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傾奇者の料理

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第一章

               傾奇者の料理
 アントニー=スウィストこと小泉正太とチャールズ=モンゴメリは今は小泉の神託で北極上空の浮島群の中でも大きな都市の一つであるクセノフォンに来ていた。
 街の市場には海の幸も山の幸も揃っており田畑のものも牧場のものも何でもあり調味料も香辛料も東西のものが何てもあった。
 小泉はそういったものを見つつモンゴメリに話した。
「ここは北極上空の浮島諸島の中で一番の食の街や」
「美味しいものは何でもだね」
「古今東西のものが何でも食べられる」
「そうした街なんや」
「どの店でも入ったら味にも量にも満足出来る」
 その両方でというのだ。
「そんな街や」
「それは何よりだね」
「ああ、ほなここでの食事を楽しみながら」
「そのうえで」
「私の神託を探して果たそうか」
「そうするな」
「その為にもまずは」
 小泉は魚屋、淡水魚の店の鯉や鮎を見つつモンゴメリに話した。
「ギルドに行こうか」
「このクセノフォンの」
「そうして」
 そのうえでともだ、小泉はモンゴメリに話した。モンゴメリはモンゴメリで肉屋の巨大な吊るされた牛肉を見ている。
「神託を適えようか」
「そうするんだ」
「そして後はこの食の街で美食を楽しむ」
 こうモンゴメリに言ってだった、そのうえで。
 二人はクセノフォンのギルドに旅の冒険者と素性を隠したうえでだった。小泉の依頼を探した。すると。
 ある依頼を見てだった、小泉はモンゴメリに言った。
「この依頼や」
「ええと、街の富豪アントニオ=メディチさんが美味しい和食を食べたい」
「これがな」
「君の依頼なんだね」
「直感で感じ取った」
 まさにとだ、小泉はモンゴメリに答えた。
「これが私の依頼だ」
「ほな」
「これを受ける、最高の素材で最高の料理か」
「そう言うと料理人の人のお話だね」
「傾奇者は伊達者でもある」
 小泉はモンゴメリに強い声で言葉を返した。
「そやから」
「お料理も出来るんだ」
「私は特にな、実は料理には自信がある」
「そうだったんだ」
「イギリス生まれやが日本におるんや」 
 食に絶望した国から食の国にというのだ。
「それで料理に目覚めて自分でも料理漫画やレシピをどんどん作っていって食べもしてる、こっちの世界でもそうしてる」
「だからお料理の腕はね」
「自信がある」
「じゃあこの依頼も」
「果たす」
 絶対にとだ、モンゴメリに答えた。
「必ずな」
「それじゃあね」
「依頼受けるね」
「今からな」
 こう言ってだった。
 小泉はモンゴメリと共にギルドの事務員に依頼を受けると話した、そうしてクセノフォンのルネサンス様式の宮殿この街でも特に立派な建物の中に入った。そこで恰幅のいいオーガの初老の男に言われた。依頼主その人である。
「お二人に頼みたいことは」
「和食か」
「左様、今は和食に凝っていて」
「美味くしかも健康にもいい」
「美食と共に健康にも気を使っていまして」
 それでというのだ。 
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