傾奇者の料理

　釣りをはじめた、するとあっという間にだった。
　小泉は一メートル位の鯉を何尾も釣った、そうしてモンゴメリに言った。
「これだけあればな」
「問題なしだね」
「そうだ、では鯉達をすぐに術で徹底的に凍らす」
　言いつつ寒波の術を鯉達に放って瞬時に氷の中に入れてしまった。
「後はこれを持ってな」
「そしてだね」
「移動の術でクセノフォンに戻り」
　そうしてというのだ。
「中の虫が凍らされた中で死に絶えてからな」
「調理してもらう」
「そうする、クーラーボックスも用意したが」
　それでもというのだ。
「流石にこの大きさの鯉を何尾となると」
「入れるのが難しいね」
「だから持ってだ」
「移動の術でだね」
「クセノフォンに戻る」
　こう言って実際にだった。
　小泉はモンゴメリの助けを借りてそのうえで凍らせた鯉達を担いでクセノフォンに戻り富豪の屋敷で鯉達を保管してもらい。
　そのうえでだ、富豪に話した。
「虫達が全て死んだ頃にな」
「解凍してですな」
「そして」
　そのうえでというのだ。
「調理すればだ」
「いいですね」
「そうだ」
　こう富豪に言うのだった。
「虫が死ねば後はな」
「鯉は問題ないですね」
「それは知っているな」
「魚介類、淡水魚も好きなので」
　それでとだ、富豪は小泉に笑顔で答えた。
「ですから」
「そうだな、ではな」
「これからですね」
「待ってもらうけどええか」
「はい、ではその間は他の冒険者の方々が持って来てくれた食材や調味料で作ったお料理を食べています」
「和食のだな」
「すき焼きも天婦羅もてっさも鮟鱇鍋も食べまして」
　富豪はメニューの話もした。
「肉じゃがもお寿司も湯豆腐も食べましたが」
「それだけでなくだな」
「はい」
　さらにというのだ。
「鯉もですね」
「食ってもらう」
「では」
　富豪は笑顔で応えた、そうしてだった。
　虫達が冷凍された中で死に絶えた頃に解凍して調理された鯉の刺身や鯉こくに洗い、丸ごと一尾焼いた天婦羅に鍋を食べた。