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最悪の禍

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第一章

                最悪の禍
 壇玲子とビクトリア=ペドリーニャは今は玲子の神託で地下世界のルーセに来ていた、だがこの街に来て即座にだった。
 玲子は街の有様を見て怒って言った。
「この街はどないした」
「あの、何か」
 ビクトリアも街の中を見回して話した。
「どうにも」
「何もかもが禁止されてしかも重税と重労働を課されてるな」
「そんな状況ですね」
「市場も民家も活気がない」
 そのどちらもというのだ。
「子供達の顔も暗い」
「明らかにおかしいですね」
「何かあると思った方がな」
 実にと言うのだった。
「ええな」
「そうですね」
「ほなや」
 玲子は右手に持っている自身緒神具であるアダマスの大鎌を強く握り締めて話した。
「街の状況調べようか」
「そうしますか」
「まずはな」 
 ビクトリアが頷いたのを見てだった、玲子は彼女と共に街の状況を調べた。何故目を覆わんばかりの状況であるのかを。
 するとこの辺りの領主が代わってからこうなったという、街は厳しい言論統制領主への批判やそうみなされる発言は禁止され街には見張りが歩き回り若しそうした発言が発覚すれば捕えられ厳しく処罰され。
 重税と重労働が課せられ街だけでなく領主の治める領地は呻吟の極みにあった、領主は前の領主の弟で先代に子がいないので跡を継いだが。
 強欲で好色で怠け者でありかつ私利私欲のみを考え度量も狭かった。その為にそうした悪政を敷く様になったのだ。
 ここまで聞いて玲子は言った。
「そうした輩を成敗することも星の者の務め」
「そやからですね」
「すぐにだ」
 こうビクトリアに話した。
「領主のところに行ってだ」
「成敗されますか」
「その首叩き落としてだ」
 その鎌を手にしての言葉だった。
「そしてだ」
「処罰とされますか」
「そうする、後の領主はこちらで選ぶ」 
 先の領主よりも遥かにいい領主をというのだ。
「話は簡単だ、星の者の権限でな」
「悪性を行う輩を成敗する」
「それでな」
「あの」
 ビクトリアは今すぐにでも領主の館に行って実際に成敗しようという玲子に話した。
「それよりもです」
「どうした」
「色々調べるべきでは」
 こう玲子に提案するのだった。
「ここは」
「調べるべきか」
「はい、領主のことも街のことも」
「領主は本来どういった奴で街の実情もか」
「そうすべきと思いますが」
 ビクトリアは玲子に冷静な顔と声で応えた。
「どうでしょうか」
「それからでも遅くないか」
「少なくとも噂だけで動かれては駄目ですね」
「それはな」
 その通りだとだ、玲子はビクトリアの言葉に頷いて応えた。 
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