魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers
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Duel:25 心を理解する時間が欲しい
――side響――
「「……」」
「……あれ?」
ぽかんとしているけど、あれ? 名前間違えたかな?
てっきり中島家式の……いや、その番号に則ってイタリア読みだと思ってたけど……いや、その前に名前らしきこと言ってたっけな。
ミスったな、なんて考えてると。クアットロがニヤリと笑って。
「そう、私こそがラボラトリー、セクレタリーズの戦略参謀、クアットロ・ザ・ミラージュ!」
「絶賛受験勉強中で最近出現できてねぇけどなー」
「そうなのよねぇん」
とほほと苦笑いしているのに対して、ケラケラと笑えばチラチラと道着が見える。
クルッとこっちを見たかと思えば。
「改めて、私が四菜・スカリエッティよ」
「アタシが三月だ。よろしくな」
……やけにフレンドリーな感じだなーと。
視線はこの二人を見ながら、なんとか魔力を絞ってギンガ達に念話を飛ばしてみれば。
(あんま知らないんだけど、こんな感じなの?)
(ううん。こっちの世界だとスカリエッティの娘さんで、ナンバーズの上位数……チンクまでがここで、1番から4番、そして七はあっちかな?)
(家族構成はスバルの言うとおり。元の世界だと、二人共あまり口を割らないというか、聞く気が無いと言うか)
……ほー。スバルからの話で、残りがここに居るんだということを。セインと双子? の三人がエルトリアに居ることから一応察してはいたけど。
こうしてみるとやっぱり驚くなーと。
「しっかし、親父から聞いてたけどマジでギンガが一姉とセインみてぇだ」
「スバルちゃんも、ますますカッコよくなっちゃって……三月姉ぇとは全然違うわー」
「あ、アタシだってカッコイイ所あるだろ? この前スイカ割ったら七が喜んでたし」
「……いや、素手でスイカを真っ二つに割る人はカッコイイとは思えないわぁ」
そんな俺らをおいて、向こうで話が盛り上がってるけど……え? スイカを素手で割る? マジで?
(え? 普通でしょ?)
(うん。出来るよ?)
(……え? なにこれ俺がおかしいの?)
こ、怖いわー……いや、俺も出来るっちゃ出来るだろうけど、やろうと思ったことがない。
「しっかし、パパが言ってた通り。はなちゃんとそっくりなお姉ちゃんだ」
「これで強いってんだから凄いよなー……家が開店したらほしいなー」
……ん? 開店?
「あの、あ、はじめまして響と言います。そちらにお邪魔してるはなのあ……ねです」
後ろで吹き出す声が聞こえたけど、気にしない方向で。
「うん、よろしく響ちゃん」
パタパタと二人が縁側の窓から入ってくるのにあわせて、開店ってなんでしょうかと声を掛ける前に。
「あーしぃ姉とみつ姉だー! 受験落ちたのー?」
「まだ落ちてないわ!」
それに合わせて2階に居た小さいスバルたちも合流して、一気に騒がしくなる。
軽く蚊帳の外の俺を除いて、皆それぞれ会話が盛り上がってる。
その中で話を聞いていると、何でも一番上がエルトリアの親戚の元に行ってて近いうちに戻ってくるらしいのと、セインがまたいたずらして怒られてるっていうのを引き出した。
チラホラと聞こえてなんとなく予想がついたのが、第4のブレイブデュエルの出来るショップを目指しているらしいが、四菜が受験前だということもあって下地形成に留めてるっぽい。
それに合わせて新しい属性であるラボラトリーの他のプレイヤーへの開放、それに伴う調整等など色々することがあるらしい。
しかも、少し前になんかシステム追加したせいで、最近プレイヤー間がどうも妙な感じらしい。
……あ、だから流がここに居たのかな。なんで流がスカリエッティと一緒に居るのか分からなかったが、そういうことなら合点がいくし、ここからなら各ショップを帰りながら見て回れるし。
ただそうなると、隣の地下にあるジェネレーターで不思議なのが、なんでT&Hには誰も来なかったんだ?
正直色々聞きたいが、ここじゃだめだ。色々気になる点が出てきたけど、聞けないのはしんどいなー。
「ありがとね、七と仲良く出来る子って割と珍しいから」
意識を思考に向けていたせいで、クアットロ……もとい、四菜さんが隣に座ってた。
軽く咳払いを一つ挟んで、
「こちらこそ、割と空回りする妹なので、仲良くなれたのは大きいなと」
「……本当だったわ。年の割に丁寧な子。ウェンディちゃんにも見習ってほしいわー」
疲れたように笑ってる辺り、昔なんかやったんだろうな。
まだあってないスカリエッティ家の二人はわからんが、この二人も昔からの付き合いなのか、凄く可愛がってるのがよく分かる。
これで海鳴に居ない三人も――あれ?
「……あの」
「ん? 何かしらー? 私で良ければ応えるわー!」
テンション高いな。いやそれよりも、
「響ぃー! お風呂一緒に入るッスー!」
「ぐはぁ!?」
後ろから勢いよく激突されて言葉が出なかった。誰よ? と思って振り返れば、ウェンディが腰回りに抱きついてるし。
「うぇ、ウェンディ、ゆっくり行こうよ。お母さーん、先入るねー」
「はーい! ウェンディー? ちゃんと入りなさいよー?」
「はいッスー!」
あれよあれよと言う間に話が進んでいくので、とりあえず。
「ま、また今度聞きますね?」
「はーい。ウェンディちゃん肩まで浸かるのよー? 三月姉、行こっか?」
「おう。ちび共それじゃーな、大きい方のギンガとスバルもまたな!」
パタパタと手を振ってる間に、ウェンディ達に連行されるのはなんというか慣れないなーと。
……あまり踏み込んだこと聞いたらまずいかな?
今の所話題にすら上がってない、零番の事を。
――side花霞――
親戚が多い、というのは初めて見る。
主達のご友人達にはそれなりに居るらしいけれど、主には親戚が全く居ない、会ったことも無いと以前聞いた覚えがあった。
不思議な家系ではあるものの、幸い周囲に恵まれたから特に問題はないとも言っていた。
だからこそ。
「す、凄いですね。親戚が多いって」
純粋に驚くのみだ。
――――
事の発端は、中島家に着いたと同時に、待ち構えていた七に捕まったこと。
主や中島家の皆さん、いってらっしゃいと送り出してくれたんですが、ギンガ様の事を気にかけていたので、その行末が気になるところです。
……そもそも私が居ないタイミングで何かあった様ですが、わからないですし……。
そこでスカリエッティ……いえ、ジェイル様、クイント様の幼少期であろう写真の中にもう二人、金髪と緑髪の……カリム様とヴェロッサ様が写っているのが気になってつい話を聞いてしまった。
そして分かったのが、そのお二人も従兄弟になるらしく。世間って本当に狭いんだなと痛感させられております。
そしてよくよく話を聞いてみれば、そちらの方に残りのナンバーズの皆さんがいるらしい。セイン様と双子と言われるオットー様、ディード様が。
しかし、ここでも妙なのが……スカリエッティ家のお母さんはどうやら違う人らしい。
具体的には、ゆりかごで主が倒したあの方。ライザ・ジャイブではなく違う方とのこと。もう少し話を聞いてみようと思ったのですが、七の手前に、そのお姉さん達の出現でなかなか話を振る機会がない。
存在は知っていましたが2番目のナンバーズの存在も確認できました。
資格研修及び資格検定試験の為に家を離れているらしいのでまだ直接は会えてはおりませんけど。
これでナンバーズの皆様が居るということは分かったのですが……それでもまだ確認できて居ないのが一人。
そして、それは……主たちも同義。
それらしき人も、そのような話も聞かない以上、やはり居ないと考えるのが正しいのか。
うむむ……思考が回り始めてくるので、この思考はここまでですね。
それに――
「……オットーとディードとは会ったらよく遊ぶ」
「わ、仲が良さそう」
アルバムに入ってる写真を見せてもらうと、七達が楽しそうにしているのがよく分かる。
……はたから見れば、七達は無表情のように見えるけれど、ここ最近の七との交流のお陰で心から楽しそうにしているというのが分かる。
さて、そろそろかと思えば、ガラガラと玄関が開く音が聞こえて、
「七ー、そしてはなちゃーん、三月姉ぇとお風呂いってらっしゃ~い」
「二人共行くぞー」
遠くからそんな声が聞こえる。あのお二人も最初は驚いたなって。
「はな、行こう?」
「はい!」
こんなにも、反応も何も違うと……人ではない私には全くの別人、他人に見えます。
だけど、やはり皆さんは……いえ。それが人のいう心なんだろうと私は思います。
あぁ。もっと早くに主と出会えていれば。もっと早くに体を移し替える提案を受け入れていれば。
もっと、ずっと心を、皆様の苦悩を理解できたかもしれないのに。
後書き
しばらく、短い投稿になりますがお付き合い頂けると幸いです。
長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。
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