最悪の禍
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第三章
「死体は埋めるなり隠しなりして魂も隔離する」
「そうしてですか」
「後はな」
「領主になりすまし」
「周りをファミリーで固めて」
「そういうことですか」
「ああした連中は変身の術は使えんが」
マフィアの者達に術者はいないというのだ。
「それでも同じ岩人やとな」
「似ている者もいますか」
「この世界整形もないけど」
「なりすましですね」
「そういうことやろ、ほなな」
ここまで話してだ、玲子は。
領主の館ではなくマフィアのファミリーの方を調べることにした、ファミリーはかなり巧妙にアジトや活動を隠していたが。
玲子そしてビクトリアにとっては楽に調べて突き止められるものだった、それで一見古物商をしているが実はこの辺りの裏社会を取り仕切っているファミリーの屋敷にビクトリアと共に乗り込んだ、すると。
柄の悪い者達が二人を囲み問うてきた。
「何しに来た」
「俺達のことを知っているのか?」
「だから来たのか?」
「まさかサツか」
「最近のサツは随分質がいいけどな」
「その警察の上におるモンと言っておこか」
玲子は大鎌を右手に構えつつ応えた。
「ここは」
「サツの上?」
「どういうことだ」
「まさか署長か?」
「この辺りに女の署長なんていたか」
「魔族みてえだが」
「そのさらに上と言っておく」
こう言ってだ、玲子はビクトリアと共にだった。
自分達に襲い掛かってきたマフィアの者達を薙ぎ倒しドンも捕まえて倒してだった。術をかけてその心を聞いた。すると玲子達の話した通りだった。
「やっぱりな」
「はい、ファミリーの中で領主にいた奴がいて」
「それをええことにしてな」
「領主を秘かに攫って殺して」
「なりすましてたとかな」
「それも領主の家族、親族も遠ざけて」
「見破られん様にしてな」
そしてとだ、玲子は顔を顰めさせて述べた。
「周りをファミリーで固める、側近ということにして」
「巧妙ですね、領主になりすませば」
「この辺りの統治を握るからな」
「裏の仕事はやりやすく」
取り締まることをしなければいい、だからだ。
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