吸血鬼の真祖と魔王候補の転生者
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第2話 神様特製装備!やりすぎ?なにそれおいしいの?
前書き
前回のあらすじ
神様に会う
チートをもらう
ネギまの世界に転生
皆さんごきげんよう、小市民A改めシルヴィアよ。
神様に拉致され、なんやかんやで魔王候補になってチートバグキャラになったどこにでもいる女よ。
今は神様特製、精○と時の部屋で100年耐久殺し殺されまショーを終えて出てきたところ。
最初の部屋に戻ると神様はいなくて、机の上には紅茶。
私的には日本茶の方が好きなのだけれど、これからの事を考えると紅茶も飲めなきゃいけなししね。神様製らしく飲みやすくておいしいし。
とりあえずイスに腰掛け、一息つく。
神様は案外鬼畜だった。
魔界に送られるような犯罪者の魂を呼び寄せて人の形に戻した。
私はそれを・・・斬った。
体感時間でおよそ100年。それでも決して忘れず、殺しに慣れることは無かった自分の人間性にすこし安心。
それでももう、殺すことに躊躇はしない。後悔もしない。
私は私のために殺した存在を受け入れ、背負い、歩んでいく。
その覚悟を持つことが出来た。
部屋に籠った最初のころは酷かった。
当然と言えば当然、魔王候補になろうと、元はただの人間。
特に人を斬ると言う非日常の行動。それを成すには強い動機が必要だ。
それが無いまま、深く考えないまま必要だからと部屋に入ってしまった。
1人殺し、うろたえて嘔吐している間に他の魂に殺される。
痛みに苦しみ、逃れるために反撃。
そんな狂乱の中、散り散りになった思考で考えていた。
刺激的な生活を欲して話を受けた。ではその生活の中で私はなにがしたいのか?
殺し殺され、出した答え。
それはとても人間的だと思えるもの。傲慢・・・とも言えるかしら。
『私は、私自身と私の大切な者のために生きる。そのために力を行使する』
当然と言えば当然の、結局はそんなものだった。
神であれ魔王であれ、管理者として世界を渡り、物語に介入し見届ける。
そんな私の行動指針は私の好きなように生きると言う事。
気にいった者と楽しく過ごし、邪魔する者は叩き潰す。
手の届く範囲の大切な者を守り、それに仇成す者を捻り潰す。
気にいらない者は放置する。協力も助けもしない。生きようが死のうが私には関係ない。
私は正義の味方ではないし、無関係な人のために行動なんかしない。
1人の大切な存在と、1000人の無関係な存在。どちらかしか助けられないなら、私は迷わず1人の大切な存在を助ける。
力のある者は多くのものを助けなければならない?そんなのはごめんよ。
その存在を気に入るかどうかは私基準。
人であれ、物であれ、あるいは概念的な存在、組織や社会・国などもあるかもしれない。
何であれ、気にいったのなら最大限の力を使い助け守り協力し、気にいらなければあっさり斬り捨てる。
私は私と、私が大切だと思う者のためにのみ力を使う。
力を持つ者の傲慢・・・排他的・・・いくらでも出てきそうね。
それでも構わない。それが私の生き方。私の覚悟。
やっぱり魔王かなと苦笑しながら後ろの存在に声をかける。
「そんな感じで行こうかと思うのだけれど、どうかしら?」
「そんな感じで行こうかと思うのだけれど、どうかしら?」
「ふむ、まぁよいのではないか?」
久しぶりに会った神様が目の前に座る。
「一応気配を断っておったのじゃが、良く気付いたの」
「それはもう、100年も鍛えればね」
そう、鍛えたのだ。
実際殺しの覚悟を固めて、体に染み込ませるのは最初の10年くらいで済んだと思う。
それじゃぁ後の90年何をしていたかというと、一言でいえば鍛錬。
二言でいえばチート鍛錬。
部屋の特性で体力は減らない・眠くならない・お腹も減らない。
そんな中で次々出てくる相手に戦い続けた。
最初は呼んだ魂の、つまりは普通の人が相手だった。
それがいつしか魔物になり、さらには天使や魔族になっていた。
ちなみに魔物は、知性の低いモンスターを指す。
簡単に言えばゴブ○ンやス○イムだ。
その上位者が魔族。高い知性を持つ存在。原作だとヘルマンとか言ったのがこれに当たる。
この2つを合わせて悪魔という。その上が魔王。
部屋の作った仮初の存在なので、自我や命といった意味では存在していない。
それでも魔族、それも夢魔の綺麗なお姉さんが出てきたときは神様を少し恨みつつ泣く泣く斬り伏せた。
そんなこんなで100年も戦えば、自然と技術も鍛えられる。
具体的には体の使い方や気の扱いなどだ。
お蔭で気を全身に巡らせて強化したり、気弾を放つことも出来るようになった。
我流で剣術もそれなりに。途中から日本刀に変え、文字通り『斬る』ことを重視した。
西洋の剣は力に任せて叩き斬る、が基本だったから。
「そうだ、忘れる前に言っとかなきゃ。1つ追加で欲しい能力が出来たの」
「何じゃ、まだあったのか?」
「魔眼が欲しいのよ。能力は分析・解析特化型」
「何じゃ。直死の魔眼やら絶対遵守の王の力でも望むかと思うたのに」
「その辺は自分の手で直接するからこそ楽しいのよ?」
にっこり微笑んだというのに、神様は視線をそらした。あ、一応言っとくと従わせるって意味でよ?殺して喜ぶ変態さんにはなっていないから。可愛い子を跪かせるなら自らの力でじわりじわりと堕としていくのが・・・ね。
「ワシはなにも言わんぞ、ほれ」
「神様の対応が冷たいわね。・・・ん、ありがと」
神様が手をかざすと一瞬目のあたりが熱くなる。恐らく変化したのだろう。
「魔力を集中させれば発動じゃ。発動中は眼の色が深紅に染まるぞ」
「わかったわ。・・・さて、そろそろ行こうかしら」
「そうか・・・持ち物や装備はどうする?」
神様の言葉にふと考える。
今は部屋に入るときと同じくウェットスーツに無銘の日本刀
「う~ん、神様に任せるわ。どんなものが来るか楽しめるし。向こうで目覚めたら持っている状態にしてちょうだい」
「なんでもいいが1番困るんじゃがの~。まぁよいわ、任せておけ。ほれ」
神様が手をかざすと机の横に大きな光球が現れる。
「それがお主の行く世界じゃ。触れれば入る事が出来る。時代は1400年、原作登場人物の1人、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの住んでいた城の近く、状況は彼女が吸血鬼の真祖にされてから1週間というところじゃな」
神様の説明を聞き納得すると立ち上がる。
「それじゃぁ、行ってくるわ」
「ああ、達者での」
短い会話を終わらせると、最後に神様に頷き、光球に触れる。
視界が光で満たされる。
さぁ、それじゃぁ私の新たな物語をはじめましょうか。
「・・・・・・・・・・」
目を覚ますと目の前には綺麗な小川が流れ、向こう側と自分の後ろには森が広がる。
そんな森の脇の草っぱらの上で目を覚ました。
気を巡らし周囲を確認。
付近に獣や人の気配はしない・・・とりあえず安心ね。
それじゃぁさっそく装備の確認をしようかと立ち上がり、視線を自分に向ける。
まず履いているのは膝下ぐらいのロングブーツ。
きつ過ぎず緩すぎず、しっかりとした作りのオーダーメイドかと思えるくらいのぴったりサイズ。
ヒールは無いぺたんとしたタイプ。まぁ、これからしばらくは歩きが基本なのだからこれでいい。
上にブラウス、下にショートパンツは原作通り。違うのはベルトをしていたこと。
ただショートパンツが思ったより短くて、お尻が少し出るかどうかのホットパンツレベルなのはどうなのか。
まぁ、分類上どちらもショートパンツなんだとか細かい話は置いといて。
それに実際の所、きわどい短さのホットパンツから延びる引き締まった脚は我ながらカッコいいと思う。
・・・やっぱりナルシストの気が、ゲフンゲフン
次に地面に置いてあるローブ。
まぁローブといっても、袖あり、前開き、フード付き、腰丈の・・・むしろパーカー?と思わないでもない。
でもローブ。ローブと言ったらローブ。なぜなら魔法使いの正装はローブと決まってるから(ドーン)
最後にマント。これは膝下くらいまで覆う、完全に外套としてのマント。フード付き袖なし胸元でボタン止め。
そんなこんなで見た目の確認は終了。ちなみにローブ以外はみんな黒。
ローブは黒地に赤と金で飾りつけられている。
ローブも着こむと全体的に品の良い感じでかなり好印象。神様グッジョブ。
・・・ただしちらりと覗いた下着は上下とも高級店にありそうなセクシーな赤だった。私の好み丸わかりですね、わかります。
マントはとりあえず脇に置いておく。
一通り眺めると、今度は意識を体に向けて集中。
お臍の下あたりにある、気の集積地・丹田。
ほぼ同じ位置にあるのを感じる魔力に意識を集中。気と同じ要領で魔力の通り道を通し全身に魔力を行きわたらせる。
最初の数分はまったく動かなかったが、次第に微量ながら流れだす。
今はこれでいいと、そのまま目にだけ集中する。
魔眼の発動を感じる。そのまま視界を動かすと、意識したものについての情報がどんどん表示される。
優秀なのは何でもかんでも情報が表れ氾濫する訳ではないと言う事。
あくまで意識したもの、あるいは意識の上で特定したものに限られるようだ。
そんな訳でもう一度身に付けているものを眺めてみる。
まずはブーツ。
自動体力回復魔法・自動加速魔法・自動清潔魔法・自動修復魔法が付与。
・・・壊れず常に清潔、どんどん回復いくらでも歩けます(加速付き)ってことよね。
ホットパンツにブラウス、下着も見てみる。
自動清潔魔法・自動修復魔法が付与
・・・手荒に扱っても破れない、おまけに洗濯いらずで常に清潔ってことね。
女として全く洗濯しないというわけにはいかないけれど、便利なのは確かよね。
ローブも見てみる。
自動物理防御魔法・自動魔法防御魔法・自動体力回復魔法・自動魔力回復魔法・自動清潔魔法・自動修復魔法・自動環境快適魔法の付与。
・・・・・・・・・・これ1着で鉄壁防御!どんな環境でも生きていけます!快適性も保障!
・・・まぁいいか。便利だし。
最後にマント。
自動物理防御魔法・自動魔法防御魔法・自動体力回復魔法・自動魔力回復魔法・自動清潔魔法・自動修復魔法・自動環境快適魔法・自動収納魔法が付与
これ、ローブと一緒じゃない?と思ったのだけれど全然違う。
外側=マントの自動防御魔法を越えた先にはローブの自動防御魔法が展開・・・という事よね。
自動収納魔法は、マントの内側に押し当てると勝手に収納されるようだ。マントの裏地がゲートになっている。倉庫みたい。
そんな訳でちょっとやりすぎた?いやいや便利は偉いと内心ホクホクしながら次に視線を向ける。
次は草っぱらに寝転んでいた私の右におかれていた武器。
特徴的な反りをもつ短刀。
鍔有りで刀身も30cmほど。大きめのナイフとして使えそう・・・・・・そんなことを考えていた時期が私にもありました。
名称『妖刀正宗』 能力:自動体力回復魔法付与・切れ味強化・耐久力強化。ミスリル製
・・・・・日本刀の弱点に真っ向から喧嘩売っているわね。折れず・曲がらず・欠けずの耐久力強化に加えて切れ味強化のフルコンボ。
加えて世界最高硬度のミスリル製。つまりはそれだけでとてつもなく頑丈ということ。
おまけに魔力を流すと形状が変化する機能付き。
刀身60cmほどの日本刀タイプと、刀身90cmほどの大太刀タイプに。
・・・大太刀をみて、某片翼の天使を思い出した私は悪くない。
あのキャラクターは好きだもの。左肩からまっすぐ切っ先を向けて構えればいいのかしら?
とりあえず、短刀タイプをただの『短刀』、日本刀タイプを『正宗』、大太刀タイプを『妖刀正宗』と呼ぶことにした。
便利だからいいけど、と切り替え短刀に戻して左腰のベルトに差す。
最後に寝転んでいた地面の左側に残ったリュック。
かなり小さいタイプ、何が入っているのか開けてみる。
・・・うん、だってこの物語チートだもの。
そう思いつつ中を見聞。
入っていたのは松明にランプ、金物の鍋や食器、水筒にタオルや火打石、釣竿など旅の必需品がごろごろ。
水筒は竹製の小さめのモノが6本。あんまり入らないかと思ったら魔法で中身無限になっていた。味は普通の水とレモン風味にオレンジジュース。
何故6本とか思ったけれどこの後の展開を考えてですね、わかります。ご都合主義万歳、グッジョブ神様。
小分けにされたいくつかの袋。1つには今私が来ている服装が3セット入っていた。一応予備?たぶん使う機会無いよと思った私は悪くない。
もう1つの袋には下着がたくさん。もう1つは食糧が少々、もう1つは空だった。
最後に手のひらサイズのお財布。中には数枚の金貨。この時代ならかなりの値打ちかな。
とりあえず財布をローブのポケットに入れておく。
リュックに小分けの袋、財布の容量キャパシティは無限になっていた。
もうなんでもありです、はい。
リュックの中身の最後は、1冊の大きな本。
中身を覗くと驚きの内容。
流し読みしただけでも、この世界に存在するあらゆる魔法についての記述がしてある魔導書だった。
これを読んで学べば魔法関連の技術は問題無さそう。
確かに、エヴァンジェリンと2人で旅することが出来るようになったとしても、独学じゃ難しいところもあるしね。
確か原作だと10年かけて闇の魔法を開発したりしたんだっけ。
ぱらぱらめくると、神様に頼んでおいた彼女の不老を一時的に解除する方法も発見。
書かれた内容に従って描いた魔法陣と、チートの膨大な魔力でゴリ押しすれば何とかなるそうな。
そうしてぱらぱら眺めていると、気で強化した耳に、少女の悲鳴とそれに続く怒声が聞こえてくる。
ゆっくり見るのは後回しと魔導書をリュックに片付ける。
リュックをマントの倉庫に仕舞うと、そのまま羽織り一気に声のした方へ駆けだす。
さぁ・・・この世界の物語の、メインヒロインを救いに行きましょうか。
後書き
読んでいただき、ありがとうございます。
ご意見・ご感想お待ちしております。
それではまた次回。
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