できていたミュラー少佐は複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「百歩譲って君達の主張を認めて双方の派閥の軍人達を殺さなかったことや結社の”執行者”や”蛇の使徒”とやらは君達の実力で殺す事は厳しかった為そちらに関しても指摘しないとしても、何故”帝国解放戦線”や”猟兵”は殺さなかったのだい?テロリストは当然として猟兵はこの世界では、”金を支払えばどんな非道な事もする”――――――つまりは所詮は”金で動く賊共”で、そのような”社会のゴミ以下の連中”は”殺して当然の存在”なのだから、士官学院生である君達が連中を殺してもおかしくはあるまい。」
「りょ、猟兵達や帝国解放戦線が”社会のゴミ以下の存在”で”殺して当然の存在”って…………」
「…………………………」
「…………っ!」
「フィー…………サラ教官…………」
「ハッ、確かに”軍人”のお前達からすれば、帝国解放戦線(オレ達)みたいな”国に害を為す存在”は排除すべき存在なんだろうよ。」
「クロウ君…………」
ローレンツの指摘にエリオットが信じられない表情をしている中”猟兵”の事を徹底的に悪く言われた事で辛そうな表情で黙り込んでいるフィーと唇を噛み締めて身体を震わせているサラの様子をラウラは心配そうな表情で見守り、鼻を鳴らして厳しい表情を浮かべて答えたクロウをトワは辛そうな表情で見守っていた。
「そしてそのような連中すらを殺す事も躊躇い、あまつさえ”騎神”とやらが必要な戦いではお前達は援護攻撃等何もせず、全てリィン任せだったとのだから、そんなお前達は俺達からすれば”腰抜け”の連中という事だ。」
「き、騎神を使っての戦闘に僕達が割り込むとかリィンとヴァリマールの邪魔になるだけだろうが!?」
「それに俺達は何もしていない訳ではない。――――――”準起動者”としてリィンとヴァリマールを支援し、共に戦っていた。ヴァリマール関連の戦いに”何もしなかったと”いう俺達に対するその評価、訂正してもらおうか。」
ドゥドゥーの指摘にマキアスとユーシスはそれぞれ反論した。
「君達による支援と言っても報告書によれば、”騎神専用のアーツ”を騎神を介して発動しているだけなんだから、結局は君達自身が戦っている訳ではないのにも関わらず、”共に戦った”といった寝言がよく言えるものだね。」
「全くですね。第一接近戦は無理だとしても後方から矢や銃による支援攻撃で敵機の注意を逸らす事や視界を潰す事もできますし、魔術やアーツによる援護攻撃、”灰の騎神”の能力強化、敵機の能力減少させる支援とかもできたでしょうに。――――――そもそも、貴方達の母校が襲撃された時も生身で機甲兵を一体撃退できた上、貴女達の担当教官は一人で戦車や機甲兵とも渡り合えた事も報告書にあったのですが?」
「そ、それは…………」
「そもそも、機甲兵や戦車と言った”近代兵器”相手に生身で挑むこと自体がアタシ達の世界では常識を疑う行為なのだから、そんな非常識な事、誰も思いつける訳がないでしょうが…………」
呆れた表情で指摘したフェルディナントとリシテアの指摘に反論できないエマが複雑そうな表情を浮かべて答えを濁している中、セリーヌが疲れた表情で答えた。
「…………それよりもそういう言い方をしたって事はそっちは訓練兵時代から人を殺した事があるの?」
「勿論ある。俺達訓練兵は卒業までに数回程”課題”として必ずメンフィル帝国軍による賊の討伐に同行し、賊――――――つまりは”人の命を奪う経験”をさせられる。」
「当然幾ら圧倒的に私達が優勢とはいえ”実戦”だから、メンフィル帝国軍の軍人もそうだけど訓練兵も命を落とす事もあるわ。――――――とはいっても、基本私達”先輩”や教官、それにメンフィル帝国軍も訓練兵の戦況には気を付けて万が一劣勢になれば助けに入るからケガをする事はあっても、死ぬ事は滅多にないらしいけどね。」
「やれやれ…………”課題”として”人を殺す事に慣れさせる経験をさせる”なんて軍人としての教育をするにしても、幾ら何でも殺伐し過ぎですよ、メンフィル帝国軍の教育の仕方は…………」
「それに幾ら相手が犯罪者とはいえ、そんなに定期的に殺し続けるような事をゼムリア大陸で実行したら大問題よ。」
「…………今までの話から察してはいたけど、メンフィル――――――いえ、異世界では遥か昔のゼムリアのような相当殺伐とした世界のようね。」
「うむ…………それにそのような殺伐とした世界で繁栄している事がメンフィルの”強さ”なのかもしれぬな…………」
「フフ、もし”痩せ狼”が生きていたら嬉々とした様子で異世界に暴れに行ったかもしれないわね…………」
フィーの質問に答えたドゥドゥーとドロテアの説明を聞いたトマスは疲れた表情で溜息を吐き、サラは厳しい表情で呟き、セリーヌは目を細め、ローゼリアは重々しい様子を纏って呟き、クロチルダは苦笑しながら推測した。
「待ってくれ。今の話が本当なら、まさかリィンも貴方達と一緒に”賊”の命を…………」
「ええ、当然奪っていますよ。しかもリィンは貴方達もご存知のように仲間思いの上”級長”としての責任感も人一倍強かった事もあって、常に私達の先頭に立って”賊”を狩りまくっていました。」
「そんで突っ込みがちなリィンを後ろから銃や魔術、アーツでフォローするステラ、戦況に応じて二人をそれぞれフォローするフォルデ先輩というメンツが当時のリィン達にとっては最高の組み合わせでもあったから、模擬戦であの3人が揃った時の連携力は半端じゃなかったぜ~?」
「フッ、まさに”理想の組み合わせ”と言っても過言ではなかったな、あの3人は。」
ある事に気づいたガイウスの質問に答えたリシテアの話に続くようにクロードは当時を思い返しながら説明し、フェルディナントは静かな笑みを浮かべて答えた。
「そ、そんな!?そんなにも前からリィンは人の命を奪った事があったなんて…………!?」
「…………まさかリィンがトールズ留学前よりもそのような経験をしていたとはな…………」
「…………なるほど。彼が必要以上に己の身に眠る”力”を恐れていたのはその経験も関係しているのであろうな。」
「ったく、雛鳥の頃からそんな殺伐とした経験をさせるメンフィルの方が色んな意味でおかしいんじゃねぇのか?」
ガイウスの質問に答えたリシテア達の話を聞いた仲間達がそれぞれ血相を変えている中アリサは悲痛そうな表情で声を上げ、ユーシスとアルゼイド子爵は重々しい様子を纏って呟き、クロウは呆れた表情で溜息を吐いた後目を細めてレンを睨んだ。
「ちなみにリィンは賊や魔物の討伐での活躍でいつの間にか”剣鬼”って異名で呼ばれるようになっていたんだぜ?」
「”剣鬼”…………」
「異名から察するにあの灰の小僧は”鬼のような強さの剣士”だったか…………もしくは、”鬼のように容赦をしない剣士”と言った所か。」
クロードの話を聞いたラウラは真剣な表情で呟き、ローゼリアは真剣な表情で推測を口にした。
「…………ああ、リィンの”剣鬼”は後者の意味で呼ばれている。――――――最も、それは”恐れ”等と言った悪い意味ではなく”仲間を守る為に敵には容赦をしない”という良い意味で俺達を含めた同期生、先輩方からは捉えられていたがな。」
「だからこそ、Ⅶ組(あなた達)といた影響で、リィンが腑抜けてしまったのではないかと私達もそうだけど、セシリア教官も心配していたわ…………でもクロスベルでの活躍で”かつて剣鬼と呼ばれていた頃のカン”は取り戻したようだから、その話を聞いた時は安心したわ。」
「確かリィンは内戦の件でエレボニア帝国政府に”灰色の騎士”とかいう異名をつけられたそうですけど、今のエレボニアにとってのリィンは”灰色の悪魔”や”灰色の剣鬼”という異名がつけられているかもしれませんね。」
「まあ、内戦で活躍したはずの”英雄”が今回の戦争で牙を向いて自国の軍に甚大な被害を与えた上、国民達にも動揺を与えているのだから、そう呼ばれてもおかしくはないね。」
ローゼリアの推測に頷いたドゥドゥーは説明を補足し、エーデルガルトは静かな表情で答え、リシテアとローレンツは苦笑しながら答えた。
「貴方達は…………」
「…………っ…………貴方達は自分達の大切な仲間が…………リィンが留学したエレボニアの為に辛い気持ちを抱えて多くの人の命を奪った事やエレボニアで悪く言われているかもしれない事で心を痛めているかもしれないのに、どうしてそんな暢気な様子で話せるのよ…………!?」
一方エーデルガルト達の話を聞いたガイウスは静かな怒りを纏ってエーデルガルト達を睨み、アリサは唇を噛み締めた後悲痛そうな表情で問いかけ
「無論彼が今回の戦争に参加した理由もセシリア教官から知らされている。だが彼は”トールズ士官学院に留学する前からメンフィル帝国軍の一員であり、メンフィル帝国の貴族の一員”であるのだから、”辛い気持ちを押し殺して戦争相手である敵国に甚大な被害を与える事がメンフィル帝国軍人であり、メンフィル帝国貴族でもある彼に課せられた義務”でもあるからだ。」
「それに”心を痛めている”って言っても、今のリィン君の周りにはステラちゃんやフォルデ君といった昔の仲間に加えてエリゼちゃんを含めたリィン君を慕う恋人達や新たな仲間達がリィン君を戦力としてもそうだけど精神的な意味でも助けてくれるだろうし、何よりも私達もリィン君の大切な仲間としていずれは合流してリィン君を助けるつもりでもあるからよ。」
「………………………………」
(オリビエ…………)
「…………ッ…………!」
「アリサさん…………」
「何となく察してはいたけど、やっぱりそっちもあのステラやフォルデって人達みたいにリィンと合流する予定があるんだ。」
「…………カレル離宮での暗黒竜との戦いを考えると、アンタ達もヴァリマール達の”準起動者”として認められるのでしょうね。」
フェルディナントとドロテアの話を聞いて辛そうな表情で顔を俯かせているオリヴァルト皇子の様子をミュラー少佐は辛そうな表情で見守っている中、辛そうな表情で唇を噛み締めたアリサをエマは心配そうな表情で見守り、フィーとセリーヌは真剣な表情でエーデルガルト達を見つめた。
「…………それでレン皇女殿下。リィンの訓練兵時代の同期生のほとんどが揃ってこの里に滞在している事にも、Ⅶ組(彼ら)に対する何らかの思惑があるのでしょうか?」
「うふふ、そこに気づくとはさすがは”光の剣匠”ね。――――――お察しの通り、リィンお兄さんの黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)時代の同期生や彼らに深く関わっていた”先輩”達をこの里に集結させたのはセシリアお姉さんの手配によるものよ。」
「セ、セシリア将軍が…………!?一体何の為に…………!?」
重くなりつつあったその場の空気を変えるために質問したアルゼイド子爵の問いかけに答えたレンの答えを聞いた仲間達がそれぞれ血相を変えている中アリサは信じられない表情で疑問を口にした。
「さっきも説明したように”第四機甲師団”による”焦土作戦”を受けたクロイツェン州の復興の為に、メンフィル・クロスベル連合も当初の侵攻計画を修正せざるを得なかったのよ。――――――で、その修正した侵攻計画の一部としてメンフィルで結成した精鋭部隊をエレボニアの領土と隣接しているかつ既にいつ戦端が開かれてもいいように厳戒な警戒態勢に入っているメンフィル帝国軍に派遣して、エレボニア帝国領に攻撃を仕掛ける所謂”遊撃隊”の役割の為に新たにメンフィルからの増援として派遣される事になったのが彼らよ。」
「そしてセシリア教官の計らいでリィンのクラスメイトだった俺達”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”が集中してその増援部隊として派遣される事になった理由は二つ。一つはステラやフォルデ先輩のように戦争の件で傷ついているであろうリィンの精神面の緩和の為にステラと同じリィンのクラスメイトだった俺達を集結させる事で、リィンに”トールズ士官学院時代の生活は過去の経験として割り切ってもらう為”だ。」
「そ、それって…………!」
「要はリィンにⅦ組(アタシ達)の事を忘れさせる為に、リィンのメンフィル帝国軍の訓練兵時代のクラスメイトだったアンタ達を呼び寄せたって事でしょう!?あの女…………っ!端麗な容姿とは裏腹に随分と陰険な事をしようとしてくれたわね…………っ!」
「まあ、セシリア将軍閣下は”腹黒い事を考える事が専門”と言っても過言ではないメンフィル帝国軍の”総参謀”なんですから、そんなえげつない事をしてきてもおかしくありませんよ。」
レンとクロードの話を聞いてある事を察したエリオットは不安そうな表情で声を上げ、怒りの表情で声を上げたサラの言葉にアンゼリカは疲れた表情で答えた。
「そして俺達がお前達が落ちのびたこのエリンの里にわざわざ集結した理由はもう一つある。――――――それは俺達”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”によるお前達”Ⅶ組”への”宣戦布告”をする為だ。」
「其方たちが我ら”Ⅶ組”に…………」
「一体何の為の”宣戦布告”なの?」
ディミトリの話を聞いたラウラは真剣な表情をし、フィーは厳しい表情で問いかけた。
「――――――決まっているわ。”リィン”の事についてよ。貴方達は今後の活動の目的の一つとして”リィンを取り戻す事”――――――つまりは”リィンがⅦ組に戻る事”を望んでいるのでしょうけど、そんなことリィンの仲間である私達は絶対に見過ごせないわ。」
「リィンはメンフィル帝国の貴族かつメンフィル帝国軍の一員なのですから、メンフィルの戦争相手である貴方達エレボニアの士官学院の関係者に戻れば、リィンもそうですがリィンの家族の未来は決して明るい未来にならない事は目に見えています。私達はリィンのクラスメイトとして…………仲間として、リィン達の将来を奪おうとする貴方達の行動は決して許せるものではありません。」
「そ、それは…………」
「………………………………」
エーデルガルトとイングリットの話に反論できないエマは辛そうな表情で答えを濁し、オリヴァルト皇子は辛そうな表情で顔を俯かせて黙り込んでいた。
「――――――リィンは俺達”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の一員としての気持ちを思い出してもらい、俺達の元に戻ってもらう。――――――それがお前達”Ⅶ組”に対する俺達”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の”宣戦布告”だ。」
「そしてそれがリィンがこれから歩む”正しい道”でもあるわ。それでもなおリィンの行く道を阻むというのであれば、私達が相手になってあげるわ。」
「ま、俺達よりも先にエリゼあたりが阻むかもしれねぇけどな。”リィンがメンフィル帝国軍側で戦っている事が間違い”と思っているお前達の傲慢と我儘、今回の戦争で徹底的に叩き潰してやるぜ。」
そしてディミトリ、エーデルガルト、クロードは堂々とアリサ達に宣言し
「…………っ!そんなこと、絶対にさせないわ!」
「リィンの”友”としてリィンを…………そして其方たちを必ず止めてみせる。」
「リィンの”今の仲間”はわたし達。”リィンにとっての過去”はそっちなんだから、今頃しゃしゃり出てきた所で無駄だって事を思い知らせてあげる。」
「この先例えどれほどの苦境が待っていようと、オレ達は必ず仲間を取り戻す!」
「クロウも取り戻す事ができたんだ…………だから、リィン達を取り戻す方法は必ずあるはず!僕達は絶対に諦めないよ!」
「俺達を”腰抜け”やら”リィンを腑抜けさせた原因”と侮辱した貴様らの評価がどれほど間違っていたかを、今後の活動で思い知らせてやる。」
「そしてリィン達を取り戻そうとしている事が僕達の傲慢や我儘じゃないってことを、君達にもわかってもらう!」
「ま、今度は俺があいつに”利子”を請求する番だからな。”利子”を返済してもらう為にも、首に縄をかけてでもあいつを取り戻すし、お前達がそれを邪魔するって言うんなら、容赦はしないぜ?」
一方三人の宣言に対してアリサ達Ⅶ組もそれぞれ決意の表情を浮かべて宣言し
「やれやれ………ほんとアンタたちと来たら。」
「えへへ、それでこそみんなだよ!」
「………………………………」
(オリビエ…………?)
「ふふっ、この様子だとⅦ組の士気を折ると思われたそちらの思惑は外れたのではないですか、レン皇女殿下?」
「そうですね…………リィン君の過去の仲間の登場は、むしろⅦ組にとっては発破をかける存在になったようですしね。」
その様子を見守っていたサラとトワは口元に笑みを浮かべていたが、オリヴァルト皇子は複雑そうな表情で黙り込み、その様子に気づいたミュラー少佐は眉を顰め、口元に笑みを浮かべたアンゼリカとトマスはそれぞれレンに問いかけた。
「クスクス、ご想像にお任せするわ。――――――言い忘れていたけど”遊撃隊”の正式名称は”灰獅子隊”よ♪」
「は、”灰獅子隊”って…………!」
「ふふっ、これ見よがしにリィン君の存在を意識した部隊名ね。リィン君のかつての仲間達ばかりを集めた所を見るとその”灰獅子隊”とやらにはリィン君達の部隊も含まれているのかしら?」
レンの説明を聞いたエリオットが信じられない表情をしている中、クロスベルは怪しげな笑みを浮かべてレンに訊ねた。
「うふふ、それについては”メンフィル帝国軍の軍事機密”だから、”部外者”であるⅦ組やオリビエお兄さん達には教えられない内容よ。――――――忙しい所を呼びつけてしまって、悪かったわね。”灰獅子隊”のみんなは軍務に戻ってもらって構わないわ。」
「仰せのままに(イエス)、我が主!!」
クロチルダの問いかけに対して答えを誤魔化したレンが指示をすると、”灰獅子隊”の面々はそれぞれ姿勢を正して返事をした後部屋から退出した――――――
後書き
という訳で前話でも宣言したようにⅦ組をアンチする話になりました(汗)後、ついでに昔のリィンはメンフィルの教育のお陰で敵には容赦しなかったという追加設定まで(オイッ!)なお、”先輩”であるフェルディナント達は原作ファイアーエムブレム風化雪月の第二部である5年後の姿だと思ってください。風化雪月の第二部最初の戦闘マップは味方の援軍が現れる展開といい、戦闘マップのBGMといいホント今までのファイアーエムブレムの中で一番よかったと思いましたww私にとって風化雪月では一番気に入っている戦闘マップと展開でもありますww
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