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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十五話 袁紹、軍を挙げるのことその五

「顔を会わさなければいいのだし」
「そうですね。それでは」
「まあ凛は嬉しいでしょうけれど」
「えっ、私ですか」
「そう。貴女はね」
 今度は悪戯っぽい笑みで郭嘉を見て述べた。
「袁術に張勲も来るでしょうから」
「な、何故お二人なのですか!?」
 郭嘉はその名前が出るとだ。それだけで顔を真っ赤にさせてだった。
 あたふたとしてだ。己の主に言うのだった。
「私は華琳様の臣です」
「ええ、確かにね」
「どうして美羽様や七乃殿に会いたいと思うのですか。矛盾してます」
「姉ちゃん、真名出してるぜ」
「これ、それを言ったらいけません」
 程昱が頭上の人形に突っ込みを入れる。
「真実を言ったら困る人もいるから」
「おっと、そうだったねい」
「そう。禁句ですから」
「ま、待て風」
 郭嘉は今度はそちらにその真っ赤になった顔を向けて言い返した。
「私はだから、その美羽様とは何も」
「接吻したし」
「あれは私がお酒を飲んで」
「しかも同じ口で同じもの食べて」
 その突っ込みは実に容赦がない。
「それで何もないとは」
「言えないというの!?」
「まああえて言わないけれど」
 無表情で攻める程昱だった。
「けれど凛ちゃんと袁術さんは運命だと思う」
「運命!?」
「そう、中身の運命」
 そういう運命だというのだ。
「それだと思うから」
「何故納得できるか自分でも不思議だけれど」
 それを言ってしまったのだった。自分自身でも。
「しかし。董卓を討伐するのならです」
「全軍で攻めるべきね」
「はい、董卓軍は強いです」
 話はそこに戻った。ようやくといった感じで。
 郭嘉は真面目な顔になってだ。あらためて曹操に話すのだった。
「兵が強いだけでなく将帥も揃っています」
「あの呂布もいるわね」
 曹操の顔が真剣なものになっていた。そのうえでの言葉だ。
「あの娘と戦うとなると」
「はい、我々も全軍でなければ」
「ならないです」
 夏侯姉妹もここで言う。
「生半可な相手ではありません」
「だからこそだと思います」
「麗羽も美羽も全軍で来るわよ」
 彼女達もだというのだ。
「それに孫策もね」
「そうでなければ戦になりません」
 董卓軍はだ。そこまでの相手だというのだ。郭嘉は楽観していなかった。
「だからこそ。全軍で」
「わかっているわ。それではね」
「はい、それでは」
「全軍に命じるわ」
 そのだ。全軍にだというのだ。
「出陣の用意よ。然るべき場所で麗羽達と落ち合うわよ」
「御意」
「では今より」
 曹操達も出陣を決意した。そうしてすぐにだった。
 袁紹に使者をやってだ。話をするのであった。
「僕達も出陣するからね」
「宜しく御願いします」
 許緒とだ。典韋が今まさに出陣する袁紹に対して話すのだった。
「華琳様から宜しくと」
「そう伝えてくれとのことです」
「ええ、わかりましたわ」
 袁紹は馬に乗ろうとしているところだった。そのうえで二人に話すのだった。
「それでは。合流する場所は」
「何処にするの?」
「それが問題ですよね」
「許昌の西がいいですわね」
 合流する場所はそこだというのである。
「そこにしましょう」
「うん、わかったよ」
「ではそこで」
「さて、話はこれで決まりですわね」
 また言う袁紹だった。そうした話をするのだった。
 
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