恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十六話 群雄、一同に集うのことその八
「彼女がね」
「劉備殿がですか」
「先陣なのですか」
「そうよ、先陣になったのよ」
劉備がだと話すのだった。
「まあ妥当ね」
「そうですね。とりあえずは」
「劉備殿でいいかと」
「あの娘はあまり戦は好きではないみたいだけれど」
それでもだというのだ。
「周りの将や軍師がいいからね」
「そうですね。人材が揃っています」
「非常に」
「だから問題はないと思うわ」
また話す曹操だった。
「ただね。厄介なのは」
「麗羽様は間違いなくです」
「何かあれば」
夏侯姉妹もそれはわかっていた。袁紹のことがだ。
「前に出られようとします」
「それこそ弓矢の嵐の中でも」
「あの娘は昔からそうなのよ」
曹操は袁紹についてさらに話していく。
「すぐに前に出るから」
「将としては当然なのですが」
「極端に過ぎますね」
「どういう訳かどんな状況でも怪我一つしないけれど」
袁紹はだ。どうやらかなりの強運らしい。それでだというのだ。
「それでもよ。盟主が最前線に立つなんてしないから」
「いえ、私はそれは」
夏侯惇はここで言うのだった。
「そういう戦いですから」
「貴女はそれでいいのよ」
曹操は彼女はそれでいいとした。しかしであった。
袁紹についてはだ。あくまでこう言うのであった。
「あの娘は牧であり盟主よ。将の将だからね」
「そうですね。前線に出られてはなりません」
夏侯淵がそれを言う。
「そうおいそれとは」
「何かあれば全力で止めるから」
曹操は本気だった。
「それこそね」
「それでは私も」
夏侯淵も言うのだった。
「その際は」
「全く。あの娘の家臣も大変ね」
曹操はこんなことも言うのであった。
「止めるだけでも厄介だから」
「全くです」
「あの娘らしいけれどね」
しかしだった。曹操は微笑みもした。
「その自分がしないと気が済まないっていうのはね」
「幼い頃からですしね」
「あの方のそれは」
「得意でないことはとことん駄目だけれど」
これもだ。袁紹の特徴だった。何かと中庸に欠ける人物なのだ。
「やれることはやれるからね」
「そうですね。今回もですね」
「それがよい方に出ることを望みます」
こんな話をしてだった。曹操はだ。二人に対して告げた。
「では私達は二陣よ」
「そうして麗羽殿の軍と」
「共に」
「ええ。私は策の立案とあの娘の抑えに回るから」
何気にだ。非常に困難な仕事ばかりである。
「軍の指揮は御願いね」
「はい、わかりました」
「それでは」
「問題は劉備もだけれど」
劉備の話もだ。ここでする曹操だった。
「あの娘がどれだけ頑張ってくれるかね」
「それは安心していいと思います」
「劉備殿に関しては」
曹仁と曹洪がこう話してきた。
「数こそ五万と少ないですが」
「それでも兵も将帥も質がいいですから」
「そうね。じゃあ任せていいわね」
曹操も二人の言葉に納得した。しかしであった。
ここでだ。曹操はまた言うのであった。
「それでも麗羽は何かあれば絶対に前に出ようとするからね」
「何なら引っ張ってでも連れ帰られますか?」
夏侯惇がいささか強硬なことを言った。
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