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魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
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Duel:12 可能性の一端

――sideフェイト――

「で、結局サトは響で、しかも私達と過ごした響と殆ど同じ……で、ええんやね?」

「えぇ」「……はい」

 私の隣の響と、少し離れた場所に座るサトがそれぞれ答えて。

「……ほんまかぁ」

 三人部屋の和室の真ん中ではやてが頭を抱えてる。私も正直頭が痛くなってくる。ほんの僅かに違う可能性の世界があればと思った事はあったけれど……。

「まさか、何がキッカケかわからないけれど。そんな世界もあるなんて」

 ギンガが深い溜め息を吐く側で、スバルも暗い表情でポツリと。

「……もしかして、ギン姉が連れさらわれた世界も有るってこと?」

「……観測してないけど、聞いた話だとあったって聞いてる。
 というよりもどの世界でも、一度は狙われているんだよ。本部襲撃の際に。私と流の居た世界、今回の響達の世界でもね。
 特に死傷者を出したのがサトの世界で、地上本部の襲撃で一人。六課襲撃で三人。ゆりかご戦の時に三人被害を出してる。話から察するにヴァレンさんとキュオンさんが無慈悲に倒したらしいけどね」

 部屋の隅の方で、流の隣に座る震離が膝を抱えながら話す。

 正直、私も響からサトの正体を伝えられた時本当に驚いて……だから、流があんなに必死に止めようとしたんだと納得できた。
 そして、その後直ぐに皆で旅館に帰って、認識阻害を掛けながら流達が泊まるお部屋に入って、魔導士組+αで集会をしているけど、皆の表情は優れない。

 ちなみに、+αの人はと言うと。

「流君……は、ともかくとして。響君は一応は平気だ。やはり魔導士というのは体が丈夫なのかい?」

「と言うよりも。私はそもそも理が違いますし。響さんは中に入ってる子のお陰ですね」

『頑張ってます!』

 視線の端で流と……ジェイル・スカリエッティが普通に会話しているのが本当に違和感しか無い。この部屋に入った時にスカリエッティが居るということに驚いてバルディッシュを抜きそうになった程だったし。

 それにしても……。

(響大丈夫?)

(……はなのお陰で何とか。ただ、すっごく痛いのは変わらないから辛いのは事実です)

 吐血こそは収まってるけれど、痛みのせいか顔色は悪い。直ぐに変わったらと言ったら。せっかく戻ったんだからもう少しこのままがいいって断られちゃった……。
 唯一この場に居ないのが、奏だけだけど。隣の部屋で眠ってる。サトに説得をした後から眠るように倒れたままで、ここに来るときもサトが運んでくれた。

「さて。私はそろそろ帰るとも。震離君。外まで送って貰っていいかな?」

「えぇ。七には会わなくていいんですか?」

「ハハハ、せっかく楽しんでるんだ。私が行くと、今回の目玉のケイタークンのシステムが上手くいったのかって聞かれるだろうし遠慮しておこう。偶にはしっかりと子供らしく温泉を楽しんでくれると私は嬉しいさ」

「ふーん。さ、行きましょ」

「反応薄いね?! まぁ、いいさ。しかし、こうして空を飛ぶのはいささかぁああああ?!」

 ……なんかスカリエッティがいい切るよりも先に震離が抱えて飛び降りてった。

 私や響は、旅館に戻ってくるまでの間に流から。はやて達は旅館にいた震離からそれぞれ再度説明を受けた。この世界のスカリエッティについてのことを。
 私達の世界の悪行を知ってるせいで、にわかに信じられなかったけれど。それでも今回やってきた七緒に対する感情の表し方や、響やサトの治療を開始した時の手際の良さ、何よりも震離と流が言っていた。

 ―――信じなくてもいいから、邪険に扱わないでくれ。

 と、疲れたように言われてから、皆の態度が柔らかくなった。
 二人いわく、もう変に気を使うのは嫌だとの事で……。

「さて」

 流がただ一言そう言っただけなんだけれど。ピリッと緊張が走った。そのままゆっくりと立ち上がって、響とサトの間まで来ると。

「響さんに、サトさん。とりあえず文句は山程あります。そのうえで……弁解ってあります?」

 あ、響とサトが視線をそらした。

「先ずは響さん。私は貴方に最近会えていなかったのであまり言えないですが。記憶の断片が流れて来ていたかと思います。それをフェイトさんや奏さんに相談しなかったのは何故ですか?」

「……いや、あの……気まずくて」

「何・故?」

 ……背後にゴゴゴゴゴッと効果音がつきそうなほどの威圧感を纏った流に対して、響が縮こまっていくように見える。そのまま、じろりとサトを見て。

「サトさんも。もしかして震離さんに接触するって伝えた時には、こうするって決めてたんですか?」

「……いや、あの。その時は本当に……ただ、結局こうなってたかも……」

「あなた方は……」

 はーっと大きくため息を吐いて。じっと二人を睨むように。

「響さんを殺せばサトさんの様に悲しむ人は出ますし。サトさんは死んだら色々困るんです。特に私や震離さんは影響が大きくなりますし! 大体、腕試しならともかく何で殺し合ったんですか?!」

「「……俺だったらこうするって」」

「何故?!」

 すっごく怒ってる。本人同士で殺し合ったことは私達にしても許しがたいけれど。気になる事言ってたし、色々聞きたいことは有るけど。一旦は流に任せようかな。

 それにしても……。

(六課の頃の流とは大違いだよね?)

(せやなぁ。何時も受身な子ってイメージやったからねー)

 流が二人を叱りつけてるのを見ながら、ギンガやスバルもお互いに視線を合わせてることから同じことを考えてると思う。

「大体、サトさんも響さんも、人に頼るってことを知らなさすぎるんですよ。分かってます?!」

「「ごめんなさい」」 

 いつの間にかヒートアップしてるなーって。本当に変わったなーって。

「そんなんだから、御二方ともMっぽいよねって震離さん達に陰口叩かれるんですよ」

「Mじゃねぇし!?」「あるがままに生きてたけど。そんな事言われてたのか……」

 響とサトがそれぞれ否定するけれど……私の方は納得できて吹き出しそうになった。

「ただいま~って……なにこれ修羅場?」

 そこから震離が帰ってきた空気が和みました。

 ――――――

 スカリエッティを車まで送ってる間の出来事を震離に話したんだけど。さっきと同じくふーんと薄い反応。

「ま、何にせよ。お腹空いたしご飯食べましょ。サトも一緒に」

「……ごめん。今晩は一人にしてくれ。明日には……それまでには普通になるから」

 口調こそは静かなものだけど。前髪で隠れた目が一瞬見えて安心した。だってとても優しくて、ゆりかごの時の響みたいに穏やかな瞳で……。

「あ、そうだ。流は私が認識魔法使ってチェックインさせてるから。問題なく合流出来るよー」

「ありがとうございます。震離さん。あ、部屋割りは……」

「私と流が同室だけど。奏も調子が悪いってことでここに置くよー。未来組はちょっとお話が有るってことでここに集まってもらってるの、さ。
 あ、一応響は残ってね。ちょっとお話したいこと有るし……何さその顔。怒るのは流がしてくれたんだから、私からはもう言わないよ」

 震離に残ってと言われた瞬間すごく嫌そうな顔してたけど……。

「響が残るーって、もしかしてあの姿に成れるかどうかって話か? 可能やったら私も知りたい」

「同じく」

「はやてさんに言ったら……って、ギンガも手ぇあげてることに驚くわぁ。言ったら悪用するでしょー。特にはやてさんはー」

「そ、そんな訳無いやろ。なぁ?」

「そ、そうですよ。ねぇ?」

 何だろう……はやてもギンガは何でだろ? スバルもこっそり手を上げてる辺り気になるのかなーって。そうだ、一応で。

「震離、私も残って……いい?」

「え、勿論。フェイトさんにはある程度説明しないと」

 当たり前でしょうって顔で言われてちょっと驚いた。で。

「えー、フェイトちゃんずるーい」「情報の開示を求むー」

「は、はやてさんもスバルもやめましょうって。ね?」

 ギンガだけだよ……味方なのは。ただ、チラチラこっち見てるのはどうかと思うけど。
 そんな様子を見て震離がため息を一つ吐いて。

「チラチラ見ても駄目だよ……流ー。悪いけど三人連れてって。サトもちょっとまって。何処まで記憶共有してるのか知りたいし、どの程度なのか判っときたい」

「了解です。さて、はやてさんも、スバルさんも、ギンガさんも行きましょう……食事代はとりあえず5万あったら足ります?」

「「そんなに食べないよ?!」」

「……保険で10万持っとき?」

「そうしましょ」

 ……旅館の食堂だもんね。果たしてそれで足りるかなぁ……大丈夫かな?
 ぞろぞろと4人で出ていくのを見ながら、ふと響を見ると。さっきよりも顔色が悪くてしんどそう。

「さて。バルディッシュさんと、はなには私が向こうに……私と流が居た世界で作った。アルコールキャンディのデータを送ったのと。こっちの響にもキャンディどーぞ」

「……舐めねぇと駄目?」

 すっごく嫌そうな顔でそういう響に対して。

「怪我が癒えるんだから飲んで。今回は途中で戻るってことは無いと思う。来る時何飲んで来たのかわかんないけど、何食べたの?」
 
 ピシャリと、はっきりいう震離。そう言えば、お酒入りのチョコ食べたって言ってっけ。

「……竹鶴ピュアモルト生チョコレートって生チョコ……美味しかった」

「……なんぞそれ? だけど多分そんなにアルコール入ってなかったんでしょ。じゃなければもっと遅くに戻る筈だったし」

「……はな、食べるからユニゾン解除。一瞬くらいなら問題ないから」

『了解です』

 響が中に居るはなに語りかけると共に、黒い光が響を包みこむ。その胸から小さなはなが現れて。それとほぼ同じタイミングで響が雨を口に入れると。

「……やだなぁ。そして、そこそこ美味いし」

「主? 私も食べちゃ不味いですか?」

「酒入ってるから駄目でしょう」

 コロコロと口の中で飴を転がしてると、ピシピシと乾いた音が聞こえてくる。
 ふと、サトが興味深そうにこちらを……響を見てるのが判って。ちょっと可笑しいなって。そうだよね、自分が変わる瞬間なんて見たことなかっただろうし、気になるんだろうね。

 パキン、と一際高い音がなったと同時に部屋の中に黒い光が奔って。

「……あー、やだなぁこの姿。落ち着かない」

「私は可愛いと思うよ?」

「いやいや……そんな事……無い……ぅ、ぁ?」

「……あ、しまった。そういう事か」

 一瞬で響の顔が赤くなると共に。サトがガクリと頭を垂れて。

「震離。すまん。おそらく今の……この状態で俺の記憶の一端が流れた」

「多分―――」

 この後のサトの言葉を聞いて。私も震離もすっごく頭を悩ませました……。


――sideはやて――

「そういえば……流と震離も、人をやめたん?」

 私の質問に、驚いたように目を丸くして。苦笑を一つ。

「驚きました。ということはそちらの世界の私達は限りなくこちらと近いんですね……えぇ、その通りです。私はそもそも人では無かったというのが正しくて、震離さんは後天性で人から真祖へ成った形ですねー」

 モクモクと茶碗蒸しを食べながら二人で何気なく……ということはあらへんけど。聞いておきたかったんよね。私達の世界の流と震離が変わったという確証を得てなかったし。フェイトちゃんは震離の再生の瞬間は見てへんかったらしいし、花霞も見ては居たけれど、ユニゾン中で記録する余裕もなかったらしいし。

 でも……。

「……ゴメンな。突然失礼なこと言うて」

「いえいえ。むしろ納得いきましたし。それに何より……あの人の後を継ぐのに。人でなかった事に悲しむ余裕なんてありませんよ。
 未だに遠くて、影すら拝めないほどですしね」

 フフフと、嬉しそうに笑ってる辺り。ホンマに気にしてへんのか。良かったと言うかなんというか。あ、でも。

「こっちの世界の流と震離は今頃どうしてるんかねぇ」

「もしかすると何処かの世界でひょっこり会えるかもしれませんね。ちょっと楽しみです」

 私と私ですからねぇ。あったら変な空気になりそうですって、優しい表情で言うのが本当に意外や。
 しっかし、私が流とこんな風に話せる時がくるとわ……時間のせいなのかなぁ。あ、せや。

「あ、もしや。もし逢えたら伝えといてなぁ。ゆりかご消した時のお願いはまだ続いてるからなーって」

「はーい。了承しました。あれ? ゆりかごを消したのは、ヴァレンさん達ではなくて?」

「うん。こっちの方では流と震離が消しとったよ。中からアルカンシェルみたいな魔法を撃ったみたいやで」

「……へ?」

 一瞬目を見開いたかのが見えて。どうしたの? と声を掛けよう思た瞬間。

「……わ。スバルさんもギンガさんもよく食べますねぇ。旅館の方には伝えてあったとは言え、凄いです」

「へ? あ、ホンマやねぇ。二人合わせて8人前くらいかなぁ?」

 もりもりと食べる二人を、旅館の料理人が力強く頷いているのが見えて思わず苦笑い。
 普通やったら拒否しそうやのに、気持ちよく食べてくれるのが嬉しいって喜んどるし……料理人からしたら嬉しいんやねー。
 それに、あの二人もよく食べるけれど、それ以上にとても美味しそうに食べてる辺りきっちり躾けられとるし、流石というか、なんというか……。

「……どっちの世界のナカジマ家のエンゲル係数がホンマに気になるわぁ」

「深く考えないでおきましょう」

 ズズズと、二人で緑茶を飲んで……。

 もっと早く接すれば良かったなぁって……流にしても、震離にしても。もっと皆を見てあげな……。

 ふと、この世界に来た根源を、その理由を聞いた時。嬉しかった反面残念だというのも合った。

 何が、とは言わへん。

 私の中では……整理はつけて、悲しくないと言えば嘘になる事。別れを後悔して悲しんでるより、あの子が残してくれたこと、託してくれたことを大切にちゃんと生きてく事が大事やと思ってる。
 せやから、一瞬思ってしまった。心残りがこんなにも強かったんかって思ってしまった。

 だけど……私はあくまで偶々やとしても、この再会を……いや、出会いを大切にしてこう思う。

「ありがとうなぁ。流。お陰で色々吹っ切れたわ」

「……いえ、こちらこそ感謝です。八神部隊長、私を縛らずに居たお陰で、私は私で有ることが出来て、今までも……これからも、私は私を全うすることが出来ます」

「さよか」

 どうやら、そちらの世界の私も不明因子やった流を泳がせたってことみたいで安心した。
 に、しても……。今の流の姿は変身魔法を使っとるとは言え、何方の性別に見えるのは何でやろか?
 
「? どうかしましたか?」

 私がジロジロ見てたことに気づいたみたいで、不思議そうに首を傾げとるけど……うーん。

「なんや、性別不詳に磨き掛かってきてるやんなぁ」

 何となくと、気になってたことやしと思うて冗談交じりで聞いてみると。

「まぁ、何方でもいけますし、何方でも良いですし」

 ……ん?

「えっ?」

「え?」

 一瞬どころか、私と流の時が止まった。 


――sideフェイト――

「うぅわぁ……記憶の一端ってまじかぁぁああ。悶える記憶が流れてくるぅううう。いやだあぁ」

「……ぁー、なんかすまん」

「……っ、だめだ、呼吸……出来な……あっはっはっはっは!」

 コロコロと畳の上を悶ながら転がる響と、申し訳なさそうにそれを眺めるサト。そして、それを見て笑ってる震離。なんというか、こう……うん、凄いなーって。
 初めは震離も私も記憶が流れるのなら不味いって頭を悩ませたのに、事情を聞いたらコレだもの。心配して損……ってわけじゃないけど、なんとも言えない感じだ。

 悶てる響から視線を外すと、はながサトをじっと見てるのに気づいて、サトもそれに気づく。なんだろうって二人して首を傾げて。

「主……では、分かりにくいですよね。マスターとお呼びしても?」

「……うん。良いよ」

 スススと、座ったままサトの方まで移動して。

「あの、マスターの世界では。私はどうなったんですか?」

「……それは、融合騎としての? それとも、花霞というインテリジェンスデバイスとしての?」

「……何方もです」

 寂しそうにサトが目を閉じて。ゆっくりと目を開ける。

「……俺は元に戻れなくて、本部警備からは外された。そのまま六課襲撃の時にバックヤードスタッフやヴィヴィオと共に下がったけれど。その時やってきたガジェットに負けてしまった。
 魔力も上手く扱えない状態で花霞を展開して負けて、後から聞いたけど、ヴィヴィオと共に連れさらわれる時に破壊されたらしい。
 融合騎の体の方も、奏や震離の未完成のデバイスも見つかって破壊されたらしいよ」

 淡々とその事を伝えられると、改めて思うのが、花霞も砕かれていたんだという事実が、重くて辛い。はなも純粋な質問を投げかけたんだろうけど、内容がきつすぎたらしくて、すごく悲しそうな顔をしてる。
 だけど、そんなはなの頭を優しく手を添えて、撫でながら。
 
「でもね……って言ったら変なことかもしれないけれど。またこうして話せるのは嬉しいし……。だから、あの時、初めて会った時懐かしいと思えたんだって今なら分かるしね」

 静かに告げるその言葉には悲しみが含まれているけれど……それ以上に、また逢えたという気持ちが伝わってきて私も嬉しくなる。
 ふと、はなが頭を撫でている手を取って、自分の頬につけて。

「……やはり、私はどの世界でも主やマスターを護れなかったんですね」

 つっと、涙を一筋落としながらそう告げた瞬間。

「「「そんなことはない」」」

 あっ、と。三人の声が被って、皆で笑う。畳の上で悶てた響もいつの間にか復活してはなを見てるし、サトも優しく見つめてる。勿論私もだ。
 
「……花霞が居たから。俺は六課で護るっていう選択肢を取ることが出来た。壊されてしまったのは俺が弱かったからってことだしね」

「……でも」

「……ただ、インテリジェンスデバイスの頃とは打って変わって。こんなに感情豊かだとは思わなかったけどね」

「うっ」

 思わず響も私も視線を逸らす。現在のはなの大本の性格って確かリインだもんね。はなの場合はリインの天真爛漫の部分を受けて明るい子になっちゃったし。
 
「……なぁ……ぁー、ん、おい?」

「ん?」

 ふと、サトが響を呼んで。

「……お前は良いのか? 花霞が俺をマスターと呼ぶことは?」

 申し訳なさそうに視線を泳がせながらサトが言う。でも、その響はというと。
 フッと響が鼻で笑って。

「その質問はずるいわ」

「……そっか」

 短く、でも簡潔に。自分ならそうするだろうと響は言う。
 
 そう言えば……気がついたら震離の笑い声が収まってて、何となくそちらの方を見ると。

「……」

 お腹を抱えながら正座のまま前のめりの体勢で固まってる。一応大丈夫? と声をかけようとした瞬間。

 ビクン、と体が脈打って。

「……あっぶな。笑いすぎて死んでたわ」

 笑い泣きしていたせいか、目元を拭いながら起き上がって。

「え、うん? どうしたの?」

「……お前のせいだよ」

 はぁっと、皆のため息が重かった。
 
 
 
 

 
後書き
 フェイトさんが、ロリった方の響さんを襲う展開あるんですが、読みたいと言う人はいるのだろうか……?


 長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。
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