恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十四話 于吉、裏で蠢くのことその五
その男も出て来てだ。言うのであった。
「このルガール=バーンシュタインはだ」
「石像を造られるのですね」
「そうだ」
その通りだとだ。于吉の問いに答える。
「それが望みだ」
「俺はだ」
また出て来た。黒い肌に白い髪、漆黒の洋服を来た男だった。
顔は整っている。しかしえも言われぬ暗黒を身に纏いだ。闇の中から出て来たのである。
「ここに常世を出す」
「わしもそれに同意しようぞ」
小柄で不気味な老人もいた。
「さて、楽しいものになるであろうな」
「色々いるものだな」
左慈はそんな彼等を見て述べた。
「あちらの世界というのは」
「はい、その通りです」
ゲーニッツが礼儀正しく左慈に答えた。
「私達の世界はそうした楽しい世界なのです」
「いい世界ですね」
于吉もそれを聞いて言う。
「その世界が私達の世界に来てくれるのですか」
「思う存分していいかのう」
老人がここで言った。
「わし等の思うままに」
「はい、朧さん達の思われるままに」
于吉はここで老人の名前を呼んでみせた。
「そうされて下さい」
「この世界を混乱に陥らせる」
「そうすれば我々の目的が達せられますし」
于吉はだからいいというのだ。
「思う存分暴れて下さい」
「俺達もだ」
左慈がまた言った。
「当然動く」
「この世界を混乱に陥れる為にですね」
「混乱の中で流血と殺戮が起きる」
それがいいとゲーニッツにも話す左慈だった。
「その時の恐怖と絶望の心が俺達の力の糧となるのだからな」
「思えば因果なものですが」
于吉は楽しげに笑って述べた。
「だがそれがいいのです」
「俺達は妖仙人だ」
左慈は自分達が何者かということも語るのだった。
「普通の仙人とはまた違う」
「そうした負の感情を糧にしているのです」
「だからだ。この世界をだ」
「混乱のきわみに陥れます」
そうしたことを話すのであった。それが終わってからだ。
彼等は解散した。そしてであった。
社はだ。夜にだ。城壁の外の荒涼とした道を歩きながら同行しているシェルミーとクリスに話した。三人は行動を共にしていた。
「なあ」
「どうしたの?」
「さっきの会議のこと?」
「まあそうなるな」
その通りだと話す彼だった。
「あの于吉と左慈だけれどな」
「気に入らないとか?」
「そうだっていうのかな」
「いや、結構気に入った」
彼等はだ。特に問題がないというのだ。
「俺達と同じ考えだからな」
「そうね。人間の世界を破壊する」
「文明と敵対する立場だからね」
「だからいいんだよ」
目的が一致しているからだというのだ。
それを話してだ。社はだ。こうも話した。
「それでな」
「お腹空いた?」
「ひょっとしてそうかな」
「ああ、腹減ったな」
社は自分の腹を摩りながら述べた。
「ちょっとな」
「といってもね」
「今はちょっと」
シェルミーとクリスは周りを見回す。しかしなのだった。
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