ヘタリア大帝国
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TURN25 アフリカ戦線その十
「祝おうか、皆で」
「禁欲的なのだな、ロンメル元帥は」
その彼にだ。ユリウスが言ってきた。
「これだけの功績を挙げたのに」
「戦いはまだありますからね」
それ故にだとだ。ロンメルはユリウスに答えた。
「ですから」
「それでか」
「はい、スエズを占領してです」
「そこまでは安心できないか」
「そう思いますが」
「確かにな。アフリカ戦線はまだはじまったばかりだ」
難しい顔にだユリウスもなっていた。
「それで楽観はできないか」
「ええ、ですから今はです」
「逆に言えばスエズを手に入れれば」
「かなり大きいですね」
「それもその通りか」
逆もまただというのだ。
「ではだ。我々はだ」
「はい、北アフリカでの地盤を固めて」
そのうえでだというのだ。まずは。
「スエズに向かいましょう」
「そうだな。しかし問題は他のアフリカ方面だな」
「そこからエイリス軍が来るというのですね」
「アンドロメダ方面が気になる」
ユリウスは難しい顔になってロンメルに述べた。
「あの星域にはかなりの艦隊がいるが」
「いえ、どうやらあそこは動かない様です」
「動かない?何故だ?」
「あの星域は。詳しい事情はわかりませんが」
それでもだとだ。ロンメルはユリウスに話す。
「あの星域には特別な事情がある様で」
「駐留寒帯を動かせないか」
「海驢作戦の時もあの星域からは艦隊を動員していません」
エイリスの未曾有の危機であった先の戦いでもだというのだ。
「ですから」
「そうか。それでは問題は」
「あくまでスエズ方面ですね」
そこから来るエイリス軍が問題だというのだ。
「そしてあの星域を占領すれば」
「エイリスの宇宙戦略にかなりの楔を打てる」
「そうなります」
「総師閣下はスエズには興味があられない」
「おや、それではスエズは」
「ドクツに任せていいだろうか」
「ではエジプトはイタリンにということで」
自然とだ。分割案にも話がいった。政治的な話にも。
「それで宜しいでしょうか」
「後は政治の話だな」
「それは総統閣下、総帥閣下同士のお話になりますが」
「おおむねそうなるな」
「はい、ではそういうことで」
こちらの話も順調に整った。こうした話もしながら。
ドクツ軍とイタリン軍は北アフリカを占領した。イタリン軍にとっては再占領だった。
それを受けてレーティアはとりあえずは胸を撫で下ろした。だが、だった。彼女はグレシアに対してベルリンの総統官邸でこう言ったのだった。
「ロンメルは。残念だが」
「このままアフリカ戦線に置いておくのね」
「そうする。イタリン軍のままでは頼りない」
「そうね。イタリン軍は気はいいけれど」
「弱い」
一言でだ。レーティアはイタリン軍をばっさりと切り捨てた。
「あまりにもな」
「そうね。あれだけ弱いとね」
「エイリス軍が反撃に出れば負ける」
「そうしたら同じことの繰り返しよね」
「仕方がない。ロンメルにプロイセン君の兄妹はあの場所に回る」
「そうしないと駄目ね」
「スエズに一気に侵攻したいがな」
だが、だとだ。レーティアは顔を曇らせてこう言った。
「だがそれもな」
「できないのよね」
「バルバロッサ作戦に取り掛かる」
レーティアの顔がまた変わった。今度は引き締まったものになって言ったのだ。
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