蒼と紅の雷霆
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蒼紅:第三話 少女
前書き
爪ラスボスのあの子が出てきます。
GVとソウがシアンを連れて向かったのはフェザーによって手配された2人の隠れ家であった。
「ここがGVとGVのお兄さんのお家なの?」
「少し違うけど…間違ってもいないかな?ここは僕が学校に通うための仮の家なんだ。」
フェザーに所属していたとは言え、GVとソウはまだ未成年でせめてミッションがない時は学校で学べる機会を向こうが設けてくれたのだ。
とは言っても学校に通っているのはGVだけだが。
「取り敢えずフェザーを抜けたが、これからどうするんだGV?」
「そうだね、フリーの傭兵…何でも屋なら仕事が入りそうだし、しばらくはそれで行ってみよう」
フェザーを抜けたので別のやり方で収入を得なければならないので、しばらくは何でも屋をやっていくことにした。
「取り敢えず食事にするぞ、おい…シアンだったか?…さっさと入れ」
「あ、うん…」
無愛想に言いながら隠れ家の中に入っていくソウに素直に頷くシアン。
「ごめんね、シアン…兄さんは少し口は悪くて無愛想かもしれないけど…」
「大丈夫、GVのお兄さんが優しい人なのは何となく分かってるよ」
「?」
何故会って間もない兄のことが分かるのか…GVは疑問符を浮かべる。
『アタシの力は精神感応能力。その為か、たまに感じ取っちゃうのよね。そういう…感情の流れ…オーラみたいな物を…GVのお兄さんの…ソウだったかしら?表面上は無愛想でも、心の中には優しい…暖かい物を感じるわ』
「GVのお兄さんなんだもん…優しいに決まってるよ」
GVの疑問にモルフォが答えてくれた。
しかしシアンは能力など使わなくてもソウのことを優しい人なのだと理解したようだ。
兄を分かってくれた者がいるのはGVにとっては喜ばしいことだ。
何せ普段の冷たい態度とプライベートの集まりでも参加しないことが原因でソウのフェザーのメンバー達からの評判はあまり良いものではないからだ。
「とにかく今日は疲れたでしょ?簡単な夜食を用意するから寝よう。明日、モニカさん達に頼んでシアンに必要な物を用意してもらうから」
「うん、ありがとうGV」
隠れ家の中に入ると、ソウが3人分のスープとパンを出した。
「今はこれくらいしかないが我慢しろ…元々お前を連れてくるつもりはなかったからな…」
「うん、ありがとうお兄さん」
スープは今日作った物の残りだ。
明日からは何時もより多めに作らなければならないとGVは明日の食材の買い出しを考える。
「このスープ美味しい!!」
「それは兄さんが作ったんだ」
「そうなんだ。私も何時か料理が出来るようになりたいな…」
「そんなもの後で教えてやる。いいから黙ってさっさと食べろ」
「ありがとうお兄さん」
「………」
無愛想な態度にも関わらず懐いてくるシアンにソウは珍しく困ったような表情でGVを見つめる。
GVは微笑んでスープを口にした。
「良かったね兄さん。シアンが懐いてくれて」
「…調子が狂うな……」
馴れ合いは好まないソウは他人に冷たい態度を取っていたが、冷たい態度を取っても懐いてくる相手は初めての為にどう対応していいのか分からないようだ。
兄の珍しい一面が見れたGVは笑みを浮かべていた。
一方…皇神第一ビルではある人物が監視カメラの映像を見ていた。
「紅き雷霆・ソウ…ふむ、腰にまで届く白銀の髪に透き通った白い肌…そして極めつけが宝石のガーネットを思わせる紅い瞳…どれを取っても美しい!!そして隣の弟の蒼き雷霆・ガンヴォルトも何と愛らしい少年か!!互いに支え愛、襲い来る敵を蹂躙していくその姿は正に兄弟!!これ程までに美しい兄弟愛が存在するとは…これだから愛の探究は面白い!!」
監視カメラの映像を見る人物の言葉に部下らしき者達は溜め息を吐いた。
モニターの前で叫ぶのは皇神の能力者狩り部隊所属の部隊長・パンテーラ。
これでもソウとGVと同じく能力SSランクと言う世界トップクラスの能力者なのである。
しかし性格に難がある部隊長の中でもパンテーラは一際癖があり、何と特に理由が無ければ一日毎に性別を変化させているのだ。
ある処置で能力が封印されているのにも関わらずだ。
その為、皇神からは一目置かれる実力者でありながら変人と見られている。
「(無能力者狩りの悪魔…是非、我々の楽園の力になってもらいたいものだ)」
皇神兵を薙ぎ払うソウの姿を見て、パンテーラは静かに微笑む。
後書き
簡単なキャラ紹介
ソウ
ガンヴォルトの兄で蒼き雷霆の派生種である紅き雷霆の能力者。
穏やかなGVとは正反対の冷たい性格だが、それは皇神での実験が原因であり、心根はモルフォが看破したように優しいところもある。
因みにGVはデザイナーチャイルドらしいので、ソウもオリジナルの人間がGVと同じなので実質兄弟。
見た目はパンテーラが説明したように銀髪、紅眼、白い肌とGVとは反対で髪はおさげではなく、特別製の髪ゴムで襟足で纏めている。
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