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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十七話 ビリー、丈に挑みかかるのことその一

                         第七十七話  ビリー、丈に挑みかかるのこと
 曹操は袁紹の陣に来た。そうして彼女と話すのだった。彼女の後ろには主だった将帥達がいる。袁紹もその後ろに彼女の配下を連れている。
「とりあえずもうすぐ出陣するけれど」
「何でして?」
「兵が少ないわね」
 こうだ。袁紹を見て言うのであった。
「十五万なのね。貴女が出した兵は」
「そうでしてよ」
「二十万は出せるのではなくて?」
 こう袁紹に問うのである。
「違うかしら」
「わたくしのところも色々あるのでしてよ」
 袁紹は思わせぶりな笑みを浮かべて曹操のその指摘に応えた。
「だからでしてよ」
「色々、ねえ」
「その通りですわ。それで五万程を予備に置いていますのよ」
「その予備は何処にいるのかしら」
 曹操は袁紹に対してさらに問うてみせた。
 そのうえでだ。彼女の後ろにいるその配下達を見てこう言った。
「しかも麴義と審配がいないわね」
「それがどうしまして?」
「貴女の軍の武の五人衆の一人、しかもまとめ役がいないのね」
 麴義の袁紹軍での位置はだ。曹操も把握しているのだ。
「しかも参謀の一人であり護衛役の審配までなのね」
「事情があって来られないのでしてよ」
「留守番というのね」
「そういうことですわ」
 こう強引に言う袁紹だった。
「わかりましたわね」
「そうね。一応話は聞いたわ」
 曹操は見透かした様にして袁紹に言葉を返した。
「そういうことなのね」
「その通りですわ」
「とにかく。貴女の十五万と私の十万がね」
「この連合軍の主力になりますわね」
「その通りよ。共同作戦でいくわよ」
「わかっていますわ。それなら」
 このこと自体は簡単に決まった。
 そのうえで双方の将帥達は互いに話し合う。軍の細かいことに至るまでだ。その雰囲気はよかった。しかしである。
 そうした話し合いが終わってからだ。徐晃がだ。首を捻りながらこう言ったのだった。
「あの、華琳様」
「ええ、おかしいって言うのね」
「袁紹軍の面々何か隠してません?」
 こうだ。いぶかしみながら言うのである。
「本当に」
「その通りよ。麴義達がいないことね」
「それに袁紹軍の兵が少ないです」
 徐晃はこのことも指摘した。
「そのことをあの緑の髪の」
「文醜ね」
「あの娘に聞こうとしたらすぐに何か話そうとして」
 それでだというのだ。そこからだ。
「慌ててあの黒髪の娘に口を塞がれてましたけれど」
「顔良ね。あの二人は相変わらずね」
「あの二人のそういうことを見ていたら」 
 どうかというのである。徐晃はそういうものを見て察したのである。
「絶対に何か隠してますね」
「歌、貴女は麗羽の軍と一緒に何かするのははじめてよね」
「はい、実は」
「そうね。それなら知らないのも無理はないわね」
 曹操は徐晃にこう言うのだった。彼女に顔を向けてだ。
「麗羽はね。誰が見てもわかるようなことをあえて隠したりするのよ」
「あえてですか」
「どうせあれよ。あの二人がいないのはね」
 麴義と審配のことである。
「涼州の方に送っているのよ」
「では五万の兵も?」
「そうよ。私達が董卓の主力の相手をするわね」
「その隙を衝いてですか」
「董卓の本拠地擁州を五万の兵で襲うつもりなのよ」
「成程、戦略としては妥当ですね」
「それを考えてなのよ。もっともこれは内緒のことよ」
 言わないというのである。連合軍の重要な戦略だからだ。
 
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