戦国異伝供書
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第五十七話 善徳寺の会盟その四
「ここはです」
「飛騨のことはじゃな」
「放っておいて」
「他のことをすべきじゃな」
「その飛騨者達のことも」
「放っておくか」
「そうしましょうぞ、そして今は」
何といってもというのだ。
「盟約です」
「三家のな」
「それを結びましょう」
「そうであるな、さて寺に入れば」
晴信は山本と幸村そして十勇士や他の兵達を見てさらに話した。
「お主達は今川家や北条家の者達とな」
「話をですな」
「せよ、そしてじゃ」
「両家のことを知る」
「そうしてもらう、しかし」
晴信はここで十勇士達に笑って話した。
「喧嘩はせぬ様にな」
「はい、それはもうそれがしがです」
幸村が晴信に十勇士達の主として答えた。
「しかと言っておりますので」
「だからじゃな」
「何があろうともです」
「軽挙はないな」
「この者達の忠義絶対故に」
「お主が言うとか」
「例え何があろうともです」
それこそというのだ。
「命に背くことはありませぬ」
「ではな」
「はい、この度はです」
「この者達は静かにしておるな」
「左様です」
そうだというのだ。
「ですがらご安心を」
「それではな」
「では我等は」
「今川家、北条家の者達とな」
「親睦を深めつつですな」
「そうしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「わしの護衛を頼むぞ」
「それでは」
「では我等は」
山本は晴信に確かな声で述べた。
「これより」
「寺の中に入りな」
「そしてです」
「そのうえで、ですな」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「話に入りましょう」
「ではな、この度のことはな」
「当家の命運もかかっておりまする」
「これで後ろに憂いがなくなれば」
その時はというのだ。
「上洛だけでなく」
「上杉家ともな」
「何の気兼ねなく戦えますし」
それでというのだ。
「我等にとって願ってもないことです」
「全く以てな」
「では」
「行こうぞ」
晴信は自ら言ってだった、そのうえで。
山本を連れて寺の建物の中に入った、そして寺の中でもとりわけ広く整った間に入った。するとだった。
別の方角から氏康が幻庵を連れて二人でだ、間に入って来た。彼等は同時に間に入った。だがどちらもだった。
立っている間は話さない、そして間には既にだった。
義元がいてすぐ傍に雪斎が控えている、義元達も立っていてだった。
晴信達が入るのを見てだ、笑顔で話した。
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