ヘタリア大帝国
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TURN25 アフリカ戦線その九
その彼等を見てだ。ユリウスは自身が率いるイタリン軍に指示を出した。
「よし、今だ!」
「攻撃!?」
「攻撃だブーー?」
「そうだ、攻めるぞ!」
この指示にだ。豚達はというと。
小豚も大豚達もだ。こう口々に言った。
「信じられないブーー」
「僕達が攻めるなんてないブーーー」
「これまでなかったことブーー」
「そのなかったことをするのだ」
ユリウスも言い切った。強い顔で。
「我々は今からだ。わかったな」
「わかったら行くよ!」
「勝ちに行くよ!」
ここぞとばかりにだ。イタリア妹とロマーノ妹も彼等に告げた。
「焼き豚になんかなりたくないよね!」
「エイリス軍の不味い料理を食いたくないだろ!」
「あんな飯食えないブーーー!」
「あれはもう餌だブーーー!」
彼等からか見てもだ。エイリスの料理は最悪だった。
「だからここは絶対にブーー!」
「捕虜にならないブーーー!」
「捕虜になりたくなければ攻めろ!」
ユリウスは豚達の言葉を聞いてこうも言った。
「いいな、全軍攻撃だ!方陣から攻撃陣形に入れ!」
「わかったブーーー!」
「勝つブーーーー!」
豚達もユリウスの言葉に頷いた。そのうえでだ。
イタリン軍は逃走ではなく攻撃に入った。数だけはある。
その彼等がエイリス軍に正面から攻撃を浴びせる。兵器は旧式でありその戦術もたどたどしい、いや殆どの提督の指揮は素人のものである。
だがそれでも数はあった。その数でだ。
イタリン軍はエイリス軍を攻めてだ。エイリス軍をドクツ軍と協同して攻めた。その前後からの攻撃を受けてだ。
エイリス軍の指揮官は苦い顔で決断を下したのだった。
「仕方がないな」
「ここは撤退ですか」
「そうされますか」
「全軍スエズまで撤退する」
こう将兵達に告げたのである。
「わかったな。ではだ」
「仕方ありませんね。まさかこうまでやられるとは」
「思いも寄りませんでした」
「ドクツ軍のあの動きから見ると」
指揮官はドクツ軍のその動きを見ながら述べた。
「敵の指揮官はロンメル元帥だな」
「狐が来ましたか」
「報告通りですね」
「そうな。厄介なのが来た」
指揮官は苦渋に満ちた顔で撤退の指揮を執りながら話した。
「北アフリカでも厳しい戦いになるな」
「下手をすればスエズも奪われますね」
「そうなりますね」
「そうなることも現実に有り得るだろうな」
指揮官は決して楽観していなかった。今後の戦いに暗いものを見ながらだった。
エイリス軍は撤退した。北アフリカでの戦いはドクツ、イタリン枢軸軍の勝利に終わった。
北アフリカは無事にイタリンに奪還された。それを受けてだ。
豚達は諸手を挙げてロンメル達ドクツ軍を宴の場に出迎えてだ。満面の笑顔で言うのだった。
「全部ドクツ軍のお陰だブーーー!」
「ロンメルさん有り難うブーーー!」
「プロイセンさん達も有り難うブーーーー!」
「ははは、いってことよ」
プロイセンが彼等のワインを手にしながら笑って言う。
「俺達はイタリンの為なら一肌も二肌も脱ぐからな」
「そうそう。それにこの北アフリカが奪われるとね」
どうなるかと。プロイセン妹もワイン片手に言う。
「イタリン本土も危ないからね」
「イタリン取られたら俺達だってやばいからな」
「当然のことをしただけだよ」
「その当然のことがあたし達を助けてくれるんだよ」
「そういうことなんだよ」
イタリア妹とロマーノ妹がそのプロイセン兄妹に話す。
「だからね。ここはね」
「素直に感謝を受け取って欲しいね」
「そうか。じゃあ遠慮なくな」
「楽しくやらせてもらうね」
二人は笑顔で言ってだ。そうしてだった。
イタリンの面々と共に祝いの杯を楽しむ。しかしだ。
ロンメルも豚達に囲まれて好意を受けるがだ。こう言うだけだった。
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「えっ、ロンメルさんワイン嫌いブーー?」
「パスタも生ハムも駄目ブーー?」
「どっちも好きだよ。それでも」
だが、だというのだ。
「祝うのはスエズを手に入れてからにしたいと思っている」
「えっ、スエズブーー?」
「あのエイリスの北アフリカ方面の最重要拠点ブーー?」
「そう、そこを手に入れてから」
こう言うロンメルだった。
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